ドランリープ

RHone

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0章  龍眠境プロジェクト

『足りない』-2-

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「足りないんですよ」
 先に渡されていたデータを書籍端末に呼び出しながら『彼』はそう切り出した。
「そのようだね」
 俺は資料の内容を把握している事を伝える為に、そのように言葉を返す。
 正直に言えば、システム末端の統括でしかない俺は、今回の件に何か意見を言える立場ではない。自分の受け持つ部署では不要なデータを読まされるのは少々苦痛だった。
 俺はヒマじゃない。
 ヘタな干渉をされたくないので、本当にヒマな時でもそのように装っている。本来なら管轄外だからと相談には応じない所なのだけど、『彼』が出てきたとなると無碍には出来ない。
 きっと、俺が忙しいからと調査協力に消極的態度を取るだろう事を上は見抜いているな。調査相談役としてやってきたのは、同僚……と呼ぶにそれ以上の特殊な関係を持っている五十嵐。
 『彼』は、基本的にはめんどくさがり屋で積極的には面倒事には首を突っ込まないという俺の性格を、よく知っている友人の一人でもある。
「お忙しい中すみませんね」
 形だけの挨拶を忘れない、この五十嵐にはヘタな作り話など通用しない。俺はソイラッテの湯気立つ紙コップを掴んで少しだけ啜る。
「状況は大凡把握しているよ。……今回も前回同様のバグなんじゃないのか」
「貴方はそう思いますか」
「一号はどうなの」
 五十嵐、は本名でハンドルネーム等で『彼』は、一号と名乗っている。俺の部署はリアル人間関係に少々難ありな人物の多い変な所だから、日常H.N.(ハンドルネーム)での呼び合いが常なんだ。それで、俺は未だに『彼』の事をソッチで呼んでいる。
「そうですね……外から見れば広い状況を見渡す事は可能ですが、中から見てみると各種詳細は把握出来るのに俯瞰がし辛い。判断に迷う所です。しかし、このデータが示す通り外側から見る限りでは、予想されていない結果が返されているのは明確です」
「どっかにバグがあるのは間違いないだろうなぁ……一応釘刺しておくけど、そのバグはシステムのだから俺の部署でデバックは出来ないぞ」
 何より、プログラムの機密保持、という問題もある。システム開発とその上で走らせるソフトウェア開発じゃ生えてる土壌からして違いすぎる。
「しかし、都度小さなバグがある事を見抜いて報告して頂くに、貴方の部署が業績トップクラスみたいですよ」
「凝り性が多いんだよ、小さな石ころが落ちているのを無視出来ない気質の奴が多いだけ」
 データの呼び込みが終わり、五十嵐は問題のデータグラフをデスクに呼び出しながら唐突に話を切り替えて来た。
「正直に言えば、私は言語は書けますがシステム設計図は引けません。業務内容的にも設計図を引く部署には属しておりませんしね」
「それは俺の所も同じだよ」
「この場合、設計図が悪いのかそれとも、それを元に組み立てを行ったプログラマーが悪いのかどうか。そこにはっきりとした答えを出せずにいるようです」
「……」
「……今回の問題について加藤さんの方でバグを見つける事が出来ていないという事実からして、設計図のミスではないかと私は、考えています」
 確かにな、俺は最初からそうだろうと言って関わり合いを避けようとしてしまった。五十嵐からイニシアチブがっちり掴まれちゃったな、こりゃ。
「でもさ、この報告書見る限り今んところは問題ないんだろ?」
 それでも俺は面倒事なんか押しつけられたくないぞ?ようやく温くなってきたソイラッテを啜りながら、テーブルのガラス面に展開されたPDFファイルを幾つか拾って小さく小突く。
「しかし、シミュレーションの結果、数年後には深刻な事態を引き起こす可能性が捨て切れません」
「このシミュの通り、10年先まで続けてサービスするかなんて分からないと思うんだけどな……この業界、入れ替わり激しいし」
「それはそうですが、有る程度のバックアップ義務があります」
「あ、そうか……」
 それはまた違う部署になるから失念していた。
「また、開発企画部からの報告によると……」
 五十嵐は少しだけ声を潜めた。資料にその項目が無い所、今の所は極秘情報なのだろう。
「入れ替えるにしても、現状システム設計を下敷きとした立て替え計画で進めるようですよ。その方が開発コストも低い訳ですし」
「だろうなぁ……成る程、設計図にミスがあるなら今のうちに探して直しておきたいって事か」
 俺は、ため息を漏らしていた。

 どうして俺と一号事五十嵐が、本来門外漢であるはずの『システム設計』の問題について調査、相談をしているのか。
 もちろん俺は察している。
 外側から問題が分からないから『今回も』内側から問題を解決出来ないだろうか……と、上から期待されているのだろう。

 確かに、そういう実績は持ってるよ?偶然の産物ではあるけれど……。

「データから読み解くに、これってユーザーの多さが原因だろ?」
 問題とは。俺達が関わっているネットワーク型のユーザー共有ゲームシステムで、中央演算システムで処理する情報が増加の一途を辿ると云う事、だろうな。
 資料を読む限りではそれが『問題』の根本原因だろう。でもそれは当たり前の話だ。もう一歩踏み込んで言えば……増加スピードが予測よりも大きくなりすぎるという事かな。
 いずれ情報がパンクする事を踏まえ、情報は不要となった部分から消去、あるいは拡散していくシステムは組まれている。それがうまく機能していない。計算上ではそれでつり合いがとれるはずなのに『とれていない』。だから多分、そこが問題だろうと思う。
 情報量は一向に減衰しない、エントロピーの増大だけを招いている……。

 管理されているはずの、世界。

 エントロピー増大とは大雑把に人間に例えるとすれば『いずれ死ぬ結末』の事、避けがたい運命の事だ。エントロピーとは無秩序の度合いを示すものであるから、それが増大すれば世界は自然と秩序を失い滅びる……という考え方が出来るかな。エントロピーからしてみれば秩序とは、避けがたい世界の摂理に逆らう事でもある。そう云う意味では生命体の多くは『秩序』とも言えるだろう。
 エントロピーを減衰させる為に、世界に秩序を促すシステムはネゲントロピー(エントロピーの逆)を作り出すような働きかけをしている。すなわちエントロピーに満ちた世界に生じたゲームユーザーは、その仮想世界の中で自らネゲントロピーとなり世界を維持するという系を成してる。
 それが『システム設計図』の根源であり、管理された『世界』の姿だ。

「ユーザーの多さが現実的な無秩序を招いているって事じゃないのか?」
「正確には、ポリシーを守らないユーザーの多さが原因かと思います。いくら多数であれ、その多数が秩序に組みすれば無秩序とは成りません。しかし、多数であればあるだけエントロピーは増大しているという法則を持ち出すのであれば……これは、極々自然な成り行きとも言えるのかも知れませんね」
 混沌と広がる世界に秩序を与えようとする働きが一種、義務づけられている。ところがそれに従わない者が一定数存在し、それらが足を引っ張っている……?そういう連中が全員足並みそろえられる筈が無いし、そういう一部の動きは所詮一部だろう?
 なんだかしっくりこないな。問題は……そこじゃないのか?
「そこまで分かってるなら舵取りの方向なんて決まっているようなものだろ?規制が甘いんだよ」
 ようするに、プレイヤーに自由を与えすぎなんだ。あるいは……自由の意味を履き違えている奴らが多すぎる。
 五十嵐は苦笑して、俺の言い分を否定しない事を示した。
「一旦サーバー止めてユーザーから不満が出るとしても、規制を強める修正パッチを当てるべきだろう」
「それが、難しいとしたら」
「出来ないのならこのシミュの結果を素直に受止めて……サービス終了も視野に入れ、世界が終るまで。出来る限りの苦肉の策を敷くしかないだろうな」
 なるほど、もはや増加のベクトルは止めようがない、そのように判断しての事か。俺は、そのように五十嵐とアイコンタクトをしていた。
「それで」
「新型の投入を早めるそうです」
 それもまた今初めて聞いた話だ。極秘情報なのかな。
「また、俺達にテストプレイさせようって話か?」
「いえ、加藤さんを含め我々にはもうそのようなヒマは無いでしょうし、今回の新型投入は極めて異例な方法を取るとの事で……」
 五十嵐は、声を潜めて呟いた。
「例の、最後に発覚したバグ」
「……ああ」

 第三の扉問題、か。

 増大した混沌に、世界そのものが辻褄を合わせるべく開いた謎の扉。トビラは、情報の一方通行を意味する『専門用語』。あれは、増加した混沌を解消する為に開かれているとは言い難い。
 逆だ。
 世界が混沌に向かい、破滅に向かおうとするのを助長しているようにも思う。
「密かにこれの解消に向けた研究が行われていたようです」
「そうなんだ……俺達位には先に教えてくれても良いのにな」
「有る程度形になったのでようやく開示してくれたようですよ」
「……成る程」
 一応は理解を示して、それで。何が分かったんだと小声で伺う。
「どうにも、あちらからこちらへと情報の移動が起きているらしいんですけれどね。肝心のこちらの受け皿が何なのかさっぱり分からないのだそうです。おかげで情報量の単なる消失のように見えますが」
 そうか……『第三の扉』と云われる、極秘の、謎の想定外。
 それは、こちらから送りつけたはずのネゲントロピーを、あちら側がこちらに差し戻すための扉だったという事か……?
 辻褄合わせが世界の意図なら、確かに、それで理論的には釣り合う気がする。
 恐らく、俺達がテストプレイを行ったゲーム世界のエントロピーは、ゲームとして開かれるに当たり一方的な調整を受け、世界が混沌へと拡散する運動が妨げられたのだろう。ネゲントロピーが溢れたんだ。意図的な、秩序を持ったオブジェクトを俺達で作りすぎた。
「しかしそもそも、彼女の中のエントロピーって存在次元が違うんじゃないのか?」

 コンピューター、そして脳システムの中に箱庭として創造された世界。
 増大するエントロピーは、接続されたプレイヤーというネゲントロピーによって中和され、そしてセカイ系は保たれている。

 俺達が属する世界とは『世界』が違う。それなのに、情報が行き来するのは何故だろう。
 あのゲームの中で繰返した事は、所詮プレイヤーが『一つの世界』を共有して見ていただけの夢だ。
 俺達が仕事として管理しているゲームの本質は、夢という形でネゲントロピーに昇華される情報について、意識として広げやすいフィールドを与えているだけ。夢の中から拾ってきたと思った事は何のことはない、無から創造されたものではなくて、拾い集めて自分の中に溜め込んだガラクタや塵芥、それをこねくり回して改変してたものでそれを自分自身の中で再発見し、改ためて価値を見出しているに過ぎない。

 これは、そう云う事に自分自身で気が付くためのゲームなんだよ。

 第三の扉と呼ばれる『バグ』は……俺達がゲームと称する『野』より出でてこちらの世界に返すもの。それは、あるいは『彼女』とも呼ばれる。
 第三の扉を含め、その扉を潜り消えた情報は全て彼女の『妄想』だ。
 それは、彼女の中で閉じて、完結していなければならないはずなのに。

「次元の違いは我々の感知出来る所ではありませんよ、それこそ『彼女』の提供を行った科学者達の仕事です」
 それも、そうだな。俺達はそういう畑で働いているんじゃないんだ、そんなところを考えた所で、直面している問題は解決しない。
「第三の扉は俺達に言わればバグって事で結論は出てる。……エントロピー増大を防ぐためのネゲントロピーを消失させてしまっているなら、それはもう完全な想定外だ」
「世界の意図など知りようもありません、そんなものがあるのかどうかも分からない、しかし……彼ならば、それが世界の望んだ事だと言うかも知れませんね」
 あいつか、確かに無責任にそんな事を言うだろう。
「そいつが正しいかどうか、誰にとって、何にとって『正しい』かどうかなんて分かったもんじゃない。でも俺達は『正しい』と呼べる地面の上に立ってなくちゃいけない」
 それが仕事だ。
「我々の『正しい』は世界を秩序の上に存続させる事です。すなわち、システムを正常に保ちゲームとしてを維持する事」
「どうするんだ」
 俺は、鋭く問う。五十嵐は胸ポケットから小さな大容量メモリチップのケースを取り出し、その中から一枚抜き取って俺の掌に置いた。
「コードネーム・龍眠境、パスについてはこちらで」
 名刺の裏に何かを走り書き、伏せて渡す。
「新しい循環系を作ろう、という事のようです」
「それで、中からのアプローチも必要なんだな」
「かなり前に頂いていた報告書で、シコク=システムの不足につき3つまで増やしましたが限界でしょう。恐らく足りていないのです」
「経験値のマイナスを補うシステムの出力不足?問題なのはエントロピーの質って奴だろう?余裕がないからと場面を増やした所で、シコクで提供できる経験値の質が悪ければ問題解決にはならない……と、そうか」
 そういえば、そんな報告書を結構昔に、俺で提出したかもな。上の人にその話をして、面白いから報告書くれって言われて何気なく出した奴だ。……ちゃんと読んで、参考にしてくれてたんだ。仕事が忙しいとか言って、すっかり忘れていた。
「極秘の、リストも入っています。紛失やコピーにはくれぐれも気を付けて取り扱ってください」
「これは、俺と一号だけ?」
「あとは照井さんにもう少し話を絞った上でお話しします、有る程度ご協力は仰げると思いますので。必要であれば必要と思う方にご説明差し上げても構わないそうです、その判断は任せると……私の所にそのような形で降りてきたものですから」
 五十嵐がコピーしてこれを俺に渡してくるのは、『彼』自身の判断という事だろう。
「分かった、家に帰って目を通すよ」
 双方まだ時間があるので、飲みかけの飲料を空にするまでもう少し話せるな……。
「で、その龍眠境とやら、詳しい事は話せないのか」
「システムとしては単純なのですが、内部の意図的には極秘情報が含まれます。口外は控えるように、との事です。ぶっちゃければ、シコクでの条件転生システムと同じですね」
「じゃ、これも同じようなものかな」
 今あるゲームサービスと、同じものを別に作るのだろうかと俺は思ったのでそう尋ねる。
「同じようなものですがセカイ系が異なります」
 という事は、今のゲームで上手く改善策を実施出来ない問題については、この新プロジェクトにおいては解消されていると考えて良いのかな?
「自由が保証されているブルーフラグは無しだ、とか?」
「そこを変えてはユーザーが付きません」
 だよなぁ、と……すっかり醒めたソイラッテを口に運ぶ。
「じゃ、どうやってユーザーの行動を制限するんだ?」
「簡単に言えば、ダブルフラグという新しいプランになります。勝手にフラグを折ったり出来ないように添え木するようなイメージでよいでしょう。二旗は龍眠境の肝でもあります」
「ふぅん……何はともあれ、新しいのは気になるな。いずれ俺達にもやらせてくれるのかな?」
「それは、どうでしょうね」
 五十嵐は苦笑いで答える。すでに新システムを知っている、何やら訳ありの笑みを俺から逸らす。
「資料を読めば分かる事ですが、我々で隠す意図を事前に知っていれば、挑む勇気は失われるかも知れませんよ」
「それは悪徳だねぇ」
 ネタを知っていると、この夢の中で遊ぶゲームの意図する所に……なんだろうな、思う事は色々あるし、本当に人それぞれなんだけど。
 『ぞっとする』かな。
 ちょっと怖くも思える事が少なからずあった。今動いている実機においてもその辺りの仕様は変えていないはずだ。だから、この『ぞっとする』感覚、すでに多くのユーザーが独自に受け取っているものだろうと俺は思うね。
 出来については幸い、良い評価を得ていて未だに一種社会現象も起こしてヒット中だ。この社会現象の規模や意図する所は正確ではないにせよ、何かしら起こるだろう予感は企画開発の段階で盛り込み済みなので驚くことは無いし、すでにそうなった場合の手は打ってある。
 なるほど、そうか。五十嵐が何気なく言った言葉を思い出して俺は、残り僅かなソイラッテをカップの中で軽く回しながら言った。
「フラグを折る奴らが居たな、そういえば」
「ええ、トラブルメイカーレベル5の括りです」
「もしかして、一緒に解決しようとしてる?」
「まぁ、テスト運用ですので」
 答えをはぐらかしたな、うっすら笑っている五十嵐に、俺は意地の悪い笑みを返して残り僅かだった紙コップの中身を飲み干した。
 そうか、なるほど。だとすればこのテストプレイは『ぞっとする』な。
 その感覚が癖になってやめられない人もいれば、俺みたいに躊躇する人も居る。そう、俺はあの感覚に『ぞっとする』と云う位なんだから……知りすぎた今、あの世界に行く事は少しだけ、怖いという感覚を拭う事は出来ずにいるのだろう。
 五十嵐には、そういう俺の気持ちはバレてしまっているから……安易に遊んでみたいなんて言わない方がいいですよ、などと警告してくれた訳か。でもそれでも気になって、無視できないとすれば俺も、実は癖になって止められない方なのかもしれない。

 怖い思いは、実際体験しない事には『怖い』と認識出来なかったりするものさ。

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