299 / 486
71~80話
71a、メイド長はご主人様の嗜好をわかっていない2
しおりを挟む
「マヤ、これが執事のエンカム、こっちがメイド長のリーファだ。俺がいない間、何か困ったことがあれば二人を頼るといい。このベルを鳴らせばリーファが来る」
「はい……よろしくお願いします」
制服に着替え終えたガリュース様に抱きかかえられ、マヤ様がこちらを向いて頭を下げられます。
「二人とも、こっちはオークションで買ってきた愛玩奴隷のマヤだ。これからここに住む。よくしてやってくれ」
ピシリ
空気の固まった音がしますが、さすが執事長は顔色一つ変えず答えました。
「かしこまりました」
執事長の礼に合わせ、私も深く腰を折ります。
マヤ様が身に着けていらっしゃる無骨な首輪の意味を理解することとなりました。
なぜ突然奴隷を買われたのかは考えも及びませんが、奴隷を扱うオークションへ参加されたということは恐らく奴隷制度のある人族の国へ行かれたのでしょう。
その華奢な体躯に加え、瞳を見ても一切の魔力を感じないことからマヤ様自身も人族であることが窺い知れます。
奴隷。
人としての尊厳を奪われ、物のように売り買いされる存在。
中でも愛玩奴隷といえば、主人の嗜虐趣味や性的嗜好に合わせてその身を弄ばれるものと聞きます。
しかしながらガリュース様のご様子を目にする限り、マヤ様を物のように扱われているとはどうにも思い難くありました。
「執事長」
ガリュース様のお見送りを終え、執事長に伺いを立てます。
「……マヤ様は、旦那様の大切なお客人です。他の者にもそのように」
「承知いたしました」
奴隷という肩書きは伏せた上で、やはり執事長の目から見ても、ガリュース様がマヤ様を大切に思っていらっしゃることは明らかなようでした。
「はい……よろしくお願いします」
制服に着替え終えたガリュース様に抱きかかえられ、マヤ様がこちらを向いて頭を下げられます。
「二人とも、こっちはオークションで買ってきた愛玩奴隷のマヤだ。これからここに住む。よくしてやってくれ」
ピシリ
空気の固まった音がしますが、さすが執事長は顔色一つ変えず答えました。
「かしこまりました」
執事長の礼に合わせ、私も深く腰を折ります。
マヤ様が身に着けていらっしゃる無骨な首輪の意味を理解することとなりました。
なぜ突然奴隷を買われたのかは考えも及びませんが、奴隷を扱うオークションへ参加されたということは恐らく奴隷制度のある人族の国へ行かれたのでしょう。
その華奢な体躯に加え、瞳を見ても一切の魔力を感じないことからマヤ様自身も人族であることが窺い知れます。
奴隷。
人としての尊厳を奪われ、物のように売り買いされる存在。
中でも愛玩奴隷といえば、主人の嗜虐趣味や性的嗜好に合わせてその身を弄ばれるものと聞きます。
しかしながらガリュース様のご様子を目にする限り、マヤ様を物のように扱われているとはどうにも思い難くありました。
「執事長」
ガリュース様のお見送りを終え、執事長に伺いを立てます。
「……マヤ様は、旦那様の大切なお客人です。他の者にもそのように」
「承知いたしました」
奴隷という肩書きは伏せた上で、やはり執事長の目から見ても、ガリュース様がマヤ様を大切に思っていらっしゃることは明らかなようでした。
応援ありがとうございます!
10
お気に入りに追加
3,272
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる