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疾風のマウンド
69.
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時刻は早朝の6時と25分ほどを周っている。
私は行きと同じように、水島さんと軽く走りながらの帰り道だ。
息を弾ませる私に水島さんは尋ねた。
「あの方、プロの選手なの? 有名な選手と練習をしていましたけど」
「いえ……昔はプロだったんですけど、今は違います」
「なら、社会人野球かクラブチーム? 元プロの選手も実業団とかに入団できる時代ですから」
「えっと……違いますね」
その言葉に水島さんは首を傾げる。
「なら、独立リーグの選手かしら」
「……それも違います」
「では何故練習を?」
私は上手く答えられずに口をつぐんでしまった。
寿志さんが練習する理由は弟の次郎さんと対決するため。
ヒーローズから出ることを止めるために戦おうとしている。
しかし、今そんなことを説明したとしても理解してもらえないだろう。
私だって、何故止めようとするのか理解出来ていない。
それに寿志さんとの約束で口外は出来ないのもある。
「現役復帰を目指しているんですよ」
「あら、トライアウトを受けるのかしら。一年に一回、テレビで特集されますものね」
「う、うん。そうそう、それトライアウト」
嘘も方便、でも百パーセントのウソでもない。
寿志さんは弟さんと、ヒーローズの主力投手と対戦するために鍛えている。
それはそれで『一打席限りの現役復帰』という真実でもあるんだ。
「じゃあね、雪村さん。学校でまた会いましょう」
自宅マンションの近くまで来た。
水島さんは笑顔で手を振りながら、別れの挨拶をしてくれる。
私は息を整えつつ、軽く手を振り返し――。
「……水島さん」
「ん?」
今日のことで少し思うことがあった。
それは走りながら考えついたこと……。
私はそれを思い切って告白することにした。
「今日、野球部の練習に参加させて欲しい」
深く考えたというよりも、勢いに近いものだった。
それは寿志さんの力になりたいという気持ちからだ。
私には考えがあった、今は形になるかどうかわからないけども――。
「雪村さん……私はいいけど……」
水島さんは一瞬驚いた顔をして、何かを思ったようだがすぐに優しい笑みを浮かべて返してきた。
「良いわよ、木樽先生には私から話してみる」
「ありがとうございます!」
「でも……正式な入部じゃないんでしょう?」
「っ!」
水島さんは私の心を見透かしたのだろうか。
私の本心をついた。
心を読まれたと思った私はしどろもどろになる。
「え、えっと……そ、それはですね……」
言い訳を考えるも、その時点で正式な入部ではない。
だけども、水島さんは優しく微笑んで言葉を続けた。
「安心して、わざわざ聞くつもりはないわ。雪村さんには雪村さんの事情があるんでしょう?」
その言葉に、私は一瞬驚いて水島さんを見つめた。
彼女の表情は柔らかく、そしてどこか理解を示しているように見えた。
「あなたとグラウンドに立てるだけで嬉しい」
その言葉は、友人となった水島さんの澄んだ想いが伝わってくるようだった。
「ありがとう、水島さん」
深く感謝を込めて微笑み返す。
こうして、私は白いボールを再び手に取ることを決めた。
それは人の想いに応えるための手助けとして――。
***
<都内マンション前>
朝のランニングを終えた。
黒いトレーニングウェアは汗がにじみ、いい具合に温まっていた。
俺は自宅マンション前、自動扉の前にいる。
ここは金持ちが住むようなタワーマンションじゃないが、部屋の広さも家賃もそこそこだ。
そこいらの平社員が住めるようなマンションではない、そこそこの良い暮らしをしている。
何故なら俺はプロ野球選手、それも一軍のエース級の選手だ。
人気球団ではないが、それなりの年棒は貰っている――。
「お疲れ様、次郎」
次郎、それが俺の名前だ。
ヒーローズの主力投手でローテーションの一角を担っている。
「……都築か」
俺の名を呼んだのは都築玲夢。
ヒーローズのチアリーディングチーム『Harmonics』のチアを務めている。
彼女と俺はガキの頃からの腐れ縁というやつで、小学校から高校までずっと一緒だ。
だけども、俺はプロの世界へと飛び込み、都築は大学へと進学した――。
「苗字じゃなくて、下の名前で呼んで欲しいわね」
「バカ野郎、別に恋人同士でもないのに呼ぶ必要があるか?」
「本当、次郎は昔っから面白くないんだから」
しかし、どういうわけか都築は俺がプロ二年目の時にチアのオーディションを受験して合格。
場所は違うが、こうしてまた同じ世界に戻ってきた。
腐れ縁という言葉では片付けられない奇妙な縁だと、俺はいつも感じる。
都築は俺を見上げ、相変わらずのはきはきとした声で話しかけてきた。
「で、何しに来たんだ」
「お兄さんのことよ」
都築のその言葉を聞いて、俺はきっと仏頂面になっていたのだろう。
彼女の眉はしかめていた。
「あなたに本当に勝つつもりよ」
勝つつもり。
俺はそれを聞いて少し気分が悪くなる。
何故、俺達兄弟だけの秘密を都築を知っているのかという疑問からだ。
「おい……お前、知っていたのか」
「寿志さんが毎朝、汗かきながら出勤するもんだから問い詰めたらね」
「兄貴は本当にお喋りだな、昔っから女の誘惑には弱い男だったが」
「女性の扱いに慣れてるだけよ、次郎とは違ってね」
「嫌味か?」
「ふふっ……どうだか」
都築は腰に手を当てて、俺を目を見据えた。
「寿志さんは本気よ。キノさんに打撃の指導を受けているしね」
「あの噂は本当だったのかよ……木ノ本さんの指導はみんな呆れるか、はぐらかすか、逃げるかだけなのに」
「懸命について行ってるわ。それに最近じゃ、懇意にしている野球関係者に頼んで社会人野球や独立リーグの選手に練習を手伝ってもらっている話も聞いてる」
対決に向けての準備は万端ということか。
兄貴は本気で俺に勝つ気でいる。
昔から真面目な人だったから、全力で立ち向かってくることは理解はしている。
憧れの人だが、今は俺を邪魔しようとする壁、だけどもそれは脆い壁だ。
どれだけ、鍛練を積もうと兄貴は一度辞めた人、現役の俺に勝てるはずはない。
嘗めてかかるわけではない、だけども全力で壊さなければならないとも思っている。
「全身全霊で倒してやるさ。それが俺の供養だ」
「供養?」
「兄貴は選手として一度は死んでいる。弟の俺が完全に成仏させ、次へのステップを踏んでやるのさ」
俺は利き腕の右手で人差し指と中指を立て、変化球の握りを作った。
それは新球『ナックルカーブ』の形だ。
「そう……」
都築は寂しそうな顔をしていた。
俺と兄貴をよく知る彼女だからこそ、何か思うことがあるのだろう。
「ところで何しに来たんだ?」
「次郎が二軍に落ちたから、顔を見に来ただけよ」
二軍に落ちたか……。
まあ、悔しいが事実は事実。
情けない話だが少々、春先から飛ばしていたから夏頃にヘバってしまった。
それはいい成績を残して、ヒーローズからおさらばするため、FAで他球団へ移籍するためだ。
「調子は万全だよ、オールスター前には昇格する」
俺は都築にニヤリと笑い、胸の内に秘めた覚悟を表した。
彼女は俺の顔を何も言わず、じっと見ていた。
「――頑張ってね」
短い言葉だったが、何か深い想いが込められているように感じた。
一体どういうことかはこの時はわからなかった。
全く、俺という男は本当に野球バカだ――。
私は行きと同じように、水島さんと軽く走りながらの帰り道だ。
息を弾ませる私に水島さんは尋ねた。
「あの方、プロの選手なの? 有名な選手と練習をしていましたけど」
「いえ……昔はプロだったんですけど、今は違います」
「なら、社会人野球かクラブチーム? 元プロの選手も実業団とかに入団できる時代ですから」
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その言葉に水島さんは首を傾げる。
「なら、独立リーグの選手かしら」
「……それも違います」
「では何故練習を?」
私は上手く答えられずに口をつぐんでしまった。
寿志さんが練習する理由は弟の次郎さんと対決するため。
ヒーローズから出ることを止めるために戦おうとしている。
しかし、今そんなことを説明したとしても理解してもらえないだろう。
私だって、何故止めようとするのか理解出来ていない。
それに寿志さんとの約束で口外は出来ないのもある。
「現役復帰を目指しているんですよ」
「あら、トライアウトを受けるのかしら。一年に一回、テレビで特集されますものね」
「う、うん。そうそう、それトライアウト」
嘘も方便、でも百パーセントのウソでもない。
寿志さんは弟さんと、ヒーローズの主力投手と対戦するために鍛えている。
それはそれで『一打席限りの現役復帰』という真実でもあるんだ。
「じゃあね、雪村さん。学校でまた会いましょう」
自宅マンションの近くまで来た。
水島さんは笑顔で手を振りながら、別れの挨拶をしてくれる。
私は息を整えつつ、軽く手を振り返し――。
「……水島さん」
「ん?」
今日のことで少し思うことがあった。
それは走りながら考えついたこと……。
私はそれを思い切って告白することにした。
「今日、野球部の練習に参加させて欲しい」
深く考えたというよりも、勢いに近いものだった。
それは寿志さんの力になりたいという気持ちからだ。
私には考えがあった、今は形になるかどうかわからないけども――。
「雪村さん……私はいいけど……」
水島さんは一瞬驚いた顔をして、何かを思ったようだがすぐに優しい笑みを浮かべて返してきた。
「良いわよ、木樽先生には私から話してみる」
「ありがとうございます!」
「でも……正式な入部じゃないんでしょう?」
「っ!」
水島さんは私の心を見透かしたのだろうか。
私の本心をついた。
心を読まれたと思った私はしどろもどろになる。
「え、えっと……そ、それはですね……」
言い訳を考えるも、その時点で正式な入部ではない。
だけども、水島さんは優しく微笑んで言葉を続けた。
「安心して、わざわざ聞くつもりはないわ。雪村さんには雪村さんの事情があるんでしょう?」
その言葉に、私は一瞬驚いて水島さんを見つめた。
彼女の表情は柔らかく、そしてどこか理解を示しているように見えた。
「あなたとグラウンドに立てるだけで嬉しい」
その言葉は、友人となった水島さんの澄んだ想いが伝わってくるようだった。
「ありがとう、水島さん」
深く感謝を込めて微笑み返す。
こうして、私は白いボールを再び手に取ることを決めた。
それは人の想いに応えるための手助けとして――。
***
<都内マンション前>
朝のランニングを終えた。
黒いトレーニングウェアは汗がにじみ、いい具合に温まっていた。
俺は自宅マンション前、自動扉の前にいる。
ここは金持ちが住むようなタワーマンションじゃないが、部屋の広さも家賃もそこそこだ。
そこいらの平社員が住めるようなマンションではない、そこそこの良い暮らしをしている。
何故なら俺はプロ野球選手、それも一軍のエース級の選手だ。
人気球団ではないが、それなりの年棒は貰っている――。
「お疲れ様、次郎」
次郎、それが俺の名前だ。
ヒーローズの主力投手でローテーションの一角を担っている。
「……都築か」
俺の名を呼んだのは都築玲夢。
ヒーローズのチアリーディングチーム『Harmonics』のチアを務めている。
彼女と俺はガキの頃からの腐れ縁というやつで、小学校から高校までずっと一緒だ。
だけども、俺はプロの世界へと飛び込み、都築は大学へと進学した――。
「苗字じゃなくて、下の名前で呼んで欲しいわね」
「バカ野郎、別に恋人同士でもないのに呼ぶ必要があるか?」
「本当、次郎は昔っから面白くないんだから」
しかし、どういうわけか都築は俺がプロ二年目の時にチアのオーディションを受験して合格。
場所は違うが、こうしてまた同じ世界に戻ってきた。
腐れ縁という言葉では片付けられない奇妙な縁だと、俺はいつも感じる。
都築は俺を見上げ、相変わらずのはきはきとした声で話しかけてきた。
「で、何しに来たんだ」
「お兄さんのことよ」
都築のその言葉を聞いて、俺はきっと仏頂面になっていたのだろう。
彼女の眉はしかめていた。
「あなたに本当に勝つつもりよ」
勝つつもり。
俺はそれを聞いて少し気分が悪くなる。
何故、俺達兄弟だけの秘密を都築を知っているのかという疑問からだ。
「おい……お前、知っていたのか」
「寿志さんが毎朝、汗かきながら出勤するもんだから問い詰めたらね」
「兄貴は本当にお喋りだな、昔っから女の誘惑には弱い男だったが」
「女性の扱いに慣れてるだけよ、次郎とは違ってね」
「嫌味か?」
「ふふっ……どうだか」
都築は腰に手を当てて、俺を目を見据えた。
「寿志さんは本気よ。キノさんに打撃の指導を受けているしね」
「あの噂は本当だったのかよ……木ノ本さんの指導はみんな呆れるか、はぐらかすか、逃げるかだけなのに」
「懸命について行ってるわ。それに最近じゃ、懇意にしている野球関係者に頼んで社会人野球や独立リーグの選手に練習を手伝ってもらっている話も聞いてる」
対決に向けての準備は万端ということか。
兄貴は本気で俺に勝つ気でいる。
昔から真面目な人だったから、全力で立ち向かってくることは理解はしている。
憧れの人だが、今は俺を邪魔しようとする壁、だけどもそれは脆い壁だ。
どれだけ、鍛練を積もうと兄貴は一度辞めた人、現役の俺に勝てるはずはない。
嘗めてかかるわけではない、だけども全力で壊さなければならないとも思っている。
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「供養?」
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俺は利き腕の右手で人差し指と中指を立て、変化球の握りを作った。
それは新球『ナックルカーブ』の形だ。
「そう……」
都築は寂しそうな顔をしていた。
俺と兄貴をよく知る彼女だからこそ、何か思うことがあるのだろう。
「ところで何しに来たんだ?」
「次郎が二軍に落ちたから、顔を見に来ただけよ」
二軍に落ちたか……。
まあ、悔しいが事実は事実。
情けない話だが少々、春先から飛ばしていたから夏頃にヘバってしまった。
それはいい成績を残して、ヒーローズからおさらばするため、FAで他球団へ移籍するためだ。
「調子は万全だよ、オールスター前には昇格する」
俺は都築にニヤリと笑い、胸の内に秘めた覚悟を表した。
彼女は俺の顔を何も言わず、じっと見ていた。
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