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3章 トビラの夢 『ゲームオーバーにはまだ早い』
書の3後半 神の蛻 『そして神様は居なくなった』
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■書の3後半■ 神の蛻 cast off
「俺とコイツは同じファマメント国の出身だ。首都レズミオだな。標高5千メートル級の高山都市だ」
「あぁ……それなんですけど」
ナッツは苦笑し有翼人種であるために背中に背負っている、白っぽい羽を撫でながら苦笑する。
「実は、僕は確かにファマメントの神官なんだけど出身だけ言うとペランなんだ」
略される事が多いが、ペランとは東の国の一つペランストラメールの事な。
「……なるほどそうか、そんな長くねぇのか西国」
「思い出的にはペランかなぁ、肩書的にはファマメントなんだけど」
しかしなぜかテリーはそんなナッツの言葉に納得している。俺にはさっぱりわからないし、思い出すべき事も無い。
「シェイディが魔種の国なら……ファマメントは人間の国だとも言うね、特に都市部が」
と、マツナギが何か知識を確認するようにゆっくりと言った。彼女は思い出すコマンドが苦手のようだ。
「俺は今や珍しい純西方人だ。コイツと同じく、何のとりえもない人間だからな」
俺を親指で指すなテリー!お、俺は純人間じゃねぇもん、多分何か混じってるはずだ。
という事で、ここで若干思い出すコマンドを駆使して補足するぞ。
8期に於いては、純人間と名乗れるという事は希少だ。今や人間に何らかの魔種の血が混血しているのは、当たり前って程なんだな。当たり前すぎてどれくらい混じってるのかなんてもうよく分からない、という人間の方が多い。そんで、そういうのも一般的には人間として括っている。
時代の推移の問題だな、魔物および魔種と人間で争ってた時代があり、そこから掌を返した様に和解したわけじゃねぇ。その間にそれぞれ苦悩を抱えた時代があるんだ。
分かりやすく言えば混血の隠匿。魔種混血である事を隠して日常を送らざるを得なかったという人間の時代が間に挟まってるわけだ。
で、そうやって時が経ち、ついに人間に魔種の血がどれだけ混血したのかよく分からない状況になって、それが当たり前の時代になったってわけだよ。
そんなわけで純人間と胸張って名乗れるのは、今や西方人一部の特権みたいなものだ。西方人の一部はしっかりとした家系図を持った所も少なくない。いやでも、純人間では能力的には何も特典は無いし、むしろ無能のレッテルみたいなもんですらあるんだがなぁ。それとも、俺が知らんだけで純人間には何か特別な能力でもあるのだろうか?……聞いた事ねぇけど。ファマメント国では上級民扱いで税金安いとか?
そんな純西方人にしてあの強さ。テリーもまた、管理者権限強化(アドミニボーナス)キャラクターだと思い知る所だ。
ううむ、田舎であるコウリーリス国シエンタの寺子屋で、俺は割と勤勉だったのだろうか?割とすんなりそこらへんの知識が思い出せた。リアル、俺は学校は苦手だったはずなんだがなぁ?先生が良かったのかもしれんな……。
「つまり……魔種が居ないって事?レズミオには」
「ああ、珍しい。……この時代において今だレズミオで魔種は風当たりが相当に強い」
テリーはアベルの言葉に答えながら腕を組んで目を伏せた。
「じゃぁ、お前どうやって最高神官になったんだ?」
俺は有翼族、つまり魔種の一種であるナッツを振り返る。するとナッツは羽の先が僅かに茶色の白っぽい翼を撫ででながら言った。
「天使教の総本山だから、まぁ、有翼族って事で待遇された……のかな?」
「奴はファマスティー(天使教)のヴァイス・フリューゲル(晧皚神官)だ。つまり、生き神みたいなもんだろう」
テリーが目を開き前を向いたまま素っ気無く言った。レッドがそれに怪訝な顔で横を向ける。
「しかし、天使教は西教と違って偶像崇拝が認められていないはずでは?」
「だから、偶像じゃねぇって。本物の神さん役ってわけだよ。大体天使教っても色々宗派があるぜ?偶像崇拝も禁じておいて、割と代替機能は揃ってやがる。最高神官ってのは……」
「飾りさ。昔からそうらしい」
ナッツが苦笑して肩を竦めた。
いやぁしかし、お前スゲェ背景取ってやがるな?いくらキャラメイキングに管理者権限強化(アドミニボーナス)がついたからって、そんなスゲぇ背景とれるもんなのか?
俺が呆けていると、アインがテリーの肩で羽を広げレッドを差した。
「レッドも紫位の魔導師って事は、ペランで重要職についてるはずよね?」
「ええ、まぁ。ペランというよりは魔導都市の、ですが」
何時もの通り無いメガネを押し上げる仕草のレッド。
紫位の魔導師、俺はあまり魔導師の仕組みについては詳しくなかったんだが、奴の地位がいかほどのものなのかは、以前に聞いた事があるのでそれで解説する。
紫位は魔導師のランクで言えば上から二番目で、実質上の最高位だとか。世界で数えて、人間の指の数程もその色を許された人物が居ないとも云われるらしい。
だがお前、ナッツは生き神だぜ?ナッツの代替はねぇわけだろ?世界にオンリーワンだろうが。
「そんなたいした事は無いんだよ。何しろ本物の神が現れた事で僕は厄介払いになった位だし」
「つまり、現れたのは翼ある神じゃぁ無かったって事だな?俺が理解できねぇのはなんでそれを奴等が神と認めたか、だ」
うーむ、正直言って宗教問題にはリアル・バーチャルともに疎い俺です。
無神論者だし、先祖はお寺の墓石の下に眠ってるがそれに手を合わせるのだってただの形式だ。
いまいちどんな意味があるのか理解できない。
戦士なヤトの故郷、コウリーリスには表立って神なんてもんはいない。大自然に向けて感謝の意を込める程度だ。どちらかといえば……リアル・サトウハヤトの実家の状況によく似ているな。
祖先や自然等の、見えない御霊にに敬意を払い、手を合わせる。コウリーリスは田舎で、殆どの土地が森だ。
産業はもっぱら樵や狩猟や農耕であり、割と閉鎖的に文化交流を特に望まずにひっそり暮らしている……という民族が多い所だ。
戦士ヤトはそんな暮らしが嫌になった典型的な血の気の多い男の子でありまして、男だったら武器一つで身を立てて有名になってやるぜとかなんとかココロザシを抱き……イシュタル国に渡ったという背景なわけだよ。
はは、よく考えたらこれってリアルな俺の経歴と似た様なもんなんだなぁ。
実際、リアルとバーチャル、どっちが『成功』を収めているのか。俺にはまだはっきりとはよく分からないけどな。
「現れた神は何者だ?自分が神だと名乗ったとでも言うのか?だいたいウチは天使教が主であって、精霊信仰なんかこれっぽっちも無かっただろうがよ」
テリーは珍しく熱っぽく声を荒げている。こいつが今拘っているのは、拳闘士テリーの方の記憶か?……どうなんだろう、元々リアルでも宗教問題にはウルサい方だとか?もしかすると出身がレズミオであるために、宗教問題を軽々しく回避出来ない特性が備わっているのかもしれない。
おおそういえば戦う前と戦う後に、何かに祈るような仕草をする時があったな、こいつ。
それがもしかすると、天使教とかいう宗教から来る儀式なのか?今まで割と気にも止めていなかった。
「……テリー、レズミオから離れて何年?」
「……十年は立ってないはずだ」
少し、何かを『思い出す』様にしながらテリーはナッツに答えた。
「魔王というのが現れたのはここ十年以内の話だよ」
ナッツの言葉に、テリーは少し驚いてから手を口に当て何かを考える。
「まさか、魔王と神の出現タイミングはほぼ、同じか?」
「というよりも、トビラとしての干渉時期がそれらと同じだと考えるべきでしょうね」
レッドは冷静に告げた。
その言葉の意味は、トビラをくぐってやって来た俺達にはよく理解できる。
なるほどな……。
この世界、内側から見た場合の名前である八精霊大陸に、本来見えない触れ得ないのはずだった『神』という存在もしくは概念が現れた時期と、今世間を騒がす『魔王』というのが現れた時期っていうのは同じ、なんだな。
それはなぜ同じか、と言えば。
外側から見た場合のこの世界『トビラ』へ、俺達外側から来た者の干渉が行われた時期がすなわち、それに等しいという意味なのだろう。多分、イベントを置いたんだ。とっておきのラスボスをこの世界に配置した。
MFC開発者が作った新型ゲームハード向けに開発された、ゲームソフト。そうやって作られた筈の世界が、作った側の何かの手違いで破壊の危機へとさらされている。折角作った世界を破壊してしまう、致命的なバグを生み出してしまったのが誰なのかは、はっきりしてやがる。
今破壊されようと危機に直面した、このリアルな世界の存在には原因が無い。
外側からテストプレイヤー兼デバッカーとして乗り込んで来た、俺達でもない。
思えばゲームシナリオ上よくある話だ。世界を破壊してしまう所業を行うのはいつだって神か、それに匹敵する力を持つ者ってわけだ。
今この世界に現れてしまった神や、それに匹敵する力を持つ者『魔王』というのを生み出してしまったのは……。そういうものは元来この世界に在るべきではないと、定めて世界を作ったにも関わらず、そういうオブジェクトを配置してしまった外の上の、開発者達。
全面的に、原因は高松さん達コードネーム『MFC』開発チームにあるんだろう。実際そうだと彼らが言う通りだ。
それはグリーンフラグに支配された魔王であるべきだったのだが、何か不都合があってレッドフラグとして暴走を始めている。
……なんだかお笑い種だな。
そんな不完全な世界で俺は、俺達は何をしようってんだろうな?本来大人しくログアウトして、不具合直してもらってからゲームを興じればいいのに。
なまじ世界がリアルであるがために、親近感みたいなもんが湧いて……世界を救おうと本気になってる。
ゲーマーとしてある程度は冷静に、この世界を評価すべきだったかもしれない。正直俺にはあんまりそういうのは向いてないんだが……でもそれは、俺がしなくたってレッドやナッツがそのようにするはずだろう。
だが蓋を開ければ俺達全員が世界に騙され、何時の間にかばっちり肩まで、いや、頭まで湯船に浸かったみたいにどっぷり嵌ってる。
騙されてて、いいんだよな?
俺は真面目な顔のテリーを眺めつつそんな事を考えていた。
「ファマメントは……うーん、ナーイアストの流れから行くとあれはもしかすると、サイトウ・ナギサさんかもしれないな。いかにもやり手って感じだったし」
ナーイアストがタナカ・ツヅラさんだったように他の大陸座も、白旗立ててる管理者用の肉体を持ってる事はほぼ明白な所だ。現れた本物の神、大陸座『ファマメント』とやらが、開発者の誰かしらの面影があるのは当然だろう。
ナッツは多分、俺ら知識薄弱組に向けて言った。
「天使教は西の大陸に昔から深く根付いている西教と違って、歴史的に見ればごく最近起こった『空想神』を神体とする宗教でね。西教のシュラード神のように、はっきりとした神の像が無いから偶像崇拝は基本的には禁じられている」
「発祥時の伝承から主神の事を『翼ある神』と呼ぶのだそうです。神を取り巻く神の使者として鳥や、鳥の翼を生やした人間がモチーフにされる。僕達の『外』での知識によれば、天使というのはダイレクトに背中に羽を背負ってるイメージです。しかしこちらの世界では、形が与えられたのは後です。天から使いが来て発祥した宗教というのが元になって『天使教』という名前で呼ばれ、後付的にその御使いが偶々僕等の知識でいう『天使』に近付いた、と……研究機関はまとめています」
「魔導都市に天使教について研究されているセクションってあるんだ?」
「ええ、西教に比べれば割合盛んな方ですね……貴方のような、有翼族が実在するのは西というよりはむしろ、東の大陸です。有翼族と天使教のつながりに着目し、色々と研究がなされているようですね」
「それで、それが何だってんだ?」
俺は知らない事だったから、へぇーとか思いながら二人の難しい会話を流して聞いてたんだが、テリーにはそうではないらしい。分かりきっている事なのだろう。その続きを促している。
「だから、宣教師というのがいるわけだよ」
ナッツは苦笑し、テリーというよりは俺達に言った。これもまたテリーはすでに知っている事の様だが、はっきり言って俺は今初めて聞いたぞ、その話。天使教の、宣教師?
「多く信仰されている西教を異端たらしめ、自らの神の教えを説いて旅する宣教師っていうのがいて、その中で長らく世界を旅してきて無事戻ってきた人がいたんだ」
いまいち、話しがよく見えねぇが……?
「もちろん、その業績を称えられその宣教師は高位神官に上げられた。それじゃなくても世間でその人の話題が持ちきりだったんだけど、理由は顔を合わせて見てよく分かったよ。……勝ち気な感じの、女性宣教師だったんだ」
「……なるほどな」
って、何がなるほど何だよ!テリーはこっちを無視しているので、俺はレッドに詳細を述べろと視線でアピール。
「ファマメントは西方の国々の習慣を持ち、基本的に男尊女卑の傾向がある国ですが……天使教では、女性の聖職者はとても重要視されるんですよ。すなわち、偶像崇拝は禁じられていますが神はどちらかというと女性の属性です」
……まずい、薮蛇だった気がする。ますますよく分からない……。
「彼女は、宗教革命を起こした」
「えッ?」
ナッツの言葉にテリーは驚いて足を止める。素で驚いた声出しやがったな?
「何だと?そんな話聞いた事がねぇ!」
「当たり前だよ、混乱させないようにごくごく上部で進められた大改革だもの。まぁ、おかげで僕は神の代理をやらなくて良くなった。偶像崇拝を禁じているわけだから僕みたいな、お飾りの役職は要らないって事だね。割と原理主義に近い形に改変されてね、僕はそれで普通の人に戻っても良かったんだけど……」
ナッツは目を細め、笑う。
「割と現れた神様の事、嫌いには成れなかったんだよね。偶像崇拝を硬く禁じた途端自らが神となってしまった、彼女の事をさ……応援してやりたかった。大体……」
ナッツは苦笑して俺達に背を向けて、照れくさそうに続ける。
「高位神官っていう肩書きも、なかなか捨て難いもんでさ」
「じゃぁ宣教師、って事なのか」
マツナギの納得した様な言葉に、ナッツは苦笑気味に振り返った。
「ま、僕の肩書き上はね」
宣教師ってのが肩書きの、高位神官という背景のナッツ。でも、実はもう一つ隠れた肩書きがあった訳だ。
もと神、もしくは元神代理。
そもそもこの世界に神は居ない、いたとしても見えない、触れ得ない、そういう約束であるはずなのに。
何時の間にか本物とかいう神が現れた。
でもな、俺にはナッツと大陸座と呼ばれるそれら神は、大差無いように思えるんだよな。どっちも同じ本当の意味での『神』の上っ面。元々この世界に神なんてものは居なくって、俺達のリアルな世界と同じく神というのはただの概念で、本当にいるかどうかなんて解からないと言うんなら……。
大陸座が纏っている開発者の、この世界に触れる事の出来る肉体、えーとすなわちそれは、神属性の『抜け殻』みたいなもんだ。
たとえナーイアストやファマメントの中身が、元々この世界を作ったという八大精霊であったとしても。
それは見えない、触れ得ないからこそ神じゃぁねぇのか?
まぁ所詮、無心論者の勝手な推論だがな。神学者に言わせれば酷い事言ってるかもしれねぇ。
何で俺はこんな事考えたんだろうな、と思えば。きっと、この世界がリアルだから。神だなんてなんとも理解しがたい概念が存在する事を、どこか許したくない。そういう心理なのかもな、などとぼんやり思う。
俺達のリアルな世界に、神はいるか?
居るという確証はない。居ると、信じる事は勝手だが。
俺はこの世界においても……どこかでそんな風に考えたいと思っているのかもしれないな。
「俺とコイツは同じファマメント国の出身だ。首都レズミオだな。標高5千メートル級の高山都市だ」
「あぁ……それなんですけど」
ナッツは苦笑し有翼人種であるために背中に背負っている、白っぽい羽を撫でながら苦笑する。
「実は、僕は確かにファマメントの神官なんだけど出身だけ言うとペランなんだ」
略される事が多いが、ペランとは東の国の一つペランストラメールの事な。
「……なるほどそうか、そんな長くねぇのか西国」
「思い出的にはペランかなぁ、肩書的にはファマメントなんだけど」
しかしなぜかテリーはそんなナッツの言葉に納得している。俺にはさっぱりわからないし、思い出すべき事も無い。
「シェイディが魔種の国なら……ファマメントは人間の国だとも言うね、特に都市部が」
と、マツナギが何か知識を確認するようにゆっくりと言った。彼女は思い出すコマンドが苦手のようだ。
「俺は今や珍しい純西方人だ。コイツと同じく、何のとりえもない人間だからな」
俺を親指で指すなテリー!お、俺は純人間じゃねぇもん、多分何か混じってるはずだ。
という事で、ここで若干思い出すコマンドを駆使して補足するぞ。
8期に於いては、純人間と名乗れるという事は希少だ。今や人間に何らかの魔種の血が混血しているのは、当たり前って程なんだな。当たり前すぎてどれくらい混じってるのかなんてもうよく分からない、という人間の方が多い。そんで、そういうのも一般的には人間として括っている。
時代の推移の問題だな、魔物および魔種と人間で争ってた時代があり、そこから掌を返した様に和解したわけじゃねぇ。その間にそれぞれ苦悩を抱えた時代があるんだ。
分かりやすく言えば混血の隠匿。魔種混血である事を隠して日常を送らざるを得なかったという人間の時代が間に挟まってるわけだ。
で、そうやって時が経ち、ついに人間に魔種の血がどれだけ混血したのかよく分からない状況になって、それが当たり前の時代になったってわけだよ。
そんなわけで純人間と胸張って名乗れるのは、今や西方人一部の特権みたいなものだ。西方人の一部はしっかりとした家系図を持った所も少なくない。いやでも、純人間では能力的には何も特典は無いし、むしろ無能のレッテルみたいなもんですらあるんだがなぁ。それとも、俺が知らんだけで純人間には何か特別な能力でもあるのだろうか?……聞いた事ねぇけど。ファマメント国では上級民扱いで税金安いとか?
そんな純西方人にしてあの強さ。テリーもまた、管理者権限強化(アドミニボーナス)キャラクターだと思い知る所だ。
ううむ、田舎であるコウリーリス国シエンタの寺子屋で、俺は割と勤勉だったのだろうか?割とすんなりそこらへんの知識が思い出せた。リアル、俺は学校は苦手だったはずなんだがなぁ?先生が良かったのかもしれんな……。
「つまり……魔種が居ないって事?レズミオには」
「ああ、珍しい。……この時代において今だレズミオで魔種は風当たりが相当に強い」
テリーはアベルの言葉に答えながら腕を組んで目を伏せた。
「じゃぁ、お前どうやって最高神官になったんだ?」
俺は有翼族、つまり魔種の一種であるナッツを振り返る。するとナッツは羽の先が僅かに茶色の白っぽい翼を撫ででながら言った。
「天使教の総本山だから、まぁ、有翼族って事で待遇された……のかな?」
「奴はファマスティー(天使教)のヴァイス・フリューゲル(晧皚神官)だ。つまり、生き神みたいなもんだろう」
テリーが目を開き前を向いたまま素っ気無く言った。レッドがそれに怪訝な顔で横を向ける。
「しかし、天使教は西教と違って偶像崇拝が認められていないはずでは?」
「だから、偶像じゃねぇって。本物の神さん役ってわけだよ。大体天使教っても色々宗派があるぜ?偶像崇拝も禁じておいて、割と代替機能は揃ってやがる。最高神官ってのは……」
「飾りさ。昔からそうらしい」
ナッツが苦笑して肩を竦めた。
いやぁしかし、お前スゲェ背景取ってやがるな?いくらキャラメイキングに管理者権限強化(アドミニボーナス)がついたからって、そんなスゲぇ背景とれるもんなのか?
俺が呆けていると、アインがテリーの肩で羽を広げレッドを差した。
「レッドも紫位の魔導師って事は、ペランで重要職についてるはずよね?」
「ええ、まぁ。ペランというよりは魔導都市の、ですが」
何時もの通り無いメガネを押し上げる仕草のレッド。
紫位の魔導師、俺はあまり魔導師の仕組みについては詳しくなかったんだが、奴の地位がいかほどのものなのかは、以前に聞いた事があるのでそれで解説する。
紫位は魔導師のランクで言えば上から二番目で、実質上の最高位だとか。世界で数えて、人間の指の数程もその色を許された人物が居ないとも云われるらしい。
だがお前、ナッツは生き神だぜ?ナッツの代替はねぇわけだろ?世界にオンリーワンだろうが。
「そんなたいした事は無いんだよ。何しろ本物の神が現れた事で僕は厄介払いになった位だし」
「つまり、現れたのは翼ある神じゃぁ無かったって事だな?俺が理解できねぇのはなんでそれを奴等が神と認めたか、だ」
うーむ、正直言って宗教問題にはリアル・バーチャルともに疎い俺です。
無神論者だし、先祖はお寺の墓石の下に眠ってるがそれに手を合わせるのだってただの形式だ。
いまいちどんな意味があるのか理解できない。
戦士なヤトの故郷、コウリーリスには表立って神なんてもんはいない。大自然に向けて感謝の意を込める程度だ。どちらかといえば……リアル・サトウハヤトの実家の状況によく似ているな。
祖先や自然等の、見えない御霊にに敬意を払い、手を合わせる。コウリーリスは田舎で、殆どの土地が森だ。
産業はもっぱら樵や狩猟や農耕であり、割と閉鎖的に文化交流を特に望まずにひっそり暮らしている……という民族が多い所だ。
戦士ヤトはそんな暮らしが嫌になった典型的な血の気の多い男の子でありまして、男だったら武器一つで身を立てて有名になってやるぜとかなんとかココロザシを抱き……イシュタル国に渡ったという背景なわけだよ。
はは、よく考えたらこれってリアルな俺の経歴と似た様なもんなんだなぁ。
実際、リアルとバーチャル、どっちが『成功』を収めているのか。俺にはまだはっきりとはよく分からないけどな。
「現れた神は何者だ?自分が神だと名乗ったとでも言うのか?だいたいウチは天使教が主であって、精霊信仰なんかこれっぽっちも無かっただろうがよ」
テリーは珍しく熱っぽく声を荒げている。こいつが今拘っているのは、拳闘士テリーの方の記憶か?……どうなんだろう、元々リアルでも宗教問題にはウルサい方だとか?もしかすると出身がレズミオであるために、宗教問題を軽々しく回避出来ない特性が備わっているのかもしれない。
おおそういえば戦う前と戦う後に、何かに祈るような仕草をする時があったな、こいつ。
それがもしかすると、天使教とかいう宗教から来る儀式なのか?今まで割と気にも止めていなかった。
「……テリー、レズミオから離れて何年?」
「……十年は立ってないはずだ」
少し、何かを『思い出す』様にしながらテリーはナッツに答えた。
「魔王というのが現れたのはここ十年以内の話だよ」
ナッツの言葉に、テリーは少し驚いてから手を口に当て何かを考える。
「まさか、魔王と神の出現タイミングはほぼ、同じか?」
「というよりも、トビラとしての干渉時期がそれらと同じだと考えるべきでしょうね」
レッドは冷静に告げた。
その言葉の意味は、トビラをくぐってやって来た俺達にはよく理解できる。
なるほどな……。
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それはなぜ同じか、と言えば。
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今破壊されようと危機に直面した、このリアルな世界の存在には原因が無い。
外側からテストプレイヤー兼デバッカーとして乗り込んで来た、俺達でもない。
思えばゲームシナリオ上よくある話だ。世界を破壊してしまう所業を行うのはいつだって神か、それに匹敵する力を持つ者ってわけだ。
今この世界に現れてしまった神や、それに匹敵する力を持つ者『魔王』というのを生み出してしまったのは……。そういうものは元来この世界に在るべきではないと、定めて世界を作ったにも関わらず、そういうオブジェクトを配置してしまった外の上の、開発者達。
全面的に、原因は高松さん達コードネーム『MFC』開発チームにあるんだろう。実際そうだと彼らが言う通りだ。
それはグリーンフラグに支配された魔王であるべきだったのだが、何か不都合があってレッドフラグとして暴走を始めている。
……なんだかお笑い種だな。
そんな不完全な世界で俺は、俺達は何をしようってんだろうな?本来大人しくログアウトして、不具合直してもらってからゲームを興じればいいのに。
なまじ世界がリアルであるがために、親近感みたいなもんが湧いて……世界を救おうと本気になってる。
ゲーマーとしてある程度は冷静に、この世界を評価すべきだったかもしれない。正直俺にはあんまりそういうのは向いてないんだが……でもそれは、俺がしなくたってレッドやナッツがそのようにするはずだろう。
だが蓋を開ければ俺達全員が世界に騙され、何時の間にかばっちり肩まで、いや、頭まで湯船に浸かったみたいにどっぷり嵌ってる。
騙されてて、いいんだよな?
俺は真面目な顔のテリーを眺めつつそんな事を考えていた。
「ファマメントは……うーん、ナーイアストの流れから行くとあれはもしかすると、サイトウ・ナギサさんかもしれないな。いかにもやり手って感じだったし」
ナーイアストがタナカ・ツヅラさんだったように他の大陸座も、白旗立ててる管理者用の肉体を持ってる事はほぼ明白な所だ。現れた本物の神、大陸座『ファマメント』とやらが、開発者の誰かしらの面影があるのは当然だろう。
ナッツは多分、俺ら知識薄弱組に向けて言った。
「天使教は西の大陸に昔から深く根付いている西教と違って、歴史的に見ればごく最近起こった『空想神』を神体とする宗教でね。西教のシュラード神のように、はっきりとした神の像が無いから偶像崇拝は基本的には禁じられている」
「発祥時の伝承から主神の事を『翼ある神』と呼ぶのだそうです。神を取り巻く神の使者として鳥や、鳥の翼を生やした人間がモチーフにされる。僕達の『外』での知識によれば、天使というのはダイレクトに背中に羽を背負ってるイメージです。しかしこちらの世界では、形が与えられたのは後です。天から使いが来て発祥した宗教というのが元になって『天使教』という名前で呼ばれ、後付的にその御使いが偶々僕等の知識でいう『天使』に近付いた、と……研究機関はまとめています」
「魔導都市に天使教について研究されているセクションってあるんだ?」
「ええ、西教に比べれば割合盛んな方ですね……貴方のような、有翼族が実在するのは西というよりはむしろ、東の大陸です。有翼族と天使教のつながりに着目し、色々と研究がなされているようですね」
「それで、それが何だってんだ?」
俺は知らない事だったから、へぇーとか思いながら二人の難しい会話を流して聞いてたんだが、テリーにはそうではないらしい。分かりきっている事なのだろう。その続きを促している。
「だから、宣教師というのがいるわけだよ」
ナッツは苦笑し、テリーというよりは俺達に言った。これもまたテリーはすでに知っている事の様だが、はっきり言って俺は今初めて聞いたぞ、その話。天使教の、宣教師?
「多く信仰されている西教を異端たらしめ、自らの神の教えを説いて旅する宣教師っていうのがいて、その中で長らく世界を旅してきて無事戻ってきた人がいたんだ」
いまいち、話しがよく見えねぇが……?
「もちろん、その業績を称えられその宣教師は高位神官に上げられた。それじゃなくても世間でその人の話題が持ちきりだったんだけど、理由は顔を合わせて見てよく分かったよ。……勝ち気な感じの、女性宣教師だったんだ」
「……なるほどな」
って、何がなるほど何だよ!テリーはこっちを無視しているので、俺はレッドに詳細を述べろと視線でアピール。
「ファマメントは西方の国々の習慣を持ち、基本的に男尊女卑の傾向がある国ですが……天使教では、女性の聖職者はとても重要視されるんですよ。すなわち、偶像崇拝は禁じられていますが神はどちらかというと女性の属性です」
……まずい、薮蛇だった気がする。ますますよく分からない……。
「彼女は、宗教革命を起こした」
「えッ?」
ナッツの言葉にテリーは驚いて足を止める。素で驚いた声出しやがったな?
「何だと?そんな話聞いた事がねぇ!」
「当たり前だよ、混乱させないようにごくごく上部で進められた大改革だもの。まぁ、おかげで僕は神の代理をやらなくて良くなった。偶像崇拝を禁じているわけだから僕みたいな、お飾りの役職は要らないって事だね。割と原理主義に近い形に改変されてね、僕はそれで普通の人に戻っても良かったんだけど……」
ナッツは目を細め、笑う。
「割と現れた神様の事、嫌いには成れなかったんだよね。偶像崇拝を硬く禁じた途端自らが神となってしまった、彼女の事をさ……応援してやりたかった。大体……」
ナッツは苦笑して俺達に背を向けて、照れくさそうに続ける。
「高位神官っていう肩書きも、なかなか捨て難いもんでさ」
「じゃぁ宣教師、って事なのか」
マツナギの納得した様な言葉に、ナッツは苦笑気味に振り返った。
「ま、僕の肩書き上はね」
宣教師ってのが肩書きの、高位神官という背景のナッツ。でも、実はもう一つ隠れた肩書きがあった訳だ。
もと神、もしくは元神代理。
そもそもこの世界に神は居ない、いたとしても見えない、触れ得ない、そういう約束であるはずなのに。
何時の間にか本物とかいう神が現れた。
でもな、俺にはナッツと大陸座と呼ばれるそれら神は、大差無いように思えるんだよな。どっちも同じ本当の意味での『神』の上っ面。元々この世界に神なんてものは居なくって、俺達のリアルな世界と同じく神というのはただの概念で、本当にいるかどうかなんて解からないと言うんなら……。
大陸座が纏っている開発者の、この世界に触れる事の出来る肉体、えーとすなわちそれは、神属性の『抜け殻』みたいなもんだ。
たとえナーイアストやファマメントの中身が、元々この世界を作ったという八大精霊であったとしても。
それは見えない、触れ得ないからこそ神じゃぁねぇのか?
まぁ所詮、無心論者の勝手な推論だがな。神学者に言わせれば酷い事言ってるかもしれねぇ。
何で俺はこんな事考えたんだろうな、と思えば。きっと、この世界がリアルだから。神だなんてなんとも理解しがたい概念が存在する事を、どこか許したくない。そういう心理なのかもな、などとぼんやり思う。
俺達のリアルな世界に、神はいるか?
居るという確証はない。居ると、信じる事は勝手だが。
俺はこの世界においても……どこかでそんな風に考えたいと思っているのかもしれないな。
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貴族の愛人の娘として育った私、オデットはずっと準備してきた。
義姉を陥れ、この家でのし上がるために。
――その計画は、初日で狂った。
義姉ジャイアナが、想定の百倍、規格外だったからだ。
◆ 身長二メートル超
◆ 全身が岩のような筋肉
◆ 天真爛漫で甘えん坊
◆ しかも前世で“筋肉を極めた転生者”
圧倒的に強いのに、驚くほど無防備。
気づけば私は、この“脳筋大型犬”を
陥れるどころか、守りたくなっていた。
しかも当の本人は――
「オデットは私が守るのだ!」
と、全力で溺愛してくる始末。
あざとい悪知恵 × 脳筋パワー。
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