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番外編・後日談 A SEQUEL
◆トビラ後日談 A SEQUEL 仮面の身売り
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◆トビラ後日談 A SEQUEL 仮面の身売り
※本編終了後閲覧推奨、完全なる後日談の一種です※
好きな事を仕事にして、それでお金が貰えるのはいいものだ。
いいものだが、好きな事を遊び感覚でやっていけるほど世の中は甘くは無い。
仕事の内容が何であれ、仕事というからにはつまりそれで金を儲けて喰っていくという事。
正直、正社員歴が今から ハジマル な俺はそのあたり、かなり……甘く見ていたと思う。
正直な感想はあれだ。
お笑い芸人ってすげーなー……だ。
*** *** ***
月並みだが俺のプロフィールから始めさせてもらおう。
ちょっと一般的ではない込み入った事情があって、そいつが俺の『仕事』になったが為に今、俺は……多分、非常に面白い現象を目の当たりにしているのかもしれない。
いや、面白いと言ったが、俺の正直な心象的にはものすごく、面白く無い。
けど多分、いや……間違いなく。
他人から見る限りこれは、とても面白い事になっているのだろう。
でも俺にとっては『面白く無い』この感情をだな、吐き出させて欲しいんだ、頼む。
どっかに吐き出しておかないと俺、そんな精神的に強キャラと自分を把握してないからやってけねぇんだよ。
困った事に精神的にいくら参っていてもこれ、俺の『仕事』だから本当にただの愚痴にしかならんのよな。どうすればいい?みたいに相談したところで『会社の企画倒れ』くらいしか解決法が無いのはすでに分かっている。
同僚の加藤や五十嵐、それから照井、部下配属になった阿部やその他もろもろ全員から肩を叩かれて
『諦めろ』
と同情なのか何なのかよくわからない事を言われて終わっているんだ。
壁打ちなのは十分に承知している。
俺のグチに付き合ってくれ。
というわけで俺、佐藤ハヤトが被っている面白い、だが俺は非常に迷惑している現象を早速だが聞いてくれ。
*** *** ***
俺は某ゲーム会社の広報に所属している、ダメとバカが修飾語として接続しても全く恥ずかしく無いゲームオタクである。今も継続中なので元、とかは付かない。
ゲームを取り除いてしまうと俺は消えてしまうのではないか、というくらいゲームの事しか考えられない社会適合能力が低いダメ人間でもある。
否定はしない。
さてそんな俺は、そのゲームだけにベクトルが向いた愛の方向性を見出され、ゲームバカという肩書を惜しげもなく背負ったゲーム会社の、一種『タレント』として就職。今現在もそのようにして働いてメシを食っている。
故に、俺はいまだにゲーム好きのままだ。
好きな事を好きなだけ実行する事が許された『仕事』について、それが社会的に許されているという状況にある。
所でタレント、って元来どういう意味か知っているか?
タレントっていうのは日本じゃ芸能人と同義になっているのかもしれないが、本来の意味では『才能』あるいは『その才能がある人』って意味だ。
故に俺はその名の通り、ゲームタレントとして仕事をしている。
……決して芸を前提にしてそれで食っているわけではない。ようするにタレントではあるが芸人ではない。
ゲームをするのは一種芸ではないのか、と言われるかもしれないが才能があるのと芸とするのとは少し意味が違うと俺は思うんだけどな?
少なくとも芸能人、っていうのはもちろんタレントの一種ではあるのだろうけれど、タレントである前に芸能人という仕事をやっている人なんだろう?芸能を仕事とし、食っていく為にタレントを前面に押し出したりするわけじゃんか。
俺は確かにゲーム好きでメシ食ってるけど、それを芸として取得したつもりは更々無い。
俺にとってゲームは空気と等しく『生きるに必要なモノ』だ。
ゲーム無しでは生きられないダメな『才能』を会社から見出されただけにすぎない。それはようするに、元来備えたおかしな性癖をタレントだと認められ、その結果ゲーム会社に飼ってもらい事になった変なタイプの社員でしかない。
苦労して、その才能を得た訳じゃなく、元来備えた物を珍しいと手折られたにすぎない訳だ。まぁ、自分から摘んでくれと突撃掛けたようなもんではあるのだが……。
芸能人みたいに俺自身の芸を他に売り込むのがメインの仕事をしているわけでは無い。
どっちかっていうと……俺の仮想人格の方がそうやって、他aに売りに出されていると言えるだろう。そっちの方が知名度的には上だし。
俺はその有名になってしまった仮想人格の『中の人』だ。
さて中の人、中の人という事だけでメシを食っていく訳にはいかん。
ゲーム好きを如何無く発揮し、いつものように好きなゲームをやり倒す事が俺の仕事ではあるのだが。
プレイしたゲームのプレイビューを書いたり、プレイ動画的なのに参加させられたり、動的にゲームに触れた一プレイヤー、発言参考者としていろんな会議にひっぱりまわされる日々を送っている。
カイシャの上の方のエラい人達は実際、自社のゲームをしなかったりもするからなぁ。
それで専門用語とか、周辺雑学とかのフォロー役として五十嵐と組まされて、経営陣側のアレコレに派遣されたりもする。
稀にメディアへの出演を『中の人』として依頼されたりもするが勿論、基本的にはお断りしてるな。てか俺にはそんなん無理なのよ、人見知りが極めて激しいチキンなんだから。
そういう時はここぞとばかりに仮想人格、すなわち『ヤト』の影に俺は隠れて出演する事が多い。
故に、ヤトの『中の人』の情報は極めて限らたものになってしまって、変な都市伝説さえあるらしい。
ああ、知りたくない、知りたくない事は知らないんだからな、俺は!
ところで仮想人格って何?って話だよな。
実は俺はこの仕事に就くにあたり、ある特殊なゲームをテストプレイした実績がある。そのゲームをしたいがために自ら自分の才能を会社に見せてしまった、という過去が在る訳だ。
そいつのゲームの名前は『エイトエレメンタラティス』というのだが、長ったらしいのでプレイヤーの一部からは紆余曲折あり『トビラ』という名前で認識されていたりもする。そのゲームで使われていた『仮想の俺』がそのヤトなわけだよ。
そのゲームっつーのが今でこそ『それ』だ、と単語を出せば通用するんだが……数年前の実情で言えば非常に説明し辛いカテゴリなんだよな。
ロールプレイングゲームってのがある。
これはその名の通り、紙に書かれた仮想を演じる、というゲームが発祥でそう呼ばれている。ロールとは『役』とかいった意味があって、それを『演じる』からロールプレイングだ。
RPGと略されるこのゲームはその後コンピュータゲームに変換され一つのひな型を形成し、最初にあった形とは違った形でテンプレート化されていった。
その長い歴史については割愛する、知りたい奴は各自ググれ。
さてそれを、ロニィと呼ばれる新型ゲーム機が全く最初の状態、振り出しに戻したと昨今云われている。
……そう、俺がテストプレイして、微調整の跡正規版として流通に乗った。今巷で流行しているゲーム『エイトエレメンタラティス』こそが、ロニィで遊べる『振出しに戻った』『ロールプレイングゲーム』といえるだろう。
具体的にそれがどういうゲームかといえばようするに……仮想世界『エイトエレメンタラティス』に仮想の自分を送り込んで、そこで仮想の自分を演じるって感じだな。
そうやって異世界に遊ぶ目的は……人それぞれ、さまざまだろう。
それまであったRPGの形では遊ぶ事が出来ない、いや、難しい、かな?
紙ではないけれど明らかに現実ではない『仮想』の上で仮想を演じる訳だからRPGの一種、A・RPGとか言われているとかなんとか。
ま、それはともかくだ。
その仮想世界における俺の仮想人格が色々ありまして有名になっているわけですよ。
もちろんゲーム開発会社としましても、特殊な背景な事もあって起用しやすいってんで色々な形で使った所為もあるだろう。
いくら仮想であってもそれは『俺』であることには変わらない、勝手にマーケティングに使われたら困るのだがいかんせん中の人、すなわち俺は、ゲームタレントとして会社に囲い込まれている。
つまり俺自身はタレントとして、俺の『仮想人格ヤト』は芸人の一種として会社で働いている現状がある。
会社に囲われるにあたり、そうなる事を俺自身了承してこうなっているので別に、問題は無い。
というか、文句言えないよな?
それが、俺の仕事になってるんだし。そうなる方向性は事前に説明されていて、ぶっちゃけ良く分かって無かったというのが正しいが、そうやってお金を貰うサラリーマンになる事を俺は確かに自分で選んだんだからな。
俺は、そうやって自分の才能と芸で食いぶちを稼いでいる。
仮想俺は、独り歩きしているように見えるがそんな事は無い。
俺がいなけりゃヤトは存在しない。一応そのあたり、会社はわざと真面目に配慮してくれていて、オフィシャルとして発行される限り全て中の人である俺の了承をとっている形になっている。
有名になると変にイジられるのは仕方が無いだろう。……うん、仕方ないよね。
ヤトと俺は表裏一体とはいえ、ヤトは仮想人格である、仮面の一つであると弁えていれば現状、俺は何も困った事はないはずだった。
だがしかし俺は、仮想オレであるヤト氏の事を、だな。
何時しか、仮面の一つと弁える事が上手く出来なくなっていたらしい。
*** *** ***
エイトエレメンタラティスってゲームのこの『名前』は、その仮想世界の名前そのものの事を指している。
プレイヤーはその仮想世界に投入する仮想の自分のプロフィールを事前に自由に作る事が出来る。
で、その自由に作る度合いに課金するというのがこのゲーム商法の肝だ。
現実の金で全ての仮想を買えるのかというと、今まであった仮想世界ゲームでそういうのが問題視されていた事もあり、基本的に仮想世界の経験値は金で買えないように根本的なシステムが組まれている。
その具体的な説明は面倒だから今回省くけどな。
ともかく、ある程度ゲームを進めて……ようするにそれはこの場合、仮想世界における経験、正しくは『情報量』を積んだという事になるのだが……。
現実の課金システムと『情報経験値』をリンクさせて、新しいサービスを受ける事が出来るようになる、という商売を俺達はやっているわけだ。
そのサービスを世に知らしめるコマーシャル・メッセージとしてにヤト氏が使われたりする、と。
プレイヤーは仮想世界に投入する自分を設計するのに、一定の縛りや特殊な設定を添付させるサービスを買う事が出来るんだな。
仮想世界で遊べるゲームのハードの名前はロニィ、という。これまた別名が色々あるがそれは今回関係無いから省くぞ。
ゲーム機本体にソフトというパッケージで商売、というのが一昔前のゲーム業界のスタイルだった。ロニィはそのスタイルを根本的に変え、サービスを開発して売るという方法をとっている。実際にはその間にアプリケーションとしてのゲームって形態があるが、これとも完全に住む世界が違うゲームだからここも飛ばすぞ。
さて……長くなったが問題の俺のグチはこっからだ。
俺の勤めるゲーム会社ももちろんサービス展開するわけですよ。
てっきりネタでギャグだと思っていたのだが、上の人達はそうは思わなかったようで実現してしまった俺には全く笑えないサービスがお目見えした。
困った事にそれなりに売れているらしい。
売れてるってマジなのか?俺にはにわかに信じがたい。
そいつはナニかって?
エイトエレメンタラティスでは良くも悪くも有名人になってしまった『ヤト』氏の、外見セットだよ。
ようするにだ、投入する自分のキャラを俺の仮想人格ヤト氏にそっくりに出来るという阿呆なサービスが出来てそれが売れている。
そして俺は、それは面白くないと困っているというわけである。
そんなサービス誰が買うのっだ?
初めにそのサービスの開始を聞いた時、正直そう思っていたが……売れてるって、なんだそりゃ。どういうこった?
加藤がヤト氏テンプレートはウケるかもしれないなぁ、とかぼやいてたのが現実になりやがったって事だろ?
もっとも、現実化したのには仮想世界における俺の立ち位置が重要なのだろう。
本来同じ顔の人間は、リアル世界であれば三人は居るという話だが、大多数存在していてはマズいだろう?なんというか、昔のゲームだったらデータ容量の都合で同じキャラ画像使いまわしとかはあったろうが、そういう問題が無いロニィにおいてあえて同じ規格を用意してあまつさえそれを有料コンテンツとしt訳だ。
実はエイトエレメンタラティスにおける俺すなわち『ヤト氏』は、その『多数の俺』的な状況を容認する大事件を起こしてしまっている。
そう、……魔王軍問題だな。
多数、俺と同じ顔の人が存在していてもその仮想世界では『ヤトの顔に限り』珍しい事ではない、ありうる事だとして受け入れられている状況がすでに在る。
だから、そういうサービス展開をする事になりやがったという訳だ。
外見ヤト氏そっくりに成りたいのなら、そういう外見を選べばいいだけの話なのだが、このサービスの酷い所はそっくりに成れてヤト氏と同じ特徴を備えなおかつ、必ず同じ背景を背負わなければいけないという所にある。
基本、仮想キャラは『自由に作る』ものなのだが、酔狂な人向けにこういうあえて『縛った』テンプレートが爆誕し。しかもそれなりに売れてしまっているという。
ヤト・テンプレートを選んだ者はヤト氏が世界で被っている被害を同様に受けなければいけない、という多大な欠点を持っている。
何かって?
俺は、俺が中の人をやっている『ヤト・ガザミ』はエイトエレメンタラティスでは『魔王の人』として指名手配されていると言えば分かるか?まぁ事情はもっと複雑なのだが。
その複雑事情の一つとして、同じ顔の人で一般的に『ニセモノ』として認識される者がたくさん存在するというのがある。
ようするに、このヤト・テンプレートとはヤトに成りきれる『ニセモノ』をプレイ出来るというサービスなわけだ。
五十嵐が中の人をやっているレッドさんが
「仮想世界であなた自身が選んだ事でしょう。受け入れなさい」
とか言いやがる。
確かに、多数分裂は俺が仮想世界で選んでしまった事だけどさぁ……今さらそれが誰の所為だとか言ったって解決しない事だけど。
そうやって俺の顔が世界に氾濫し、俺一人では制御が出来ない状況であるのは、認めよう、俺にも責任はあったしそれは自分の問題として受け入れているつもりだ。
だから俺は、ヤト・ガザミは……現在仮想世界において大人しく魔王認定受け入れて田舎に引きこもって暮らしているわけだよ。
そういう暮らしを俺自身望んだのは否定しないさ。
……多数の『俺』という、手に余る事情には目をつぶっている。
どうしようもないんだ。
彼らが不幸に見舞われていたとしても、何か悪い事をしたとしても、唯一のオリジナルであるヤトは何もしない、出来ない。
それが俺ではない、赤の他人だというのなら俺の所為でご迷惑おかけしてますとか平謝りだけどな。
残念ながら全部俺なんだよ。
そいつらには中の人である俺は、いないかもしれないけれど。
ややこしいのだが、そうやってヤト・ガザミのニセモノとホンモノは詭弁的に区別されている。
ややこしいけど全部俺だ、だから全ての事と結果を俺は受け止める事にした。
その状況をだな、要するに悪用されて面白おかしく俺に成りたい、成り切りがしたい、なぁんて酔狂な奴らが大量に存在する現実、及びに勝手に『俺』すなわち『ヤト』が使われているというのは……面白く無いぞ、サービスとしては面白いなーとは思うが、それが実は俺と知ったら全然、笑えない。
なんでそんな奴らの経験まで俺が背負わにゃならんのだ。
しかしどんな中の人がいようがいまいが、全ての分裂の可能性を『背負う』と『俺』が腹をくくってしまった以上、もはやどれが気に食わない、あれが嫌だとか選り好み出来る状態ではない。
仮想世界で起きている確かな現実を観客的に見た時、それは『俺』だという感覚に引きずられ『面白く無い』と感じて……悪い事は無いだろ?
感情的に、面白くないから止めてくださいと言ってはいけないのだろうか?
そーいうサービスを展開した会社に向けて、俺というタレントから生まれた『芸』が、大量生産大量消費されていく事に異議を申し立てる事は許されていないのか?
俺がその『芸』でメシを食っている以上、やっぱり以後申し立ては無駄な事か?
そういう、疑問も湧く訳ですよ。
多分、俺が社員で会社に飼われてて、これが仕事だと言っていなければ『やめてください』と言えるのだと思う。
面白く無いけど止めてとは言えないのは俺が、これで金を稼いで飯食ってるからなんだよなぁ……
だからみんな諦めろって肩叩くだけなんだ。
こういうのは一種『二次創作』とかに分類されるんだと思うわ、と二次創作の現役である古谷女史が言っておりました。
ようするにヤト・テンプレートは公認二次創作テンプレートなのよ、とかなんとか。
ああ、だから面白く無いんだよ納得。俺、それで昔イタい目にあってるしな。
企業公認二次って。そんなにウマいのか?って女史に聞いたら、あの人現役だからニヤリって俺に笑い掛けて来るんだよ……がくがくぶるぶる……
*** *** ***
結論、俺は仕事として大好きなゲームが出来る日常を甘く見ていた。
俺は、まんまと仮想人格である『俺』を。会社に売ってしまっていたというわけだ。
そうやって俺は金を稼いでいる、……それで飯を食っていくんだという覚悟が足りていなかったというわけだ。
知らなかった、とかそんなのは通用しない、それが社会って奴。
それは知っていたのになぁ。
お笑い芸人ってすげぇよな。
自分を売って、笑われてなんぼ、なんて。
そんなの俺には一番縁遠いと思っていたのに、今じゃ俺のメイン顔であったヤトって仮面はお笑い芸人の一種として、佐藤ハヤトに美味い飯を食わせてくれていたりするんだぜ。
はぁ……、これも微妙に嬉しくは無いんだけど。
俺よりあいつの方が稼ぎがいいとか何よ。しかも身売りみたいな方法でさ……
以上だ、残念ながら自分でもどーしょーもないの分かってるから完全にただのぐだ話になっちまった。
最後まで俺の愚痴を聞いてくれて、ありがとうな。
おわり
※本編終了後閲覧推奨、完全なる後日談の一種です※
好きな事を仕事にして、それでお金が貰えるのはいいものだ。
いいものだが、好きな事を遊び感覚でやっていけるほど世の中は甘くは無い。
仕事の内容が何であれ、仕事というからにはつまりそれで金を儲けて喰っていくという事。
正直、正社員歴が今から ハジマル な俺はそのあたり、かなり……甘く見ていたと思う。
正直な感想はあれだ。
お笑い芸人ってすげーなー……だ。
*** *** ***
月並みだが俺のプロフィールから始めさせてもらおう。
ちょっと一般的ではない込み入った事情があって、そいつが俺の『仕事』になったが為に今、俺は……多分、非常に面白い現象を目の当たりにしているのかもしれない。
いや、面白いと言ったが、俺の正直な心象的にはものすごく、面白く無い。
けど多分、いや……間違いなく。
他人から見る限りこれは、とても面白い事になっているのだろう。
でも俺にとっては『面白く無い』この感情をだな、吐き出させて欲しいんだ、頼む。
どっかに吐き出しておかないと俺、そんな精神的に強キャラと自分を把握してないからやってけねぇんだよ。
困った事に精神的にいくら参っていてもこれ、俺の『仕事』だから本当にただの愚痴にしかならんのよな。どうすればいい?みたいに相談したところで『会社の企画倒れ』くらいしか解決法が無いのはすでに分かっている。
同僚の加藤や五十嵐、それから照井、部下配属になった阿部やその他もろもろ全員から肩を叩かれて
『諦めろ』
と同情なのか何なのかよくわからない事を言われて終わっているんだ。
壁打ちなのは十分に承知している。
俺のグチに付き合ってくれ。
というわけで俺、佐藤ハヤトが被っている面白い、だが俺は非常に迷惑している現象を早速だが聞いてくれ。
*** *** ***
俺は某ゲーム会社の広報に所属している、ダメとバカが修飾語として接続しても全く恥ずかしく無いゲームオタクである。今も継続中なので元、とかは付かない。
ゲームを取り除いてしまうと俺は消えてしまうのではないか、というくらいゲームの事しか考えられない社会適合能力が低いダメ人間でもある。
否定はしない。
さてそんな俺は、そのゲームだけにベクトルが向いた愛の方向性を見出され、ゲームバカという肩書を惜しげもなく背負ったゲーム会社の、一種『タレント』として就職。今現在もそのようにして働いてメシを食っている。
故に、俺はいまだにゲーム好きのままだ。
好きな事を好きなだけ実行する事が許された『仕事』について、それが社会的に許されているという状況にある。
所でタレント、って元来どういう意味か知っているか?
タレントっていうのは日本じゃ芸能人と同義になっているのかもしれないが、本来の意味では『才能』あるいは『その才能がある人』って意味だ。
故に俺はその名の通り、ゲームタレントとして仕事をしている。
……決して芸を前提にしてそれで食っているわけではない。ようするにタレントではあるが芸人ではない。
ゲームをするのは一種芸ではないのか、と言われるかもしれないが才能があるのと芸とするのとは少し意味が違うと俺は思うんだけどな?
少なくとも芸能人、っていうのはもちろんタレントの一種ではあるのだろうけれど、タレントである前に芸能人という仕事をやっている人なんだろう?芸能を仕事とし、食っていく為にタレントを前面に押し出したりするわけじゃんか。
俺は確かにゲーム好きでメシ食ってるけど、それを芸として取得したつもりは更々無い。
俺にとってゲームは空気と等しく『生きるに必要なモノ』だ。
ゲーム無しでは生きられないダメな『才能』を会社から見出されただけにすぎない。それはようするに、元来備えたおかしな性癖をタレントだと認められ、その結果ゲーム会社に飼ってもらい事になった変なタイプの社員でしかない。
苦労して、その才能を得た訳じゃなく、元来備えた物を珍しいと手折られたにすぎない訳だ。まぁ、自分から摘んでくれと突撃掛けたようなもんではあるのだが……。
芸能人みたいに俺自身の芸を他に売り込むのがメインの仕事をしているわけでは無い。
どっちかっていうと……俺の仮想人格の方がそうやって、他aに売りに出されていると言えるだろう。そっちの方が知名度的には上だし。
俺はその有名になってしまった仮想人格の『中の人』だ。
さて中の人、中の人という事だけでメシを食っていく訳にはいかん。
ゲーム好きを如何無く発揮し、いつものように好きなゲームをやり倒す事が俺の仕事ではあるのだが。
プレイしたゲームのプレイビューを書いたり、プレイ動画的なのに参加させられたり、動的にゲームに触れた一プレイヤー、発言参考者としていろんな会議にひっぱりまわされる日々を送っている。
カイシャの上の方のエラい人達は実際、自社のゲームをしなかったりもするからなぁ。
それで専門用語とか、周辺雑学とかのフォロー役として五十嵐と組まされて、経営陣側のアレコレに派遣されたりもする。
稀にメディアへの出演を『中の人』として依頼されたりもするが勿論、基本的にはお断りしてるな。てか俺にはそんなん無理なのよ、人見知りが極めて激しいチキンなんだから。
そういう時はここぞとばかりに仮想人格、すなわち『ヤト』の影に俺は隠れて出演する事が多い。
故に、ヤトの『中の人』の情報は極めて限らたものになってしまって、変な都市伝説さえあるらしい。
ああ、知りたくない、知りたくない事は知らないんだからな、俺は!
ところで仮想人格って何?って話だよな。
実は俺はこの仕事に就くにあたり、ある特殊なゲームをテストプレイした実績がある。そのゲームをしたいがために自ら自分の才能を会社に見せてしまった、という過去が在る訳だ。
そいつのゲームの名前は『エイトエレメンタラティス』というのだが、長ったらしいのでプレイヤーの一部からは紆余曲折あり『トビラ』という名前で認識されていたりもする。そのゲームで使われていた『仮想の俺』がそのヤトなわけだよ。
そのゲームっつーのが今でこそ『それ』だ、と単語を出せば通用するんだが……数年前の実情で言えば非常に説明し辛いカテゴリなんだよな。
ロールプレイングゲームってのがある。
これはその名の通り、紙に書かれた仮想を演じる、というゲームが発祥でそう呼ばれている。ロールとは『役』とかいった意味があって、それを『演じる』からロールプレイングだ。
RPGと略されるこのゲームはその後コンピュータゲームに変換され一つのひな型を形成し、最初にあった形とは違った形でテンプレート化されていった。
その長い歴史については割愛する、知りたい奴は各自ググれ。
さてそれを、ロニィと呼ばれる新型ゲーム機が全く最初の状態、振り出しに戻したと昨今云われている。
……そう、俺がテストプレイして、微調整の跡正規版として流通に乗った。今巷で流行しているゲーム『エイトエレメンタラティス』こそが、ロニィで遊べる『振出しに戻った』『ロールプレイングゲーム』といえるだろう。
具体的にそれがどういうゲームかといえばようするに……仮想世界『エイトエレメンタラティス』に仮想の自分を送り込んで、そこで仮想の自分を演じるって感じだな。
そうやって異世界に遊ぶ目的は……人それぞれ、さまざまだろう。
それまであったRPGの形では遊ぶ事が出来ない、いや、難しい、かな?
紙ではないけれど明らかに現実ではない『仮想』の上で仮想を演じる訳だからRPGの一種、A・RPGとか言われているとかなんとか。
ま、それはともかくだ。
その仮想世界における俺の仮想人格が色々ありまして有名になっているわけですよ。
もちろんゲーム開発会社としましても、特殊な背景な事もあって起用しやすいってんで色々な形で使った所為もあるだろう。
いくら仮想であってもそれは『俺』であることには変わらない、勝手にマーケティングに使われたら困るのだがいかんせん中の人、すなわち俺は、ゲームタレントとして会社に囲い込まれている。
つまり俺自身はタレントとして、俺の『仮想人格ヤト』は芸人の一種として会社で働いている現状がある。
会社に囲われるにあたり、そうなる事を俺自身了承してこうなっているので別に、問題は無い。
というか、文句言えないよな?
それが、俺の仕事になってるんだし。そうなる方向性は事前に説明されていて、ぶっちゃけ良く分かって無かったというのが正しいが、そうやってお金を貰うサラリーマンになる事を俺は確かに自分で選んだんだからな。
俺は、そうやって自分の才能と芸で食いぶちを稼いでいる。
仮想俺は、独り歩きしているように見えるがそんな事は無い。
俺がいなけりゃヤトは存在しない。一応そのあたり、会社はわざと真面目に配慮してくれていて、オフィシャルとして発行される限り全て中の人である俺の了承をとっている形になっている。
有名になると変にイジられるのは仕方が無いだろう。……うん、仕方ないよね。
ヤトと俺は表裏一体とはいえ、ヤトは仮想人格である、仮面の一つであると弁えていれば現状、俺は何も困った事はないはずだった。
だがしかし俺は、仮想オレであるヤト氏の事を、だな。
何時しか、仮面の一つと弁える事が上手く出来なくなっていたらしい。
*** *** ***
エイトエレメンタラティスってゲームのこの『名前』は、その仮想世界の名前そのものの事を指している。
プレイヤーはその仮想世界に投入する仮想の自分のプロフィールを事前に自由に作る事が出来る。
で、その自由に作る度合いに課金するというのがこのゲーム商法の肝だ。
現実の金で全ての仮想を買えるのかというと、今まであった仮想世界ゲームでそういうのが問題視されていた事もあり、基本的に仮想世界の経験値は金で買えないように根本的なシステムが組まれている。
その具体的な説明は面倒だから今回省くけどな。
ともかく、ある程度ゲームを進めて……ようするにそれはこの場合、仮想世界における経験、正しくは『情報量』を積んだという事になるのだが……。
現実の課金システムと『情報経験値』をリンクさせて、新しいサービスを受ける事が出来るようになる、という商売を俺達はやっているわけだ。
そのサービスを世に知らしめるコマーシャル・メッセージとしてにヤト氏が使われたりする、と。
プレイヤーは仮想世界に投入する自分を設計するのに、一定の縛りや特殊な設定を添付させるサービスを買う事が出来るんだな。
仮想世界で遊べるゲームのハードの名前はロニィ、という。これまた別名が色々あるがそれは今回関係無いから省くぞ。
ゲーム機本体にソフトというパッケージで商売、というのが一昔前のゲーム業界のスタイルだった。ロニィはそのスタイルを根本的に変え、サービスを開発して売るという方法をとっている。実際にはその間にアプリケーションとしてのゲームって形態があるが、これとも完全に住む世界が違うゲームだからここも飛ばすぞ。
さて……長くなったが問題の俺のグチはこっからだ。
俺の勤めるゲーム会社ももちろんサービス展開するわけですよ。
てっきりネタでギャグだと思っていたのだが、上の人達はそうは思わなかったようで実現してしまった俺には全く笑えないサービスがお目見えした。
困った事にそれなりに売れているらしい。
売れてるってマジなのか?俺にはにわかに信じがたい。
そいつはナニかって?
エイトエレメンタラティスでは良くも悪くも有名人になってしまった『ヤト』氏の、外見セットだよ。
ようするにだ、投入する自分のキャラを俺の仮想人格ヤト氏にそっくりに出来るという阿呆なサービスが出来てそれが売れている。
そして俺は、それは面白くないと困っているというわけである。
そんなサービス誰が買うのっだ?
初めにそのサービスの開始を聞いた時、正直そう思っていたが……売れてるって、なんだそりゃ。どういうこった?
加藤がヤト氏テンプレートはウケるかもしれないなぁ、とかぼやいてたのが現実になりやがったって事だろ?
もっとも、現実化したのには仮想世界における俺の立ち位置が重要なのだろう。
本来同じ顔の人間は、リアル世界であれば三人は居るという話だが、大多数存在していてはマズいだろう?なんというか、昔のゲームだったらデータ容量の都合で同じキャラ画像使いまわしとかはあったろうが、そういう問題が無いロニィにおいてあえて同じ規格を用意してあまつさえそれを有料コンテンツとしt訳だ。
実はエイトエレメンタラティスにおける俺すなわち『ヤト氏』は、その『多数の俺』的な状況を容認する大事件を起こしてしまっている。
そう、……魔王軍問題だな。
多数、俺と同じ顔の人が存在していてもその仮想世界では『ヤトの顔に限り』珍しい事ではない、ありうる事だとして受け入れられている状況がすでに在る。
だから、そういうサービス展開をする事になりやがったという訳だ。
外見ヤト氏そっくりに成りたいのなら、そういう外見を選べばいいだけの話なのだが、このサービスの酷い所はそっくりに成れてヤト氏と同じ特徴を備えなおかつ、必ず同じ背景を背負わなければいけないという所にある。
基本、仮想キャラは『自由に作る』ものなのだが、酔狂な人向けにこういうあえて『縛った』テンプレートが爆誕し。しかもそれなりに売れてしまっているという。
ヤト・テンプレートを選んだ者はヤト氏が世界で被っている被害を同様に受けなければいけない、という多大な欠点を持っている。
何かって?
俺は、俺が中の人をやっている『ヤト・ガザミ』はエイトエレメンタラティスでは『魔王の人』として指名手配されていると言えば分かるか?まぁ事情はもっと複雑なのだが。
その複雑事情の一つとして、同じ顔の人で一般的に『ニセモノ』として認識される者がたくさん存在するというのがある。
ようするに、このヤト・テンプレートとはヤトに成りきれる『ニセモノ』をプレイ出来るというサービスなわけだ。
五十嵐が中の人をやっているレッドさんが
「仮想世界であなた自身が選んだ事でしょう。受け入れなさい」
とか言いやがる。
確かに、多数分裂は俺が仮想世界で選んでしまった事だけどさぁ……今さらそれが誰の所為だとか言ったって解決しない事だけど。
そうやって俺の顔が世界に氾濫し、俺一人では制御が出来ない状況であるのは、認めよう、俺にも責任はあったしそれは自分の問題として受け入れているつもりだ。
だから俺は、ヤト・ガザミは……現在仮想世界において大人しく魔王認定受け入れて田舎に引きこもって暮らしているわけだよ。
そういう暮らしを俺自身望んだのは否定しないさ。
……多数の『俺』という、手に余る事情には目をつぶっている。
どうしようもないんだ。
彼らが不幸に見舞われていたとしても、何か悪い事をしたとしても、唯一のオリジナルであるヤトは何もしない、出来ない。
それが俺ではない、赤の他人だというのなら俺の所為でご迷惑おかけしてますとか平謝りだけどな。
残念ながら全部俺なんだよ。
そいつらには中の人である俺は、いないかもしれないけれど。
ややこしいのだが、そうやってヤト・ガザミのニセモノとホンモノは詭弁的に区別されている。
ややこしいけど全部俺だ、だから全ての事と結果を俺は受け止める事にした。
その状況をだな、要するに悪用されて面白おかしく俺に成りたい、成り切りがしたい、なぁんて酔狂な奴らが大量に存在する現実、及びに勝手に『俺』すなわち『ヤト』が使われているというのは……面白く無いぞ、サービスとしては面白いなーとは思うが、それが実は俺と知ったら全然、笑えない。
なんでそんな奴らの経験まで俺が背負わにゃならんのだ。
しかしどんな中の人がいようがいまいが、全ての分裂の可能性を『背負う』と『俺』が腹をくくってしまった以上、もはやどれが気に食わない、あれが嫌だとか選り好み出来る状態ではない。
仮想世界で起きている確かな現実を観客的に見た時、それは『俺』だという感覚に引きずられ『面白く無い』と感じて……悪い事は無いだろ?
感情的に、面白くないから止めてくださいと言ってはいけないのだろうか?
そーいうサービスを展開した会社に向けて、俺というタレントから生まれた『芸』が、大量生産大量消費されていく事に異議を申し立てる事は許されていないのか?
俺がその『芸』でメシを食っている以上、やっぱり以後申し立ては無駄な事か?
そういう、疑問も湧く訳ですよ。
多分、俺が社員で会社に飼われてて、これが仕事だと言っていなければ『やめてください』と言えるのだと思う。
面白く無いけど止めてとは言えないのは俺が、これで金を稼いで飯食ってるからなんだよなぁ……
だからみんな諦めろって肩叩くだけなんだ。
こういうのは一種『二次創作』とかに分類されるんだと思うわ、と二次創作の現役である古谷女史が言っておりました。
ようするにヤト・テンプレートは公認二次創作テンプレートなのよ、とかなんとか。
ああ、だから面白く無いんだよ納得。俺、それで昔イタい目にあってるしな。
企業公認二次って。そんなにウマいのか?って女史に聞いたら、あの人現役だからニヤリって俺に笑い掛けて来るんだよ……がくがくぶるぶる……
*** *** ***
結論、俺は仕事として大好きなゲームが出来る日常を甘く見ていた。
俺は、まんまと仮想人格である『俺』を。会社に売ってしまっていたというわけだ。
そうやって俺は金を稼いでいる、……それで飯を食っていくんだという覚悟が足りていなかったというわけだ。
知らなかった、とかそんなのは通用しない、それが社会って奴。
それは知っていたのになぁ。
お笑い芸人ってすげぇよな。
自分を売って、笑われてなんぼ、なんて。
そんなの俺には一番縁遠いと思っていたのに、今じゃ俺のメイン顔であったヤトって仮面はお笑い芸人の一種として、佐藤ハヤトに美味い飯を食わせてくれていたりするんだぜ。
はぁ……、これも微妙に嬉しくは無いんだけど。
俺よりあいつの方が稼ぎがいいとか何よ。しかも身売りみたいな方法でさ……
以上だ、残念ながら自分でもどーしょーもないの分かってるから完全にただのぐだ話になっちまった。
最後まで俺の愚痴を聞いてくれて、ありがとうな。
おわり
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