ちっちゃくて可愛いものがお好きですか。そうですかそうですか。もう十分わかったので放してもらっていいですか。

南田 此仁

文字の大きさ
127 / 165
41~50話

くすぐったいものはくすぐったい【下】 ※

しおりを挟む
「っは……、ヒナ……」

 ようやく責め苦から解放されて、はふと息をつく私にクロが覆い被さる。
 うなじに顔を埋めて抱きしめられると、お尻と太ももの境をぐりぐりと押される感触があった。

 ズボン越しでもわかるほど、硬くて、大きくて、はち切れそうな熱の塊。

「クロ、……」

「ああ……さすがに苦しいな」

 吐息混じりにそう言うと、クロは片腕で私を抱きしめたまま手早く下衣を脱ぎ去ってしまった。
 再び押し当てられた灼熱が、ぬめりを帯びた切っ先でぬりゅぬりゅと太ももをえぐる。

 すごく熱い……。

 あの日お風呂で見たが今、ぐりぐりと私に押しつけられているのだ。
 物欲しそうにうなじを舐め上げられて、緊張に息を詰める。

「……いっ、れますか……?」

 枕に顔を突っ伏し、聞こえるか聞こえないかのくぐもった声で問う。

 注射だってそうだ。
 痛そうで直視はできないけれど、射つ瞬間には射つと言ってほしい。
 覚悟して衝撃に備えたいのだ。

「っは……、まだだ。まだ全身をしきれていないからな……。それに、慣らしもせずいきなりつらぬくことはないから安心してほしい」

 話す間にも、熱い吐息が耳を焦がす。
 荒い息遣いに余裕のない声色。
 けれどすべてを押し止め、私を安心させようと頭を撫でる優しい手のひらに、私もゆっくりと緊張を解いた。

 ――そういえば、これは一応『薬の不具合がないか確認する』という名目で始まった行為だった。




 足の裏を舐められて再び笑い転がった私も、濡れた舌が太ももに差し掛かる頃には唇を震わせ甘い息を吐いていた。

 クロの触れるすべてが気持ちいい。
 大切なもののように愛おしげに触れられて、温かな流入とともに全身から愛情が染み込んでくるようだ。

 愛情と快感が蓄積し、呼吸さえも熱を帯びる。

 でも……私ばかりが気持ちよくなっていて、クロは物足りなくないのだろうか。
 気持ちよくなってもらえるかはわからないけれど、見よう見まねでクロの身体を舐めることくらいなら自分にもできる。

「んっ、クロ……」

「うん?」

 微かな不安を抱いて下方を見れば、仰向けに寝そべる私の脚の間に陣取って、とびきり美味しいお菓子でも食べているみたいにうっとりと内ももに舌を這わせるクロの姿があった。

 ――うん。まあ、すごく楽しそうだけれど……。

「あのっ、私ばっかり気持ちよくって……、だから、その……私もクロを……」

「問題ない。ヒナに触れている舌と手のひらが気持ちいい」

 そう言ってがぶりと内ももを食み、やわく歯を立てる。

「んん……っ」

 太ももを掴んで大きく脚を割り開かれれば、抗う隙もなくぱっかりと開かれた脚の間から――舌も触れていないその場所から――くち、と湿った音が鳴った。

「感じてくれているのか」

「やっ……」

 熱い吐息があらぬ場所をくすぐって、全身が羞恥に染まる。

 これからもたらされるであろう、甘やかな恐怖の予感。
 じりじりと逃げようとする腰を押さえてぺろりと舌なめずりしたクロは、じっと私と見つめたまま、おもむろに秘部へと口づけた。

「――っ!」

 軽くついばみ、ぺろりと舐めて。

「あっ、んんっ、ひぁ……っ」

 そんなところ舐めてはダメだと言いたいのに。制止しようと開いた口から洩れるのは、艶がかった嬌声ばかり。

 割れ目に沿ってにゅるにゅると往復する舌がある一点を通過した瞬間、『もっと』と差し出すかのように大きく腰が跳ねた。
しおりを挟む
感想 36

あなたにおすすめの小説

推しの幸せをお願いしたら異世界に飛ばされた件について

あかね
恋愛
いつも推しは不遇で、現在の推しの死亡フラグを年末の雑誌で立てられたので、新年に神社で推しの幸せをお願いしたら、翌日異世界に飛ばされた話。無事、推しとは会えましたが、同居とか無理じゃないですか。

【完結】タジタジ騎士公爵様は妖精を溺愛する

雨香
恋愛
【完結済】美醜の感覚のズレた異世界に落ちたリリがスパダリイケメン達に溺愛されていく。 ヒーロー大好きな主人公と、どう受け止めていいかわからないヒーローのもだもだ話です。  「シェイド様、大好き!!」 「〜〜〜〜っっっ!!???」 逆ハーレム風の過保護な溺愛を楽しんで頂ければ。

異世界から来た娘が、たまらなく可愛いのだが(同感)〜こっちにきてから何故かイケメンに囲まれています〜

恋愛
普通の女子高生、朱璃はいつのまにか異世界に迷い込んでいた。 右も左もわからない状態で偶然出会った青年にしがみついた結果、なんとかお世話になることになる。一宿一飯の恩義を返そうと懸命に生きているうちに、国の一大事に巻き込まれたり巻き込んだり。気付くと個性豊かなイケメンたちに大切に大切にされていた。 そんな乙女ゲームのようなお話。

次期国王様の寵愛を受けるいじめられっこの私と没落していくいじめっこの貴族令嬢

さら
恋愛
 名門公爵家の娘・レティシアは、幼い頃から“地味で鈍くさい”と同級生たちに嘲られ、社交界では笑い者にされてきた。中でも、侯爵令嬢セリーヌによる陰湿ないじめは日常茶飯事。誰も彼女を助けず、婚約の話も破談となり、レティシアは「無能な令嬢」として居場所を失っていく。  しかし、そんな彼女に運命の転機が訪れた。  王立学園での舞踏会の夜、次期国王アレクシス殿下が突然、レティシアの手を取り――「君が、私の隣にふさわしい」と告げたのだ。  戸惑う彼女をよそに、殿下は一途な想いを示し続け、やがてレティシアは“王妃教育”を受けながら、自らの力で未来を切り開いていく。いじめられっこだった少女は、人々の声に耳を傾け、改革を導く“知恵ある王妃”へと成長していくのだった。  一方、他人を見下し続けてきたセリーヌは、過去の行いが明るみに出て家の地位を失い、婚約者にも見放されて没落していく――。

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

完璧(変態)王子は悪役(天然)令嬢を今日も愛でたい

咲桜りおな
恋愛
 オルプルート王国第一王子アルスト殿下の婚約者である公爵令嬢のティアナ・ローゼンは、自分の事を何故か初対面から溺愛してくる殿下が苦手。 見た目は完璧な美少年王子様なのに匂いをクンカクンカ嗅がれたり、ティアナの使用済み食器を欲しがったりと何だか変態ちっく!  殿下を好きだというピンク髪の男爵令嬢から恋のキューピッド役を頼まれてしまい、自分も殿下をお慕いしていたと気付くが時既に遅し。不本意ながらも婚約破棄を目指す事となってしまう。 ※糖度甘め。イチャコラしております。  第一章は完結しております。只今第二章を更新中。 本作のスピンオフ作品「モブ令嬢はシスコン騎士様にロックオンされたようです~妹が悪役令嬢なんて困ります~」も公開しています。宜しければご一緒にどうぞ。 本作とスピンオフ作品の番外編集も別にUPしてます。 「小説家になろう」でも公開しています。

存在感のない聖女が姿を消した後 [完]

風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは 永く仕えた国を捨てた。 何故って? それは新たに現れた聖女が ヒロインだったから。 ディアターナは いつの日からか新聖女と比べられ 人々の心が離れていった事を悟った。 もう私の役目は終わったわ… 神託を受けたディアターナは 手紙を残して消えた。 残された国は天災に見舞われ てしまった。 しかし聖女は戻る事はなかった。 ディアターナは西帝国にて 初代聖女のコリーアンナに出会い 運命を切り開いて 自分自身の幸せをみつけるのだった。

処理中です...