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4章
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しおりを挟む「アランをエルフォルク家の魔法道具職人として雇いませんか?」
グレンツェの言ったことが信じられない、というように首を振ったカイエルと険しい表情をしたヴァイザーに思わず冗談です、と言い出してしまいそうになる。
「本気で言っているのか?例え仲の良かった友人でもグレンツェに魔法をかけた張本人だ。アランは公にされてないから処刑されないだけで本当だったら処刑対象だ。」
(確かにそうかもしれない。けど、、小さい頃の私を救ってくれたのはアランよ。彼だけが無魔力の私を人として見てくれた。次は私がアランを助けるべきじゃないの?じゃないとアランは、、)
「アランは、、このままだと処刑されるのですか、?」
「どうだろうな、そうなる可能性も十分ある。ただ今は公にされていない。幻の魔法が使える者がいるとなれば混乱を招きかねないからな。ただ、、むやみに野放しにするわけにもいかない。一生監獄だろうな」
「そんな、、」
ガクンと肩を落としたグレンツェにヴァイザーもバツの悪そうな顔をする。そこを今回ばかりは耐えて、とカイエルが目線を送るのだ。もちろんグレンツェは気づいていないが。
「まぁ、考えておく」
そう言い残して席を立ち部屋から出ていったヴァイザーの背中を寂しそうに見つめるグレンツェがいた。
その後、グレンツェも部屋に戻るとふとベットの上にハンカチが置かれていることに気づく。手に取ればそれはグレンツェがいなくなる直前に縫っていた物だった。ヴァイザーのイニシャルが刺繍されたハンカチはなぜかとてもくしゃくしゃにシワだらけになっていた。
(どうして、、?しかもなんでベットの上に?)
その謎はすぐにレイによって明かされることになった。興奮気味に言うレイはグレンツェの手を握り言った。
「奥様!!奥様はやはり当主様に恋してるのですよね?!」
「こ、恋っ?!」
「はいっ!当主様は奥様が眠られている間そのハンカチを常に握りしめていました、奥様が目を覚ますようにとずっと願っていたのです。奥様の手を直接握りしめている時もありましたが、ずっと握っていては潰してしまいそうだ、とそのハンカチを、、」
「っ、そうだったのね、、」
「奥様も当主様のこと、、想っているからそのハンカチを用意していたのではないのですか、、?」
レイは私に常に対等だったといえる。奥様と呼ばれているがグレンツェは初めての友人のように思っていたのだ。だからこそレイもグレンツェに素直になるように諭しているのだ。
「で、でも!でも、、旦那様と私は『運命』であって、、旦那様は私のことっ、、!」
グレンツェも今回の事件でヴァイザーに対し特別な気持ちを抱いていると気づいた。そして、ヴァイザーがたとえ『運命』だからグレンツェに特別に接しているとしてもそれでいいと。
(けど、『運命』なんかじゃなくて私は、、本当の愛が欲しい、、。)
涙が溢れて止まらない。最近泣いてばかりだ。
そんなグレンツェを優しく包み込むようにレイは抱きしめた。
「奥様、、。」
「レイ、私は旦那様のこと、、好き、なの。『運命』なんかじゃない。私は『運命』なんて知らないもの」
「、、、」
レイは優しく背中を撫でることしかしない。グレンツェの次の言葉を待っているようだ。
「でも旦那様は私のこと『運命』だから好きなの。全部『運命』によって操られてるのよ、、。そんな旦那様のことを好きなってしまったのっ!!私が愛してると言っても返ってくるのは『運命』に操られた愛だわっ、、」
いつの間にかグレンツェとレイは抱きしめ合ったまま座り込んでいた。泣いて泣いてレイの肩を濡らす。それでもレイは何も言わない。
「『運命』なんてなかったら良かったのに、、」
思ってもないことが口から零れる。
もし本当にそうなったらヴァイザーはグレンツェに目もくれないだろう。それがわかっているから心からは願えないのだ。『運命』だって愛してくれるならいいじゃない、そんなこと思えたら楽なのに貪欲なグレンツェは本当の愛を求めているのだ。
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