9 / 71
第一部
第9話 ハンドクリーム
しおりを挟む
ご近所さんにご挨拶に行こうとしたら駆君が一緒に行くと言いだした。
一瞬悩んだものの、引越しのご挨拶の二人で行ったので、今回も一緒でいいかと考えた私は、駆くんと出掛けることにした。
数軒のご近所さんに開店のご挨拶をしながら、売っていたら嬉しい商品についてもリサーチをすることにした。
これは、駆君が閃いてくれたことだ。
そんな中、最後にご挨拶をした女性が手荒れに悩んでいると言っていた。
その女性に手を見せてもらうと、確かにひび割れて痛々しい手をしていた。
他の錬金術師のお店を偵察した際に、ハンドクリームや美容液などの類はなかったことを思い出した。
石鹸の他に、試しにハンドクリームを作って売ってみようと思い立った。
他にも、シャンプーやコンディショナーもいいかもしれない。
置いてみて売れ行きが良ければ、他のスキンケア用品とかも考えてみようかな?
家に帰る途中私は駆くんに付き合ってくれたことのお礼を言っていた。
駆くんは、なんでも無いことのように笑って返事をしてくれたのだった。
「商品について、いろいろいい案が浮かんだわ。早速、ハンドクリームを作ってみようと思うわ。今日は付き合ってくれてありがとう」
「どういたしまして。力になれたみたいで嬉しいよ」
帰宅後私はと言うと、工房にこもってハンドクリームの試作に取り掛かっていた。
帰る道すがら材料はいろいろと考えていたんだよね。
錬金窯さんに、用意した材料を入れて行く。
今回用意した材料は、先日スキンケア目的で作った植物性のクリームと同じく、植物性のオイルだ。
それと、街のお店で買ってきた蜜蝋と自作の栄養剤。最後に中和剤を入れたら上手に出来あがることを祈って待つこと数分。
「出来たぁ!特に香りづけはしなかったけど、自然ないい香り。手に塗った感じもしっとりとして馴染むし、いい感じね。誰かの意見を聞きたいところだけど、駆君って、ハンドクリームの良し悪し分かってくれるかな?」
そんな事を考えつつも、使用した感じを誰かに聞いてみたいと思った私は、駆君に試してもらうことに決めた。
「駆君、ハンドクリームを作ってみたんだけど試してもらってもいいかな?」
「俺でよければ喜んで」
駆くんは快諾してくれた。
私は早速駆くんの手の甲にハンドクリームを少量乗せた。
すると、駆くんはハンドクリームを塗り合わせてから匂いを嗅いだりしてから感想を言ってくれた。
「塗った感じもべた付かないし、匂いも無臭に近いけど微かに植物性のいい匂いがして、俺は好きだな。塗った後も、肌になじむ感じで成功だと思うよ」
「ありがとう。それじゃぁ、お店に置いてみて様子を見てみるよ」
よし、これで販売する商品は決まったわ。後は明日の開店後の反響次第で、改良したり、商品の入れ替えをして行こう。
◆◇◆◇
翌日。
開店したはいいが、お客さんが全く来ない。
閑古鳥が鳴いている。
私の心も泣いている。
そうだよね、開店したばかりの謎のお店より、いつも行っている馴染みのある錬金術師のお店でお買い物したいよね。
これは、当分様子を見て、全くお客さんが来る気配がなければ作戦を考えよう。
お店自体は素敵だと思うんだよね。
商品棚は、物が在りすぎて良く分からないと言った状態ではなく、商品を詰め過ぎないように、間隔をあけて陳列してあるし、説明書きをしたPOPも横に設置しているから、何の商品かわかりやすいようになっている。
お茶やクッキーなども置いているため、試飲や試食が出来るように、飲食できるスペースも用意している。
今後要望があれば、ケーキなどの甘味をお店で食べられるように喫茶スペースの用意も考えていたが、この状況だとそれも叶うまい。
しかし、それも杞憂だったようだ。
日課になりつつある、お茶をお店の飲食スペースで駆君と楽しんでいるとご挨拶に行ったご近所さんが様子を見にお店に来てくれたのだ。
「いらっしゃいませ。来ていただいて、とてもうれしいです」
そう言って、歓迎すると来てくれた女性、そう、手荒れで困っていると嘆いていた女性は笑顔を見せてくれた。
「頂いたクッキーってお菓子がとても美味しかったので、他に扱っている商品も見てみたいと思って、家のことも片づいたから寄らせてもらったのよ」
「そうですか、ありがとうございます。そうだ。手荒れでお困りだと伺ったので奥様にお勧めの商品があるんですよ。ぜひ試してみて下さい。」
「あら、奥様だなんて。やだわ、私のことはメリッサと呼んで頂戴な」
そう言って、奥様改め、メリッサさんが可愛らしい笑顔を見せてくれた。
メリッサさんは、私より年上で、21歳の小柄でとても可愛らしい女性だ。
ハンドクリームを試してもらっているときに、結婚したばかりでまだ子供がいないことと、結婚するまでは家事などしたことがなかったためとても苦労していることなど話してくれた。
「まぁ、このハンドクリーム?すごく良いわ。なんだか肌が潤った感じがするわ」
「水仕事の度とは行かなくても、夜寝る前に塗るだけでも違ってきますよ」
「そうなの!これ、いただこうかしら。お値段もとても素敵だしね」
「っ!ありがとうございます」
初めてのお客さん。初めて売れた私の作った物。すごくうれしい!!
ありがたい事に、メリッサさんがハンドクリームを宣伝してくれたおかげで閑古鳥が鳴くことも、私が閑古鳥に泣かされることもなくなった。
一瞬悩んだものの、引越しのご挨拶の二人で行ったので、今回も一緒でいいかと考えた私は、駆くんと出掛けることにした。
数軒のご近所さんに開店のご挨拶をしながら、売っていたら嬉しい商品についてもリサーチをすることにした。
これは、駆君が閃いてくれたことだ。
そんな中、最後にご挨拶をした女性が手荒れに悩んでいると言っていた。
その女性に手を見せてもらうと、確かにひび割れて痛々しい手をしていた。
他の錬金術師のお店を偵察した際に、ハンドクリームや美容液などの類はなかったことを思い出した。
石鹸の他に、試しにハンドクリームを作って売ってみようと思い立った。
他にも、シャンプーやコンディショナーもいいかもしれない。
置いてみて売れ行きが良ければ、他のスキンケア用品とかも考えてみようかな?
家に帰る途中私は駆くんに付き合ってくれたことのお礼を言っていた。
駆くんは、なんでも無いことのように笑って返事をしてくれたのだった。
「商品について、いろいろいい案が浮かんだわ。早速、ハンドクリームを作ってみようと思うわ。今日は付き合ってくれてありがとう」
「どういたしまして。力になれたみたいで嬉しいよ」
帰宅後私はと言うと、工房にこもってハンドクリームの試作に取り掛かっていた。
帰る道すがら材料はいろいろと考えていたんだよね。
錬金窯さんに、用意した材料を入れて行く。
今回用意した材料は、先日スキンケア目的で作った植物性のクリームと同じく、植物性のオイルだ。
それと、街のお店で買ってきた蜜蝋と自作の栄養剤。最後に中和剤を入れたら上手に出来あがることを祈って待つこと数分。
「出来たぁ!特に香りづけはしなかったけど、自然ないい香り。手に塗った感じもしっとりとして馴染むし、いい感じね。誰かの意見を聞きたいところだけど、駆君って、ハンドクリームの良し悪し分かってくれるかな?」
そんな事を考えつつも、使用した感じを誰かに聞いてみたいと思った私は、駆君に試してもらうことに決めた。
「駆君、ハンドクリームを作ってみたんだけど試してもらってもいいかな?」
「俺でよければ喜んで」
駆くんは快諾してくれた。
私は早速駆くんの手の甲にハンドクリームを少量乗せた。
すると、駆くんはハンドクリームを塗り合わせてから匂いを嗅いだりしてから感想を言ってくれた。
「塗った感じもべた付かないし、匂いも無臭に近いけど微かに植物性のいい匂いがして、俺は好きだな。塗った後も、肌になじむ感じで成功だと思うよ」
「ありがとう。それじゃぁ、お店に置いてみて様子を見てみるよ」
よし、これで販売する商品は決まったわ。後は明日の開店後の反響次第で、改良したり、商品の入れ替えをして行こう。
◆◇◆◇
翌日。
開店したはいいが、お客さんが全く来ない。
閑古鳥が鳴いている。
私の心も泣いている。
そうだよね、開店したばかりの謎のお店より、いつも行っている馴染みのある錬金術師のお店でお買い物したいよね。
これは、当分様子を見て、全くお客さんが来る気配がなければ作戦を考えよう。
お店自体は素敵だと思うんだよね。
商品棚は、物が在りすぎて良く分からないと言った状態ではなく、商品を詰め過ぎないように、間隔をあけて陳列してあるし、説明書きをしたPOPも横に設置しているから、何の商品かわかりやすいようになっている。
お茶やクッキーなども置いているため、試飲や試食が出来るように、飲食できるスペースも用意している。
今後要望があれば、ケーキなどの甘味をお店で食べられるように喫茶スペースの用意も考えていたが、この状況だとそれも叶うまい。
しかし、それも杞憂だったようだ。
日課になりつつある、お茶をお店の飲食スペースで駆君と楽しんでいるとご挨拶に行ったご近所さんが様子を見にお店に来てくれたのだ。
「いらっしゃいませ。来ていただいて、とてもうれしいです」
そう言って、歓迎すると来てくれた女性、そう、手荒れで困っていると嘆いていた女性は笑顔を見せてくれた。
「頂いたクッキーってお菓子がとても美味しかったので、他に扱っている商品も見てみたいと思って、家のことも片づいたから寄らせてもらったのよ」
「そうですか、ありがとうございます。そうだ。手荒れでお困りだと伺ったので奥様にお勧めの商品があるんですよ。ぜひ試してみて下さい。」
「あら、奥様だなんて。やだわ、私のことはメリッサと呼んで頂戴な」
そう言って、奥様改め、メリッサさんが可愛らしい笑顔を見せてくれた。
メリッサさんは、私より年上で、21歳の小柄でとても可愛らしい女性だ。
ハンドクリームを試してもらっているときに、結婚したばかりでまだ子供がいないことと、結婚するまでは家事などしたことがなかったためとても苦労していることなど話してくれた。
「まぁ、このハンドクリーム?すごく良いわ。なんだか肌が潤った感じがするわ」
「水仕事の度とは行かなくても、夜寝る前に塗るだけでも違ってきますよ」
「そうなの!これ、いただこうかしら。お値段もとても素敵だしね」
「っ!ありがとうございます」
初めてのお客さん。初めて売れた私の作った物。すごくうれしい!!
ありがたい事に、メリッサさんがハンドクリームを宣伝してくれたおかげで閑古鳥が鳴くことも、私が閑古鳥に泣かされることもなくなった。
12
あなたにおすすめの小説
英雄の番が名乗るまで
長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。
大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。
※小説家になろうにも投稿
『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』
透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。
「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」
そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが!
突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!?
気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態!
けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で――
「なんて可憐な子なんだ……!」
……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!?
これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!?
ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆
姉に代わって立派に息子を育てます! 前日譚
mio
恋愛
ウェルカ・ティー・バーセリクは侯爵家の二女であるが、母亡き後に侯爵家に嫁いできた義母、転がり込んできた義妹に姉と共に邪魔者扱いされていた。
王家へと嫁ぐ姉について王都に移住したウェルカは侯爵家から離れて、実母の実家へと身を寄せることになった。姉が嫁ぐ中、学園に通いながらウェルカは自分の才能を伸ばしていく。
数年後、多少の問題を抱えつつ姉は懐妊。しかし、出産と同時にその命は尽きてしまう。そして残された息子をウェルカは姉に代わって育てる決意をした。そのためにはなんとしても王宮での地位を確立しなければ!
自分でも考えていたよりだいぶ話数が伸びてしまったため、こちらを姉が子を産むまでの前日譚として本編は別に作っていきたいと思います。申し訳ございません。
お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~
みつまめ つぼみ
ファンタジー
17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。
記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。
そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。
「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」
恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!
子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました
もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!
巻き込まれて死亡?!神様、責任とってくださいね?
紅子
恋愛
新作のゲームの為に創った魔法陣に魅入られた神様の眷族のせいで、死んじゃった私。別の世界で残りの生を消化しないと、永遠を流離うって、酷くありませんか?剣と魔法の世界で生き残るなんて出来る気がしません。私、一見、平和そのものなあの世界の住人ですよ?原因を作った眷族をつけてくれる?それなら、なんとか・・・・?はぁ、永遠を流離うくらいなら、眷族と一緒になんとか生き残れるように頑張ります!
毎日00:00に更新します。
完結済み
R15は、念のため。
自己満足の世界につき、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
対人恐怖症のメンダーと辺境の騎士 ~この恋は、世界のほころびを繕う~
Moonshine
恋愛
辺境の地・ディトマスの第6要塞の制服管理課で、一人の働く女の子がいた。
彼女の名前はドルマ。仕事はこの要塞で働く騎士達の制服の繕い物だ。
ドルマは対人恐怖症で誰とも話をしない。だがドルマが繕った制服を纏うと、ほんの少しだけ戦闘の時に運が良くなると騎士達の間で評判なのだ。
辺境の防衛責任者として、毎年多くの犠牲者に胸を痛めていた辺境伯の息子・マティアスは、第6要塞にはその年一人も犠牲者が出ていない事に着目して、覆面調査を始める。
小さな手仕事が紡ぐ、静かな恋物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる