拝み屋一家の飯島さん。

創作屋 鬼聴

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伝承

信じるべきは?

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「と、まぁ…状況はわかったね…。
ここからは逃げるための
ぐ…具体的な作戦を立てなきゃ。」


禊さんは私のそばから離れて
怪しげで薄暗い本棚の前を
ウロウロする。


私はそれを見ながら頭を抱える。
少しは落ち着いてきたみたい。
そこでふと思った。


「あっ…!でもさ!家の人たちの事、
了さんが止めてくれるって事はない?
だって私の事、了さん好きな訳だし」


禊さんは少し驚いたような顔をして
フッと嘲るように笑った。


「君って…楽天的…。
わからないよ…そんなの…

もしかしたら、
本当は全部知ってるのかもしれない。

昔の当主様と一緒で
……あの人は…君のこと…利用し…」


「な…!でも!
了さんは…えっと…了さんは…」


咄嗟に遮ったものの
言葉の続きは出なかった。

そうじゃないって思いたかったけど
確かに禊さんの言う通りかもしれない。


私が口籠もっていると何か察したように彼は眉を顰めて苦笑した。


「…ふうん…
…了くんも、昔の当主様みたいな
手腕があるんだ…羨ましいね…

僕…いっつも…
好きな子には嫌われるし…」


禊さんは溜息を吐きながら
手元にある気味の悪い壺を撫でた。


「…どちらにせよ…
ウチの使用人、今は131人いる…

了くんと言えど…止めるのは
ムリなんじゃない?」


そう言って本棚の中から
古びた本を取り出す。
本棚からは埃がパラパラと落ちた。


「…でも、確かに家の奴らから逃げるまで協力してもらって…了くんを後に巻く方がいいかも…」


「なら…!協力を…」


「そんなに了くんを信じたい?」


禊さんの真っ黒い瞳がこちらをスッと
見据えた。ちょっと睨んでいるようにも見える。


「う…確かに私は了さんのこと
あまり知らないけど、
嘘をついてるようには思えなくって…」


それは本心だった。


目の前の彼は本をパタリと閉めると
また大きなため息をつき
ゆっくりとまた私に近づく。


「確かに…了くんて、鈍いとこあるし…
知らないっていう可能性はある…

ただ、彼を引き入れるなら
リスクを取るのは…君…」


禊さんは指先でトンと私の襟元を指す。


「ま…好きな方を選べば…?」


「うん…」


彼は静かに床に座るとまた本を読みだしながら話す、
 

「でもさー…
正直、了くんがいくら鈍くても

毎日、呪術で寝かすのは無理…
協力してもらうのは無難かもね…」


「そういえば…
了さんって意外と隙だらけだよね。

昨日も出れたし、
今日も私ここに居れてるし。」


「…そーだね アレだよ…
フリーザみたいに強すぎて油断してるって感じ……霊力も権力もある人だから…

…てか、そろそろ帰ったら?」


禊さんはそう言って
スマホの画面を見せてきた。

待ち受けには、
どこかのビジュアル系バンドのライブ写真とその上に時刻が表示されている。


『4時38分』


「僕の操人呪術のタイムリミットは
夜明けまで。早く戻らないと…」


「そうなの?!じゃあ、も、戻る!

あ、そうだ!了さんはどうする?
やっぱり協力してもらったほうがいいかな…?」


「君に任せるよ…
信用したいならそうして。

でも…僕の名前は出さないこと…」


「う…うん」


…任されてしまった…
私は部屋を出て廊下を走る。


信用したいなら…か。




どうしよう…




頭をモヤモヤさせながら私は
真っ暗な廊下を進む。


先の見えない真っ暗な廊下を。







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