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2.準 備 2
しおりを挟むなぜ、私が『全裸』で異世界に招かれたのか、その経緯を説明しよう。
その前にまずは、異世界へ招かれる場合、大きく二つの召喚方法に分類される。
それは、『 転生 』と『 転移 』だ。
先程、紹介した二人の御令嬢の召喚分類は、『 転生 』である。
転生には、生前に不意な事故等により命を落としてしまい、その後、別世界で新たな生をうけ、人生を赤子からやり直す『 完全転生 』と幼少期、又は青年期など、人生の途中から始まる『 半生転生 』がある。この状態で転生した場合、前世や転生輪廻前の記憶などが残っている場合がある。
この場合、前者がハウル・アーキ嬢、後者がクローディア嬢にあたる。
転生には他に死後直後、いったん天界に呼ばれ、個別やグループ面談により、神、又は女神との交渉タイムが設けられる場合もある。
そして、私はと言うと、もう一つの召喚分類である『 転移 』で、異世界へ招かれたのだった。
転移とは、現世での容姿の状態で異世界にお呼ばれするのだ。
私はあの日、残業から解放され、寄り道もせず真っ直ぐ自宅に着くと、バスルームへ直行した。
烏の行水とまでは行かないが、カラダを洗い終え、湯船に首まで浸かると、3分程で上がった。
私の目的は長風呂では無く、風呂上がりの一口目のビールの喉越しだ。
バスルームから出ると、冷蔵庫からキンキンに冷えたビール缶を取り出し、プルタブを人差し指で弾いた。
私は缶から噴き出す炭酸と、その麦芽の香りのある黄金色の液体を口の中へ注ぎ込んだ。
ビールを味わっていた私の閉じた瞳がゆっくりと開くと自分の部屋の様子が変わっている事に気が付いた。
そうなのだ、私は首に掛けたタオル以外何も身に着けず、片手は腰に当て体の角度をキープし、更に仁王立ちした状態で異世界の召喚士が集う魔法陣の中央に転移したのだ。
高々と上げられたビール缶片手に色んな物を晒した私の時間が凍りつく。
その時の私を見た召喚士たちのあの表現しようの無い表情は、脳裏に焼き付いて今も忘れられない。
私の異世界転移、学園生活の幕が上がった。
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