ダイヤモンドの星と神 「その名に祈りを込めて、私は歩き出す」

理乃碧王

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祈りの日本シリーズの記録

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 週刊ベースボールスターズ 20××年日本シリーズ完全総括特集号

 その名に祈りを込めて、ヒーローズが掴んだ日本一!

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 全7戦の記録と記憶、祈りと采配の全て

 第1戦:レジェンド球場/DHあり  
 ヒーローズ 6 - 3 ジャガーズ
 勝:高鳥 S:伊能次 敗:浦上

 開幕戦、矢田監督は井沢ではなく浦上を先に読んで高鳥を先発に起用。
 これがズバリ的中した。  
 ヒーローズは1番葵の四球から宮本の右前打、ビーバーの2点タイムリーで初回に先制。
 6回にはアルトが右越えソロ。  
 守備では入江が2度の好捕で失点阻止。
 中盤以降の失策も蔦岡→綾林→伊能次の継投で締めた。  
 ジャガーズはダースが特大弾も、後続が続かず。

 采配注目:ヒーローズは『初戦は動かず』の打順固定策で、繋ぎの強さを重視。

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 第2戦:レジェンド球場/DHあり  
 ヒーローズ 1 - 5 ジャガーズ
 勝:井沢 S:高知 敗:伊丹

 岡野監督が『絶対的エース』井沢を温存せず第2戦に投入。  
 これに対し、ヒーローズはエース伊丹で応戦。
 結果的に試合は投手戦へ。  
 ジャガーズは4回、真壁・木下・メイシーの連打で満塁とするとダースがセンターへ豪快な満塁弾。  
 東郷の犠飛で1点返すも、井沢—高知の無失点リレーの前に追加点は奪えず。

 采配注目:岡野監督の井沢即投入+松方桜のワンポイント起用 (対アルト)で流れを確実に手に。

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 第3戦:ジャガーズスタジアム/DHなし  
 ヒーローズ 3 - 4 ジャガーズ(延長10回)
 勝:富山 敗:蔦岡

 初回、青星がヒットと盗塁から三崎のタイムリーで先制。  
 ヒーローズは5回、入江が左前タイムリーで逆転に成功するも、ジャガーズは7回にダースのタイムリーで追いつく。  
 9回に代打浜浦ツーベース→葵がバント→宮本信の中犠飛で一時勝ち越しも、9回裏に釜谷の内野安打で追いつかれる。  
 延長10回、福岡の代打四球→青星が再びヒットで出塁、最後は代打の梅之内が中前へ運びサヨナラ勝ち。

 采配注目:岡野監督が福岡→梅之内と『代打2枚連続』で逆転を呼んだ攻撃采配。

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 第4戦:ジャガーズスタジアム/DHなし  
 ヒーローズ 5 - 2 ジャガーズ
 勝:アトラス S:伊能次 敗:東

 ヒーローズは助っ人アトラスが好投。
 打ってはビーバーが中前打で先制。  
 4回には代打浜浦がライトへタイムリー。
 5回、唐橋がピンチを招くもセカンドの張の好守備で無失点。  
 8回には青島の代打ヒット→萩原の代走→盗塁で流れを呼び、東郷の内野ゴロで追加点。  
 ジャガーズは先発・東の制球乱調が響いた。

 采配注目:矢田監督が代打から代走・犠飛へという流れを完璧に構築した中盤勝負。

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 第5戦:ジャガーズスタジアム/DHなし  
 ヒーローズ 1 - 3 ジャガーズ 
 勝:浦上 S:高知 敗:舟渡

 浦上が6回途中まで無失点と安定感抜群。
 ジャガーズは木下の3塁打→ダースの犠飛で加点。  
 ヒーローズは終盤に代打九田を起用するも実らず、唯一の得点は入江のソロ。  
 守備固めに熊本、左の松方桜がアルトを空振り三振に仕留めリードを守り切る。

 采配注目:ジャガーズは松方桜の左ワンポイント活用で、ヒーローズ打線の核心を絶った。

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 第6戦:レジェンド球場/DHあり
 ヒーローズ 7 - 6 ジャガーズ
 勝:式田 S:伊能次 敗:石戸

 打撃戦の様相。
 ヒーローズは葵が初回にソロを放つと、張・宮本・ビーバー・アルトが繋ぎ一挙4得点。  
 ジャガーズも黙っておらず、ダース・メイシー・佐竹輝が連打。
 6回には佐竹太の代打タイムリーで同点。  
 8回裏、知花がスクイズで決勝点。最後は伊能次が三者連続三振で締めた。

 采配注目:矢田のスクイズ策と、ベン北田→式田→伊能の『ロング継投』が光る。

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 第7戦:レジェンド球場/DHあり  
 ヒーローズ 3 - 2 ジャガーズ
 勝:伊丹 S:伊能次 敗:高知

 まさに『祈りの最終戦』。  
 初回、葵の二塁打→張→宮本の内野ゴロで先制。
 ビーバーがセンターへタイムリーで加点。  
 ダースの2点二塁打でジャガーズが同点に追いつくも、7回裏、代打青島が四球→萩原の代走盗塁→東郷の犠飛で再び勝ち越し。  
 9回表、ジャガーズは二死満塁で4番・ダースを迎えるも、伊能次が渾身のフォークで三振斬り。

 采配注目:両監督が動かずに託すことを選んだラスト。祈りと信頼が交差した頂上決戦。

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 編集部総括

 東京ヒーローズは繋ぐ野球を極めた。  
 一発よりも、一歩ずつ。
 バント、盗塁、犠打、そして言葉ではない想いの継投。
 関王ジャガーズは、信じて託す野球を貫いた。  
 打順は崩さず、ダースの4番に意味を与え戦い続けた。
 その交差点にあったのは――たった『一球』だった。

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 20××年 日本シリーズ 個人表彰

 最優秀選手賞:葵アロン (東京ヒーローズ・外野手)

 打率 .429/出塁率 .531/2本塁打/7得点/3盗塁。
 シリーズ全試合で1番・右翼として出場。
 第6戦での初回の先頭打者弾、第7戦の決勝点の起点。
 走塁・守備・打撃全てで、先陣を切る姿勢が際立った。
 ファンからは『勇者アロン』の愛称で支持を集めた。  
 チームの祈りを風に乗せた男として、日本一の先頭に立ち続けた。

 葵「ずっと、ただ走ってました。信じて、繋いで、走って――勇球必打を胸に」

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 優秀選手賞:宮本信作 (東京ヒーローズ・遊撃手)

 打点王らしい勝負強さでシリーズ通算9打点。
 第4戦の逆転タイムリー、第7戦の犠飛による先制点など「ここで欲しい1点」を呼び込む打撃が印象的だった。

 宮本信「打点は記録だけど、想いを返せる瞬間です。ファンのため、父のために形に出来てよかった」

 優秀選手賞:ランヴェイ・ダース (関王ジャガーズ・一塁手)

 メ・リーグ三冠王の風格そのままに、打率.381/2HR/8打点。
 第2戦では満塁弾、第5戦では貴重な先制犠飛を放つなど、 ジャガーズ打線の『心臓』として常に警戒され続けた。
 第7戦での伊能次郎との対決はシリーズ最大の名場面。

 ダース「あの最後の一球は、まるで星の祈りを見ているようだった。流れ星のようなフォークだったよ」

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 敢闘選手賞:伊能次郎 (東京ヒーローズ・抑え)

 6試合登板、防御率0.00。
 シリーズ中、走者を背負いながらも一度も得点を許さなかった。
 第7戦では、満塁から三冠王ダースを渾身のフォークで空振り三振。  
 まさに『勝利を託されたクローザー』として、記憶に残るエンディングを飾った。

 伊能次「兄貴のぶんも、皆のぶんも、背負って投げました」

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 ファン感動賞:青島謙一郎 (東京ヒーローズ・外野手)

 登場3打席中2四球・1安打・1得点。
 数字以上に流れを変える男として、プロ野球ファンに鮮烈な印象を残した。  
 特に第7戦での四球→萩原→東郷の犠飛の流れは「名もなき一打席」が生んだ奇跡としてSNSでも話題に。

 青島「ヒーローズが日本一になるなんてね。野球をやっていてよかったよ」

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 その他ノミネート・ファン注目選手 (編集部選)

 張賢碩 (ヒーローズ):全試合出塁、守備でも要所でファインプレー。韓国出身の独立リーグからの這い上がりが話題に。
 入江功晶 (ヒーローズ):攻守で『シリーズ男』の異名を欲しいままに。打撃で3試合勝利に貢献。
 青星光流 (ジャガーズ):3盗塁・2得点。俊足を活かしたトップバッターとして第1・2戦で大仕事。
 松方桜四郎 (ジャガーズ):対左打者を完全封殺。第5戦で宮本を空振り三振に仕留めた一球は圧巻。
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