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41~50話
43c、私は首元の色をわかっていない
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ショーウィンドウに並ぶ煌びやかなドレスに、感嘆のため息を吐く。
高級感のある重厚な木造の店内から色鮮やかなドレスの色の溢れる様は、まるでそれ自体が大きな宝石箱のようだ。
「こういう店はあまり知らなくてな。もしこの店で気に入らなければ、他の店にも行こう」
そう言うと、ガルは迷いなく店の扉を開けた。
ガルが連れてきてくれたのは、ウェディングドレスをオーダーするためのドレス専門店だ。
結婚式の準備とはつまり、私のウェディングドレスを作ることだったらしい。
「ようこそいらっしゃいませ」
恐らく店主だろう、50~60代頃のふくよかな女性が、優しく笑みを浮かべて優雅な礼をとる。
「お久しぶりでございます。ガリュースおぼっちゃま」
「その呼び方はやめてくれ……」
ガルは眉間のシワを深め幾分怖くなった顔付きでげんなりと答えるけれど、店主は意に介さずにこやかに続けた。
「本日は何をお求めでございますか?」
「結婚式用に、ドレスを頼みたい」
「まぁ! まぁまぁ! それはおめでとうございます! ……こちらの可愛らしいお嬢様がお相手でいらっしゃいますか?」
「ああ」
にこやかな店主と目が合い、ガルの腕の上からぺこりとお辞儀をする。
人好きのする温和そうな店主の表情に、慣れない高級店への緊張が和らぐ。
「素晴らしいですわ! それでは奥でドレスの詳しいお話をお伺いしましょうね」
そう言うと店主は、階段を上がった二階の一室へと案内してくれた。
高級感のある重厚な木造の店内から色鮮やかなドレスの色の溢れる様は、まるでそれ自体が大きな宝石箱のようだ。
「こういう店はあまり知らなくてな。もしこの店で気に入らなければ、他の店にも行こう」
そう言うと、ガルは迷いなく店の扉を開けた。
ガルが連れてきてくれたのは、ウェディングドレスをオーダーするためのドレス専門店だ。
結婚式の準備とはつまり、私のウェディングドレスを作ることだったらしい。
「ようこそいらっしゃいませ」
恐らく店主だろう、50~60代頃のふくよかな女性が、優しく笑みを浮かべて優雅な礼をとる。
「お久しぶりでございます。ガリュースおぼっちゃま」
「その呼び方はやめてくれ……」
ガルは眉間のシワを深め幾分怖くなった顔付きでげんなりと答えるけれど、店主は意に介さずにこやかに続けた。
「本日は何をお求めでございますか?」
「結婚式用に、ドレスを頼みたい」
「まぁ! まぁまぁ! それはおめでとうございます! ……こちらの可愛らしいお嬢様がお相手でいらっしゃいますか?」
「ああ」
にこやかな店主と目が合い、ガルの腕の上からぺこりとお辞儀をする。
人好きのする温和そうな店主の表情に、慣れない高級店への緊張が和らぐ。
「素晴らしいですわ! それでは奥でドレスの詳しいお話をお伺いしましょうね」
そう言うと店主は、階段を上がった二階の一室へと案内してくれた。
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