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絶え間

拘束

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「タカダっ!!??」
「……」
「なぜお前が共和国に協力をしている!?」
「……」

 確か能力は『風固定』だったか、前会った時よりもはるかに能力の使い方、出力が向上しているな。ダンマリを決め込んでいるのを見るに無口なのは変わってないようだが、その黒いフード付きコート越しの外見から分かるほど以前より筋肉量が増えている。
 そして何より彼からは何となくだが暗いオーラを感じる。まるで悪運がそのまま歩いているような。

「さて、リカ王、出来れば降伏して欲しいのですが」
「……」
「そうですか、あくまでも戦う、と」

 眼下ではエレナがリカとの戦いを再開しようとしていた。恐らくは傷付けるわけにはいかない俺という人間が、こうして空中に拘束され戦場から消えるのを待っていたのだろう。
 少し身をよじって見るが、やはり動けない。

 ── 完全に拘束されてるな……抜け出せそうにもないか。

 困った、これでは作戦が上手くいかない。
 エレナと相対している、エレナとタカダにはリカに見えているであろう雪だるまを見ながら、俺はどうすべきか案ずる。

 シズクが『透明化』をしたときに耳打ちしてきた「リカを死角に」という作戦というよりかは指示に近い短い言葉。俺がそれに従ってリカが左腕をやられた時、リカとエレナの間に割って入れば、いつの間にか後ろに居たはずのリカが居なくなって代わりに雪だるまがポンと置かれてあって驚いた。そしてそれリカだと思い込んでいるエレナにも。
 おそらくは『透明化』と『幻術』、さらにいくつかの能力を使った芸当だろう。だが、こうもガッチリ拘束されては、何をどうしてもバレずに入れ替わるなんて不可能だ。

 タカダにバレないように最低限だけ黒目を動かして、こっそり森の奥を見下ろせば本物のリカはこちらを心配そうに見ていた。シズクも透明になって近くに居るのだろうが手をこまねいているに違いない。

 シズクは俺を気遣ってくれたのだと思う。彼女一人でも恐らく、リカと二人なら確実にタカダとエレナを殺すことだって出来るのに、そうしないのはまだ俺がシズクに協力すると言っていないからだろう。俺が完全に共和国と敵対関係にならないように、俺が人殺しにならないように気をまわしてくれているのだ。

 ── これは仕方ない……な。

 俺は覚悟を決める。このままシズクとリカに任せても勝てる戦いかもしれないが、そんな風にお荷物にはなりたくなかった。

「『代償成就』、右脚を代償に」

 『代償成就』によって犠牲にした体の部位は『超回復』の<治癒ヒール>をもってしても治ることは無い。この力をユミから引き継いだ時、自然と理解したことだ。

「俺とリカとシズクを第6層に連れて行け」

 それでも、もう俺以外の誰かが俺のせいで傷付くのは嫌だった。
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