16 / 108
第15話 壊滅の未来へ⸺八咫烏として初任務
しおりを挟む
能力覚醒から数日後⸺。
私はあれからも、時間がある時は訓練を続けてたり、八咫烏について本部にある本を読み、知識をつけた。
紫苑さんに頭領室へ、再び呼び出された。
重厚な扉を開けると、黒と朱を基調とした厳かな空間に紫苑さんと一鉄さんに凛子さんが集まっていた。
「……来たか、天音」
紫苑さんは私を一瞥すると、手元の端末に視線を落とした。
「──今回、お前には初任務を与える」
思わず息を呑む⸺。
初めての任務。緊張で胸が早鐘を打つ。
「内容は……未来への支援任務だ」
「未来……?」
私が思わず聞き返すと、紫苑さんは無表情のまま説明を続けた。
「派遣先は、二十年後のこの世界だ。
そこは天使や堕天使の侵攻によって壊滅寸前……現地の生存者を保護し、堕天使に侵された土地を浄化するのが目的だ」
二十年後──
想像しただけで、緊張からか、はたまた未知の恐怖でか私の背中に冷や汗が流れるのを感じた。
「今回のメンバーは、一鉄、凛子、そしてお前だ」
紫苑さんの視線が私を貫いた。
「現地は地形も結界構造も今とは異なる。
油断すれば命はない……覚悟しておけ」
「……はい」
声が震えるのを必死に抑え、私は深く頭を下げた。
紫苑さんは机の上に置かれた黒い腕輪を指し示す。
「これが時空転移装置だ」
漆黒の金属でできた腕輪。
中央には八咫烏の朱の紋が刻まれている。
「任務開始と同時に自動転移する。
現地到着後は、時空の歪みで通信が繋がらない可能性もある……各自自己判断で動け」
「了解」
一鉄さんと凛子さんが短く頷く。
私もそれに倣った。
「……生きて帰れ」
紫苑さんの声が、わずかに低く響いた……。
転移装置を装着し、私は深呼吸をした。
冷たい金属の感触が、さらに緊張を煽る。
(大丈夫……私は八咫烏の一員……戦える)
「転移開始まで五秒前」
頭領室に無機質な電子音が響く。
「四、三、二──」
一鉄さんが短く振り返り、私を見た。
「怖がる暇はねぇぞ……」
「はいっ……!」
「一、転移開始します」
視界が眩い光に包まれた。
次の瞬間、足元に硬いアスファルトの感触が広がった。
「……っ!」
光が消え、目の前に現れた光景に息を呑む。
ビル群は崩壊し、地面には無数の亀裂が走り、
黒い瘴気が街全体を覆っていた。
(ここが……二十年後の世界……)
重い空気……。
微かに漂う腐臭と血の匂い。
「気を抜くな、天音……来るぞ!」
一鉄さんが前に出て、周囲を警戒する。
「人間以外のやつは全部、敵だと思え!」
「はい……!」
私は刀の柄を握り締めた。
恐怖よりも先に、胸の奥に熱が灯る。
(絶対に……守る)
初めての任務。
だけど、それは未来を変えるための第一歩でもあった。
空を覆う黒雲の奥で、禍々しい羽が蠢く。
(絶対に守る!……私が、変える……未来も過去も⸺全部!)
私はあれからも、時間がある時は訓練を続けてたり、八咫烏について本部にある本を読み、知識をつけた。
紫苑さんに頭領室へ、再び呼び出された。
重厚な扉を開けると、黒と朱を基調とした厳かな空間に紫苑さんと一鉄さんに凛子さんが集まっていた。
「……来たか、天音」
紫苑さんは私を一瞥すると、手元の端末に視線を落とした。
「──今回、お前には初任務を与える」
思わず息を呑む⸺。
初めての任務。緊張で胸が早鐘を打つ。
「内容は……未来への支援任務だ」
「未来……?」
私が思わず聞き返すと、紫苑さんは無表情のまま説明を続けた。
「派遣先は、二十年後のこの世界だ。
そこは天使や堕天使の侵攻によって壊滅寸前……現地の生存者を保護し、堕天使に侵された土地を浄化するのが目的だ」
二十年後──
想像しただけで、緊張からか、はたまた未知の恐怖でか私の背中に冷や汗が流れるのを感じた。
「今回のメンバーは、一鉄、凛子、そしてお前だ」
紫苑さんの視線が私を貫いた。
「現地は地形も結界構造も今とは異なる。
油断すれば命はない……覚悟しておけ」
「……はい」
声が震えるのを必死に抑え、私は深く頭を下げた。
紫苑さんは机の上に置かれた黒い腕輪を指し示す。
「これが時空転移装置だ」
漆黒の金属でできた腕輪。
中央には八咫烏の朱の紋が刻まれている。
「任務開始と同時に自動転移する。
現地到着後は、時空の歪みで通信が繋がらない可能性もある……各自自己判断で動け」
「了解」
一鉄さんと凛子さんが短く頷く。
私もそれに倣った。
「……生きて帰れ」
紫苑さんの声が、わずかに低く響いた……。
転移装置を装着し、私は深呼吸をした。
冷たい金属の感触が、さらに緊張を煽る。
(大丈夫……私は八咫烏の一員……戦える)
「転移開始まで五秒前」
頭領室に無機質な電子音が響く。
「四、三、二──」
一鉄さんが短く振り返り、私を見た。
「怖がる暇はねぇぞ……」
「はいっ……!」
「一、転移開始します」
視界が眩い光に包まれた。
次の瞬間、足元に硬いアスファルトの感触が広がった。
「……っ!」
光が消え、目の前に現れた光景に息を呑む。
ビル群は崩壊し、地面には無数の亀裂が走り、
黒い瘴気が街全体を覆っていた。
(ここが……二十年後の世界……)
重い空気……。
微かに漂う腐臭と血の匂い。
「気を抜くな、天音……来るぞ!」
一鉄さんが前に出て、周囲を警戒する。
「人間以外のやつは全部、敵だと思え!」
「はい……!」
私は刀の柄を握り締めた。
恐怖よりも先に、胸の奥に熱が灯る。
(絶対に……守る)
初めての任務。
だけど、それは未来を変えるための第一歩でもあった。
空を覆う黒雲の奥で、禍々しい羽が蠢く。
(絶対に守る!……私が、変える……未来も過去も⸺全部!)
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます
難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』"
ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。
社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー……
……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!?
ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。
「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」
「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族!
「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」
かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、
竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。
「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」
人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、
やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。
——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、
「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。
世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、
最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕!
※小説家になろう様にも掲載しています。
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話
登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる