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第15話 壊滅の未来へ⸺八咫烏として初任務
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能力覚醒から数日後⸺。
私はあれからも、時間がある時は訓練を続けてたり、八咫烏について本部にある本を読み、知識をつけた。
紫苑さんに頭領室へ、再び呼び出された。
重厚な扉を開けると、黒と朱を基調とした厳かな空間に紫苑さんと一鉄さんに凛子さんが集まっていた。
「……来たか、天音」
紫苑さんは私を一瞥すると、手元の端末に視線を落とした。
「──今回、お前には初任務を与える」
思わず息を呑む⸺。
初めての任務。緊張で胸が早鐘を打つ。
「内容は……未来への支援任務だ」
「未来……?」
私が思わず聞き返すと、紫苑さんは無表情のまま説明を続けた。
「派遣先は、二十年後のこの世界だ。
そこは天使や堕天使の侵攻によって壊滅寸前……現地の生存者を保護し、堕天使に侵された土地を浄化するのが目的だ」
二十年後──
想像しただけで、緊張からか、はたまた未知の恐怖でか私の背中に冷や汗が流れるのを感じた。
「今回のメンバーは、一鉄、凛子、そしてお前だ」
紫苑さんの視線が私を貫いた。
「現地は地形も結界構造も今とは異なる。
油断すれば命はない……覚悟しておけ」
「……はい」
声が震えるのを必死に抑え、私は深く頭を下げた。
紫苑さんは机の上に置かれた黒い腕輪を指し示す。
「これが時空転移装置だ」
漆黒の金属でできた腕輪。
中央には八咫烏の朱の紋が刻まれている。
「任務開始と同時に自動転移する。
現地到着後は、時空の歪みで通信が繋がらない可能性もある……各自自己判断で動け」
「了解」
一鉄さんと凛子さんが短く頷く。
私もそれに倣った。
「……生きて帰れ」
紫苑さんの声が、わずかに低く響いた……。
転移装置を装着し、私は深呼吸をした。
冷たい金属の感触が、さらに緊張を煽る。
(大丈夫……私は八咫烏の一員……戦える)
「転移開始まで五秒前」
頭領室に無機質な電子音が響く。
「四、三、二──」
一鉄さんが短く振り返り、私を見た。
「怖がる暇はねぇぞ……」
「はいっ……!」
「一、転移開始します」
視界が眩い光に包まれた。
次の瞬間、足元に硬いアスファルトの感触が広がった。
「……っ!」
光が消え、目の前に現れた光景に息を呑む。
ビル群は崩壊し、地面には無数の亀裂が走り、
黒い瘴気が街全体を覆っていた。
(ここが……二十年後の世界……)
重い空気……。
微かに漂う腐臭と血の匂い。
「気を抜くな、天音……来るぞ!」
一鉄さんが前に出て、周囲を警戒する。
「人間以外のやつは全部、敵だと思え!」
「はい……!」
私は刀の柄を握り締めた。
恐怖よりも先に、胸の奥に熱が灯る。
(絶対に……守る)
初めての任務。
だけど、それは未来を変えるための第一歩でもあった。
空を覆う黒雲の奥で、禍々しい羽が蠢く。
(絶対に守る!……私が、変える……未来も過去も⸺全部!)
私はあれからも、時間がある時は訓練を続けてたり、八咫烏について本部にある本を読み、知識をつけた。
紫苑さんに頭領室へ、再び呼び出された。
重厚な扉を開けると、黒と朱を基調とした厳かな空間に紫苑さんと一鉄さんに凛子さんが集まっていた。
「……来たか、天音」
紫苑さんは私を一瞥すると、手元の端末に視線を落とした。
「──今回、お前には初任務を与える」
思わず息を呑む⸺。
初めての任務。緊張で胸が早鐘を打つ。
「内容は……未来への支援任務だ」
「未来……?」
私が思わず聞き返すと、紫苑さんは無表情のまま説明を続けた。
「派遣先は、二十年後のこの世界だ。
そこは天使や堕天使の侵攻によって壊滅寸前……現地の生存者を保護し、堕天使に侵された土地を浄化するのが目的だ」
二十年後──
想像しただけで、緊張からか、はたまた未知の恐怖でか私の背中に冷や汗が流れるのを感じた。
「今回のメンバーは、一鉄、凛子、そしてお前だ」
紫苑さんの視線が私を貫いた。
「現地は地形も結界構造も今とは異なる。
油断すれば命はない……覚悟しておけ」
「……はい」
声が震えるのを必死に抑え、私は深く頭を下げた。
紫苑さんは机の上に置かれた黒い腕輪を指し示す。
「これが時空転移装置だ」
漆黒の金属でできた腕輪。
中央には八咫烏の朱の紋が刻まれている。
「任務開始と同時に自動転移する。
現地到着後は、時空の歪みで通信が繋がらない可能性もある……各自自己判断で動け」
「了解」
一鉄さんと凛子さんが短く頷く。
私もそれに倣った。
「……生きて帰れ」
紫苑さんの声が、わずかに低く響いた……。
転移装置を装着し、私は深呼吸をした。
冷たい金属の感触が、さらに緊張を煽る。
(大丈夫……私は八咫烏の一員……戦える)
「転移開始まで五秒前」
頭領室に無機質な電子音が響く。
「四、三、二──」
一鉄さんが短く振り返り、私を見た。
「怖がる暇はねぇぞ……」
「はいっ……!」
「一、転移開始します」
視界が眩い光に包まれた。
次の瞬間、足元に硬いアスファルトの感触が広がった。
「……っ!」
光が消え、目の前に現れた光景に息を呑む。
ビル群は崩壊し、地面には無数の亀裂が走り、
黒い瘴気が街全体を覆っていた。
(ここが……二十年後の世界……)
重い空気……。
微かに漂う腐臭と血の匂い。
「気を抜くな、天音……来るぞ!」
一鉄さんが前に出て、周囲を警戒する。
「人間以外のやつは全部、敵だと思え!」
「はい……!」
私は刀の柄を握り締めた。
恐怖よりも先に、胸の奥に熱が灯る。
(絶対に……守る)
初めての任務。
だけど、それは未来を変えるための第一歩でもあった。
空を覆う黒雲の奥で、禍々しい羽が蠢く。
(絶対に守る!……私が、変える……未来も過去も⸺全部!)
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