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第三章②
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当時のわたしには、とても仲のいい貴族令嬢がいたの。
内々に上がっていた婚約者の話を彼女にしたことがすべての始まりだったと思うわ。
仲のいい令嬢は最初はそのことに驚いていたけれど、わたしのことを応援してくれると言ってくれたわ。
そして、正式に婚約が発表される前日、わたしは覚めることのない深い眠りに落ちていた。
そして、どのくらい寝ていたのか分からないけれど、気が付くと水晶の中に閉じ込められるようにして眠っている自分がいたわ。
何故そんな事になってしまったのか、理由は分からなかったわ。
ただ憶えているのは、仲の良かった令嬢から贈られたお祝いの花束。
あれを部屋に飾った後からの記憶がなかったということだけ……。
自分が死んでしまってこうなったのか、まだ生きているのにこうなってしまったのかは分からなかった。
ただ、幽霊の様に透ける体を浮遊させることしかできないわたしは、長い間水晶に閉じ込められたわたしの周りを漂うだけだった。
だけど、わたしは気が付いてしまったの。
わたしは地縛霊みたいに自分の体に縛られていないということに。
アストラル体となってしまってたわたしは、いつしか自分の眠る部屋を飛び出していたわ。
王都を見て回り。周辺の領地も見て回ったわ。
そして、北部も見てみようとしたけれど、アストラル体だからなのか、何故か北部を見て回ることが出来なかった。
だから、それ以外の東部や南部、西部を見て回ったわ。
楽しかった。今まで本の中では知っていたことを実際に自分の目で見ることはすごく楽しかったの。
アストラル体だから、疲れることも眠ることも必要なかった。
だから、国中を見て回ったわたしは、次第に虚しさを覚えるようになっていたわ。
誰とも触れ合えず、ただ一人で空を漂う。
いつ消えてしまうかもわからない。
すごく孤独だった。
そんなある日、今まで感じることの出来なかった魔力の存在を感じていることに気が付いたの。
それまでのわたしは、魔力は持っていてもそれを感じることが出来ず、宝の持ち腐れだと両親に言われていたわ。
だから、少しでも次期伯爵となる弟の助けになれるようにと、体を鍛えて剣の道に進みたいと思うようになったのよね。
アストラル体になった影響なのか、わたしの中に眠っていた膨大な魔力を感じられるようになったわたしは、未知の領域である魔術に興味を持つようになっていたの。
いつ消えるかもわからない今の状況を少しでも楽しみたかったというか、目を逸らしたかったというか……。
そんな訳で、国中の魔術師の元を訪れて、魔力について学んだわ。
魔力の扱い方、その使い方、応用の仕方。
それらを学んだお陰で、魔力を使って物を動かくことが出来るようになったの。
それまでは、何にも触れることが出来ず、ただ通り抜けてしまっていたのよ。
でも、ものに触れられるようになったわたしは、国中の本を読み漁ったわ。
歴史書、雑学、経済学、政治学、地理、そして空想の中の物語……。
楽しかった。知らない知識を知れることが、そして心躍る架空の世界の冒険物語にわたしは夢中になっていたの。
そして、いつしか王宮の書庫の中でも王族しか入れない禁書庫にまで入り浸るようになったのよね……。
王宮の書庫に入り浸るようになって数年のことだったわ。
王宮の隅に建てられた小さな小屋を見つけたのは……。
見るからにボロボロの小屋の存在が異質すぎて、わたしは興味を惹かれたの。
アストラル体になって、誰にも見られないことをいいことに、どこにでも出入りできるようになったわたしは、好奇心に駆られるままその小屋に近づいたのよ。
そして……。一人の男の子と出会ったの。
内々に上がっていた婚約者の話を彼女にしたことがすべての始まりだったと思うわ。
仲のいい令嬢は最初はそのことに驚いていたけれど、わたしのことを応援してくれると言ってくれたわ。
そして、正式に婚約が発表される前日、わたしは覚めることのない深い眠りに落ちていた。
そして、どのくらい寝ていたのか分からないけれど、気が付くと水晶の中に閉じ込められるようにして眠っている自分がいたわ。
何故そんな事になってしまったのか、理由は分からなかったわ。
ただ憶えているのは、仲の良かった令嬢から贈られたお祝いの花束。
あれを部屋に飾った後からの記憶がなかったということだけ……。
自分が死んでしまってこうなったのか、まだ生きているのにこうなってしまったのかは分からなかった。
ただ、幽霊の様に透ける体を浮遊させることしかできないわたしは、長い間水晶に閉じ込められたわたしの周りを漂うだけだった。
だけど、わたしは気が付いてしまったの。
わたしは地縛霊みたいに自分の体に縛られていないということに。
アストラル体となってしまってたわたしは、いつしか自分の眠る部屋を飛び出していたわ。
王都を見て回り。周辺の領地も見て回ったわ。
そして、北部も見てみようとしたけれど、アストラル体だからなのか、何故か北部を見て回ることが出来なかった。
だから、それ以外の東部や南部、西部を見て回ったわ。
楽しかった。今まで本の中では知っていたことを実際に自分の目で見ることはすごく楽しかったの。
アストラル体だから、疲れることも眠ることも必要なかった。
だから、国中を見て回ったわたしは、次第に虚しさを覚えるようになっていたわ。
誰とも触れ合えず、ただ一人で空を漂う。
いつ消えてしまうかもわからない。
すごく孤独だった。
そんなある日、今まで感じることの出来なかった魔力の存在を感じていることに気が付いたの。
それまでのわたしは、魔力は持っていてもそれを感じることが出来ず、宝の持ち腐れだと両親に言われていたわ。
だから、少しでも次期伯爵となる弟の助けになれるようにと、体を鍛えて剣の道に進みたいと思うようになったのよね。
アストラル体になった影響なのか、わたしの中に眠っていた膨大な魔力を感じられるようになったわたしは、未知の領域である魔術に興味を持つようになっていたの。
いつ消えるかもわからない今の状況を少しでも楽しみたかったというか、目を逸らしたかったというか……。
そんな訳で、国中の魔術師の元を訪れて、魔力について学んだわ。
魔力の扱い方、その使い方、応用の仕方。
それらを学んだお陰で、魔力を使って物を動かくことが出来るようになったの。
それまでは、何にも触れることが出来ず、ただ通り抜けてしまっていたのよ。
でも、ものに触れられるようになったわたしは、国中の本を読み漁ったわ。
歴史書、雑学、経済学、政治学、地理、そして空想の中の物語……。
楽しかった。知らない知識を知れることが、そして心躍る架空の世界の冒険物語にわたしは夢中になっていたの。
そして、いつしか王宮の書庫の中でも王族しか入れない禁書庫にまで入り浸るようになったのよね……。
王宮の書庫に入り浸るようになって数年のことだったわ。
王宮の隅に建てられた小さな小屋を見つけたのは……。
見るからにボロボロの小屋の存在が異質すぎて、わたしは興味を惹かれたの。
アストラル体になって、誰にも見られないことをいいことに、どこにでも出入りできるようになったわたしは、好奇心に駆られるままその小屋に近づいたのよ。
そして……。一人の男の子と出会ったの。
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