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エピローグ
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ミンミン蝉の鳴く国道を高速道路の入口へと向けてミニバンを走らせる。
「お前、明日も休みか?」
「そうですけど?」
「そいつでホクホクのポテトコロッケ作ってやるから今日は泊まっていってもいいぞ」
「いいんですか?やったー!」
「お前は相変わらず警戒心がないな。俺も一応、男だぞ」
「言いますけど紙山さんは私の事そう言う目で見てないでしょ」
ぷいと前を向いた筆野の頬が赤くなっている。
「どうかな?」
目を丸くして俺を凝視してくる筆野におかしさと込み上げる愛しさを堪えるのが大変だ。先程とは信じられないくらい気持ちがあかるくなる。彼女といればもう曇らない。そんな気がした。
八月の青い空に入道雲が湧き上がる。陽射しはきらきらと眩しく車体を照らし文具店の名を浮き立たせている。事件は終わった。命は還らない。それでも日々は続いていく。その時、窓の外に咲く広大な向日葵畑を見つけて筆野が歓声をあげた。また一つ気持ちが上向く。
「ねえ、紙山さん」
「なんだ?」
「また何か事件が起きたら手伝わせて下さいよ」
「それはお前が決めること―いや……危険なことに首を突っ込ませるわけにはいかない」
「紙山さんも私のこと心配してくれるんですか?」
「当たり前だ」
真面目くさった顔で答えた俺に彼女は嬉しそうにふふっと笑った。
「お前、明日も休みか?」
「そうですけど?」
「そいつでホクホクのポテトコロッケ作ってやるから今日は泊まっていってもいいぞ」
「いいんですか?やったー!」
「お前は相変わらず警戒心がないな。俺も一応、男だぞ」
「言いますけど紙山さんは私の事そう言う目で見てないでしょ」
ぷいと前を向いた筆野の頬が赤くなっている。
「どうかな?」
目を丸くして俺を凝視してくる筆野におかしさと込み上げる愛しさを堪えるのが大変だ。先程とは信じられないくらい気持ちがあかるくなる。彼女といればもう曇らない。そんな気がした。
八月の青い空に入道雲が湧き上がる。陽射しはきらきらと眩しく車体を照らし文具店の名を浮き立たせている。事件は終わった。命は還らない。それでも日々は続いていく。その時、窓の外に咲く広大な向日葵畑を見つけて筆野が歓声をあげた。また一つ気持ちが上向く。
「ねえ、紙山さん」
「なんだ?」
「また何か事件が起きたら手伝わせて下さいよ」
「それはお前が決めること―いや……危険なことに首を突っ込ませるわけにはいかない」
「紙山さんも私のこと心配してくれるんですか?」
「当たり前だ」
真面目くさった顔で答えた俺に彼女は嬉しそうにふふっと笑った。
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重めの事件が起きるので、ドキドキしながら読ませていただきました。ハラハラしつつ、でも主人公と紙山さんコンビのやりとりにほっとしたりきゅんとしたり。エピローグのふたり、仲がよくて素敵です!
お立ち寄り下さり、素敵な感想までありがとうございます。エピローグにはこだわって書きましたので、そう言っていただけてとっても嬉しいです!
ありがとうございます!