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11~20話
体を張ると言っても限度はある【下】
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クロの指示に従って、ピンと背筋を伸ばしたり、腕を広げたり、バンザイしたり。
「ひゃっ、ちょっと変なとこ触んないでください!」
「? すまない。ヒナは小さいからよくわからず――痛っ!」
許しがたい発言に、目の前にあった指にガブリと噛みついた。
「ヒナ!? 俺の指なんか噛んでは汚い! ペッしなさい、ペッ」
「ぐぁるるるるる」
誰の胸が小さすぎてあるかないかわからないって!?
すったもんだありつつもどうにかすべての数字を書き留め、クロがペンを置く。
「――よし、これで大丈夫だろう。今からオーダーしたとして、数日から一週間のうちには完成するはずだ」
「はい、色々とありがとうございます!」
スリーサイズ含め全身のサイズをクロに知られてしまったけれど、こんなに小さくなった状態での数値なら気にすることもないだろう。
「あ、仮眠しますか? 昨日も私の相手をしてくれてたせいで全然仮眠できてないですよね」
「そうだな、昼食を終えたら少し眠るか。ヒナ、昼食を一緒にどうだ?」
「えっ、もうそんな時間ですか?」
朝食を食べ終わって一時間もしないうちにクロが来たし、採寸自体は三十分もかかっていないと思う。
今が正午頃だとすると、私が起きたのは精々十時半といったところか。かなり寝たな……。
「朝に一度来たんだが、まだ起きていないようだったから声をかけずにおいたんだ」
「うぅ……お気遣いありがとうございます……。お昼ご一緒したいです」
朝が遅かったのであまりお腹は空いていないけれど、別腹の発動に期待したい。
伏せられていた長い睫毛が、ふるりと震えてゆっくり持ち上がる。
「………………ヒナ」
「よく眠れましたか?」
おでこから手を離し、クロの目を見る。
心の中まで透かし見えそうなほどに澄んだアイスブルーの瞳が、くっきりと私を映した。
「ああ……仮眠だというのに、夜の睡眠時よりも休まった気がする。ヒナのおかげだな」
「えへへ、それはよか――――それ! それですよ! 夜の睡眠のお手伝いさせてください!!」
この二十分程度の仮眠が夜間睡眠よりも休まっただなんて、よっぽどまともに寝られていないに違いない。
むしろ、夜にちゃんと休めていないせいで日中に仮眠が必要になっているのではないだろうか。
「共寝するということか?」
「ちょっ、変な言い方しないでください! 別に一緒に寝なくても、私だけ日中のうちに寝ておいて夜のあいだは起きて側にいることだって――」
「そうなると一緒に食事をとれなくなってしまうな」
「――共寝するということですね!」
やっぱり睡眠は夜に限るね!
睡眠大事! 食事もとっても大事!
「なかなかに魅力的な提案だ。そこまで言うのなら、ヒナの助けを頼むとしようか」
大きな指先が、嬉しそうにくりくりと私の頭を撫でた。
「ひゃっ、ちょっと変なとこ触んないでください!」
「? すまない。ヒナは小さいからよくわからず――痛っ!」
許しがたい発言に、目の前にあった指にガブリと噛みついた。
「ヒナ!? 俺の指なんか噛んでは汚い! ペッしなさい、ペッ」
「ぐぁるるるるる」
誰の胸が小さすぎてあるかないかわからないって!?
すったもんだありつつもどうにかすべての数字を書き留め、クロがペンを置く。
「――よし、これで大丈夫だろう。今からオーダーしたとして、数日から一週間のうちには完成するはずだ」
「はい、色々とありがとうございます!」
スリーサイズ含め全身のサイズをクロに知られてしまったけれど、こんなに小さくなった状態での数値なら気にすることもないだろう。
「あ、仮眠しますか? 昨日も私の相手をしてくれてたせいで全然仮眠できてないですよね」
「そうだな、昼食を終えたら少し眠るか。ヒナ、昼食を一緒にどうだ?」
「えっ、もうそんな時間ですか?」
朝食を食べ終わって一時間もしないうちにクロが来たし、採寸自体は三十分もかかっていないと思う。
今が正午頃だとすると、私が起きたのは精々十時半といったところか。かなり寝たな……。
「朝に一度来たんだが、まだ起きていないようだったから声をかけずにおいたんだ」
「うぅ……お気遣いありがとうございます……。お昼ご一緒したいです」
朝が遅かったのであまりお腹は空いていないけれど、別腹の発動に期待したい。
伏せられていた長い睫毛が、ふるりと震えてゆっくり持ち上がる。
「………………ヒナ」
「よく眠れましたか?」
おでこから手を離し、クロの目を見る。
心の中まで透かし見えそうなほどに澄んだアイスブルーの瞳が、くっきりと私を映した。
「ああ……仮眠だというのに、夜の睡眠時よりも休まった気がする。ヒナのおかげだな」
「えへへ、それはよか――――それ! それですよ! 夜の睡眠のお手伝いさせてください!!」
この二十分程度の仮眠が夜間睡眠よりも休まっただなんて、よっぽどまともに寝られていないに違いない。
むしろ、夜にちゃんと休めていないせいで日中に仮眠が必要になっているのではないだろうか。
「共寝するということか?」
「ちょっ、変な言い方しないでください! 別に一緒に寝なくても、私だけ日中のうちに寝ておいて夜のあいだは起きて側にいることだって――」
「そうなると一緒に食事をとれなくなってしまうな」
「――共寝するということですね!」
やっぱり睡眠は夜に限るね!
睡眠大事! 食事もとっても大事!
「なかなかに魅力的な提案だ。そこまで言うのなら、ヒナの助けを頼むとしようか」
大きな指先が、嬉しそうにくりくりと私の頭を撫でた。
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