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第一部
第20話 秘密
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非常に困ったことになった。
とても目が痛い。
鏡を見ると白目が真っ赤に充血していた。
こちらに召喚されたときに着けていたコンタクトレンズは使用期限が切れてしまったので、鞄に入れていた予備を使っていた。
しかしその予備も使用期限が来てしまったのだ。
コンタクトをしないという選択は、私にはなかったので、目にはとても悪いが使用期限を過ぎたものを我慢して使っていたのだ。
錬金術で新しいコンタクトレンズを作ろうとしたけど全然上手く行かなかった。
使用期限が過ぎたものを無理してつけて失明でもしたら困るからと、仕方なく着けないことに決めた。
今日は、いつも以上に前髪で顔を隠さないといけないわ。
目は、回復薬で洗ったら痛みが治まり、充血も治った。
でも、これからどうしたらいいのかしら。
そう悩みつつも、部屋から出ない訳にもいかず、私はいつも以上に俯いた状態で自分の部屋から出た。
そうしたら、駆君が心配した様子で話しかけてきた。
「小春、どこか調子が悪いのか?」
「違うんだけど……」
言えない。顔を隠したいから俯いているだなんて。でも、この問題を何とかしないとこれからの生活に支障が出てしまう。
私は、隔世遺伝でお婆ちゃんから特殊な特徴を受け継いだのだ。
父親には、一切その特徴はあらわれなかった。
何でも、父親の家系の女の子にだけ稀に現れるのだそうだ。
家族は、その特徴を綺麗だと褒めてくれたけど私はその特徴が嫌だった。
小さなころはそのことでいじめられたりもしたのだ。
なので、その特徴を隠すためカラーコンタクトレンズと、それを誤魔化すために眼鏡をかけていたのだ。
念には念を入れで更に前髪で顔を隠していたのだ。
そう、私はオッドアイをしていたのだ。
お婆ちゃんは良く見ないと分からない程度なんだけど、私は一目でわかるくらい相違があった。
私の目は、右目が蒼色で右目が紅色をしている。
お婆ちゃんの話だと、お婆ちゃんのお婆ちゃんが私と同じくらいの異双の瞳をしていたそうだ。
ふと、異世界だしこれくらいありかな?とか思ったりもしたけど、街でこんな目をした人を見たことがないので、ここでも普通ではないことが考えられてこの目を人前にさらすことはできなかったのだ。
タイミングが悪いことに、今日はギルドにアレの結果を聞きに行くことになっていたのだ。一人で考えても仕方がないし、もういっそう二人に相談しようかと思ったが、なんて相談したものか……
そんなことを一人で悶々と考えていると、痺れを切らしたのか駆君が私の手を掴んで心配した様子でもう一度聞いてきた。
「おい、本当に大丈夫なのか?様子が変だぞ」
「本当に、何でもないから」
「なんで、今日はそんなに下ばかり見る」
「そんなことないよ。いつものことだよ」
「こっちに来てからはそんなことなくなった」
「そんなこと……」
「いい加減、こっちを見ろ!」
そう言って、少し強引に私の事を引っ張り寄せた。突然のことに驚いてしまい、思わず顔を上げてしまった。すると、そこにはとても驚いた顔をした駆君がいた。
そうだよね。こんな目を見たら……。
「やっぱり、君が――――」
「えっ?」
「何でもない。俺は綺麗だと思うよ」
そう言って、駆君は私の頬を優しく撫でた。顔を撫でられるなんて思ってもみない行動をされたので、恥ずかしさのあまり一瞬目のことを忘れてしまった。
私はされるがまま頬を撫でられていたが、その手の親指がいつの間にか私の唇をなぞっていたことに気が付き恥ずかしさのあまり駆君を突き飛ばしていた。
「なっ、なっ!!」
「悪い……」
そんなことをしていると、いつまでも現れない私達を心配してかタイガ君がやってきた。
「どうしたんですか?」
「なんでもねー」
「……」
不思議に思いつつも私の様子が変だったことで気を使ってくれたのか、深く突っ込まないでくれた。しかし、私は目のことを忘れていたので、俯くことも忘れてタイガ君のことを見てしまった。
「っ!綺麗。まるで巫女様みたいです」
呆けるような表情でタイガ君は私の事を見た。夢見るような天使の表情に尊さを感じたのは言うまでもないわね。
しかし、タイガ君の言葉に多少の引っ掛かりを感じた。駆君も同じ疑問を持ったのかタイガ君に質問をしていた。
「巫女様って?」
「そう言えば、お二人は異世界から来たんでしたよね。召喚されたときに説明されたと思いますが、巫女様が張ってくれた結界によって僕たちは守られています。その巫女様の資格は異双の瞳をもった乙女とされています」
その話を聞いて私は怖くなってしまった。この目が他の人に知られれば、この生活が出来なくなってしまうのではないかと。
職業適性検査の結果から言ってそんな力はないと思うけど、この目の所為でここを離れなければいけない事態が起こったらと考えたら寒気がした。
私は、見られてしまったからもう隠す必要はないと思い、目のことを二人に話した。
「職業適性検査で、それらしい兆候もなかったし大丈夫だとは思うが、そのままで過ごすよりは隠した方がよさそうだな」
「僕もそう思います。検査の結果は絶対です。今まで覆ったことはないと聞いています。結果が錬金術師だったのであれば問題ないでしょう。でも、隠すことは僕も賛成です」
こうして、この日から私は、眼帯を着けるようになった。
両目を隠すことはできないのであれば、片目だけ隠せばいいと駆君が提案してくれたのだ。
まさか、眼帯の下の目が異双だとは思うまいということだ。
最初は、眼帯をしたうえに、眼鏡を掛けようとしたけど、その方が目立つと二人に全力で止められた。
どちらの目を隠すかについては、タイガ君のアドバイスで、右目を隠すことになった。
こちらの世界でも紅い眼は珍しく、そっちを隠すことになったのだ。
蒼い目は良くいるらしいということで、そっちの目は晒しても問題ないということだ。
はぁ、これで私も中学二年生の仲間入りをしてしまったのかしら。それなら、いっそのこと、右手が疼くとか言った方がいいかしら?とか、どうでもいいことを考えて少し現実逃避をしてしまった。
そう言えば、この眼帯について周りにどういい訳したらいいかな?やっぱり、前世を思い出したことで右目に暗黒の力が……とかかな?
とても目が痛い。
鏡を見ると白目が真っ赤に充血していた。
こちらに召喚されたときに着けていたコンタクトレンズは使用期限が切れてしまったので、鞄に入れていた予備を使っていた。
しかしその予備も使用期限が来てしまったのだ。
コンタクトをしないという選択は、私にはなかったので、目にはとても悪いが使用期限を過ぎたものを我慢して使っていたのだ。
錬金術で新しいコンタクトレンズを作ろうとしたけど全然上手く行かなかった。
使用期限が過ぎたものを無理してつけて失明でもしたら困るからと、仕方なく着けないことに決めた。
今日は、いつも以上に前髪で顔を隠さないといけないわ。
目は、回復薬で洗ったら痛みが治まり、充血も治った。
でも、これからどうしたらいいのかしら。
そう悩みつつも、部屋から出ない訳にもいかず、私はいつも以上に俯いた状態で自分の部屋から出た。
そうしたら、駆君が心配した様子で話しかけてきた。
「小春、どこか調子が悪いのか?」
「違うんだけど……」
言えない。顔を隠したいから俯いているだなんて。でも、この問題を何とかしないとこれからの生活に支障が出てしまう。
私は、隔世遺伝でお婆ちゃんから特殊な特徴を受け継いだのだ。
父親には、一切その特徴はあらわれなかった。
何でも、父親の家系の女の子にだけ稀に現れるのだそうだ。
家族は、その特徴を綺麗だと褒めてくれたけど私はその特徴が嫌だった。
小さなころはそのことでいじめられたりもしたのだ。
なので、その特徴を隠すためカラーコンタクトレンズと、それを誤魔化すために眼鏡をかけていたのだ。
念には念を入れで更に前髪で顔を隠していたのだ。
そう、私はオッドアイをしていたのだ。
お婆ちゃんは良く見ないと分からない程度なんだけど、私は一目でわかるくらい相違があった。
私の目は、右目が蒼色で右目が紅色をしている。
お婆ちゃんの話だと、お婆ちゃんのお婆ちゃんが私と同じくらいの異双の瞳をしていたそうだ。
ふと、異世界だしこれくらいありかな?とか思ったりもしたけど、街でこんな目をした人を見たことがないので、ここでも普通ではないことが考えられてこの目を人前にさらすことはできなかったのだ。
タイミングが悪いことに、今日はギルドにアレの結果を聞きに行くことになっていたのだ。一人で考えても仕方がないし、もういっそう二人に相談しようかと思ったが、なんて相談したものか……
そんなことを一人で悶々と考えていると、痺れを切らしたのか駆君が私の手を掴んで心配した様子でもう一度聞いてきた。
「おい、本当に大丈夫なのか?様子が変だぞ」
「本当に、何でもないから」
「なんで、今日はそんなに下ばかり見る」
「そんなことないよ。いつものことだよ」
「こっちに来てからはそんなことなくなった」
「そんなこと……」
「いい加減、こっちを見ろ!」
そう言って、少し強引に私の事を引っ張り寄せた。突然のことに驚いてしまい、思わず顔を上げてしまった。すると、そこにはとても驚いた顔をした駆君がいた。
そうだよね。こんな目を見たら……。
「やっぱり、君が――――」
「えっ?」
「何でもない。俺は綺麗だと思うよ」
そう言って、駆君は私の頬を優しく撫でた。顔を撫でられるなんて思ってもみない行動をされたので、恥ずかしさのあまり一瞬目のことを忘れてしまった。
私はされるがまま頬を撫でられていたが、その手の親指がいつの間にか私の唇をなぞっていたことに気が付き恥ずかしさのあまり駆君を突き飛ばしていた。
「なっ、なっ!!」
「悪い……」
そんなことをしていると、いつまでも現れない私達を心配してかタイガ君がやってきた。
「どうしたんですか?」
「なんでもねー」
「……」
不思議に思いつつも私の様子が変だったことで気を使ってくれたのか、深く突っ込まないでくれた。しかし、私は目のことを忘れていたので、俯くことも忘れてタイガ君のことを見てしまった。
「っ!綺麗。まるで巫女様みたいです」
呆けるような表情でタイガ君は私の事を見た。夢見るような天使の表情に尊さを感じたのは言うまでもないわね。
しかし、タイガ君の言葉に多少の引っ掛かりを感じた。駆君も同じ疑問を持ったのかタイガ君に質問をしていた。
「巫女様って?」
「そう言えば、お二人は異世界から来たんでしたよね。召喚されたときに説明されたと思いますが、巫女様が張ってくれた結界によって僕たちは守られています。その巫女様の資格は異双の瞳をもった乙女とされています」
その話を聞いて私は怖くなってしまった。この目が他の人に知られれば、この生活が出来なくなってしまうのではないかと。
職業適性検査の結果から言ってそんな力はないと思うけど、この目の所為でここを離れなければいけない事態が起こったらと考えたら寒気がした。
私は、見られてしまったからもう隠す必要はないと思い、目のことを二人に話した。
「職業適性検査で、それらしい兆候もなかったし大丈夫だとは思うが、そのままで過ごすよりは隠した方がよさそうだな」
「僕もそう思います。検査の結果は絶対です。今まで覆ったことはないと聞いています。結果が錬金術師だったのであれば問題ないでしょう。でも、隠すことは僕も賛成です」
こうして、この日から私は、眼帯を着けるようになった。
両目を隠すことはできないのであれば、片目だけ隠せばいいと駆君が提案してくれたのだ。
まさか、眼帯の下の目が異双だとは思うまいということだ。
最初は、眼帯をしたうえに、眼鏡を掛けようとしたけど、その方が目立つと二人に全力で止められた。
どちらの目を隠すかについては、タイガ君のアドバイスで、右目を隠すことになった。
こちらの世界でも紅い眼は珍しく、そっちを隠すことになったのだ。
蒼い目は良くいるらしいということで、そっちの目は晒しても問題ないということだ。
はぁ、これで私も中学二年生の仲間入りをしてしまったのかしら。それなら、いっそのこと、右手が疼くとか言った方がいいかしら?とか、どうでもいいことを考えて少し現実逃避をしてしまった。
そう言えば、この眼帯について周りにどういい訳したらいいかな?やっぱり、前世を思い出したことで右目に暗黒の力が……とかかな?
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