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第一章
悪い知らせ(ブラン視点)
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ルミエールと婚約をしたブランは、婚約を発表した後。ルミエールと、ずっと会う機会がなかった。
ルミエールと会えない間ブランは、属国との謁見や眠っている間に溜まった仕事を終わらすのに必死だった。
これも、早くルミエールと婚姻を結ぶ為だと思ったら頑張れたのだ。
「ブラン様。婚約の事は、ご両親には報告しなくても宜しいのですか?」
「あぁ、そうだったな。まぁ、あのお二人だったら報告する前に知ってそうだが……」
ブランの父親であるルダン・ネイジュと母親であるリーリエ。
ルダンは、ブランの前に皇帝をしていた。ある時いきなり、王の座を息子であるブランに譲ると言って妻であるリーリエと一緒に、城から消えてしまったのだ。
(父上は母上と居る時間が少なくなるのが嫌で、私が王になれるように小さい頃から教えてくれていたのだろう……。仲が良いのはいいが、いきなり王の座を譲ると言われても困る!!)
ルダンとリーリエは、帝都から離れた田舎の方で暮らしているのだ。
「……リーリエ。息子、反抗期かな?」
「まぁ! 大変!!」
いきなり聞きなれた声が聞こえたので、勢いよく前を見る。先程まで誰も座っていなかった椅子に、ブランと顔立ちがよく似ており黒髪で長身の男とハニーブロンドの髪の毛で小柄な女が座っていた。
この二人が、ルダンとリーリエである。
「……父上、母上。いつ来られたんですか?」
「「えっ、今さっき(よ?)」」
ブランが頭を抱えながら聞くと、二人とも声を合わせて言ってきた。
「ブランちゃん酷いわ! リゼリアちゃんが生まれ変わっていたなら、教えてくれても良かったのに!!」
リーリエは、リゼリアの事が気に入っていた。
よく二人でお茶を飲んで、喋っていたのだ。
「申し訳ございません。また、リゼリア……いえ、ルミエールに会えるように手配いたしますのでお許し下さい」
「フフッ。大丈夫よ! もう会ったから!!」
「「はっ!?」」
リーリエの発言に、ブランもネスも驚いた。
いつ会ったのか。どうやって調べたのか。と、二人は困惑していた。
「今日は、その事で話があったの! そうよね? ルダン」
「あぁ、そうだね。リーリエ」
「話ですか?」
ルダンはブラン達を微笑みながら見ると、足を組む。
「ブラン。あの耳飾りで、守ったつもりかい? 君も分かっているはすだ。魔導具は、完璧ではない。防御魔法を付与していても、ずっと攻撃されたらどうする? ルミエールちゃんが、自分から魔導具を外さないと言いきれるか?」
(分かっていた。本当に魔導具が安全だとは言い難い。攻撃をずっとされていたら、耐えられないだろう。だから、早く婚姻をするか城で保護をしようとしていた。だが、この城に居る者達も安全だとは言い難いのだ……。)
「……君が、この城の者達が全員安全だとはないと思っているんだろう? だったら、見極めれば良い。害をなすものは、処分すれば良いんだ。君の周りに居る者達は、全員が敵ではないのだから」
ルダンがリーリエを守る為にやってきた様に、ブランも信用出来るか否かを見極めなければいけないのだ。
何があっても守ると、ルミエールと約束したのだから。
「……父上。貴方は分かっているのでしょう?」
(父上は、誰が信用出来る者なのか。そうでないのか、分かっている筈だ……。ルミエールと一緒に居る為ならば、手段なんて選んでいられないな。)
「そうだね~。」
「ルダン、分かっているなら教えてあげなさい? ブランは、きちんと排除するのですよ?」
リーリエはいつもはのんびりしているが、リゼリアが殺された事が許せなかったのだ。
リーリエはリゼリアが誰にでも優しく。民を大切にすると言う所が、皇帝の妻に相応しいと判断した。そんな優しいリゼリアを、リーリエは気に入っていた。
だから、少ししてリゼリアが亡くなったと聞いた時。リーリエは、毎日泣いていた。
そんな妻を見ていたルダンは、リーリエの頼みを断る事なんて出来なかった。
「ハァー。分かったよ、リーリエ」
「フフッ。ありがとう、ルダン」
ルダンがため息をつき、ブランに向き直った時だった。
バタンッ!!
勢いよく扉が開き、シルが慌てた表情で入っていた。
「皇帝陛下! 失礼致します!!」
「シル、どうした?」
「ボヌルより連絡があり、ルミエール様が何処にも居ないそうです。街を捜索しましたら、耳飾りだけが落ちていました……。」
(……ルミエールが居ない? 悪意がある者を近づけないように、魔法は付与している。だったら、攻撃に耐えられなかったのか? だとしたら、ルミエールは無事なのだろうか。今度こそ……今度こそ、守ると約束したのに……。 )
「ブラン、何時までも悔やんでいてもしょうがないだろう? 」
「……街から出られたら厄介だ。街を出る者にも検問を張れ!! 後、街をくまなく探すのだ!! けして逃がすな!! 」
「はっ!!」
「私はボヌルに行って、怪しい者が来ていなかったか聞いてまいります」
シルとネスは少し頭を下げると、直ぐ様部屋を出ていった。シルとネスが出ていったのを見送ると、ブランはルダンに向き直る。
「父上。申し訳ございませんが、私も行かせて頂きます」
「あぁ。私も出来る限り、探してみよう」
「そうね! ルダン行くわよ!! ルミエールちゃんを拐った奴を、懲らしめないと!!」
リーリエはそう言うと、ルダンの手を引き部屋を出ていってしまった。
ルダン達が出ていき。ブランはルミエールが何処にいるのか、この国に漂っている自分の魔力を通して探そうとしていた。だが、ルミエールの気配が何かに邪魔されており。気配が感じられない。
ブランは居てもたっても居られず、立ち上がり街に行く準備を始めたのだった。
(許さない。ルミエールを拐った事を許しはしない……。)
だが、そんな思いも虚しく。この日、ルミエールは街で見つからなかった……。
ルミエールと会えない間ブランは、属国との謁見や眠っている間に溜まった仕事を終わらすのに必死だった。
これも、早くルミエールと婚姻を結ぶ為だと思ったら頑張れたのだ。
「ブラン様。婚約の事は、ご両親には報告しなくても宜しいのですか?」
「あぁ、そうだったな。まぁ、あのお二人だったら報告する前に知ってそうだが……」
ブランの父親であるルダン・ネイジュと母親であるリーリエ。
ルダンは、ブランの前に皇帝をしていた。ある時いきなり、王の座を息子であるブランに譲ると言って妻であるリーリエと一緒に、城から消えてしまったのだ。
(父上は母上と居る時間が少なくなるのが嫌で、私が王になれるように小さい頃から教えてくれていたのだろう……。仲が良いのはいいが、いきなり王の座を譲ると言われても困る!!)
ルダンとリーリエは、帝都から離れた田舎の方で暮らしているのだ。
「……リーリエ。息子、反抗期かな?」
「まぁ! 大変!!」
いきなり聞きなれた声が聞こえたので、勢いよく前を見る。先程まで誰も座っていなかった椅子に、ブランと顔立ちがよく似ており黒髪で長身の男とハニーブロンドの髪の毛で小柄な女が座っていた。
この二人が、ルダンとリーリエである。
「……父上、母上。いつ来られたんですか?」
「「えっ、今さっき(よ?)」」
ブランが頭を抱えながら聞くと、二人とも声を合わせて言ってきた。
「ブランちゃん酷いわ! リゼリアちゃんが生まれ変わっていたなら、教えてくれても良かったのに!!」
リーリエは、リゼリアの事が気に入っていた。
よく二人でお茶を飲んで、喋っていたのだ。
「申し訳ございません。また、リゼリア……いえ、ルミエールに会えるように手配いたしますのでお許し下さい」
「フフッ。大丈夫よ! もう会ったから!!」
「「はっ!?」」
リーリエの発言に、ブランもネスも驚いた。
いつ会ったのか。どうやって調べたのか。と、二人は困惑していた。
「今日は、その事で話があったの! そうよね? ルダン」
「あぁ、そうだね。リーリエ」
「話ですか?」
ルダンはブラン達を微笑みながら見ると、足を組む。
「ブラン。あの耳飾りで、守ったつもりかい? 君も分かっているはすだ。魔導具は、完璧ではない。防御魔法を付与していても、ずっと攻撃されたらどうする? ルミエールちゃんが、自分から魔導具を外さないと言いきれるか?」
(分かっていた。本当に魔導具が安全だとは言い難い。攻撃をずっとされていたら、耐えられないだろう。だから、早く婚姻をするか城で保護をしようとしていた。だが、この城に居る者達も安全だとは言い難いのだ……。)
「……君が、この城の者達が全員安全だとはないと思っているんだろう? だったら、見極めれば良い。害をなすものは、処分すれば良いんだ。君の周りに居る者達は、全員が敵ではないのだから」
ルダンがリーリエを守る為にやってきた様に、ブランも信用出来るか否かを見極めなければいけないのだ。
何があっても守ると、ルミエールと約束したのだから。
「……父上。貴方は分かっているのでしょう?」
(父上は、誰が信用出来る者なのか。そうでないのか、分かっている筈だ……。ルミエールと一緒に居る為ならば、手段なんて選んでいられないな。)
「そうだね~。」
「ルダン、分かっているなら教えてあげなさい? ブランは、きちんと排除するのですよ?」
リーリエはいつもはのんびりしているが、リゼリアが殺された事が許せなかったのだ。
リーリエはリゼリアが誰にでも優しく。民を大切にすると言う所が、皇帝の妻に相応しいと判断した。そんな優しいリゼリアを、リーリエは気に入っていた。
だから、少ししてリゼリアが亡くなったと聞いた時。リーリエは、毎日泣いていた。
そんな妻を見ていたルダンは、リーリエの頼みを断る事なんて出来なかった。
「ハァー。分かったよ、リーリエ」
「フフッ。ありがとう、ルダン」
ルダンがため息をつき、ブランに向き直った時だった。
バタンッ!!
勢いよく扉が開き、シルが慌てた表情で入っていた。
「皇帝陛下! 失礼致します!!」
「シル、どうした?」
「ボヌルより連絡があり、ルミエール様が何処にも居ないそうです。街を捜索しましたら、耳飾りだけが落ちていました……。」
(……ルミエールが居ない? 悪意がある者を近づけないように、魔法は付与している。だったら、攻撃に耐えられなかったのか? だとしたら、ルミエールは無事なのだろうか。今度こそ……今度こそ、守ると約束したのに……。 )
「ブラン、何時までも悔やんでいてもしょうがないだろう? 」
「……街から出られたら厄介だ。街を出る者にも検問を張れ!! 後、街をくまなく探すのだ!! けして逃がすな!! 」
「はっ!!」
「私はボヌルに行って、怪しい者が来ていなかったか聞いてまいります」
シルとネスは少し頭を下げると、直ぐ様部屋を出ていった。シルとネスが出ていったのを見送ると、ブランはルダンに向き直る。
「父上。申し訳ございませんが、私も行かせて頂きます」
「あぁ。私も出来る限り、探してみよう」
「そうね! ルダン行くわよ!! ルミエールちゃんを拐った奴を、懲らしめないと!!」
リーリエはそう言うと、ルダンの手を引き部屋を出ていってしまった。
ルダン達が出ていき。ブランはルミエールが何処にいるのか、この国に漂っている自分の魔力を通して探そうとしていた。だが、ルミエールの気配が何かに邪魔されており。気配が感じられない。
ブランは居てもたっても居られず、立ち上がり街に行く準備を始めたのだった。
(許さない。ルミエールを拐った事を許しはしない……。)
だが、そんな思いも虚しく。この日、ルミエールは街で見つからなかった……。
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