10 / 71
第一部
第10話 ピクニック
しおりを挟む
いちご商店には定休日がある。
私は、ホワイトな経営を心掛けているんです。
この世界は、一ケ月が30日で成り立っている。
更に言うと、6日で1週間。
そして、5週間で1ケ月となっている。
1週間は、木の日・火の日・土の日・金の日・水の日・聖の日で成り立っている。
基本的に、聖の日はどこもかしこも休みにしているみたい。
そのため、学校の休みや国で定められた祝日が聖の日に来るようになっているそうだ。
他の国では、龍の日と呼ばれているらしいが、ステイル聖王国では、もともと龍の日だったところを聖女を敬う日、聖の日としたとかしないとか。
そんなわけで、いちご商店も聖の日を定休日としているのです。
私は基本的に、錬金術の研究は聖の日に行っている。
誰でも閲覧自由な街の図書館で前もって借りた本を読んだり、開いている街の本屋を覗いたりしてね。
そんなとある聖の日に、とうとう駆君と街の外に行くことになったのだ。
駆君は、私の依頼で何度も街の外に採取や、調査に行ってくれていたけど、私が街の外に行くのはこれが初めてになる。
なぜ、街の外に行くことになったかというと蜂蜜のためである。
この世界では、蜜蝋で蝋燭を作っているため、簡単に蜜蝋が手に入るけど、蜂蜜は何故か手に入らなかったのだ。
そう、この世界の人たちは、蜜蝋は取っても、蜂蜜は採らないのだ。
そんなわけで、ハチの巣を求めてピクニックがてら、街の外に行くことになったのだ。
最初は、駆君が一人でハチの巣を取って来てくれると言っていたけど、召喚されたクラスメイトの頑張りのお陰か、街の外は比較的安全になってきたというのだ。
それならば、一度外に出てみたいと思っていた私は、ピクニックを提案したのだ。
最初はしぶっていた駆君だったけど、スペシャルなデザートを用意していると言ったら渋々ではあるものの許可してくれた。
ふふふ、甘党にはスペシャルデザートという切り札が良く効きますこと。
そんなわけで、定休日に初の街の外への出かけることなったのだ。
◆◇◆◇
街から遠くない場所で、ハチの巣は簡単に見つかった。
私には良く分からないけど、騎士の能力なのか、駆君は簡単に蜂を追い払い、ハチの巣を採取したのだった。
早々に、目的のものも手に入れたので駆君お勧めの、安全で景色のいいお花畑に案内してもらいランチをすることになった。
駆君は、サンドイッチやから揚げなどの、ピクニックと言えば定番と言えるメニューでも喜んで食べてくれた。
そして、用意したスペシャルデザートの『アップルパイ、アイスクリームを添えて』も喜んでくれた。(アイスクリームが溶けないように、錬金窯さんで保冷剤モドキを作って準備をしたのよ)
事件が起きたのはそろそろ帰ろうとした時だった。
急に空が曇りだし、雷鳴が轟いた。
更に、辺りには獣の遠吠えのようなものまで聞こえてきていた。
異変を感じた駆くんは周りを警戒していたけど、獣の遠吠えを聞いた瞬間に顔色を変えたように私には見えた。
「まさか、本当にここはあの時の場所なのか?」
「どうしたの駆君?」
駆君は誰にともなく、疑問を呟いていた。
一体何のことだろう?
「小春。必ず君を守る。だから何も言わずに着いてきて欲しい場所がある」
とても真剣な表情でそう言った彼を見て、私は一つ頷いた後に一緒について行くことに決めた。
前の私だったら絶対に断っていたと思う。
いや、そもそも一緒にピクニックなんて行こうとは思っていなかったわね。
一緒に住むようになって数週間ではあるけど、駆君との間に信頼と友情のようなものが芽生え始めていたと私は感じていた。
「分かったわ。駆君について行くよ」
「ありがとう」
そうして、走り出した駆君の背中を追いかけた。
数分は走っただろうか、駆君がある場所で立ち止まったのだ。
それは、場所はお墓のような場所だった。
そこには、先ほど聞いた遠吠えの主だと思われる獣?が数匹いるのが見えた。
良く見ると、何かを囲い込むようにして、威嚇するように唸り声を上げていた。
「小春は俺の後ろにいてね。絶対守るから」
そう言って、駆君は腰に下げていた棒切れを正眼に構えた。
そう思った瞬間、一気に駆けだしていた。
私にはまったく動きが見えなかったけど、あっという間に数匹いた獣?が地面に倒れて動かなくなっていた。
駆君は、棒切れを払うような仕草をした後に、再び腰に戻したのだ。
私はというと、何も分からすただ、立ち尽くしていた。
なぜ、彼がこんなことをしたのか考えていると、駆君は獣?が威嚇していた方向に進んで行ったと思ったら、大きな木の前で立ち止まり、しゃがみ込んだのだ。
駆君を追いかけて、私も木の前まで進んだ。
すると、木の根元に少年が蹲るようにして気を失っているのが見えた。
獣?達はこの少年を襲おうとしていたようなのだ。
駆君は少年の力のない腕を取って脈を測っていた。
「駆君……」
「大丈夫、弱いけど脈はあるよ」
「そっか、良かった。持ってきた回復薬があるんだけど効くかな?大きな怪我があるようなら、この薬じゃ効かないかもしれない」
「見たところ、大きな怪我はないと思うよ。念のため、飲ませてから運ぼう。家に連れて行ってもいいかな?」
「もちろんだよ」
駆君は、意識を失っている少年に何とか回復薬を飲ませた後に慎重に背中に背負ってからゆっくり歩き出した。
私は、少年を心配しつつその後を追った。
そう、私はこの時、少年の容体が心配で何故駆君が少年の危機に駆けつけることが出来たのか疑問に思うことはなかったのだった。
私は、ホワイトな経営を心掛けているんです。
この世界は、一ケ月が30日で成り立っている。
更に言うと、6日で1週間。
そして、5週間で1ケ月となっている。
1週間は、木の日・火の日・土の日・金の日・水の日・聖の日で成り立っている。
基本的に、聖の日はどこもかしこも休みにしているみたい。
そのため、学校の休みや国で定められた祝日が聖の日に来るようになっているそうだ。
他の国では、龍の日と呼ばれているらしいが、ステイル聖王国では、もともと龍の日だったところを聖女を敬う日、聖の日としたとかしないとか。
そんなわけで、いちご商店も聖の日を定休日としているのです。
私は基本的に、錬金術の研究は聖の日に行っている。
誰でも閲覧自由な街の図書館で前もって借りた本を読んだり、開いている街の本屋を覗いたりしてね。
そんなとある聖の日に、とうとう駆君と街の外に行くことになったのだ。
駆君は、私の依頼で何度も街の外に採取や、調査に行ってくれていたけど、私が街の外に行くのはこれが初めてになる。
なぜ、街の外に行くことになったかというと蜂蜜のためである。
この世界では、蜜蝋で蝋燭を作っているため、簡単に蜜蝋が手に入るけど、蜂蜜は何故か手に入らなかったのだ。
そう、この世界の人たちは、蜜蝋は取っても、蜂蜜は採らないのだ。
そんなわけで、ハチの巣を求めてピクニックがてら、街の外に行くことになったのだ。
最初は、駆君が一人でハチの巣を取って来てくれると言っていたけど、召喚されたクラスメイトの頑張りのお陰か、街の外は比較的安全になってきたというのだ。
それならば、一度外に出てみたいと思っていた私は、ピクニックを提案したのだ。
最初はしぶっていた駆君だったけど、スペシャルなデザートを用意していると言ったら渋々ではあるものの許可してくれた。
ふふふ、甘党にはスペシャルデザートという切り札が良く効きますこと。
そんなわけで、定休日に初の街の外への出かけることなったのだ。
◆◇◆◇
街から遠くない場所で、ハチの巣は簡単に見つかった。
私には良く分からないけど、騎士の能力なのか、駆君は簡単に蜂を追い払い、ハチの巣を採取したのだった。
早々に、目的のものも手に入れたので駆君お勧めの、安全で景色のいいお花畑に案内してもらいランチをすることになった。
駆君は、サンドイッチやから揚げなどの、ピクニックと言えば定番と言えるメニューでも喜んで食べてくれた。
そして、用意したスペシャルデザートの『アップルパイ、アイスクリームを添えて』も喜んでくれた。(アイスクリームが溶けないように、錬金窯さんで保冷剤モドキを作って準備をしたのよ)
事件が起きたのはそろそろ帰ろうとした時だった。
急に空が曇りだし、雷鳴が轟いた。
更に、辺りには獣の遠吠えのようなものまで聞こえてきていた。
異変を感じた駆くんは周りを警戒していたけど、獣の遠吠えを聞いた瞬間に顔色を変えたように私には見えた。
「まさか、本当にここはあの時の場所なのか?」
「どうしたの駆君?」
駆君は誰にともなく、疑問を呟いていた。
一体何のことだろう?
「小春。必ず君を守る。だから何も言わずに着いてきて欲しい場所がある」
とても真剣な表情でそう言った彼を見て、私は一つ頷いた後に一緒について行くことに決めた。
前の私だったら絶対に断っていたと思う。
いや、そもそも一緒にピクニックなんて行こうとは思っていなかったわね。
一緒に住むようになって数週間ではあるけど、駆君との間に信頼と友情のようなものが芽生え始めていたと私は感じていた。
「分かったわ。駆君について行くよ」
「ありがとう」
そうして、走り出した駆君の背中を追いかけた。
数分は走っただろうか、駆君がある場所で立ち止まったのだ。
それは、場所はお墓のような場所だった。
そこには、先ほど聞いた遠吠えの主だと思われる獣?が数匹いるのが見えた。
良く見ると、何かを囲い込むようにして、威嚇するように唸り声を上げていた。
「小春は俺の後ろにいてね。絶対守るから」
そう言って、駆君は腰に下げていた棒切れを正眼に構えた。
そう思った瞬間、一気に駆けだしていた。
私にはまったく動きが見えなかったけど、あっという間に数匹いた獣?が地面に倒れて動かなくなっていた。
駆君は、棒切れを払うような仕草をした後に、再び腰に戻したのだ。
私はというと、何も分からすただ、立ち尽くしていた。
なぜ、彼がこんなことをしたのか考えていると、駆君は獣?が威嚇していた方向に進んで行ったと思ったら、大きな木の前で立ち止まり、しゃがみ込んだのだ。
駆君を追いかけて、私も木の前まで進んだ。
すると、木の根元に少年が蹲るようにして気を失っているのが見えた。
獣?達はこの少年を襲おうとしていたようなのだ。
駆君は少年の力のない腕を取って脈を測っていた。
「駆君……」
「大丈夫、弱いけど脈はあるよ」
「そっか、良かった。持ってきた回復薬があるんだけど効くかな?大きな怪我があるようなら、この薬じゃ効かないかもしれない」
「見たところ、大きな怪我はないと思うよ。念のため、飲ませてから運ぼう。家に連れて行ってもいいかな?」
「もちろんだよ」
駆君は、意識を失っている少年に何とか回復薬を飲ませた後に慎重に背中に背負ってからゆっくり歩き出した。
私は、少年を心配しつつその後を追った。
そう、私はこの時、少年の容体が心配で何故駆君が少年の危機に駆けつけることが出来たのか疑問に思うことはなかったのだった。
12
あなたにおすすめの小説
英雄の番が名乗るまで
長野 雪
恋愛
突然発生した魔物の大侵攻。西の果てから始まったそれは、いくつもの集落どころか国すら飲みこみ、世界中の国々が人種・宗教を越えて協力し、とうとう終息を迎えた。魔物の駆逐・殲滅に目覚ましい活躍を見せた5人は吟遊詩人によって「五英傑」と謳われ、これから彼らの活躍は英雄譚として広く知られていくのであろう。
大侵攻の終息を祝う宴の最中、己の番《つがい》の気配を感じた五英傑の一人、竜人フィルは見つけ出した途端、気を失ってしまった彼女に対し、番の誓約を行おうとするが失敗に終わる。番と己の寿命を等しくするため、何より番を手元に置き続けるためにフィルにとっては重要な誓約がどうして失敗したのか分からないものの、とにかく庇護したいフィルと、ぐいぐい溺愛モードに入ろうとする彼に一歩距離を置いてしまう番の女性との一進一退のおはなし。
※小説家になろうにも投稿
『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』
透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。
「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」
そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが!
突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!?
気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態!
けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で――
「なんて可憐な子なんだ……!」
……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!?
これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!?
ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆
姉に代わって立派に息子を育てます! 前日譚
mio
恋愛
ウェルカ・ティー・バーセリクは侯爵家の二女であるが、母亡き後に侯爵家に嫁いできた義母、転がり込んできた義妹に姉と共に邪魔者扱いされていた。
王家へと嫁ぐ姉について王都に移住したウェルカは侯爵家から離れて、実母の実家へと身を寄せることになった。姉が嫁ぐ中、学園に通いながらウェルカは自分の才能を伸ばしていく。
数年後、多少の問題を抱えつつ姉は懐妊。しかし、出産と同時にその命は尽きてしまう。そして残された息子をウェルカは姉に代わって育てる決意をした。そのためにはなんとしても王宮での地位を確立しなければ!
自分でも考えていたよりだいぶ話数が伸びてしまったため、こちらを姉が子を産むまでの前日譚として本編は別に作っていきたいと思います。申し訳ございません。
お兄様、冷血貴公子じゃなかったんですか?~7歳から始める第二の聖女人生~
みつまめ つぼみ
ファンタジー
17歳で偽りの聖女として処刑された記憶を持つ7歳の女の子が、今度こそ世界を救うためにエルメーテ公爵家に引き取られて人生をやり直します。
記憶では冷血貴公子と呼ばれていた公爵令息は、義妹である主人公一筋。
そんな義兄に戸惑いながらも甘える日々。
「お兄様? シスコンもほどほどにしてくださいね?」
恋愛ポンコツと冷血貴公子の、コミカルでシリアスな救世物語開幕!
子供にしかモテない私が異世界転移したら、子連れイケメンに囲まれて逆ハーレム始まりました
もちもちのごはん
恋愛
地味で恋愛経験ゼロの29歳OL・春野こはるは、なぜか子供にだけ異常に懐かれる特異体質。ある日突然異世界に転移した彼女は、育児に手を焼くイケメンシングルファザーたちと出会う。泣き虫姫や暴れん坊、野生児たちに「おねえしゃん大好き!!」とモテモテなこはるに、彼らのパパたちも次第に惹かれはじめて……!? 逆ハーレム? ざまぁ? そんなの知らない!私はただ、子供たちと平和に暮らしたいだけなのに――!
巻き込まれて死亡?!神様、責任とってくださいね?
紅子
恋愛
新作のゲームの為に創った魔法陣に魅入られた神様の眷族のせいで、死んじゃった私。別の世界で残りの生を消化しないと、永遠を流離うって、酷くありませんか?剣と魔法の世界で生き残るなんて出来る気がしません。私、一見、平和そのものなあの世界の住人ですよ?原因を作った眷族をつけてくれる?それなら、なんとか・・・・?はぁ、永遠を流離うくらいなら、眷族と一緒になんとか生き残れるように頑張ります!
毎日00:00に更新します。
完結済み
R15は、念のため。
自己満足の世界につき、合わないと感じた方は読むのをお止めください。設定ゆるゆるの思い付き、ご都合主義で書いているため、深い内容ではありません。さらっと読みたい方向けです。矛盾点などあったらごめんなさい(>_<)
対人恐怖症のメンダーと辺境の騎士 ~この恋は、世界のほころびを繕う~
Moonshine
恋愛
辺境の地・ディトマスの第6要塞の制服管理課で、一人の働く女の子がいた。
彼女の名前はドルマ。仕事はこの要塞で働く騎士達の制服の繕い物だ。
ドルマは対人恐怖症で誰とも話をしない。だがドルマが繕った制服を纏うと、ほんの少しだけ戦闘の時に運が良くなると騎士達の間で評判なのだ。
辺境の防衛責任者として、毎年多くの犠牲者に胸を痛めていた辺境伯の息子・マティアスは、第6要塞にはその年一人も犠牲者が出ていない事に着目して、覆面調査を始める。
小さな手仕事が紡ぐ、静かな恋物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる