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11~20話
12b、ご主人様は同僚の気持ちをわかっていない
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「あれだろ? どうせ今回はマヤちゃんに応援されていい所見せたくなったとかだろ? 後片付けまでサボってさっさと帰りやがって」
ウィルドは吐き捨てるように言い、ケッと唾を吐く真似までして見せる。
マヤか……。
その名前に俺も仕事の手を止め、公開訓練でのマヤの様子を思い浮かべた。
高すぎるベンチに足をぶらつかせながらも、くりくりと大きな黒曜石の瞳を輝かせ興味深そうに訓練を眺める姿。
騎士達の一挙手一投足に素直な反応を示し、小さな手の平を握りしめて熱く応援したかと思えば、剣を打ち込まれたのを見てビクッと肩を竦ませる。
その小さな身体いっぱいに好奇心を満たしてキョロキョロと訓練場を見渡す姿はさながら小動物のようで。
愛らしい声を懸命に張り上げて俺の名を呼び応援してくれる健気な様も。抱き上げれば俺の首に巻きつく細い腕も。触れた部分から伝わる温かな体温も。
その何もかもすべて。
「マヤは……可愛かったな」
「あーあーキコエナイ」
「マヤは可愛かった」
「言い直さんでいい!」
ウィルドの奴、今日は妙にピリピリしている。
公開訓練の準備でここのところ忙しくしていたから、疲れが溜まっているのかもしれない。
しかしそんなに感情に振り回されていては隊務に差し障るのではないだろうか。
一度戦場に出れば一切の感情を捨て去り鋭敏に立ち回る男だと言う事は誰よりもよく知っているが、普段ももう少し感情を抑制できないものか。
ウィルドは吐き捨てるように言い、ケッと唾を吐く真似までして見せる。
マヤか……。
その名前に俺も仕事の手を止め、公開訓練でのマヤの様子を思い浮かべた。
高すぎるベンチに足をぶらつかせながらも、くりくりと大きな黒曜石の瞳を輝かせ興味深そうに訓練を眺める姿。
騎士達の一挙手一投足に素直な反応を示し、小さな手の平を握りしめて熱く応援したかと思えば、剣を打ち込まれたのを見てビクッと肩を竦ませる。
その小さな身体いっぱいに好奇心を満たしてキョロキョロと訓練場を見渡す姿はさながら小動物のようで。
愛らしい声を懸命に張り上げて俺の名を呼び応援してくれる健気な様も。抱き上げれば俺の首に巻きつく細い腕も。触れた部分から伝わる温かな体温も。
その何もかもすべて。
「マヤは……可愛かったな」
「あーあーキコエナイ」
「マヤは可愛かった」
「言い直さんでいい!」
ウィルドの奴、今日は妙にピリピリしている。
公開訓練の準備でここのところ忙しくしていたから、疲れが溜まっているのかもしれない。
しかしそんなに感情に振り回されていては隊務に差し障るのではないだろうか。
一度戦場に出れば一切の感情を捨て去り鋭敏に立ち回る男だと言う事は誰よりもよく知っているが、普段ももう少し感情を抑制できないものか。
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