最強と言われるパーティーから好きな人が追放されたので搔っ攫うことにしました

バナナマヨネーズ

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第十一話 冒険者

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「マーティー、ごめん。今日は顔を出しただけなんだ。落ち着いたら依頼を受けに来るよ」

「わかったわ」

 そう言ってラヴィリオラは、あっさりと冒険者ギルドを後にしたのだ。
 
「よかったの?」

「いいんだ。それよりも食材の買い出しの方が大事だ」

 ラヴィリオラの言いように、ノエルは笑みを浮かべた。
 今まで知らなかった一面を知って、少しの寂しさを感じていたノエルだったが、考え方を変える。
 新しい一面を知れてよかったと。そして、この機会にもっとラヴィリオラのことを知りたいと思うのだ。
 
 その後、かなりの量をアイテムバックにしまったラヴィリオラは、家には帰らずにとある場所にノエルを連れて行く。
 街の中心地。そこにはたくさん人と、出店で賑わう場所だった。
 そして、仰々しいまでの立派な門が目に入った。
 何かの生物が彫られた門を見上げるノエルに、ラヴィリオラはこの場所について教えた。
 
「ここがこの街の名所の一つ。ダンジョンだ」

「これがダンジョン……。すごいね」

「ああ。わたしも英雄養成学校に編入する前は、ここに潜っていた。ほら、あそこを見て見ろ」

 そう言われたノエルは、ラヴィリオラが指さす方を見上げていた。
 
「あそこに彫られているのは、リュウと呼ばれる神格を持った生物らしい。一説には、このダンジョンの最深部にリュウがいるとかなんとか」

「へえ……。リュウ……。すごいね」

「そうだな。本当かは知らないが、リュウは願い事を叶えてくれるとかなんとか」

「ははっ。すごすぎるよ」

「だな。ここの他にもう一つ街の中にダンジョンがある。そっちは、初心者から中級者向けだな」

「すごいね。街の中にダンジョンがあるなんて」

「まぁ、ダンジョンがあって、その近くに人が集まって、街になったのが始まりだそうだ」

「知らなかった……。俺はまだまだ勉強不足だな」

 そう言って頬をかくノエルに対して、ラヴィリオラは笑みを向けて言った。
 
「知らないことがあれば、知っていけばいい。それだけだ。よし、そろそろ帰ろうか」

 そう言って手を差し出すラヴィリオラの手を、自然と握ったノエルは、様々な期待に胸を膨らませたのだった。


 
 それから二日後の朝、ラヴィリオラはノエルに聞いたのだ。
 
「今日からギルドの依頼を受けに行くけど、ノエルはどうしたい?」

 ラヴィリオラの質問の意図を理解したノエルは、目を輝かせて答えた。
 
「可能なら俺も、依頼を受けてみたい」

 少年のようなワクワク顔で、そう言うノエルを見たラヴィリオラも笑顔で頷いていた。
 
「ああ。それじゃ、冒険者登録からだな」

 二人は朝食後、冒険者ギルドに向かっていた。
 ラヴィリオラは、迷わずマーティーのいる受付カウンターに向かった。
 
「おはよう。今日は、彼の冒険者登録に来た」

 ラヴィリオラにそう言われてマーティーは、笑顔で頷く。
 
「おはよう。わかったわ。ノエル、この用紙に記入をしてね」

 マーティーに渡された用紙を受け取ったノエルは、その内容に首を傾げた。
 そんなノエルの反応を見たマーティーは、優しい調子で教えるのだ。
 
「冒険者になる子って、貴族ももちろんいるけど、半数以上は平民なわけよ。識字率とか色々な兼ね合いで、基本的には口頭での聞き取りがメインなのよ。字が書ける人向けに用紙はあるのだけど、こんなものよ」

 そう言われたノエルは納得し、名前と年齢、戦闘スタイルの三つしかない用紙にサラサラと記入をする。
 
 ノエルから用紙を受け取ったマーティーは、一枚のカードをノエルに差し出す。
 
「はい。これがギルド証よ。入会金は1000ゴールドね。最初は白級からスタートよ」

「わかった」

「はい。冒険者のランクについては?」

「ある程度の知識はあるが、説明をお願いできますか」

「了解よ。ランクは、白、黄、緑、青、紫、赤、銅、銀、金の順番で昇級するわ。青級までの昇級は依頼の成功数なんかで上がっていくわ。それ以上になると、昇級試験を受けたり、大きな功績を上げたりで昇級していくのよ」

「わかった」

 マーティーの説明に頷いたノエルは、じっとラヴィリオラを見つめる。
 なにが聞きたいのかすぐに分かったラヴィリオラは、頬をかき、気まずそうにしながらも答えていた。
 
「わたしのランクか……。…ん」

「え?」

「金級……」

 まさかの答えにノエルの目が丸くなる。
 それを見ていたマーティーの方が胸を張って嬉しそうに言うのだ。
 
「そうなのよ! ラヴィちゃんはすごいのよ! この若さで、あっという間に金級よ!! ラヴィちゃんが踏破したダンジョンは、両手両足の指でも足りないくらいなのよ! それに、ドラゴンだって狩れる凄腕なんだから!」

「…………すごい……。やっぱり君はすごいや……。でも、俺だって……。ラヴィリオラ! 俺は強くなるよ!」

 ラヴィリオラは、闘志を燃やすようにそう宣言したノエルに、どこか懐かしい面影を重ねてしまっていた。

「ああ、君ならきっと、もっと強くなれるさ……」

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