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21~30話
30d、私は見学会の趣旨をわかっていない
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ペラッ……ペラッ……パサッ……
カリカリカリ……
静かな室内に、書類を繰ってはペンを走らせる微かな音。
ほとんど読めないとはいえ書類の内容を見ては不味いだろうとガルの胸に顔を寄せれば、触れた耳からドクドクと規則正しい鼓動が伝わってくる。
両手をデスクに置いて作業するガルの腕の中にすっぽりと閉じ込められ、少し高い体温に包まれて安心感に身を浸す。
……
ゴーーン、ゴーーン、ゴーーン
「!?」
突然響き渡った大きな鐘の音に、いつの間にかうつらうつらしていた身体をビクリと竦ませた。
「これは正午を告げる鐘だ」
ガルが宥めるようにゆっくりと背中を撫でてくれる。
「一旦休憩にして昼食を食べに行こう」
ペンを置き一度伸びをしたガルは、私を抱えたまま立ち上がる。
そのままドアに向かおうとしたところで、ウィルドの待ったがかかった。
「ガリュース、待て待て待て。お前まさか食堂でもマヤちゃん抱えたままでいる気じゃないだろうな?」
「当然だろう」
「あー、だよなー。一瞬焦っ」
「下ろすなどありえん」
ウィルドは妙に疲れた顔で「俺が昼飯取ってきてやるからお前らはそこで待ってろ」と言い残すと、さっさと執務室を出て行ってしまった。
ガルも特に異論はないようで、ウィルドに言われるまま大人しくソファに腰を下ろした。
カリカリカリ……
静かな室内に、書類を繰ってはペンを走らせる微かな音。
ほとんど読めないとはいえ書類の内容を見ては不味いだろうとガルの胸に顔を寄せれば、触れた耳からドクドクと規則正しい鼓動が伝わってくる。
両手をデスクに置いて作業するガルの腕の中にすっぽりと閉じ込められ、少し高い体温に包まれて安心感に身を浸す。
……
ゴーーン、ゴーーン、ゴーーン
「!?」
突然響き渡った大きな鐘の音に、いつの間にかうつらうつらしていた身体をビクリと竦ませた。
「これは正午を告げる鐘だ」
ガルが宥めるようにゆっくりと背中を撫でてくれる。
「一旦休憩にして昼食を食べに行こう」
ペンを置き一度伸びをしたガルは、私を抱えたまま立ち上がる。
そのままドアに向かおうとしたところで、ウィルドの待ったがかかった。
「ガリュース、待て待て待て。お前まさか食堂でもマヤちゃん抱えたままでいる気じゃないだろうな?」
「当然だろう」
「あー、だよなー。一瞬焦っ」
「下ろすなどありえん」
ウィルドは妙に疲れた顔で「俺が昼飯取ってきてやるからお前らはそこで待ってろ」と言い残すと、さっさと執務室を出て行ってしまった。
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