拝み屋一家の飯島さん。

創作屋 鬼聴

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えんのした様

廃屋探検をしよう

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私達がその廃屋に
着いた時にはもう日が沈みかけていて
辺りは薄暗くなっていた。

樹海の奥地にある廃屋はものすごく
古臭い平屋建ての民家だった。
トタンの屋根は錆び付き、窓には大きなヒビが蜘蛛の巣のように広がり。蔦まみれの表札は擦れて読めなくなっているし、

家の前にはカビまみれで
ボロボロになった布団が干されたまま…。

いかにも心霊スポットって感じで、
この前友達に無理矢理見せられた
ホラー映画に出てきた建物そっくり…

……こんな所を調べるとか…嫌すぎる…

そう思う私の隣で
了さんは顔色ひとつ変えず、

「ふうん。
まぁ、とにかく入りましょうか。」

と言って私の腰に手を回し
なんの躊躇いもなく玄関扉に手を掛けた。

スライド式の古い玄関扉が
ガラガラと音を立てて開くと
室内に充満していたカビ臭い空気が
ブワッと私達を包み込んだ。

…家の中は湿っぽくて生暖かい。

玄関を見回していると
後ろから着いてきていた
禊さんがボソボソと話しかけてきた。

「…玄関には、
それっぽい気配はないね…。奥…行く?」

「当然です。仕事ですからね。
ひと通り全て調べましょう。

噂の"縁の下"も探さないといけませんし。」


了さんは真顔でそう言い放つと
ズカズカと土足で玄関に踏み入る。
慣れてるんだろうなぁきっと。

でも、私は違う…マジで怖い。

まだ夕方だというのに、玄関奥の廊下は
1メートル先も見えないほど真っ暗だ。

「ぅ…了さん中に入るの…?
私、車で待ってちゃダメ?」

「ダメですよ!楓さんと離れるなんて…
俺、寂しくて死んじゃいますから!」

「そんな…ぅう…最悪…」

私がほとんど無意識に了さんの裾を掴むと
彼は嬉しそうに私の肩を抱いて
土足のまま廊下に進む。

「俺にちゃんと着いていれば大丈夫ですよ。
楓さん、ほら、こっちおいで。」

そう言って更にギュッと私を抱き寄せる。

「ちょ…了さん!大丈夫ですから!」

そんな事をしていると背後からの
視線を感じた。

「…え?」

振り返ると
死んだ目でこちらを見ている禊さんだった。

「あ……お、お気になさらず。」

そう言って禊さんは目を逸らした。
…なんか申し訳ない…。

もちろん了さんは
禊さんのことなど全く気にせず、
私にベッタリくっついたまま奥へと進んだ。

薄暗い廊下は歩くたびにギシギシと軋み
腐りかけの床は今にも抜けそうだ。

一階には居間と和室が一つづつ、
キッチンにお風呂。

キッチンには開いたままの
電子レンジや冷蔵庫、
食器棚には埃をかぶった食器が並んでいる。
足元には雑誌やカビた布団、洋服の山…

「なんか…夜逃げしたみたいな家…」

私が呟くと了さんは
床に散らばった服を蹴飛ばしながら頷いた。

「…確かに…物がそのままですね。
…住人は準備をする間も無く急いで
此処を立ち去ったのか…、死んだのか…。

お、アルバムまである。」

了さんは床のガラクタの山から
アルバムを指先で摘み上げて机に放る。
デーブルの上を埃が舞ってバサリと着地する。禊さんはそれを覗いてページをめくった。

「アルバムまで残ってるって…
相当急いで逃げてるね……
まぁ、この手の物件ではあるあるだけど…」

黄ばんだアルバムには
母親と子供?の映った古い写真が貼ってあってめくるたびにベリベリと乾いた音が鳴る。

「心霊写真とかあったらやだなぁ…」

了さんの腕にしがみつきながら
アルバムを見ていると禊さんが
突然、ハイテンションで大声を上げた。

「あー!!!!よっしゃあ!
アステカだぁ!!!」

そう叫んだかと思うとアルバムから
写真を引っぺがして両手で掲げた。

「あ…あすてか?」

ポカンとする私に禊さんが
目の前に写真を突きつけてきた。

「はぁ?!君知らないわけ?!
心霊写真と言ったら!アステカの祭壇でしょ!!みてよ!コレ!ほら!!」

写真には他と同じく親子が映っていて
その周りにビル群みたいな形に赤い光?が
写っている。確かに気持ち悪い…。てゆうかあんま見たくない。

困り顔の私に了さんが説明してくれる。

「えっとですね。『アステカの祭壇』は
わりとポピュラーな心霊写真の一種でして、
赤い祭壇の様なものが映っていることから
アステカの祭壇と呼ばれています。

因みに
見ると呪われるという噂があります。」

「えっ!!?ちょっと!?!!
ガッツリ見せられたよ!?今!!!
禊さん何してくれてんの?!」

禊さんは話なんて聞かず"アステカの祭壇"を
片手に小躍りしている。

「ふふっ僕の心写(心霊写真の略)アルバムに追加しよう!」
 
テンション爆上げの禊さんの横で私は
戦々恐々。

「というかこれって私達…
呪われちゃってたりしないよね?!?!」

「大丈夫ですよ。アステカなんて
俺も死ぬほど見てますから」

「死ぬほどみてるの!?」

そんな会話をしながら私たちは
さらに奥へと進む。

長い廊下を抜けて1階の居間らしき和室に
着いたときふと気づいた。


あれ…?


「この辺りの部屋…意外に綺麗…」


「えっそうですか?」

了さんが答え、二人は不思議そうに
こっちを見る。

「ほら、散らかってはいるけど
キッチンのシンクとかベットとか
お風呂とか意外と綺麗じゃない?

床もほら!」


私はしゃがんで床の畳に指を滑らせる。


「さっきと違ってホコリとかないし。」

「…ホントだ」


禊さんも続く様にしゃがんで床を撫でる。

「でも、子供とかが探検したりしてんでしょ?だからホコリとか積もらないんじゃ…??」


「まぁ確かに。綺麗な気はしますね。
泊まれる程度に綺麗なのは助かります。」

「え…泊まるの?」

顔を引き攣らせた私の前で
了さんはにっこり笑う。


「心霊調査は夜が本番ですよ。」


「えー?!!
何か起こったらどうするの!?」

騒ぐ私の大声に耳を塞ぎながら
無感情に禊さんが言う。

「何か起こるのをむしろ待つんでしょ
あ…あと、外にタンクあったから
水回り使えると思うよ。やったね。」

…彼もこういうのは慣れっこの様だ…。

暫く3人で家の中を彷徨っていると
外に面した廊下の先に半開きの
ドアがあった。

ドアの上には磨りガラスで出来た小窓があって丁度、教室のドアの上みたいな感じだ。
ここから幽霊が覗いてたりしたらどうしよう…って感じ…

けれど何よりおかしいのはドアノブが針金でぐるぐる巻きになっているという点。

「明らかに怪しいですね。
針金外して開けましょう」

了さんが容赦なくガチガチになった針金をはずし、その扉を押し開けようとすると
扉が何かに抑えられていて開かなかった。

「おや、参りましたね。
奥にあるの縁の下の様に見えるんですが…」

「あ、ほんとだ」

扉の隙間から覗くと奥の方に縁側が見える。
あの下が噂の場所かもしれない。

「…扉の後ろでなんか引っかかってるね…
裏行けば外せそうなんだけど…」

禊さんも扉の隙間から奥を覗く。
そして、覗き終えると私の方を見た。
了さんも私の方を見た。

「…????え??
な…なに?どうかしたの?」

そしてゴニョゴニョ二人で話し始める。 

「このドアの上…窓がありますよねぇ…」

「あるね…。僕らじゃ無理そうだけど…
子供や成人女性なら…通れそうな小窓…

子供やなら…」


「…ウソでしょ…」

絶句する私の両方に了さんが手を置いた。


「と言うわけで。お願いしますね!
楓さん!」



「…いっ…嫌だっっ~~!!!!!!」

 

廃屋に私の絶叫がこだました。
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