【本編完結】『運命』の旦那様、本当の愛を教えてください!!

秋条かなん

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4章

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あのグレンツェの提案から1週間経ったが、ヴァイザーは執務室にて頭を悩ませている。

「ヴァイザー様、ダメですよ」

カイエルの意思は堅いようだ。

「だか、、グレンツェのあの顔を見たか??随分とショックを受けていた」
(それにあの日からやけにグレンツェはよそよそしい、、このままでは嫌われてしまう、)

「だからといって事件の実行役をエルフォルク家に置く必要がありますか?」

カイエルはヴァイザーの机の目の前に立ちはだかりバンっと前のめりになる。

「だか、利用されていた。しかもグレンツェを助けることが目的だった、、それにかなりの魔法の使い手だ。魔法道具職人としての腕は認めよう」

ヴァイザーは既にグレンツェの考えに傾きつつある。

「あの少年はなかなか賢いようですしそれくらいの言い訳など容易いでしょう、、」

「いや、それはグレンツェがラート公爵から直接利用していると聞いたと言っていた。それに幼少期のグレンツェの心の支えだったそうだ」

「だからなんですかっ、!」

カイエルは今回ばかりは賛同できません、というようにぷりぷりしている。

「あっ、ではこれはどうだ?2ヶ月後に武闘会があるだろう?その魔法道具部門でアランを出場させる。優勝したらエルフォルク家で雇おう」

「はいっ?幻の魔法を使ったらどうするんですか?!」

「もちろん幻の魔法の使用は禁止だ。破ればその場で処刑する。」

「そんな簡単に、、それではまた【魔王】なんて恐れられますよ、やっと建国祭で愛妻家と言われていたのに」

「別になんと呼ばれようと構わん。」

そうと決まれば、、とヴァイザーは立ち上がりグレンツェの元へ向かう。




「武闘会ですか?」

「あぁ、帝国中から予選を勝ち抜いたものが来るのだ。そこで優勝するのは相当難易度が高いがな。ゼルトザーム家は毎年シード権だったが、、今年は出場出来ないからちょうどどうするのか迷っていたところだ。」

「そこにアランは出場できるのですか?」

「あぁ、元々この武闘会の主催はエルフォルク家だ。国民に安心してもらうためにこの帝国の技術や武力をお披露目する会とも言える、アランは惜しくも予選落ちしたが今回の件で繰り上がり出場とでも言っておこう」

「あ、あの旦那様は出場しないのですか?」

「あぁ、一応主催者だからな。それに私が出ては結果が目に見えている」

「そ、それは確かにそうですねっ、」

自慢げに言ったヴァイザーにカイエルは深いため息をつく。

「では、あの少年が断ったらどうするのですか?」

「それを今から確かめに行こう」

アランがいるのはエルフォルク家の敷地内にある別邸の地下牢だ。
そこまでグレンツェとヴァイザーは手を繋いで歩く。

「久しぶりだな、こうして歩くのは」

「はい、」

(やはり最近グレンツェは私によそよそしい。いや、もう嫌われてしまったのか、、)
以前であれば久しぶりの外に目を輝かせていたはずだが俯くばかりのグレンツェにヴァイザーのマイナス思考は止まらない。

「グ、グレンツェ?緊張しているのか?」

「あ、はい、アランとしっかり話すのは久しぶりなので」

ヴァイザーはグレンツェは緊張しているからだ、と言い聞かせ別邸までの道を歩いていった。
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