悠久~version1:解放戦争

由奈(YUNA)

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絡まる糸

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1ヶ月してあたしたちは拠点に戻る事にした。

ティアからは“最低1ヶ月”と言われたけどあたしは早く戻りたかったから1ヶ月で出発を選んだ。
ハスとレンゲも一緒に来てくれて廃油を捨てるのという口実で船に乗った。

もう季節は冬。
寒いと背中の焼いた部分が痛む。
それはたぶん寒さのせい。



大嫌いな船に揺られて若干気持ち悪いから外の空気を吸いに船室を出たら、かなり寒くて粉雪が舞っていた。


「お嬢様、また船酔いですか?」


「うん……気分悪くなったから新鮮な空気を吸いにきたら………雪だね」



三日月帝国の冬は寒い。

南のサニー地方ですら雪は降る。



「いっ……つ!!」


あたしが手を伸ばして雪を手で触ろうとした瞬間、背中に痛みが走った。


「どうしました!?」



「背中……寒い日は治りかけだからかな?いきなり痛い時があって……」



そう言ったらアベルが自分のマントをかけてくれた。



「あまり冷やさないでくださいね……もうすぐ着きますから船内に戻りますか?」



そっと肩を押されてあたしは船内に戻った。



「借りてていいの?」



「いいですよ」




あたしとアベルは身長差があるからアベルのマントがまるで毛布みたいに長い。


暖かさを感じながら窓から外を見たら小さくドライ城が見えた。




約3ヶ月ぶりに戻ってきたんだ……。

毒に冒された時には死を覚悟したけど、また戻れることが嬉しかった。

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