最強と言われるパーティーから好きな人が追放されたので搔っ攫うことにしました

バナナマヨネーズ

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第八話 長期休暇は何をする?

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 二人で一緒にいることが日常になりつつある、とある日の放課後。
 ラヴィリオラは、ノエルに聞かなければならないことがあった。
 何時ものようにノエルと一緒に夕食の用意をしている間、ラヴィリオラは迷った末にその言葉を口に出した。
 
「来週から始まる長期休暇のことだけど……」

「ん? ああ、俺はいつも通り王都に残るよ。実家に帰ってもやることが無いしね」

「そうか……」

「ラヴィリオラは?」

「わたしは……、家に帰るが……」

「そっか。二ヶ月の間、離れて過ごすのは寂しいね」

 本当に寂しそうな表情を見せるノエルに、ラヴィリオラはなんの考えもなしに提案していた。
 
「なら! わたしと一緒に過ごさないか!」

「え?」

 ラヴィリオラが勢いよくそう言うと、ノエルは目を丸くさせる。
 
「蓄えはあるけど、こういう機会に稼いでおきたいし。でも、君と離れるのはわたしも寂しいというか……」

「蓄え? 稼ぐ?」

 ラヴィリオラの言葉の中に疑問が湧くノエルは、首を傾げていた。
 そんなノエルを見たラヴィリオラは、ハッとしたような表情で両手を振って早口で説明を始めた。
 
「言ってなかったかも……。わたし、家を出て自立してるんだ。迷宮都市に家を持っていて、そこで暮らしていたんだよ。趣味で冒険者の資格も持ってるんだよ!」

 初めて聞くラヴィリオラの素上に無意識に胸を押さえたノエルは、ぼんやりとした声音で問う。
 
「そうなんだ……。知らなかった。そうだよね。冒険者……。強いわけだよ……」

「隠していた訳じゃなくて!」

「わかっているよ。俺も聞かなかったし……」

「……」


 少しの沈黙のあと、ノエルはラヴィリオラの瞳を見つめて言った。
 
「行く。長期休暇はラヴィリオラと過ごしたい!」

 ノエルの言葉に、表情を明るくさせたラヴィリオラ。
 
「ああ! 楽しみだよ!」

 こうして、長期休暇の予定が決まった二人は、これからのことに、それぞれが思いを馳せたのだ。
 
 
 
 週明けの早朝のことだった。
 ノエルはラヴィリオラの家の前に着ていた。
 大荷物を持ったノエルが呼び鈴を鳴らすと、眠たそうな表情のラヴィリオラが扉を開けた。
 
「ふぁぁぁああぁ。おはよぅ……」

「おh……!? ちょっ、なんて格好を!」

 シャツだけを羽織ったような格好で現れたラヴィリオラに驚いたノエルは、慌てて家の中に押し入る。
 無防備すぎるラヴィリオラに背中を向けたノエルは、動揺の滲む声でお願いする。
 
「ラヴィリオラ! 服! 服を着てくれないか!!」

「ふくぅ? ああ、ごめん。見苦しい姿で……」

「はぁ……。見苦しくはないけど……。目に毒と言うか……」

「ふふーん。わたしは全然見られても問題ないけどな?」

「恥じらいを持ってよ! どうしてこうなったんだ? 試験の時のあの恥じらいは? どこに失くしてしまったというのか……」

 一人嘆いているノエルを横目にラヴィリオラは、にっこりと微笑む。
 凹凸のない子供のような体型の自分でも、男らしい美男子のノエルを狼狽させられる事実に嬉しさが込み上げる。
 出会った時より、一緒に過ごすうちに恋しさが募る一方だった。
 自信のなさが玉に瑕だが、そこを慰められるのはラヴィリオラだけの特権だった。
 ノエルの器用なところも、お人好しなところも、何もかもが好きだった。
 
 
「ふふっ。今日から二か月間、よろしくね」

「うん。よろしく」

 朝食を手早く済ませたあと、貸家を内側から施錠したことを確認し終えたラヴィリオラは、身軽な格好でノエルに手を差し出した。
 
「よし、それじゃあ、行こうか」

「えっ?」

「おっと、君の荷物もしまうからちょっと失礼するよ」

 そう言ったラヴィリオラは、ノエルの脇に置いてあった荷物を腰に付けた袋に入れてしまったのだ。
 あり得ないことにノエルが驚愕し疑問の声を上げた。
 
「えっ? そう言えば、試験の時も……」

 脳裏に過る謎の袋の存在に言及するノエルに対して、ラヴィリオラはあっけらかんと真実を口に出していた。
 
「ん? ああ、マジックバッグだよ」

「…………?!」

「ダンジョンで拾ったんだよ。いっぱいあるから、君もいる?」

「いやいやいやいや!」

「あっ、君には空間魔法があったっけ」

「はぁ……、ラヴィリオラは常識をもっと知った方がいいと思うよ」

 ノエルがそう言うと、ラヴィリオラは頬を膨らませて不満顔で言った。


「それはこっちのセリフだ!」

「心外だよ……。だいたいね、マジックバッグは超貴重品なんだよ? それをホイホイと人にあげるなんて……」

「むむっ! マジックバッグなんて、運さえあれば誰でも拾えるし、ピンキリで、見た目が悪い!」

「はぁ……。その運がだね……。まぁいいか……。こんなことでラヴィリオラと言い合いなんてしたくないよ」

「そうだね。じゃぁ気を取り直して、わたしの家に向かってしゅっぱーつっ!!」

 そう言ったラヴィリオラは、ノエルの手を掴んで、その体を抱き寄せていた。

「それじゃ、飛ぶよ!」

「えっ?」


 
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