異世界創造NOSYUYO トビラ

RHone

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3章  トビラの夢   『ゲームオーバーにはまだ早い』

書の1後半 より強く『水晶ゲットでジョブチェンジ?クポ?』

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■書の1後半■ より強く must strange

「失礼ですが、」
 と口を挟んできたのはレッドじゃなくてナッツだ。
「シーミリオン国が閉ざされて数百年……どのような事情になっているのか、僕等は何も分からない。聞こえてくるのは一種おとぎ話で、それが真実だろうとまかり通っている。しかし閉ざされる前の話では、この国の王は水貴族種ではなかったはずでは?」
 俺は必死にそうだっけか?とシーミリオン国について『思い出そう』としたが、残念ながらコウリーリスの田舎者が思い出せるのは、北西の海中の国シーミリオンってフレーズだけでした。くそう、話について行けん!
「……元々シーミリオンも西方皇族の血を引く系譜。元を正せば千年王国エルエラーサの王、シュラードの血筋です。……確かに閉ざされた間に何があったのか、興味の在る話ですね」
 と、レッドが応酬。だーッもう、一々思い出すコマンドすんのも面倒な程一気に色々な単語出すんじゃねぇ!
「水際に、適応する必要があったのです」
 キリュウが重い口を開く。
「数百年前に大陸の殆どが沈み、王もまた海中にて国を治める必要がありましたからね……いずれ魔種との混血は進めるつもりでしたが……」
「シーミリオン王族は魔種との混血を、南国のルーンザード王朝の様に上手く行う事が出来なかったのです」
 ユーステルがキリュウの言葉を引き継いだ。って、またなんか新しい単語出したな?

 西方皇族に、千年王国エルエラーサ、シュラード、南国ルーンザード王朝……?

 なんでレッドとナッツはそんなディープな知識をさも昔から知っている事のように話に組み入れてきやがるんだ?逆に、そっちの方が不思議だぜ。
 俺は、俺と同じレベルであるはずのアベルとマツナギを窺う。……よっし、二人とも分かって無いって顔だ。心の中で仲間がいたぜとガッツポーズ。
「元より海中の国を維持するのは様々な困難があり、早急な民族の魔種化が必要でした」
「魔種化……環境への適応となる、速い速度での進化。その道を約束するのは自由である事を司る精霊、ジーンウイントの囁きです。魔物化は、この世界にあって許されている劇的な変化の手段。そして、その魔物化を安定させて種として確立したのが……魔種です」
 知識が追いついていない俺たちを察してか、レッドが補足してくれる。
 その配慮は嬉しいんだが、悪い。それでも俺にはすんなり事情が理解出来ない。

 うーんそこまで俺はバカだっただろうかと考えたら、なぜかおかしな事を俺は、思い出す。

 俺は魔種混血の度合いが分からない森東方人の『人間』だろう、って事を、だな。
 なぜか思い出した。

 当然、思い出したんだからサトウハヤトの記憶じゃない。こっちの世界の戦士ヤトの事情でなぜか、そんな事を思い出して来たんだ。
 リアルである俺自身の意識で、ふいと隣のアベルやマツナギに目が行った。俺がさり気なく盗み見たのに幸い2人は気がついてない。赤い髪と赤い目の遠東方人アベルと、暗黒貴族種のマツナギ。二人は俺みたいな脆弱な、何も特徴を持ち合わせていない『人間』とは違う。
 魔種という分類の生物で、種族だ。
 ああそうか。もしかすると俺が魔種とかいうのをよく理解していないのは、田舎者であるという事情のほかに、人間だっていうのもあるのかもしれないな。

 遡って第6期とかいう時代、今から区切りで二つ前。何年前の話なのかは知らん、バカな俺に聞くな。
 とにかく、その頃人間はこの世界の大半を占め、人間以外の知的種族は『存在してはならない』ものという意味をこめ、迫害されていたと伝えられている。そういう歴史は田舎町の寺子屋でもしっかり教えられていて、そして何故かその歴史を、俺は何か……衝撃を受けたように記憶している。ずっと忘れる事なく思い出す事ができるんだ、どこにショックを受けたのだろう?価値観が昔と全然違う事?人間より優位種である魔種が劣等扱いだった事?
 人間である『俺』がびっくりするような事なのだから、実際迫害を受けてきた種族がその過去をどれだけ大事に、どれだけ鮮明に語り継いでいるか。
 人間は愚鈍だ、魔種や魔種混血に比べたらはっきり行って劣等種だ。ただ数が多いというだけで、個人になっちまったら本当に、弱っちいんだ。
 だったら、人間にしてパーティの人柱……じゃなくって、リーダーを務める俺ってスゴくね?

 ……いや、今はそんな事を考えていたんじゃないんだった。

 とにかくだ……魔種がどうのこうのと云う話をいまいち俺が理解しないのは、この人間ゆえの愚鈍さだと思う。……決して、俺がバカではないのだと信じたい。
 言い訳がましいのは分かってる、分かってるがッ!!きっと戦士ヤトは魔種成立の流れは、人間には関係のない事だと聞き流してしまう気質が備わっているものと思い込んでおこう。……幸い人間にはそういう『気質』がマジメな話、あるらしいからな。
 そういう事実は思い出せる。

「リュステル、つまり私の兄は、英雄なのです」
 キリュウが静かに感情を押し殺した様に呟いた。
「ユースを含む皇族と多くの民を水貴族種へ移行させる薬を開発し、海中へと没するに至った前ミリオン国の、多くの人民を救いました」
「つまりそれって、人間を魔物にする薬って事?」
「その話は聞いた事がありますね……。確かに、魔種へ移行する間には魔物となって道を探す事が必然的に必要な行為なのですが……かの一族は、人間から直接魔種となったと云います。魔物化が急激な進化とも云われるとはいえ、そこまで早急な変態が可能なのだろうかと、考えた事がありましたが」
 レッドは、何かを思い出すように上目使いにして続けた。
「副作用も無く?」
 ユーステルが小さくうなずいた。
「禁じられた行為に手を出す悲劇を繰り返した訳ではありません。思われているほど、そういった重い見返りは無かったと思っています」
 それを聞いてレッドは、口に手を当てて何かを思い出す様な仕草をしてみせたな。ちょっとわざとらしい。
「海中に没する国、住む場所を奪われた人々を率い海中に国を維持するために悪魔との契約を行った王がいた、とも聞きますね。……しかし、当然とその契約は禁じられている事。多くの人間を救ったにも関わらず定まりとして、王は神の御手より首をはねられた。しかし……その首と流れた血は、暫くの間海中の王国を支えた、と」
「……それってなんだか酷い話みたいに聞こえるけど。本当にあった話なの?」
 アベルの同情の声に、ユーステルは小さく呟いた。
「それは、ルースルーズ魔王の説話です」
「魔王?」
「……ええ、悪魔と契約した王という事でそう呼ばれる事がありますし、実際私の国でもその様に、ある意味敬意を表してお呼びしています。……当然私の祖先に当たるのですが」
 その、ルースルーズ魔王ってのもシーミリオン国では英雄に数えられる一人なんだろうな、きっと。そこにアクマが現れてるわけだけど、一種おとぎ話だからアクマが存在した証明にはならないのだろう。

 ユーステルの祖先、ルースルーズ魔王っていうのは要するに、やってはいけないとされる『悪魔との契約』事を行って、無残にも首を刎ねられた。そうなってしまうとしても、アクマ的な契約の元に国を支えたって伝えられてるんだろ?だから魔王とは呼ばれてるけど……シーミリオン国では一種英雄視されている、事実はどうあれ。

「しかしルースルーズ魔王の加護も長くは持ちませんでした。王が命を失う事になってでも守ろうとした国を、維持していくには……あとは、人が魔種として海中に適応していくしかなかったのです」
「それで貴方のお兄さんが……人間を魔種に変えてしまう薬を開発して、それで皆救われたって事?」
 アインが首を傾げて聞くと、その通りだとなぜかキリュウは苦い顔で頷いた。

 魔物にするという薬が、人を、国を救う事になるのか。

 人が魔物になって国が滅びたり、不幸になったりする話はよくあるが、それで国が救われるってんだから不思議な世界だよなぁ、ここは。
「……それで何か、まずい事でもあったのかい?」
 マツナギが聞くと、キリュウは苦い顔で床を見つめたまま言った。
「私の兄は……言うなればとても、奇人変人に分類されます。紙一重に天才と呼ぶのかもしれません。ですから、あまり英雄として祭り上げられる事を望んでいなかった様です。医師でしたので人を救う事には懸命でしたけれども……政治には関わりたくなかったようで」
「でも、私の……伴侶になることは約束してくれたわ!」
「それは……」
 キリュウがそう言って言葉を濁すと、なぜかユーステルも口を閉じその続きは強く言わずに黙り込んでしまう。

 おや?恋愛事情じゃないのか?

 ユーステルの口調だと、なんだかその予定王様の対応はまるで『義務』的に、ユーステルの隣に来ているみたいに聞こえるんだが?

「ですからあの人は人々を救う事で英雄として、そして王としてこの国を治める者として。そういう風に振る舞わなければならない立場になる事は、在る程度覚悟した様です」
 しかし、とキリュウは厳しい目を上げる。
「……結局彼は逃げたんですよ。現れた神を散々疑いながら、結局ナーイアストの啓示を優先し、魔王を討つなどと言い出して旅立ち……」
 そんで、戻ってこなかったのか。
「……でも、死んだって確証もないんだろ?」
 確かに彼女等とナーイアストは、多くの勇士が死んだと言った。ギルから殆どの魔王討伐隊の英雄は殺されたとも言っていた。
 でも、それを誰が確かめたんだ?魔王が殺した英雄を串刺しにして晒しものにしたってわけでもないんだろ?多分……ほら、その第一次魔王討伐隊ってのは在る意味極秘に行われているはずだからな。現状魔王なんてのが存在する事態を、国は、大陸座は、世界に対し隠したい様な素振りじゃねぇか。一般的な事じゃないのなら、第一次魔王討伐の結果そのものが現在も秘匿されてるし、その事実は誰かの『騙り』でしかない可能性もあるじゃん。
「そうです、生死がはっきりしないからこそ、私は彼が逃げたと思っている。そしてその懸念を我が国の大半が抱いているのが現状です。確かに兄は国を救った英雄です。しかし人が望み、在るように望まれる英雄の姿を演じる事を彼は嫌った。今やあの人を英雄視する熱は冷め、」
 キリュウは一旦言葉を切り、唾を飲み込み調子を整えてから続ける。
「偏屈な天才は気まぐれに、シーミリオン国を救ったのだと思われている」
「何よ、その評価に貴方は満足してないんでしょ?」
 突然飛んだ鋭い声に、びっくりしてキリュウは顔を上げる。
「てっきりその兄さんの事、嫌いなのかと思ったけど、違うわよね?」
 そのあまりに鋭いアベルの切り込みに、キリュウは目を瞬かせそして俯いた。
「ええ……そうですね。憎もうともしましたがそれは無理です。私には、あの人はやはり誇らしい、眩しい存在です」
「ならユーステル女王みたいに素直になりなさいよ」
「ま、まぁまぁ……色々と立場ってものがあるんだろう?」
 ナッツが抑えようとするが、アベル、止まりません。
「そんな事、ここなら関係無いじゃないの?キリュウと女王しかいないんだもの」
 うわー、いっつもあの勢いで矛先が俺に向いてるからなぁ、たまに見てる側に入ると、よく俺あんな鋭いアベルの言葉の切り込みに対応してるもんだよなぁと他人事みたいに関心してしまう。
 って、今は確かに他人事なんだが。
「ユーステル女王、その人を探したらあたし達は強くなれるの?」
「人間を魔種へと後天的に変える事のできる薬を、大量に調合できる腕を持っているのです。事実、リュステルは元々人間でしたが自身をダークミクスト種へと変えています」
「暗黒比混種に、任意で、後天的に……?」
 レッドが奇妙な顔で驚き眉根を寄せる。
「そんな事が……可能だとは……」
 また……新しい単語を出しやがったな。
「つまり何か。俺は今西方人だが、西方人にしてダークミクスト種の能力を、後天的に取得する事が可能になるって事か?ソイツに会えば」
 と、テリーが確認するように聞く。
 しかたねぇ、暗黒比混種の事を思い出してみよう。ふむ、すなわちダークミクスト種の事らしいな、どうやら。……多分全員知ってる位の一般的な知識みたいだ。
 人間と魔種を比べたら人間の方が劣種だが、人間の種類はさほどいないけど魔種はピンキリになる。その、魔種の能力的な優劣の中で、ダントツ一位に輝いているのが……、ダークミクスト種だ。
 実際にはこのダークミクスト種というのは単純に血では生まれない。絶妙な血のバランスと、環境と『不幸』が重なり合わないと生まれない魔物だと云われる。つまりダークミクスト同士で子供を作っても、その子供は同じダークミクストとしては生まれないって事だな。
 完全にランダムに生まれてくる魔種、もしくは今だに……魔物として取り扱われている。
 とにかく十世紀は軽く生きる寿命を持ちながら、成熟が恐ろしく早く、魔法に長け、身体能力が貴族種のそれを超えるという化け物だ。
 その上外見が人間に近いというのが厄介がられている。しかし一番困った性癖が……自分以外を常に憎み、敵対しようとする精神にあるそうだ。
 これを克服できるダークミクスト種は本当に数える程しかいないらしい。そういうブラックな属性から『暗黒比混種』なんて禍々しい名前が付いているんだろう。
 克服できなきゃどうなるかって。……残念ながら討伐されちまうんだ。何しろ、自分から全てへ敵対して行く性癖持ちだもんな。悪事を働き、自称魔王を名乗って国に災禍を齎すのは決まって、親玉がダークミクスト種だってくらいに良くある話だったりするんだなぁこれが。

 そう、要するにダークミクストっていうのは一般的には魔王と同義語である。

 自分で魔王と名乗る程、肉体と肉体や精神に付随するポテンシャル、幽体といわれる部分が途方も無くデカいダークミクスト種は、強い。強いの代名詞としても通用する位だ。
 はっきり言って、暗黙の了解的に今世を騒がす魔王連中もこの、ダークミクスト種であろうと推測していた。
 ダークミクスト種とはすなわち魔王種と認識されてる世界背景があるから、多分誰もが知っている。

 もし人間である俺が、後天的にダークミクスト種としての力を手に入れる事ができるってんなら、そらもう自身で想像が出来ないくらいの鬼キャラになるだろうな。
 例えるならレベルがカンスト(カウントストップ)しちまう様なもんだ。それ以上に強くなる要素が見あたらないくらいに飛躍する『強さ』になる事は間違い無い。

 けどな、ダークミクスト種はそんなお手軽にジョブチェンジ出来る様なモノではない。
 血と、地域と、不幸が揃う必要が有ると云われているし精神がダークネスになるのが必須だったらリスクが高すぎる。
 お兄さんはその辺り、ノーリスクだったのだろうか?もしかすればその反動で反社会的なひねくれ者になったのでは?

「い、いいのか、それ」
 俺は困った顔でその後に続く言葉を略した。続けたかった言葉はこうだ。

 いいのか?そんな、システムバランスを崩すような強化策?
 このゲームは、この世界は。俺達にそれを、許すのか?

「本当に、そんな事ができるのでしょうか」
 当然とレッドは疑いの言葉を発した。
 そうだよなぁ、そんな都合よく強くなれるんならそのキリュウの兄だというリュステルは、薬で強化した軍隊でもなんでも作り放題じゃん。
 医者だってんなら自ら戦いに行く必要も無いだろ?言い方は悪いが、強化戦士でも作って送り込んだほうがよっぽど『らしい』んじゃねぇの?
「お一人で、魔王退治に出かけられたんですか?」
「いや、各国代表の大陸座勅命の者達と合流すると言っていました……思えば、あの兄が見知らぬ人と協力しようと考えたとは……。それほどまでに大陸座の予言する魔王というものは危険なのだと私は、彼の行動をそのように解釈していました」
「実際は、違うってか」
 テリーの言葉にユーステルは表情を曇らせ軽く首を振る。
「第一次魔王討伐から誰一人、戻ってきたという知らせが届きません」
「…………」
「その代わりあのギルという男が、最初の魔王討伐隊の最後を『語った』というのです。ファマメント国は実際にあの破壊魔王の名を持つギルから、町をいくつか壊滅させられています」
 テリーは一人頷いている。そういえばこいつ西方ファマメント国出身だったな。
「その強さから見て、ギルの語る英雄殺しは真実であるようだとファマメントは極秘に、各国へ英雄達の末路について書簡で通達して来たのです」

 半数の魔王は討ち取られちまったが、最初の討伐隊は俺が、一人で蹴散らしてやったぞ、
 とでもあのギルが、語ったというワケか。

 でもユーステルはそれを信じていないんだな。キリュウも同じで、そんな可能性は疑って掛かっている。
 リュステルという、シーミリオン国の英雄にしてヘタすると王になるはずだった天才が、実はどこかで生きているのではないかと思っている。
「しかし、先程物騒なこと言いましたよねぇ」
 ナッツがのほほんと何かを仄めかす。ぬ?何だ?先程ってどれくらい遡ればいいんだ?
 しかしユーステルはナッツの言葉に、何が物騒だったのかわかっているらしく、顔を赤くして俯いた。
「す、すみません……」
「いや、いいんです。あなたの夫となるべく誓い合った仲という事でしょ?心配して想うあまりそうまでして生きていて欲しいと願う……。僕は共感できるね」
 あ、思い出した。アレか。

 ヘタすると魔王と組んでいる可能性も、ナンタラカンタラ。

 確かに耳にした時ぎょっとしたが、二人の素になった様なやり取りにも驚いてたからな、すっかり話に上げるの忘れてた。
 そうだなぁ、好き合ってんなら相手がどんな悪事に荷担していても、とりあえず生きている事を願って……そういう、ステキなぐらい妄想が働くもんだよ、うん。それで、実際敵に回っていてもきっとソレには何か理由があるんだとかなんとか、頑なに信じるわけだな。
 んー、しかしなんか引っかかる。
 何だろうなぁこのユーステルの態度は。
 ……心配しているのは確かなんだろうがどうも、愛しているとか言う理由の心配とは別な様に感じるんだよな、何となく。
「敵側に寝返ってるってる、その可能性があるの?」
 全員、ユーステルが口走った物騒な言葉を思い出したらしい。アベルはなぜか呆れた風に聞きなおす。
「わかりません、しかし兄の考えている事もそれ以上に」
 と、ユーステルではなくキリュウが苦笑して答えた。
「まぁ大体魔王の目的からして、僕等は何一つ事実を知らない。本当にその魔王というのは世界を破壊してしまうのか……まずは、彼らのはっきりとした目的を知らない事にはどうしようもない気がするのですが」
 レッドの言葉には賛同だ。確かに、リュステルが生きているか否かよりもまず、今世を騒がす魔王連中が、いかようにして世界を壊す可能性があるのか。連中の目的は何であるのかが良く見えない。
 ユーステルには詳しくは語れないが、こっちの都合で色々と理解しないといけない所だよな。

 魔王と、バグプログラム『赤旗』
 この明確な関連性も、ナーイアストの短い語りだけでははっきりとはしない。ギルの頭上には赤旗があったが、一緒に居たオッサンには無かった。
 俺達が目指しているはずの魔王って奴の頭上にも、赤い旗が立っているのかどうかを見極めない事には、な。
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