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51~60話
55a、ご主人様は自制の限界をわかっていなかった ※
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抱きしめる腕の中でもぞもぞと、マヤが顔を上げた。
「ガル様? この指輪は、血を付けたりしないんですか?」
指輪を首輪の代替品だと信じているマヤにとっては、首輪の時のような契約工程のないことが不思議なのだろう。
「これはそういう物ではない。……が、俺と共にいたいと思っていてくれるのなら、どうか外さないでくれ」
これはただの指輪だ。
石に気休め程度守りの呪いがかかっているだけで、魔法による拘束力などはない。
ただ、俺との婚約を印すためだけの指輪。
「それなら、一生つけたままですね」
マヤは当然のことのように言って嬉しそうに微笑んだ。
「……ああ」
眩しい微笑みに目を細める。
日増し膨らんでゆくこの愛情に、果てなどあるのだろうか。
不意にそわそわとしだしたマヤが、俺の胸に手をついて伸び上がった。
何をしているのかと見守る俺の顔へと、顔を寄せたかと思えば……
ちゅっ
唇にやわらかな感触が触れた。
「!」
マヤから! 俺に口付けを……!
催促もなしにマヤから口付けてくれるなど初めてのことだ。それも唇に。
込み上げる愛しさが全身を渦巻く。
側にいることを望み、口付けをくれるということは、マヤも俺のことを憎からず思ってくれているのだろうか。
「ガル様? この指輪は、血を付けたりしないんですか?」
指輪を首輪の代替品だと信じているマヤにとっては、首輪の時のような契約工程のないことが不思議なのだろう。
「これはそういう物ではない。……が、俺と共にいたいと思っていてくれるのなら、どうか外さないでくれ」
これはただの指輪だ。
石に気休め程度守りの呪いがかかっているだけで、魔法による拘束力などはない。
ただ、俺との婚約を印すためだけの指輪。
「それなら、一生つけたままですね」
マヤは当然のことのように言って嬉しそうに微笑んだ。
「……ああ」
眩しい微笑みに目を細める。
日増し膨らんでゆくこの愛情に、果てなどあるのだろうか。
不意にそわそわとしだしたマヤが、俺の胸に手をついて伸び上がった。
何をしているのかと見守る俺の顔へと、顔を寄せたかと思えば……
ちゅっ
唇にやわらかな感触が触れた。
「!」
マヤから! 俺に口付けを……!
催促もなしにマヤから口付けてくれるなど初めてのことだ。それも唇に。
込み上げる愛しさが全身を渦巻く。
側にいることを望み、口付けをくれるということは、マヤも俺のことを憎からず思ってくれているのだろうか。
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