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11~20話
体を張ると言っても限度はある【上】
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それでもクロは、他者を利用することばかり考えるような人ではないと思うけれど。
寝ているあいださえも苦しみながら、魔力抑制をしているくらいだし……。
「! 私がずっとくっついて、クロの魔力を吸い取っておくっていうのはどうですか!?」
「……行動を共にするということか?」
クロが顔を起こしたので、しっかりと目を合わせてこの素晴らしい思いつきを伝える。
「はいっ! 私が魔力を吸収してるあいだは痛みから解放されるんですよね? どうせ日中は暇してるだけですし、いくらでも付き合えますよ! 吸収には直接肌に触れている必要があるので、どこか目立たない服の内側にでも潜んでいられたらいいんですけど……」
「服の……?」
二人して、クロの上衣へと視線を落とす。
うーん……、上衣の内側だと隙間が広すぎるし、どこにも掴まる場所がないからストンと落ちてしまいそうだ。
もっと肌に密着した、狭い空間があれば――。
二人分の視線が、ゆるゆると下りてクロの股間で止まった。
「……やっぱり無理です」
「いや、まだ何も――」
「覚悟が足りてませんでしたごめんなさい」
「待て、誤解がある」
「この話はなかったことに」
「話を聞いてくれ」
さすがに下着の中に潜んでおくのは無理だ。
申し訳ないけれど他をあたってほしい。
「あっ! 胸ポケットの中に入っておくのはどうでしょう? 内側の布を一部切り取って、そこから触っておくとか!」
「どこに触れておく気だ?」
「どこってそんなの……」
左胸の、中央少し体側寄り。
「…………乳首?」
「…………」
「…………」
重たい沈黙が二人を包んだ。
「ヒナ、無理に何かする必要はない。そうだな……気が向いたときにでも、今までのように仮眠の手助けをしてくれればありがたい」
「それはもちろん、しますけど……」
そんな短時間の手伝いでは、全然足りない気がするのだ。もっともっとクロの役に立ちたいのに。
クロが懐から巻き尺と紙片を取り出して言った。
「さて、ヒナの採寸をしてしまいたいんだが構わないだろうか?」
「あ、はいっ! お手数おかけします!」
クロは私をそっとローテーブルに降ろすと一度席を立ち、棚から紙と筆記具を持ってきてローテーブルの上に並べていく。
「服は着たままで平気ですか?」
モコモコパーカーの下にはブラトップのキャミを着ているので、脱げと言われれば脱げないこともない。
「ああ。結局のところ、素人の俺ではそこまで正確に測れないだろうからな。着たままでも大差ないだろう」
「はーい」
先の紙片には、どうやら計測する箇所が箇条書きにされているらしい。ちらりと覗いてみたところ、全く見知らぬ文字なのになぜか意味が理解できた。
思えば言葉も通じているし、異世界とはいえ言葉の壁がないのは非常にありがたいことだ。
寝ているあいださえも苦しみながら、魔力抑制をしているくらいだし……。
「! 私がずっとくっついて、クロの魔力を吸い取っておくっていうのはどうですか!?」
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「はいっ! 私が魔力を吸収してるあいだは痛みから解放されるんですよね? どうせ日中は暇してるだけですし、いくらでも付き合えますよ! 吸収には直接肌に触れている必要があるので、どこか目立たない服の内側にでも潜んでいられたらいいんですけど……」
「服の……?」
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さすがに下着の中に潜んでおくのは無理だ。
申し訳ないけれど他をあたってほしい。
「あっ! 胸ポケットの中に入っておくのはどうでしょう? 内側の布を一部切り取って、そこから触っておくとか!」
「どこに触れておく気だ?」
「どこってそんなの……」
左胸の、中央少し体側寄り。
「…………乳首?」
「…………」
「…………」
重たい沈黙が二人を包んだ。
「ヒナ、無理に何かする必要はない。そうだな……気が向いたときにでも、今までのように仮眠の手助けをしてくれればありがたい」
「それはもちろん、しますけど……」
そんな短時間の手伝いでは、全然足りない気がするのだ。もっともっとクロの役に立ちたいのに。
クロが懐から巻き尺と紙片を取り出して言った。
「さて、ヒナの採寸をしてしまいたいんだが構わないだろうか?」
「あ、はいっ! お手数おかけします!」
クロは私をそっとローテーブルに降ろすと一度席を立ち、棚から紙と筆記具を持ってきてローテーブルの上に並べていく。
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「はーい」
先の紙片には、どうやら計測する箇所が箇条書きにされているらしい。ちらりと覗いてみたところ、全く見知らぬ文字なのになぜか意味が理解できた。
思えば言葉も通じているし、異世界とはいえ言葉の壁がないのは非常にありがたいことだ。
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