ちっちゃくて可愛いものがお好きですか。そうですかそうですか。もう十分わかったので放してもらっていいですか。

南田 此仁

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41~50話

飴だったら消えてた【下】 ※

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 時折軽く歯を立てながら、一本一本丁寧に指先までねぶられる。

「ふ……っ、ん……」

 そわそわとまとわりつく快感を逃がそうと、僅かに身じろぐ。

 ……さっきから自分ばかり翻弄されているような気がして、ちょっぴり面白くない。
 クロだって、少しは動揺すればいいのに。

 掴まれた手を動かして逆にクロの手を掴み返すと、熱っぽい視線がこちらを向く。
 そのまま手を引き寄せて、唇に触れた中指をぱくりと口に含んだ。

「っ、ヒナ……」

 クロの視線に期待が混じる。
 拒否される様子がないことにほっとしながら、私はくわえた中指に舌を這わせた。

 飴玉とは違う。
 長くて、ごつごつと骨ばって、温かい。

 テクニックなんて何もありはしないけれど、とにかくペロペロと指を舐めてみる。
 クロにされたことを思い出しながらゆるく歯を立て、痛くないだろうかと、ちらりと上目遣いにクロを窺った。

「……うまいか?」

 ほんのりと目元を紅く染め、口元はゆるやかに弧を描く。

 特に味はしないけれど、口いっぱいに頬張った長い指があちこちに擦れるのが心地いい。
 ちょっと、先ほどの深い口づけを思い出すような。
 だから、美味しいか美味しくないかで言えば――

「おいひい、れふ。……ふぁっ」

 くわえたまま答えると、クロの指先がくるりと口腔を掻いた。
 私が感じる場所を暴くように口腔を探り、たっぷりと唾液を絡めるようにして、ちゅぽんと引き抜かれる。

 細く糸を引きながら離れた指は、そのままクロの口内に消えた。

「なっ……!?」

 綺麗に舐めとられた指が口を離れる。

「もっとヒナを味わいたい」

「もう、その……いっぱい舐めたんじゃ……」

「まだ足りない」

「でも……」

「全然足りない」

 深刻そうに首を振り、かたくなに足りないと言い張る。

 もう散々胸を舐められた気がするのだけれど、それでも全然足りないとは一体どれほど『味わう』つもりなのか。

 大変なことになりそうだと一抹の不安を覚えながらも、隠しきれない期待を込めて。
 子どものようなわがままを言うクロへ、仕方ないなぁと笑って腕を広げた。

「……ん。いくらでもどうぞ」
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