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脱出編
24 私はこの世界について知った
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アーくんが落ち着いたところで、私は声を掛けた。できるだけ、アーくんを傷つけないよう心がけて。
「アーくん……。その薬草には、体を鍛えるような効果はないんだよ……。確かに体は健康になるけど、用途としては毒消しとか……」
そこまで言ったところで、アーくんが悲しげに青い瞳を曇らせたのが見えて私は続きを言うことは出来なかった。
その代わりに、別のことを言っていた。
「えっと……、プロテインってどうやって作るんだろう?牛乳と大豆?タンパク質?なんだっけ?う~ん。アーくん、私……、きっとプロテインを開発してみせるから待っていて……?」
「プロテ?」
「えっと、筋肉増強のサプリメント……、補助食品だよ?」
「筋肉増強?!シズ!!是非開発に成功した暁には僕にそれを!!いや、開発に協力します!!僕を実験台にしていいので、早急に筋肉増強薬の開発を!!」
あれ?いつの間にかアーくんの中で筋肉増強薬にグレードアップしてる……。うん。アーくんの悲しむ顔は見たくないし、頑張ろう……。
「うん……。がんばろう……」
「おう!!」
こうして、一騒動あったけど目的の畑と菜園を二人に見てもらうことが出来た私は、薬師のスキルで畑と菜園を仕舞ってみた。
突然目の前から広大な畑と菜園が消えたことに驚いた二人は声もなく、だだっ広い空間を見つめていた。
「はい。どうですか?薬師スキルで作った畑と菜園を仕舞ってみました」
そう言って二人を見るけど、なんの反応もない。
不思議に思っていると、ヴェインさんが頭を抱えて、アーくんが地面に膝をついて言った。
「なんてことだ!驚きすぎてもう何が凄いのか分からない!!」
「どうなっているんだ?僕は夢でも見ているのか?いや、凄すぎて何もわからない!!」
う~ん?思っていた反応と違う……。
私の予想だと、二人は「おお!凄いな」「わぁ、便利ですね」と、反応すると思っていたのに……。
考えたところで仕方ないし、最後に家主のスキルを披露して終わりにしよう。
そう決めた私は、2階建ての家を移動させてみた。
二人は、なんだか呆れたような表情で自由に移動するマイホームを見て大きくため息を吐いていた。
「非常識が過ぎて、僕はもう何も突っ込まないですよ。もう、何かあっても全てシズだから仕方ないで済ませることに決めました……」
「ああ、俺もアークに同感だ……」
なんでそんなに疲れた顔なの?解せない……。
一通りの披露が終わったので、畑と菜園をもとに戻してから家に戻った。
リビングでお茶を飲みながら今度は私から二人に質問を開始した。
「それでは私から色々質問します」
「分かった。なんでも聞いてくれ」
「はい」
ヴェインさんから質問の許可を得たので、私は一番気になっていたことを真剣な顔で聞いた。
「こっちの世界には、お湯に浸かるようなお風呂はないんですか?」
私の質問を聞いたヴェインさんとアーくんは、無言でがっくりと項垂れていた。
あれ?どうしたんだろう?変なこと聞いたかな?普通だよね?というか、これは重要な問題だよ!衛生面とかいろいろ!!
そんなことを思っていると、ヴェインさんが苦笑いの表情で答えてくれた。
「あるにはあるが、お湯に浸かるような贅沢は王族だけの特権だな。普通の貴族や市民は盥にためたお湯で体を清めたり、大衆風呂を使う」
「大衆風呂?」
「熱した石に水をかけて発生した蒸気で体を温めて発汗させるんだ。その後は、水で汗を流して終わりだな。俺たちの国では、それが一般的な風呂だな。水はあるが、お湯にする手間や労力、それにかかる費用を考えると、湯を大量に沸かして浸かるなど贅沢以外の何者でもないからな」
なるほど、こっちでは蒸し風呂式なんだね。う~ん。私には無理だ。お湯に浸かりたい。最低でもシャワーは浴びたいよ。
「分かりました。ありがとうございます。えっと、次の質問ですけど、こちらの世界には魔法があるんですか?」
「ある。だが、魔法を使えるのは一握りの人間だけだ。一般的には、武術を磨き魔物を討伐する。ただ、一握りの魔法使いが、王族や貴族向けに生活を豊かにする魔法道具を開発している」
「高級品なんですか?」
「ああ。魔法道具自体も高額だが、それよりも維持費や燃料のほうが掛かると言ってもいい」
「維持費?燃料?」
「高価なものではあるが、高頻度で不調を起こしたりするらしい。その都度魔法使いを呼んで修理してもらったりな。それに、魔法道具を使うには、大量の魔石が必要になるんだ」
新たに出たワードに私は興味を持った。ゲームや漫画とかでよく聞く魔石というワードにだ。
「魔石ですか?」
「ああ。魔物の核とも言えるな。人で言うところの心臓だ。その核に、魔物の瘴気が溜まって結晶化した物が魔石だ。魔石は魔物を討伐すれば簡単に手に入るが、それは瘴気の塊でもある。使えるように浄化するのに膨大な時間がかかるんだ。聞いた話だと、聖水につけて数ヶ月から数年。大きいものだと数十年掛かって浄化して初めて燃料として使えるようになるそうだ」
まさかの手間隙に魔石への興味は急降下していった。
実用レベルには、相当な時間がかかることにがっかりしていた私を励ますようにヴェインさんは言った。
「だが、シズには必要ないかもな。そうだろう?構造は不明だが、この家にあるものは魔法道具なんかよりも遥かに凄いものだ。生活には困らないと思うぞ?」
ヴェインさんの言葉に、自分が与えられた力を思い出した私は無いなら自分で作ればいいと考えを改めた。それに、魔石はなくても太陽光が全てを解決してくれるはずだと私は希望を持った。
そう、マイホームは太陽光発電で電力を賄っているのです。
オール電化バンザイ!!
水回りは、地下から水を汲み上げて浄化装置を使っているので安心安全。
下水も浄化装置を通しているので環境にも優しいんだよ?
「アーくん……。その薬草には、体を鍛えるような効果はないんだよ……。確かに体は健康になるけど、用途としては毒消しとか……」
そこまで言ったところで、アーくんが悲しげに青い瞳を曇らせたのが見えて私は続きを言うことは出来なかった。
その代わりに、別のことを言っていた。
「えっと……、プロテインってどうやって作るんだろう?牛乳と大豆?タンパク質?なんだっけ?う~ん。アーくん、私……、きっとプロテインを開発してみせるから待っていて……?」
「プロテ?」
「えっと、筋肉増強のサプリメント……、補助食品だよ?」
「筋肉増強?!シズ!!是非開発に成功した暁には僕にそれを!!いや、開発に協力します!!僕を実験台にしていいので、早急に筋肉増強薬の開発を!!」
あれ?いつの間にかアーくんの中で筋肉増強薬にグレードアップしてる……。うん。アーくんの悲しむ顔は見たくないし、頑張ろう……。
「うん……。がんばろう……」
「おう!!」
こうして、一騒動あったけど目的の畑と菜園を二人に見てもらうことが出来た私は、薬師のスキルで畑と菜園を仕舞ってみた。
突然目の前から広大な畑と菜園が消えたことに驚いた二人は声もなく、だだっ広い空間を見つめていた。
「はい。どうですか?薬師スキルで作った畑と菜園を仕舞ってみました」
そう言って二人を見るけど、なんの反応もない。
不思議に思っていると、ヴェインさんが頭を抱えて、アーくんが地面に膝をついて言った。
「なんてことだ!驚きすぎてもう何が凄いのか分からない!!」
「どうなっているんだ?僕は夢でも見ているのか?いや、凄すぎて何もわからない!!」
う~ん?思っていた反応と違う……。
私の予想だと、二人は「おお!凄いな」「わぁ、便利ですね」と、反応すると思っていたのに……。
考えたところで仕方ないし、最後に家主のスキルを披露して終わりにしよう。
そう決めた私は、2階建ての家を移動させてみた。
二人は、なんだか呆れたような表情で自由に移動するマイホームを見て大きくため息を吐いていた。
「非常識が過ぎて、僕はもう何も突っ込まないですよ。もう、何かあっても全てシズだから仕方ないで済ませることに決めました……」
「ああ、俺もアークに同感だ……」
なんでそんなに疲れた顔なの?解せない……。
一通りの披露が終わったので、畑と菜園をもとに戻してから家に戻った。
リビングでお茶を飲みながら今度は私から二人に質問を開始した。
「それでは私から色々質問します」
「分かった。なんでも聞いてくれ」
「はい」
ヴェインさんから質問の許可を得たので、私は一番気になっていたことを真剣な顔で聞いた。
「こっちの世界には、お湯に浸かるようなお風呂はないんですか?」
私の質問を聞いたヴェインさんとアーくんは、無言でがっくりと項垂れていた。
あれ?どうしたんだろう?変なこと聞いたかな?普通だよね?というか、これは重要な問題だよ!衛生面とかいろいろ!!
そんなことを思っていると、ヴェインさんが苦笑いの表情で答えてくれた。
「あるにはあるが、お湯に浸かるような贅沢は王族だけの特権だな。普通の貴族や市民は盥にためたお湯で体を清めたり、大衆風呂を使う」
「大衆風呂?」
「熱した石に水をかけて発生した蒸気で体を温めて発汗させるんだ。その後は、水で汗を流して終わりだな。俺たちの国では、それが一般的な風呂だな。水はあるが、お湯にする手間や労力、それにかかる費用を考えると、湯を大量に沸かして浸かるなど贅沢以外の何者でもないからな」
なるほど、こっちでは蒸し風呂式なんだね。う~ん。私には無理だ。お湯に浸かりたい。最低でもシャワーは浴びたいよ。
「分かりました。ありがとうございます。えっと、次の質問ですけど、こちらの世界には魔法があるんですか?」
「ある。だが、魔法を使えるのは一握りの人間だけだ。一般的には、武術を磨き魔物を討伐する。ただ、一握りの魔法使いが、王族や貴族向けに生活を豊かにする魔法道具を開発している」
「高級品なんですか?」
「ああ。魔法道具自体も高額だが、それよりも維持費や燃料のほうが掛かると言ってもいい」
「維持費?燃料?」
「高価なものではあるが、高頻度で不調を起こしたりするらしい。その都度魔法使いを呼んで修理してもらったりな。それに、魔法道具を使うには、大量の魔石が必要になるんだ」
新たに出たワードに私は興味を持った。ゲームや漫画とかでよく聞く魔石というワードにだ。
「魔石ですか?」
「ああ。魔物の核とも言えるな。人で言うところの心臓だ。その核に、魔物の瘴気が溜まって結晶化した物が魔石だ。魔石は魔物を討伐すれば簡単に手に入るが、それは瘴気の塊でもある。使えるように浄化するのに膨大な時間がかかるんだ。聞いた話だと、聖水につけて数ヶ月から数年。大きいものだと数十年掛かって浄化して初めて燃料として使えるようになるそうだ」
まさかの手間隙に魔石への興味は急降下していった。
実用レベルには、相当な時間がかかることにがっかりしていた私を励ますようにヴェインさんは言った。
「だが、シズには必要ないかもな。そうだろう?構造は不明だが、この家にあるものは魔法道具なんかよりも遥かに凄いものだ。生活には困らないと思うぞ?」
ヴェインさんの言葉に、自分が与えられた力を思い出した私は無いなら自分で作ればいいと考えを改めた。それに、魔石はなくても太陽光が全てを解決してくれるはずだと私は希望を持った。
そう、マイホームは太陽光発電で電力を賄っているのです。
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