貧乏男爵令息(仮)は、お金のために自身を売ることにしました。

バナナマヨネーズ

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第二話 侯爵令嬢の秘密

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 部屋に残されたベルナードは、所在なくソファーに腰掛けたまま、義父になるロベルト・ロイスーンに曖昧な笑顔を向けた。
 
「早速嫌われてしまったようです。これでは、跡継ぎを作ることなどできそうにないですね」

 自分にはそんな事は、一生無理だと分かっていたが敢えてそう言った。ベルナードは、自分からそう言って、子供を作ることが出来ないことを言い方は悪いが、ルーナベルニカに嫌われているせいだと印象づけるように言った。
 
 ロベルトは、苦笑いを受けべてベルナードに謝罪した。
 
「すまない。ベルナード君。あの子は人と接することが苦手で……。それに、しゃべることが出来ないために、他人との接し方が分からないでいるんだ……」

 そう言って、ベルナードに驚くべき事実を告げた。
 ベルナードは、ルーナベルニカが言葉を話せない事実に驚きを隠せずにいた。
 それを見た、ロベルトはすまなさそうな表情で言った。
 
「結婚を決めた後でこんな事を知らされて驚いただろう?本当にすまない」

「いいえ、こちらも金銭的な援助をお願いした立場です。それに、これは政略結婚だと、そう侯爵はおっしゃられたじゃないですか?僕には、政略結婚を望まれるような価値があるようには思えなかったですが……」

「いや、うちの娘は喋ることも出来ない。それに、あの子は男嫌いでね、君のような容姿の令息を探していたんだ」

 ベルナードは、自分の容姿が男らしくないことを指摘されて内心ムッとしたが、事実のためそれを抑えて苦笑いを浮かべた。
 
「そう……、ですか……。そちらのご希望に添えてなによりです……」

 こうして、互いの思惑を隠した状態で初対面は終了した。
 
 ベルナードは、自身に充てがわれた部屋で頭を抱えていた。
 
「はぁ、相手も子供を作る気はなさそうだけど、前途多難そうだ。それにしても、これからこの秘密を隠したままここで生活するのは案外大丈夫かもしれない。夫婦になるといっても、ルーナベルニカ嬢は、僕を避けているみたいだし」

 そう独り言ちた後に、ベルナードは長旅の疲れからベッドにごろりと横になった。
 体は正直で、緊張から来る疲労でベルナードは自然に眠りに落ちていた。
 
 翌日、疲れから何も言わずに就寝してしまったことを詫びるベルナードに、ロベルトは笑顔で言ってくれた。
 
「分かっている。ここまでの旅で疲れていただろうさ。それよりも、昨日は湯も使わずに寝てしまったようだね。準備させるから、朝食後にさっぱりするといい」

 ロベルトの言葉は嬉しかったが、ベルナードはそれに躊躇いを見せた。
 その躊躇いに気が付いたロベルトは、怪訝そうにベルナードを見つめた。
 
「何か問題でもあるかね?」

「いえ、ただ湯浴みの準備は自分で出来るのでお手を煩わせる訳には……」

 ベルナードの言葉を聞いたロベルトは、腹を抱えて笑った。
 
「あっはっははは!!そんなことか!別に、メイドの仕事だ。湯の準備くらいで何も気にしなくていい。準備ができたら知らせるから、一人でゆっくりと湯に浸かるといい」

 ロベルトの「一人でゆっくり」という言葉を聞いて安心したベルナードは、ぎこちなく微笑みを返して言った。
 
「お心遣い感謝いたします。では、一人でゆっくりと湯に浸からせていただきます」

 そう言って、ロベルトの提案を受けることにしたベルナードは、朝食を食べ始めた。
 食べ始めて少しすると、ルーナベルニカが遅れて朝食に現れた。
 相変わらずの美しい顔立ちと所作でベルナードを魅了したルーナベルニカは、軽く会釈するだけで食卓に付き朝食を食べ始めた。
 特に話をすることもなく、食事を終えたベルナードにメイドが湯浴みの準備ができたと告げたため、断りを入れた後に食堂を後にした。
 ベルナードが、食堂を出ていった後にロベルトは、ルーナベルニカを連れて執務室に向かった。
 執務室で二人きりになった途端、ロベルトはニヤニヤとした表情でルーナベルニカを見て言った。
 
「ベル、婿殿を気にいったみたいだね。これなら、子供も直ぐにできそうだ」

 ニヤニヤしながらそういうロベルトに、ルーナベルニカは表情を引きつらせなから言った・・・
 
「父上……。無理なものは無理です。いくら私が、彼を好きになったとしても、子供を産むことは出来ません。それに、私の秘密を知ったら彼は私を気持ち悪いと思うに決まっています」

「ふむ……。いや、婿殿もベルを気にいったように見えたけどなぁ。好き同士なら性別なんて些細なことだよ?ベルが本気で彼を好きなら、私は君たちを応援するよ?」

「無理です!!普通の人は同性・・を好きになったりしません!!」

「そうかなぁ?あっ、そう言えば彼、湯浴みに行ったけど替えの服や下着は用意してあるのかな?食堂からそのまま浴場に向かったけど?」

「っ!!わっ、私が様子を見てきます!!だから、メイドや侍女は浴場に近づけないようにしてくださいね!」

「あっはっは!!なんだい?早速他の女性に焼きもちかい?大丈夫だよ、いくら彼が可愛い顔をしていても、侯爵家の令嬢である君の夫にイタズラをするような使用人を雇ったつもりはないから安心して」

「父上!!」

 そんなやり取りの後、ベルナードの荷物から悪いとは思いつつも、着替えと下着を手に持って浴場に向かうルーナベルニカの足取りは今までに見たこともないくらいに軽いものだった。
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