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CASE4 レジスタンス

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リビングに着いたらドアは開けっぱなし。


「ギル!おかえりなさい!」


先に入ったアゲハが挨拶をした人がギルバートさん。

エドガーさんとレオンの間くらいの歳っぽい見た目なんだけど……一人だけオーラが違う。

見るからに偉そうな感じだし、背も体格もレオンより大きくてガッシリしてる。


「思ったよ元気そうで安心した」

「みんなのおかげでね」

「ただ…勝手な行動もしたと聞いた」

「それは…ごめんね」


交わされる言葉を聞いてるだけでめっちゃ怒られてる気分になるし見た目もゼロさんと違う怖さがある。

こういう人じゃないと組織を仕切れないのかな?

怖いもん。オーラが。


席に座るときに見慣れない白髪のおじいちゃんがいたから、あの人がランさんなんだろうけど。

めっちゃアゲハを睨んでるんだよね……。


「あれ?ミオも来たの?」

「おっす!アゲハさん!ちょっと解放されたから来ちゃったよ!でっ?俺が知らない女子がめっちゃ増えてるけど紹介してよ!あのオレンジの髪のお姉さん、めっちゃタイプ」


……チャラ男がいるって言ってたね。

確実にこの人だな。

見た目もチャラそうだし。


ミレイが嫌そうな顔でミオさんを見てそれから鼻で笑った。


「私の全てはアゲハのモノよ。身も心も全てね。分かったら気安く話し掛けないで」


顔をフイって背けたけど……けどっ!


「え?アゲくんとミーちゃんそういう関係!?」


私が思った言葉は、スーが大声で言ってた。

そういえば、まだ左の薬指に指輪つけてるし……。

やっぱり、そういう事……なの?


「待って。みんなの顔がなんか嫌!俺が誰かとどーこーなるワケないじゃん?」

「ミレイは?アゲハにとってどんな存在?」


エドガーさんはなんか楽しそうに聞いてるけど……。

「命の恩人で仲間だよ。それ以外は何もないって」

「うん。今はそれでいいの。私はアゲハを振り向かせる自信があるし、私の全てをアゲハに捧げるって気持ちは揺るがないもの」


ミレイは自信満々にそう言うけどアゲハはしれっとシカトしてた。

そして、そんなミレイを面白い物を見るような目でミオさんが見ていた。






**********





「先にエドガーから話を聞いたが、彼らを反対する理由の真意は?」


それから、話は私と涼くんをレジスタンスに参加させるかどうかになったんだけど。


「真意?」

「レオンはアゲハが私情だけで反対したと思うのか?」


違うの?

レオンも私と同じように思ったみたいで、アゲハの方を向いた。


「アゲハの真意は何だ?」

「……俺たちと空たちはレジスタンスになる動機が決定的に違う事」


ギルバートさんの質問に、静かに一言、そう言った。

アゲハはギルバートさんの方を向いて話はじめた。


「俺たちは破壊者や救済者の被害者。だけど空たちは違う。何もされていないから、破壊者も救済者を知らない。知らないから、、、危険すぎる」

「危険?」

「破壊者も救済者も、それぞれがそれぞれの正義のために戦っている。それぞれを知って、レジスタンスが間違っていると思う可能性は0じゃない。レジスタンスに入った後に破壊者や救済者に寝返れば、、、俺たちにとって不利な事が多すぎる」


確かに、私はアゲハがいるからって理由でレジスタンスに入るって言ったけど、、、

アゲハを裏切るとか思ってるのかな?

私、信用されてないの?


「あー……まぁ可能性は0じゃないな。ただそれは俺自身にも言える話だ」

「は?レオンは俺を裏切るつもり?」


アゲハが不機嫌そうな声で隣にいるレオンを睨んだけどレオンは全く気にしてなかった。


「だって俺は救済者を知らねーもん。救済者には綺麗なお姉さんがいて、生きる事は保証されてるならいいかな?って思うかも知れねーじゃん」

そう言ってから「もっとも」って言って、アゲハを見てニヤリと笑ったレオン。


「俺は相棒を苦しめたヤツラなんて微塵も興味ないけどね」

「………結局、レオンって俺が好きだよね」


呆れたような声でそう言って。


それから、結局アゲハが折れた。


「寝返ったなら寝返ったで対策は打てる」そう言ったギルバートさんの言葉が決定打だったと思う。


これで、私たちのレジスタンスへの参加が確定した。




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