116 / 297
解放団初陣
3
しおりを挟む
その日の夜、あたしはアベルの部屋を訪ねた。
「明日が不安ですか?」
あたしの心中を察してか先に話し掛けてくれた。
「……うん。だって…誰か必ず死んじゃう。それは悲しいし、勝てるかも不安だし、兵があたしについてきてくれるかも不安」
俯きながら答えた。
今思う、素直な気持ち。
「戦は誰が死んでもおかしくありません…私もあなたも」
「……うん」
「今はセシルの名前よりカナリー様やクリックさん、レイさんの名前で集まった人のが多いかもしれません。でも、明日の戦いに勝てばみんなあなたをリーダーと認めてくれるはずです」
見上げたらアベルは優しく微笑んでいた。
「セシルのことは私が守りますから」
アベルは言って欲しい言葉を必ずくれるから明日の不安が少し減った。
「……いや、あなたは自分の部隊を守ってください」
だから、あたしも的確なアドバイスができた。
「そうですけど!私は昔からあなたをお守りするのが仕事なんです!」
「じゃ、今から仕事変えて」
冗談半分で言ったけどアベルは頑なに拒んだ。
それが嬉しかったけど、そんなこと本人には絶対に言えなかった。
他愛もない話をして夜が更けてあたしは自室に戻ることにした。
「おやすみなさい」
そう言ってドアを閉めたらルイがいた。
「ルイ!?どうしたの!?」
「いや……セシルの部屋に行ったらいないからアベルさんの部屋かと思ってノックしようとしたら開いてセシルが出てきた」
「うん、それはわかったけど!なんでこんな夜中に!?」
「俺……将にしてくんないかな…って思って」
ルイの申し出は予想はしていた。
あたしは今日、ルイにキリュイの隊につくように言ったから……。
「キリュイの隊にいて、それなりの働きをしたら将としたい。まだ若いし、戦を知らないでしょ?あたしだって戦を知らないけどあたしはリーダーだから……わかってほしい」
ルイの気持ちもわかっていたがあたしはそう言うしかなかった。
あたしも早いと思ったし、アニエスもルイにはまだ将は早いと言っていたから。
「……わかった。わがまま言ってごめんな」
ルイはちょっと寂しそうに言っていなくなった。
ごめんね――――
言えなかった言葉を胸にしまってあたしは自室に戻った。
明日から移動。移動からあたしにしたら戦いだ――――。
「明日が不安ですか?」
あたしの心中を察してか先に話し掛けてくれた。
「……うん。だって…誰か必ず死んじゃう。それは悲しいし、勝てるかも不安だし、兵があたしについてきてくれるかも不安」
俯きながら答えた。
今思う、素直な気持ち。
「戦は誰が死んでもおかしくありません…私もあなたも」
「……うん」
「今はセシルの名前よりカナリー様やクリックさん、レイさんの名前で集まった人のが多いかもしれません。でも、明日の戦いに勝てばみんなあなたをリーダーと認めてくれるはずです」
見上げたらアベルは優しく微笑んでいた。
「セシルのことは私が守りますから」
アベルは言って欲しい言葉を必ずくれるから明日の不安が少し減った。
「……いや、あなたは自分の部隊を守ってください」
だから、あたしも的確なアドバイスができた。
「そうですけど!私は昔からあなたをお守りするのが仕事なんです!」
「じゃ、今から仕事変えて」
冗談半分で言ったけどアベルは頑なに拒んだ。
それが嬉しかったけど、そんなこと本人には絶対に言えなかった。
他愛もない話をして夜が更けてあたしは自室に戻ることにした。
「おやすみなさい」
そう言ってドアを閉めたらルイがいた。
「ルイ!?どうしたの!?」
「いや……セシルの部屋に行ったらいないからアベルさんの部屋かと思ってノックしようとしたら開いてセシルが出てきた」
「うん、それはわかったけど!なんでこんな夜中に!?」
「俺……将にしてくんないかな…って思って」
ルイの申し出は予想はしていた。
あたしは今日、ルイにキリュイの隊につくように言ったから……。
「キリュイの隊にいて、それなりの働きをしたら将としたい。まだ若いし、戦を知らないでしょ?あたしだって戦を知らないけどあたしはリーダーだから……わかってほしい」
ルイの気持ちもわかっていたがあたしはそう言うしかなかった。
あたしも早いと思ったし、アニエスもルイにはまだ将は早いと言っていたから。
「……わかった。わがまま言ってごめんな」
ルイはちょっと寂しそうに言っていなくなった。
ごめんね――――
言えなかった言葉を胸にしまってあたしは自室に戻った。
明日から移動。移動からあたしにしたら戦いだ――――。
0
あなたにおすすめの小説
退屈令嬢のフィクサーな日々
ユウキ
恋愛
完璧と評される公爵令嬢のエレノアは、順風満帆な学園生活を送っていたのだが、自身の婚約者がどこぞの女生徒に夢中で有るなどと、宜しくない噂話を耳にする。
直接関わりがなければと放置していたのだが、ある日件の女生徒と遭遇することになる。
半竜皇女〜父は竜人族の皇帝でした!?〜
侑子
恋愛
小さな村のはずれにあるボロ小屋で、母と二人、貧しく暮らすキアラ。
父がいなくても以前はそこそこ幸せに暮らしていたのだが、横暴な領主から愛人になれと迫られた美しい母がそれを拒否したため、仕事をクビになり、家も追い出されてしまったのだ。
まだ九歳だけれど、人一倍力持ちで頑丈なキアラは、体の弱い母を支えるために森で狩りや採集に励む中、不思議で可愛い魔獣に出会う。
クロと名付けてともに暮らしを良くするために奮闘するが、まるで言葉がわかるかのような行動を見せるクロには、なんだか秘密があるようだ。
その上キアラ自身にも、なにやら出生に秘密があったようで……?
※二章からは、十四歳になった皇女キアラのお話です。
裏長屋の若殿、限られた自由を満喫する
克全
歴史・時代
貧乏人が肩を寄せ合って暮らす聖天長屋に徳田新之丞と名乗る人品卑しからぬ若侍がいた。月のうち数日しか長屋にいないのだが、いる時には自ら竈で米を炊き七輪で魚を焼く小まめな男だった。
不器量令嬢は、婚約破棄の断罪が面倒くさい
あんど もあ
ファンタジー
不器量なマルグリットは、婚約者の美しい第一王子からずっと容姿を貶められる日々。とうとう王立学園の卒業パーティーで王子に婚約破棄を宣言され、「王子から解放される! それいいかも!」となったが、続く断罪が面倒くさくて他の人に丸投げする事にする。
後宮薬師は名を持たない
由香
キャラ文芸
後宮で怪異を診る薬師・玉玲は、母が禁薬により処刑された過去を持つ。
帝と皇子に迫る“鬼”の気配、母の遺した禁薬、鬼神の青年・玄曜との出会い。
救いと犠牲の狭間で、玉玲は母が選ばなかった選択を重ねていく。
後宮が燃え、名を失ってもなお――
彼女は薬師として、人として、生きる道を選ぶ。
拾った年上侯爵が甘え上手すぎて、よしよししてたら婚約することになりました
星乃和花
恋愛
⭐︎火木土21:00更新ー本編8話・後日談8話⭐︎
王都の市場で花屋をしているリナは、ある朝――
路地裏で倒れている“美形の年上男性”を拾ってしまう。
熱で弱っているだけ……のはずが、彼はなぜか距離が近い。
「行かないで」「撫でて」「君がいると回復する」
甘えが上手すぎるうえに、褒め方までずるい。
よしよし看病してあげていたら、いつの間にか毎日市場に現れるようになり、
気づけば花屋は貴族の面会所(?)になっていて――
しかも彼の正体は、王都を支える侯爵家の当主だった!?
「君は国のために必要だ(※僕が倒れるから)」
年上当主の“甘え策略”に、花屋の心臓は今日ももたない。
ほのぼの王都日常コメディ×甘やかし捕獲ラブ、開幕です。
【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】
佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。
新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。
「せめて回復魔法とかが良かった……」
戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。
「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」
家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。
「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」
そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。
絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。
これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。
[完結] 邪魔をするなら潰すわよ?
シマ
ファンタジー
私はギルドが運営する治療院で働く治療師の一人、名前はルーシー。
クエストで大怪我したハンター達の治療に毎日、忙しい。そんなある日、騎士の格好をした一人の男が運び込まれた。
貴族のお偉いさんを魔物から護った騎士団の団長さんらしいけど、その場に置いていかれたの?でも、この傷は魔物にヤられたモノじゃないわよ?
魔法のある世界で亡くなった両親の代わりに兄妹を育てるルーシー。彼女は兄妹と静かに暮らしたいけど何やら回りが放ってくれない。
ルーシーが気になる団長さんに振り回されたり振り回したり。
私の生活を邪魔をするなら潰すわよ?
1月5日 誤字脱字修正 54話
★━戦闘シーンや猟奇的発言あり
流血シーンあり。
魔法・魔物あり。
ざぁま薄め。
恋愛要素あり。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる