ご主人様は愛玩奴隷をわかっていない ～皆から恐れられてるご主人様が私にだけ甘すぎます！～

７１～８０話

７３c、私は紳士的な指先をわかっていない

具材を薄い生地で巻いたトルティーヤのような昼食を食べ終えると、もそもそとガルの腿から下りて芝生の上にコロンと寝転んだ。

「ふぅ、お腹いっぱいです」

葉の間から差し込む日差しも満たされたお腹もぽかぽかとして、このまま目を閉じたなら気持ちよく昼寝できそうだ。

チラリと見上げれば優しい眼差し。
寝そべる私の頭をガルの大きな手の平がよしよしと撫でて…………なで……て……、……っだめだ、だめだ。このままでは本当に寝てしまう。

勢いをつけてぴょいと跳ね起きる。

「どうした？　寝ていてもいいんだぞ？」

ガルの優しい声にふるふると首を振る。

「せっかくガル様とのおでかけなのに、寝ちゃったら勿体ないからいいです」

「……マヤ、口付けても？」

「えっ！　なっ…………、あぅ……」

顔を寄せて覗き込まれ、あたふたと視線を巡らせても、こちらを見ている人はいない。
公園が広いので周囲とも大分距離がある。
断る理由も見付からず、逡巡のち頬を染めておずおずと頷いた。

「んむっ……、んん……」

しっかりと後頭部を支えられ、熱い舌がぬるりと絡む。
ゆるゆると舌の輪郭をなぞられ、根元から絡めてはガルの口内へと吸い上げられる。
口付けの隙間から吸い込む空気さえもガルの一部のようで、じわじわと身体の中から熱に蝕まれていく。

背中がやわらかな芝生に触れた。
擦り上げられる舌の感触にそわそわと身じろぎながら、ガルがワンピースの裾に触れたのを感じてドキリとする。

まさかこんな所で、これ以上のことなんて……

「っん、だっ……、め……んぅ」

制止の声を上げようとするも、深い口付けに飲み込まれてしまう。