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番外編 葵と悠斗の願いの話
番外編 葵と悠斗の願いの話 前編(※) side. アイデシア
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温かい日差しの中、動物園に出掛ける夢を見た。
前世はよく悠くんと訪れた場所。
わたしの隣を悠くんが歩いている。
悠くんは、黒髪マッシュヘアで黒目、スラっとした体型で、前世のままの姿だ。
「葵はさ、つむじも可愛くて……」
「わかります! 可愛くて、思わず撫でまわしたくなっちゃうんですよね!」
「そうそう!」
悠くんと楓ちゃんが楽しそうに会話している。
少し前まで、わたしは悠くんと楓ちゃんが恋仲だと思い込んでいた。
悠くんと楓ちゃんが一緒にいるところを想像するたび、すごく胸が苦しかったのに。
……今は、ただただ恥ずかしい。
「ちょっと、2人共やめて。照れちゃうから」
わたしが熱くなった頬を押さえてそう言うと、悠くんと楓ちゃんがこちらを見た。
「赤くなった葵、可愛いっ!」
「ほっぺた押さえる葵先輩、キュンとしますっ!」
悠くんと楓ちゃんが、わたしに手を伸ばす。
悠くんはそのままわたしを抱き締め、楓ちゃんは後ろから捕獲された。
……直樹くんに。
「楓、ダメだよ。楓が抱き締めていいのは俺だけ」
「ええ~~~! 直樹さん、私も、葵先輩を抱き締めたいですっ!」
すると悠くんが、楓ちゃんに向かって言った。
「葵は僕のだからダメ! 直樹で我慢して!」
「そんな、悠斗さんまで~っ!」
「ちょっと、悠斗! 俺の扱い酷くない?!」
楓ちゃんと直樹くんが同時に言うのを聞いて、わたしは思わず吹き出してしまった。
「ふふっ」
すると、悠くんと楓ちゃんと直樹くんも吹き出して。
「ふっ」
「ふふっ」
「ははっ」
そして、4人でクスクス笑い合った。
***
わたしの意識がゆっくりと浮上する。
前世の夢だ。
でも、この4人で出掛けたことなんてないから、妄想に近い夢なのかな?
寝起きのふわふわする頭で考えていたら、甘い重低音ボイスが今世のわたしの名を呼んだ。
「アイデシア、おはよう」
声の方に顔を向けると、わたしの最愛の人がニッコリ笑っている。
「おはようございます。ユークリッド様」
ユークリッド様は、わたしにおはようのキスをした。
赤髪短髪ヘアで金色の瞳と筋肉隆々の身体を持つユークリッド様。
彼の前世が悠くんだなんて、……いまだに信じられない。
「アイデシアは、今日もつむじまで可愛いな」
「ふふっ、ユークリッド様、今日の夢でも同じことを言ってましたよ。……前世の姿でしたが」
「アイデシアもか。実は、オレもその夢を見た」
「楓ちゃんと直樹くんも出てきました?」
「ああ、出てきた」
ユークリッド様はそう言ったあと、わたしをぎゅうっと抱き締めた。
「お前を抱き締めていいのはオレだけだからな?」
「ふふふっ、……同じ夢を見るなんてこと、あるんですね」
そして、先ほどの夢で、いたたまれない気持ちになったことを思い出した。
「長身の超絶美形の三人と私が一緒に歩くと、超人気モデル3人とマネージャーみたいな気分になりますね」
ユークリッド様が目を瞬かせたあと、吹き出した。
「ははっ。そういえばお前、オレと直樹の3人で歩いてた時も『小人になった気分』だと言ってたな」
「そうなんですよ。しかも、立ち話の時、悠くんと直樹くんが上の方で話しちゃうと、会話に入れないんです」
「ははっ、そうだったのか」
「……懐かしいですね」
「ああ。懐かしいな」
「そういえば、直樹くんに『心から大事にしたいと思える子』は見つかったんでしょうか」
「うーん、どうだろうな。前世、オレが死ぬまでにはいなさそうだったが。……そういえばさっきの夢の直樹、葵の後輩に執着してる様子で意外だったな」
「意外、ですか?」
「ああ。直樹があんな風に何かに執着しているのを、オレは見たことがない」
「そういえば、初めて一緒に飲んだ日も、彼女に振られた直後なのに『そんなに落ち込んでない』って言ってましたもんね」
「そんなこともあったな」
「……でも、楓ちゃんと直樹くんって、知り合いじゃなかったですよね?」
「いや、オレが死ぬ二週間ぐらい前かな。葵の後輩を、俺の病室に連れて来たのは直樹なんだ」
「そうだったんですね!」
「その時の直樹の様子もいつもと少し違っていて……。さっきの夢の直樹の行動は案外、本物の直樹も取る行動なのかもしれない」
「わ~~~! 実現してたら、ものすごい美男美女カップルですねぇ!」
私がそう言うと、ユークリッド様が私の頬を摘んで伸ばした。
「な、何でふか、ゆーふひっほはま……!」
「さっきから、直樹のことを超絶美形とか美男とか言うのが、気に入らん!」
「ええっ?!」
「葵の後輩のことも、超絶美形とか美女とか言うのも、気に入らん!」
「えええっ?! そっちも?!」
「という訳で、オレのことしか考えられなくしてやる」
「え……?」
ユークリッド様はわたしの頬を摘んでいた手を広げて、ガシッとホールドした。
前世は美しかった悠くんの細長い指は、今世はゴツゴツして逞しく横幅もしっかりあるので、わたしの顔はすっぽり包み込まれてしまう。
そのまま妖艶な笑みを浮かべるユークリッド様は、わたしの顔をホールドしたまま、親指で器用にわたしの口を開いた。
開いた口から牙を覗かせ、ユークリッド様の顔が近付いてくる。
わたしの心臓はバクバク鳴り、これから与えられる期待で頭の中がいっぱいになった。
「ん……」
唇が合わさり、そこから差し入れられた舌に歯列をなぞられたあと、舌を捉えられる。
「んっ……んーっ、んーーっ」
その時、わたしは今の状況を思い出し、あわててユークリッド様の胸を押して、必死に顔を離した。
「……だ、ダメですよぅ。も、もうすぐ朝食で……んぁあっ」
必死の抵抗むなしく、ユークリッド様の指はわたしの秘裂を下から上へとなぞった。
そこは、昨夜の行為の名残で既に蕩けていて、今もどんどん蜜が溢れているのが自分でもわかる。
「ダメじゃないだろう? お前のここ、とろとろじゃないか」
溢れた蜜を、花びらや秘芽に与えるようにかきまわされる。
「あ、……ゆ、ユークリッドさま、だめ……んぁっ」
わたしの制止など全く聞いていないユークリッド様は、蜜口に指を差し入れた。
「こっちもとろけてふわふわだ」
「あ、あー、……ん、だめ……っ」
「アイデシアもこの状態のままだとつらいだろう? すぐ楽にしてやるから」
向かい合ったまま、ユークリッド様のモノがわたしのナカへと差し入れられた。
「ふあああ」
ユークリッド様の宣言通り、その後は他のことなんて何も考えられなくなった。
だけど『すぐ楽にしてやる』という宣言は守られず、上になったり下になったりさせられて、処理しきれないほどの快楽を与えられ、最後は気を失ってしまった。
……ついさっき起きたばかりなのに!
◇
やがて、激しい快楽の波から意識が戻る。
まだふわふわと意識と無意識の狭間を行き来していると、ある想いが口をついて出た。
「……わたし、楓ちゃんに会いたいです」
「え?」
そして、ユークリッド様は、わたしの頬をまた摘んで引っ張った。
「ひゃ、ひゃんへ……?」
「アイデシア、また懲りずにオレ以外のことを考えて……!」
「ええっ! だって、楓ちゃんがわたしのために、行動してくれたのを知らなかったから……、『ありがとう』って伝えたくて」
「……まぁ、それもそうか。葵の後輩は、今のオレたちのことを知らないんだもんな……」
すると、ユークリッド様が少し思案するような顔をして、口を開いた。
「……もしかしたらだが、願えば叶うかもしれない」
「え?」
「オレが前世願ったことは、すべて叶ってるんだ」
「……あ! わたしもです!」
「オレも直樹に会えるなら、生まれ変わったことを伝えたいしな。……試してみるか」
「はいっ」
わたしはさっそく目を瞑って、祈った。
ーーー楓ちゃんに、会いたい。
そして、わたしはそのまま、眠ってしまったようだった。
***
気が付くと、わたしは真っ暗な空間の中にいた。
辺りを見回すと、少し離れた場所にユークリッド様が立っているのが見える。
わたしは慌てて駆け寄った。
「ユークリッド様!」
「アイデシア……!」
ユークリッド様がわたしをギュッと抱き締める。
なぜかその表情は、今にも泣き出しそうだった。
「アイデシア、悪かった……! 本当に、すまなかった……!」
「ユークリッド様? どうしたんですか?」
「お前の……前世最期の願いを聞いた」
ユークリッド様の視線の先を見ると、動物園で一人佇む前世のわたしが映し出されていた。
その瞬間、わたしの絶望で満たされた最期の願いが聞こえてくる。
ーーー生まれ変わりたい。
人間でいるのはもう嫌だ。
人間以外の生き物になりたい。
飼育される価値のある生き物になって、飼育されたい。
そして、最後に小さく『悠くんとやり直したい』という願いが聞こえた。
うっかり願ってしまったあと、慌てて打ち消した願い。
わたしの願い、本当に全部、叶ったんだ……!
するとそこで、わたしの映像が消えた。
ユークリッド様は、深い後悔が滲む声で言った。
「お前にこんな想いをさせるなんて知っていたら、オレは……! 本当に、すまなかった」
「ユークリッド様、違うんです! この時はわたし、仕事で大きなミスをして落ち込んでいて。あなたのせいじゃないんです」
「だが、オレが葵の後輩に送ったメッセージを見たんだろう?」
「……そうですね。でもあれは、わたしが楓ちゃんにすぐ確認していたら、誤解しなくて済んだんです。だから、あなたのせいじゃないです」
「だが……!」
「それに、あのメッセージが本当は『わたしに会いたい』という意味だったと知って、わたしはすごく嬉しかったんですよ」
「アイデシア……」
するとその時、暗闇の中に、病室のベッドに座る悠くんが映し出された。
「あっ、今度は悠くんが……!」
「次はオレか!」
その瞬間、悠くんの悲痛な声が聞こえてきた。
ーーー葵に会いたい。
自由になりたい。
大空を自由に舞いたい。
そして、葵のもとへ飛んで行きたい。
「……!」
悠くんとあの部屋で再会した時に、悠くんから聞いた願いだった。
病で弱った悠くんの姿に、胸が締め付けられる気持ちになる。
しかし、次の瞬間、予想外の出来事が起きた。
悠くんの声で、小さく『ナースの葵に……』まで聞こえたところで、焦ったような顔をしたユークリッド様に耳を塞がれてしまったのだ。
「ユークリッド様……?」
わたしは思わずユークリッド様をジロリと見た。
ユークリッド様は苦笑しながら、それから数分経ってもなお、わたしの耳を塞いだままだった。
私に聞かせられない願い。
一体何を、そんなに長い時間願っていたんだろうか?
すると、悠くんの映像が消えた。
私の耳からユークリッド様が両手を離す。
「ユークリッド様? 何で耳を塞ぐんです?」
わたしが聞くと、ユークリッド様が瞳を泳がせた。
「いや、それはだな、あはは……」
「もう!」
そんなやり取りをしていると、わたしたちの前に新しい映像が映し出された。
車の中にいる、女性と男性。
2人とも、とても悲しそうに涙を流している。
それが楓ちゃんと直樹くんだと気付いた瞬間、直樹くんの声が聞こえてきた。
「会えなくて寂しい気持ちの分、後悔してる気持ちの分、願おうよ。……悠斗と葵ちゃんが生まれ変わって、幸せになれますようにって」
きっと、わたしと悠くんが死んだ後の出来事なのだろう。
楓ちゃんは嗚咽で声が出せないみたいだ。
その痛々しい姿に、胸が締め付けられる。
楓ちゃんが頷くと、直樹くんが言った。
「どんな人生がいいかなぁ。……悠斗、子供の頃からずっと病弱で、我慢することが多かったんだって。……それで、余命を宣告された時、葵ちゃんの幸せのために、葵ちゃんへの想いも我慢しちゃったみたいなんだ」
楓ちゃんがハッとした顔になる。
すると、直樹くんはイタズラっぽく笑って言った。
「だからさ、次は思いっきり健康な体に生まれて、思いっきり俺様な性格になっちゃえばいいなって思うよ」
「ふっ……」
楓ちゃんの口から息が漏れ、悲しみに満ちていた顔が、かすかに綻ぶ。
直樹くんはそれを見て、ほんの少し安心したような表情を浮かべた。
「それでさ、我慢しないで『葵ちゃんを絶対離さない』ってさ、本音を言えるようになってほしい」
楓ちゃんが目を見開いた。
直樹くんはそんな楓ちゃんを優しく見つめながら、再びイタズラっぽく笑って言う。
「葵ちゃんはそんなアイツを見て、ちょっとびっくりしたりしてね。……最初は気付かないかもしれない」
「ふふっ……。……確かに、そんなことに、なったら、きっと……葵先輩でも、最初は、気付けないかも、しれませんね」
「だよね! ……でも、今度こそ、悠斗と葵ちゃん二人で、天寿を全うしてほしいな」
「……ですね。人間、なんかより……ずっとずっと、長い寿命の生き物に、生まれ変わって、今世の分も、ずっと一緒に、二人で幸せに、生きてほしいです……!」
「ははっ! 後輩ちゃん、その願い、最高! よし、じゃあ、さっそく願おうか」
「はい……!」
楓ちゃんがこくんと頷き、2人は目を閉じる。
すると、2人の願いが聞こえてきた。
ーーー悠斗と葵ちゃんが一緒に生まれ変わって幸せに暮らせますように。
悠斗が健康な身体と俺様な性格を手に入れて、今度こそ葵ちゃんに本音を言えますように。
悠斗さんと葵先輩が、人間よりもずっと長い寿命の生き物に生まれ変わって、今度こそ天寿を全うしますように。
少しだけ遅れて、『悠斗さんが成人したら記憶を思い出しますように』という願いが聞こえた。
「楓ちゃん……」
「直樹……」
思わず涙が込み上げる。
楓ちゃんと直樹くんが、こんな風に私たちのことを願ってくれていたなんて、全然、知らなかった。
すると、次に予想もしていなかった願いが聞こえてきた。
直樹くんの声だった。
『悠斗、お願いだ。葵ちゃんの誤解を解いてほしい。たぶん葵ちゃんは、悠斗が後輩ちゃんに送ったメッセージを勘違いしてる。葵ちゃんはそれで辛い想いをしたままだし、後輩ちゃんもそれで自分を責めて苦しんでる。だから生まれ変わって、葵ちゃんの誤解をちゃんと解いてくれ。頼む』
わたしとユークリッド様は息を呑んだ。
……何で、今まで、気付かなかったんだろう。
わたしが悠くんのメッセージの内容を見て誤解したことに、楓ちゃんが気付いている可能性に。
楓ちゃん、ごめん。ごめんね。
楓ちゃんはいつも、わたしのことを想って行動してくれたことを思い出す。
わたしが諦めていた部内のセクハラにも、理不尽な部署ルールにも、楓ちゃんは1人で立ち向かってくれた。
わたしが自分の健康を顧みずに仕事をするのを、何度も止めてくれた。
悠くんに振られた絶望から逃げるために、仕事にのめり込むのをやめられなかったバカなわたしのために、悠くんに会いにいってくれて……。
ミスして落ち込むわたしのために、離田主任に立ちはだかって、悠くんにメッセージまで送ってくれたのだ。
そして、わたしと悠くんが死んだあとも、わたしたちのために願ってくれた。
ーーー楓ちゃんに、会いたい。
会って、感謝を伝えたい。
そう強く願った次の瞬間、わたしは真っ白な空間にいて。
そこには、会いたいと強く願った相手がいた。
わたしは、名前を呼んだ。
「楓ちゃん!」
前世はよく悠くんと訪れた場所。
わたしの隣を悠くんが歩いている。
悠くんは、黒髪マッシュヘアで黒目、スラっとした体型で、前世のままの姿だ。
「葵はさ、つむじも可愛くて……」
「わかります! 可愛くて、思わず撫でまわしたくなっちゃうんですよね!」
「そうそう!」
悠くんと楓ちゃんが楽しそうに会話している。
少し前まで、わたしは悠くんと楓ちゃんが恋仲だと思い込んでいた。
悠くんと楓ちゃんが一緒にいるところを想像するたび、すごく胸が苦しかったのに。
……今は、ただただ恥ずかしい。
「ちょっと、2人共やめて。照れちゃうから」
わたしが熱くなった頬を押さえてそう言うと、悠くんと楓ちゃんがこちらを見た。
「赤くなった葵、可愛いっ!」
「ほっぺた押さえる葵先輩、キュンとしますっ!」
悠くんと楓ちゃんが、わたしに手を伸ばす。
悠くんはそのままわたしを抱き締め、楓ちゃんは後ろから捕獲された。
……直樹くんに。
「楓、ダメだよ。楓が抱き締めていいのは俺だけ」
「ええ~~~! 直樹さん、私も、葵先輩を抱き締めたいですっ!」
すると悠くんが、楓ちゃんに向かって言った。
「葵は僕のだからダメ! 直樹で我慢して!」
「そんな、悠斗さんまで~っ!」
「ちょっと、悠斗! 俺の扱い酷くない?!」
楓ちゃんと直樹くんが同時に言うのを聞いて、わたしは思わず吹き出してしまった。
「ふふっ」
すると、悠くんと楓ちゃんと直樹くんも吹き出して。
「ふっ」
「ふふっ」
「ははっ」
そして、4人でクスクス笑い合った。
***
わたしの意識がゆっくりと浮上する。
前世の夢だ。
でも、この4人で出掛けたことなんてないから、妄想に近い夢なのかな?
寝起きのふわふわする頭で考えていたら、甘い重低音ボイスが今世のわたしの名を呼んだ。
「アイデシア、おはよう」
声の方に顔を向けると、わたしの最愛の人がニッコリ笑っている。
「おはようございます。ユークリッド様」
ユークリッド様は、わたしにおはようのキスをした。
赤髪短髪ヘアで金色の瞳と筋肉隆々の身体を持つユークリッド様。
彼の前世が悠くんだなんて、……いまだに信じられない。
「アイデシアは、今日もつむじまで可愛いな」
「ふふっ、ユークリッド様、今日の夢でも同じことを言ってましたよ。……前世の姿でしたが」
「アイデシアもか。実は、オレもその夢を見た」
「楓ちゃんと直樹くんも出てきました?」
「ああ、出てきた」
ユークリッド様はそう言ったあと、わたしをぎゅうっと抱き締めた。
「お前を抱き締めていいのはオレだけだからな?」
「ふふふっ、……同じ夢を見るなんてこと、あるんですね」
そして、先ほどの夢で、いたたまれない気持ちになったことを思い出した。
「長身の超絶美形の三人と私が一緒に歩くと、超人気モデル3人とマネージャーみたいな気分になりますね」
ユークリッド様が目を瞬かせたあと、吹き出した。
「ははっ。そういえばお前、オレと直樹の3人で歩いてた時も『小人になった気分』だと言ってたな」
「そうなんですよ。しかも、立ち話の時、悠くんと直樹くんが上の方で話しちゃうと、会話に入れないんです」
「ははっ、そうだったのか」
「……懐かしいですね」
「ああ。懐かしいな」
「そういえば、直樹くんに『心から大事にしたいと思える子』は見つかったんでしょうか」
「うーん、どうだろうな。前世、オレが死ぬまでにはいなさそうだったが。……そういえばさっきの夢の直樹、葵の後輩に執着してる様子で意外だったな」
「意外、ですか?」
「ああ。直樹があんな風に何かに執着しているのを、オレは見たことがない」
「そういえば、初めて一緒に飲んだ日も、彼女に振られた直後なのに『そんなに落ち込んでない』って言ってましたもんね」
「そんなこともあったな」
「……でも、楓ちゃんと直樹くんって、知り合いじゃなかったですよね?」
「いや、オレが死ぬ二週間ぐらい前かな。葵の後輩を、俺の病室に連れて来たのは直樹なんだ」
「そうだったんですね!」
「その時の直樹の様子もいつもと少し違っていて……。さっきの夢の直樹の行動は案外、本物の直樹も取る行動なのかもしれない」
「わ~~~! 実現してたら、ものすごい美男美女カップルですねぇ!」
私がそう言うと、ユークリッド様が私の頬を摘んで伸ばした。
「な、何でふか、ゆーふひっほはま……!」
「さっきから、直樹のことを超絶美形とか美男とか言うのが、気に入らん!」
「ええっ?!」
「葵の後輩のことも、超絶美形とか美女とか言うのも、気に入らん!」
「えええっ?! そっちも?!」
「という訳で、オレのことしか考えられなくしてやる」
「え……?」
ユークリッド様はわたしの頬を摘んでいた手を広げて、ガシッとホールドした。
前世は美しかった悠くんの細長い指は、今世はゴツゴツして逞しく横幅もしっかりあるので、わたしの顔はすっぽり包み込まれてしまう。
そのまま妖艶な笑みを浮かべるユークリッド様は、わたしの顔をホールドしたまま、親指で器用にわたしの口を開いた。
開いた口から牙を覗かせ、ユークリッド様の顔が近付いてくる。
わたしの心臓はバクバク鳴り、これから与えられる期待で頭の中がいっぱいになった。
「ん……」
唇が合わさり、そこから差し入れられた舌に歯列をなぞられたあと、舌を捉えられる。
「んっ……んーっ、んーーっ」
その時、わたしは今の状況を思い出し、あわててユークリッド様の胸を押して、必死に顔を離した。
「……だ、ダメですよぅ。も、もうすぐ朝食で……んぁあっ」
必死の抵抗むなしく、ユークリッド様の指はわたしの秘裂を下から上へとなぞった。
そこは、昨夜の行為の名残で既に蕩けていて、今もどんどん蜜が溢れているのが自分でもわかる。
「ダメじゃないだろう? お前のここ、とろとろじゃないか」
溢れた蜜を、花びらや秘芽に与えるようにかきまわされる。
「あ、……ゆ、ユークリッドさま、だめ……んぁっ」
わたしの制止など全く聞いていないユークリッド様は、蜜口に指を差し入れた。
「こっちもとろけてふわふわだ」
「あ、あー、……ん、だめ……っ」
「アイデシアもこの状態のままだとつらいだろう? すぐ楽にしてやるから」
向かい合ったまま、ユークリッド様のモノがわたしのナカへと差し入れられた。
「ふあああ」
ユークリッド様の宣言通り、その後は他のことなんて何も考えられなくなった。
だけど『すぐ楽にしてやる』という宣言は守られず、上になったり下になったりさせられて、処理しきれないほどの快楽を与えられ、最後は気を失ってしまった。
……ついさっき起きたばかりなのに!
◇
やがて、激しい快楽の波から意識が戻る。
まだふわふわと意識と無意識の狭間を行き来していると、ある想いが口をついて出た。
「……わたし、楓ちゃんに会いたいです」
「え?」
そして、ユークリッド様は、わたしの頬をまた摘んで引っ張った。
「ひゃ、ひゃんへ……?」
「アイデシア、また懲りずにオレ以外のことを考えて……!」
「ええっ! だって、楓ちゃんがわたしのために、行動してくれたのを知らなかったから……、『ありがとう』って伝えたくて」
「……まぁ、それもそうか。葵の後輩は、今のオレたちのことを知らないんだもんな……」
すると、ユークリッド様が少し思案するような顔をして、口を開いた。
「……もしかしたらだが、願えば叶うかもしれない」
「え?」
「オレが前世願ったことは、すべて叶ってるんだ」
「……あ! わたしもです!」
「オレも直樹に会えるなら、生まれ変わったことを伝えたいしな。……試してみるか」
「はいっ」
わたしはさっそく目を瞑って、祈った。
ーーー楓ちゃんに、会いたい。
そして、わたしはそのまま、眠ってしまったようだった。
***
気が付くと、わたしは真っ暗な空間の中にいた。
辺りを見回すと、少し離れた場所にユークリッド様が立っているのが見える。
わたしは慌てて駆け寄った。
「ユークリッド様!」
「アイデシア……!」
ユークリッド様がわたしをギュッと抱き締める。
なぜかその表情は、今にも泣き出しそうだった。
「アイデシア、悪かった……! 本当に、すまなかった……!」
「ユークリッド様? どうしたんですか?」
「お前の……前世最期の願いを聞いた」
ユークリッド様の視線の先を見ると、動物園で一人佇む前世のわたしが映し出されていた。
その瞬間、わたしの絶望で満たされた最期の願いが聞こえてくる。
ーーー生まれ変わりたい。
人間でいるのはもう嫌だ。
人間以外の生き物になりたい。
飼育される価値のある生き物になって、飼育されたい。
そして、最後に小さく『悠くんとやり直したい』という願いが聞こえた。
うっかり願ってしまったあと、慌てて打ち消した願い。
わたしの願い、本当に全部、叶ったんだ……!
するとそこで、わたしの映像が消えた。
ユークリッド様は、深い後悔が滲む声で言った。
「お前にこんな想いをさせるなんて知っていたら、オレは……! 本当に、すまなかった」
「ユークリッド様、違うんです! この時はわたし、仕事で大きなミスをして落ち込んでいて。あなたのせいじゃないんです」
「だが、オレが葵の後輩に送ったメッセージを見たんだろう?」
「……そうですね。でもあれは、わたしが楓ちゃんにすぐ確認していたら、誤解しなくて済んだんです。だから、あなたのせいじゃないです」
「だが……!」
「それに、あのメッセージが本当は『わたしに会いたい』という意味だったと知って、わたしはすごく嬉しかったんですよ」
「アイデシア……」
するとその時、暗闇の中に、病室のベッドに座る悠くんが映し出された。
「あっ、今度は悠くんが……!」
「次はオレか!」
その瞬間、悠くんの悲痛な声が聞こえてきた。
ーーー葵に会いたい。
自由になりたい。
大空を自由に舞いたい。
そして、葵のもとへ飛んで行きたい。
「……!」
悠くんとあの部屋で再会した時に、悠くんから聞いた願いだった。
病で弱った悠くんの姿に、胸が締め付けられる気持ちになる。
しかし、次の瞬間、予想外の出来事が起きた。
悠くんの声で、小さく『ナースの葵に……』まで聞こえたところで、焦ったような顔をしたユークリッド様に耳を塞がれてしまったのだ。
「ユークリッド様……?」
わたしは思わずユークリッド様をジロリと見た。
ユークリッド様は苦笑しながら、それから数分経ってもなお、わたしの耳を塞いだままだった。
私に聞かせられない願い。
一体何を、そんなに長い時間願っていたんだろうか?
すると、悠くんの映像が消えた。
私の耳からユークリッド様が両手を離す。
「ユークリッド様? 何で耳を塞ぐんです?」
わたしが聞くと、ユークリッド様が瞳を泳がせた。
「いや、それはだな、あはは……」
「もう!」
そんなやり取りをしていると、わたしたちの前に新しい映像が映し出された。
車の中にいる、女性と男性。
2人とも、とても悲しそうに涙を流している。
それが楓ちゃんと直樹くんだと気付いた瞬間、直樹くんの声が聞こえてきた。
「会えなくて寂しい気持ちの分、後悔してる気持ちの分、願おうよ。……悠斗と葵ちゃんが生まれ変わって、幸せになれますようにって」
きっと、わたしと悠くんが死んだ後の出来事なのだろう。
楓ちゃんは嗚咽で声が出せないみたいだ。
その痛々しい姿に、胸が締め付けられる。
楓ちゃんが頷くと、直樹くんが言った。
「どんな人生がいいかなぁ。……悠斗、子供の頃からずっと病弱で、我慢することが多かったんだって。……それで、余命を宣告された時、葵ちゃんの幸せのために、葵ちゃんへの想いも我慢しちゃったみたいなんだ」
楓ちゃんがハッとした顔になる。
すると、直樹くんはイタズラっぽく笑って言った。
「だからさ、次は思いっきり健康な体に生まれて、思いっきり俺様な性格になっちゃえばいいなって思うよ」
「ふっ……」
楓ちゃんの口から息が漏れ、悲しみに満ちていた顔が、かすかに綻ぶ。
直樹くんはそれを見て、ほんの少し安心したような表情を浮かべた。
「それでさ、我慢しないで『葵ちゃんを絶対離さない』ってさ、本音を言えるようになってほしい」
楓ちゃんが目を見開いた。
直樹くんはそんな楓ちゃんを優しく見つめながら、再びイタズラっぽく笑って言う。
「葵ちゃんはそんなアイツを見て、ちょっとびっくりしたりしてね。……最初は気付かないかもしれない」
「ふふっ……。……確かに、そんなことに、なったら、きっと……葵先輩でも、最初は、気付けないかも、しれませんね」
「だよね! ……でも、今度こそ、悠斗と葵ちゃん二人で、天寿を全うしてほしいな」
「……ですね。人間、なんかより……ずっとずっと、長い寿命の生き物に、生まれ変わって、今世の分も、ずっと一緒に、二人で幸せに、生きてほしいです……!」
「ははっ! 後輩ちゃん、その願い、最高! よし、じゃあ、さっそく願おうか」
「はい……!」
楓ちゃんがこくんと頷き、2人は目を閉じる。
すると、2人の願いが聞こえてきた。
ーーー悠斗と葵ちゃんが一緒に生まれ変わって幸せに暮らせますように。
悠斗が健康な身体と俺様な性格を手に入れて、今度こそ葵ちゃんに本音を言えますように。
悠斗さんと葵先輩が、人間よりもずっと長い寿命の生き物に生まれ変わって、今度こそ天寿を全うしますように。
少しだけ遅れて、『悠斗さんが成人したら記憶を思い出しますように』という願いが聞こえた。
「楓ちゃん……」
「直樹……」
思わず涙が込み上げる。
楓ちゃんと直樹くんが、こんな風に私たちのことを願ってくれていたなんて、全然、知らなかった。
すると、次に予想もしていなかった願いが聞こえてきた。
直樹くんの声だった。
『悠斗、お願いだ。葵ちゃんの誤解を解いてほしい。たぶん葵ちゃんは、悠斗が後輩ちゃんに送ったメッセージを勘違いしてる。葵ちゃんはそれで辛い想いをしたままだし、後輩ちゃんもそれで自分を責めて苦しんでる。だから生まれ変わって、葵ちゃんの誤解をちゃんと解いてくれ。頼む』
わたしとユークリッド様は息を呑んだ。
……何で、今まで、気付かなかったんだろう。
わたしが悠くんのメッセージの内容を見て誤解したことに、楓ちゃんが気付いている可能性に。
楓ちゃん、ごめん。ごめんね。
楓ちゃんはいつも、わたしのことを想って行動してくれたことを思い出す。
わたしが諦めていた部内のセクハラにも、理不尽な部署ルールにも、楓ちゃんは1人で立ち向かってくれた。
わたしが自分の健康を顧みずに仕事をするのを、何度も止めてくれた。
悠くんに振られた絶望から逃げるために、仕事にのめり込むのをやめられなかったバカなわたしのために、悠くんに会いにいってくれて……。
ミスして落ち込むわたしのために、離田主任に立ちはだかって、悠くんにメッセージまで送ってくれたのだ。
そして、わたしと悠くんが死んだあとも、わたしたちのために願ってくれた。
ーーー楓ちゃんに、会いたい。
会って、感謝を伝えたい。
そう強く願った次の瞬間、わたしは真っ白な空間にいて。
そこには、会いたいと強く願った相手がいた。
わたしは、名前を呼んだ。
「楓ちゃん!」
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