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11~20話
助けて、助けられて【下】
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家に住まわせてもらって、食べ物を貰って、水を貰って、服まで貰って……。
何から何までクロに甘えっぱなしだ。
「あのー、何か私にできる仕事ってありませんか?」
「金がいるのか? 欲しいものがあるなら言ってくれれば――」
「いえ、そうじゃなくって! 貰ってばかりなので、私からも何かお返ししたいんです。この身体くらいしか差し出せるものがないんですけど――」
「ッゲホ、ゴホッゴホッ!」
「大丈夫ですか?」
風邪だろうか? ついさっきまでは元気そうだったのに。
「ああ、いや、ゲホッ……気にするな。プレゼントは俺が贈りたくて勝手にやっているだけだ。ヒナはただ、笑って受け取ってくれればいい。それで借りを感じたり、何かを返そうとする必要はない」
クロが勝手に贈ってきたものだから、貰うだけ貰って、はいおしまい……?
「そんなの、クロの厚意を利用してるだけじゃないですか」
「俺も楽しんでいるから問題ない」
「〰〰問題ありますっ! 人はみんな助け合って生きてるんです! お店で買う食材も、住んでいる家だって、誰かの助けがあって自分の元に届く。一人じゃ生きていけないからこそ、自分が助けてもらったら自分も誰かを助けるんです。私はクロにいーっぱい助けてもらいました! すごくすごく嬉しかった! だから私も、クロの助けになりたいんです!!!」
ひと息に言い切って、はっと我に返る。
たくさんの厚意を受け取っている分際で、偉そうなことを言ってしまった――!
でも、クロが……まるで『自分を好きに利用していい』とでも言っているみたいだったから……。
「俺の助けに?」
「う、はい……。この大きさじゃできることは限られちゃうと思うんですけど、一応体力はあるので、細かい雑用とか、その……」
「ヒナ」
足元に手のひらを差し出される。
きつく眉根を寄せるクロを気にしながらも、促されるまま手のひらに乗れば、ゆっくりと持ち上がった手のひらはクロの顔の高さで止まった。
「……ヒナはすごいな」
擦り寄せるように近づけられた額を、おずおずと撫でてみる。
「そんなことを言ってもらったのは初めてだ」
「そうなんですか?」
「ああ。利用できるものは利用して、利用価値を失ったものは淘汰される。そんな環境で育ってきた。――『助け合い』とはまるきり逆だな」
それでもクロは、他者を利用することばかり考えるような人ではないと思うけれど……。
何から何までクロに甘えっぱなしだ。
「あのー、何か私にできる仕事ってありませんか?」
「金がいるのか? 欲しいものがあるなら言ってくれれば――」
「いえ、そうじゃなくって! 貰ってばかりなので、私からも何かお返ししたいんです。この身体くらいしか差し出せるものがないんですけど――」
「ッゲホ、ゴホッゴホッ!」
「大丈夫ですか?」
風邪だろうか? ついさっきまでは元気そうだったのに。
「ああ、いや、ゲホッ……気にするな。プレゼントは俺が贈りたくて勝手にやっているだけだ。ヒナはただ、笑って受け取ってくれればいい。それで借りを感じたり、何かを返そうとする必要はない」
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「そんなの、クロの厚意を利用してるだけじゃないですか」
「俺も楽しんでいるから問題ない」
「〰〰問題ありますっ! 人はみんな助け合って生きてるんです! お店で買う食材も、住んでいる家だって、誰かの助けがあって自分の元に届く。一人じゃ生きていけないからこそ、自分が助けてもらったら自分も誰かを助けるんです。私はクロにいーっぱい助けてもらいました! すごくすごく嬉しかった! だから私も、クロの助けになりたいんです!!!」
ひと息に言い切って、はっと我に返る。
たくさんの厚意を受け取っている分際で、偉そうなことを言ってしまった――!
でも、クロが……まるで『自分を好きに利用していい』とでも言っているみたいだったから……。
「俺の助けに?」
「う、はい……。この大きさじゃできることは限られちゃうと思うんですけど、一応体力はあるので、細かい雑用とか、その……」
「ヒナ」
足元に手のひらを差し出される。
きつく眉根を寄せるクロを気にしながらも、促されるまま手のひらに乗れば、ゆっくりと持ち上がった手のひらはクロの顔の高さで止まった。
「……ヒナはすごいな」
擦り寄せるように近づけられた額を、おずおずと撫でてみる。
「そんなことを言ってもらったのは初めてだ」
「そうなんですか?」
「ああ。利用できるものは利用して、利用価値を失ったものは淘汰される。そんな環境で育ってきた。――『助け合い』とはまるきり逆だな」
それでもクロは、他者を利用することばかり考えるような人ではないと思うけれど……。
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