恋色模様

文字の大きさ
11 / 17
その後の二人

七夕の話

しおりを挟む



 世の中ではおそらく多くの恋愛している人々が、この七夕というイベントに乗じて告白だとかプロポーズだとかそういう愛のプレゼン?語彙力の全力集結?あー、まあ、恋愛成就を願ったり。家族の健康を願ったりするわけです。

 ミーハーな俺も例に漏れず、『どうぞご自由に』と置かれていた短冊へついつい欲張って書いてみた。
 叶うか叶わないかは別として、願えばできるんじゃないかと思ってしまう勘違いは大切だ。勢いでどうにかなるときもある。
 できたらいいなーなんて無謀な欲望を晒し合いながら他人の願望を眺めるのも楽しいもんだ。タダだし。

(いっぱい書いても、まあ、いいか)

 ―――なんて、思っていたときもありました。過去の自分を葬りたくなることありますよね?



「……っ、あ、うぁあーっ……」

「ほら、まだニ回しかイってないよ?」

「もう、いい……だいじょ、ぶっ、…いらなっ…」

 背中から聞こえる声はどこか楽しげで、一方の俺はというと額をシーツへ押し付け必死に青山からの直撃を受け止めていた。

 おっかしーな。俺、日本語で書いたよな?普通に書いたよ?特にこれと限定せず、食い物でも欲しいもんでも当てはまるような書き方で。ありきたりなことを、つらつらーつらーって。
 ・美味しいものたくさん食べたい
 ・お腹いっぱいになりたい
 ・好きなものたくさんほしい
 ・いっぱい満たされたい
 ・好きなものに囲まれたい
 もう一個書こうとして、もう書ける余白がないから諦めたけど。でも普通に読める言葉で書いたはずだ。
 垂れ下がる笹の中から手が届く上の方へ結びつけた。そのとき青山が『へー』って薄っすら笑って俺の短冊を見てたから、子供っぽいとでも思ってるんだろうなーなんて思っていた。だって、旨いもん食ってるとき幸せだぞ。最高だ。俺は毎日幸せだぞ。

 それなのに『じゃ、すぐ願い事叶えようか』なんて言いながら、ひょいひょいとホテルのディナーに連れて行ってくれて、すげー幸せ!と満足してたのにだよ。
 ひょいひょいってエレベーター乗って、ひょいひょいって。ベッドの上?

 で。今ココ。
 数時間前のことを思い出してる余裕なんてものはないのに、頭の中がもう溶けておかしくなって、パッパッパッと記憶が甦った。

「もう精液出なくなっちゃったね」

「ふぁ、ぁっ……」

 何回イってるんだか何だかよくわからなくて、身体の力は入らないのに掴まれているから尻だけ突き出していた。
 抜かずに腹の奥へ注がれているから、重たいような膨れているような変な感覚がする。
 器用に挿れたままくるんっと転がされ、正面から向かい合う。向かい合う?っていうのかわからないけど、正常位でお互いの顔がよく見えた。

 ふふって青山が笑うからいつまでも元気だなって感心していると、ご子息はまだ硬度を保っていて、敏感になっている俺の内壁を突いてきた。
 ゆさゆさ擦り、どろどろのやわやわになっているところを何度も往復する。もう何も出ないはずの陰経からチョロッと残滓が申し訳程度に垂れ出た。

 それから奥へ奥へ進み、突き当りまで届いた。突き当りです。そこは突き当りなんです。それ以上は進めません。という場所です。

「むりっ、も、そこは……ぁ、ああー、ダメ、そこ……ダメ」

「ダメじゃないでしょ。入ったことあるし」

 ………開けて。ほら。
 耳元で低くわざと色っぽく、俺の官能を刺激する声音でそそのかした。

「ぃ、あっ、……んあ、っ」

 ぶわっと勝手に身体が震え、俺の身体なのに、俺がダメって言ってのに、嘘だろー!?お、ま、え。俺を裏切るのかー!!
 という感じで、最奥でちゅっちゅっとせがむ青山の先端を許してしまった。

「……っ、ぁ………っ、」

 クポリッ。
 頭の中なのか瞼の裏なのか、弾けるような気がして後はよくわからなかった。


 事後。事後です。
 記憶は飛んでない。意識が飛んだ。気絶はしていないが、何だかさっぱりよくわからない。
 ふぁーっていう状態に放り込まれた感じ。俺の感じなので世間一般とは違うかもしれません。語彙力はないもんで。

 それで、俺の日本語は通じないのか案件の検証だ。
 短冊見たよな?短冊読んだよな?
 そこの確認を青山にしたところ。
 で。今ココ。

「ああ、読み間違えたかな?」

 読み間違えた?え、それでいいの?
 読み間違えたら好き勝手していいのか。いや、気持ちよかったですよ。イヤイヤ抱かれたわけじゃないけどさ、加減。加減を覚えよう。レッスンワン。

「だって、『たくさん食べてお腹いっぱいにして好きなものたくさんほしくていっぱい満たされて囲まれたい』…俺のことでいいよね?」

「ん?…うーん?まあ、」

 言われてみれば、そうなようなそうじゃないような。あれ、いいのか?合ってる?

「でもさ。あとひとつさー、『青山大好き』って、書こうか迷って…書かなかったんだよね」

 そう正直に話せば、しばし青山が瞬きを忘れて俺をジッと見ていた。
 青山が青山のこと好きになんなかなって考えて言ってみたんだけど。
 え、どうした、瞬きのやり方忘れてしまったのか?じゃあ強制的に閉じさせてやろうと、俺は青山に向かってフーッと息をかけてやった。

 そうしたらパチパチしばたいた。あはは。

「あのね。それ、願い事じゃない」

「あ、そうか。じゃあ書……っ」

 書かなくてよかった。と言おうと思ったのに。

 ぎゅむぎゅむ抱きしめられて、言えなかった。



しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完】研究好きの僕と生物学首席は幼馴染

おはぎ
BL
研究に没頭すると周りが見えなくなるヒルカは生活能力が皆無。そんなヒルカの生活の面倒を見る生物学首席のシャリオは幼馴染。ある日、シャリオがヒルカのことを友人に話しているのを聞いてしまい…。 マイペースでシャリオに甘え倒すヒルカと、そんなヒルカに呆れつつも面倒を見るシャリオのお話。

世界一大好きな番との幸せな日常(と思っているのは)

かんだ
BL
現代物、オメガバース。とある理由から専業主夫だったΩだけど、いつまでも番のαに頼り切りはダメだと働くことを決めたが……。 ド腹黒い攻めαと何も知らず幸せな檻の中にいるΩの話。

大人な貴方とはじめてを

すずかけあおい
BL
整った外見と穏やかな性格で、全社員が憧れているのではというほどに人気の崎森。 地味で平凡な松田にとっては遠い世界の人だったのに、突然崎森から告白されて――。 〔攻め〕崎森 志眞 〔受け〕松田 幸成 外部サイトでも同作品を投稿しています。

【BL】寸劇

のらねことすていぬ
BL
偶然知り合った大人の男、伊佐島にどうしようもなく惚れてしまったフリーターの受け。泣き落としで付き合ってもらうことになったけど、彼が自分のことを好きだとは到底思えない。悩むことに疲れて別れることを決意するが、彼は他に男ができたと勘違いして……? すれ違っている二人の別れ話→ハピエンです。

溺愛じゃおさまらない

すずかけあおい
BL
上司の陽介と付き合っている誠也。 どろどろに愛されているけれど―――。 〔攻め〕市川 陽介(いちかわ ようすけ)34歳 〔受け〕大野 誠也(おおの せいや)26歳

愛されて守られる司書は自覚がない【完】

おはぎ
BL
王宮図書館で働く司書のユンには可愛くて社交的な親友のレーテルがいる。ユンに近付く人はみんなレーテルを好きになるため、期待することも少なくなった中、騎士団部隊の隊長であるカイトと接する機会を経て惹かれてしまう。しかし、ユンには気を遣って優しい口調で話し掛けてくれるのに対して、レーテルには砕けた口調で軽口を叩き合う姿を見て……。 騎士団第1部隊隊長カイト×無自覚司書ユン

宵にまぎれて兎は回る

宇土為名
BL
高校3年の春、同級生の名取に告白した冬だったが名取にはあっさりと冗談だったことにされてしまう。それを否定することもなく卒業し手以来、冬は親友だった名取とは距離を置こうと一度も連絡を取らなかった。そして8年後、勤めている会社の取引先で転勤してきた名取と8年ぶりに再会を果たす。再会してすぐ名取は自身の結婚式に出席してくれと冬に頼んできた。はじめは断るつもりだった冬だが、名取の願いには弱く結局引き受けてしまう。そして式当日、幸せに溢れた雰囲気に疲れてしまった冬は式場の中庭で避難するように休憩した。いまだに思いを断ち切れていない自分の情けなさを反省していると、そこで別の式に出席している男と出会い…

薬屋の受難【完】

おはぎ
BL
薬屋を営むノルン。いつもいつも、責めるように言い募ってくる魔術師団長のルーベルトに泣かされてばかり。そんな中、騎士団長のグランに身体を受け止められたところを見られて…。 魔術師団長ルーベルト×薬屋ノルン

処理中です...