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第一部
第24話 ちょっとお話(物理)してくる
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あぁぁ。やってしまった。言わなくてもいい事を口走ってしまった。どういい訳したらいいのよ。そう思って、駆君とタイガ君に助けを求めるように見つめた。
「小春、宰相は俺達の素性は知っていると思うぞ」
「えっ?」
「異世界からの召喚が国で決定したことなら、宰相が知らないはずがない。それに、城から出て市井で暮らしている者がいる事くらい把握していてもおかしくないしな」
駆君はそう言ってくれた後に、宰相の方を見た。
「ですよね?」
「もちろんです。小春さんのことも駆君のことも把握していますよ。最近街で評判の錬金術師がいると城にまで噂が届いていたので様子を見に行こうと思っていた所ですよ。それにその格好も、城にいる他の方たちと似ているので見た瞬間、あちらの人と見る者には分かるでしょう」
「「…………」」
あ~い~つ~ら~!そんなに中学二年生がお城に蔓延っているの?私、仲間と思われているの?恥ずかしすぎてしぬる!!
「――えります」
「?」
「私、帰ります!もう恥ずかしくて外に出られない!一生引き籠る!!」
そう言って、立ち上がり会議室を出ようとしたら、駆君が止めてきた。
「大丈夫だから、君は違うから!」
「でも、周りの人にアレと思われると思うと恥ずかしいよ」
そう考えると羞恥で顔が火照り、涙も出てきてしまった。涙ぐんだ目て駆君を見上げながら、彼の服の袖を握った。理解してくれる人が居ると分かっていても、周りの目が気にならない訳ではない。すると、裾を握った私の手を駆君は優しく握りながら言ってくれた。
「小春が恥ずかしくならないように、流行を止めればいいんだ。今なら、市井の人間には広まっていないから大丈夫。ちょっとやってくるよ」
「かっ、駆!落ち着いて、小春さんのためとは言え、殺人はダメだからね!」
「タイガ、何言っているのかな?ちょっとお話してくるだけだから」
「駆君、ありがとう。流行が街に伝わる前に止めることが出来れば、引き籠らなくても済みそうだわ。でも、サリーさんは知っていたわ。手遅れかも……」
そう言って私は、再び暗い気持ちになった。すると、駆君はちょっと待ってと言って会議室を出て行った。駆君はものの数秒で戻ってきた。小脇にサリーさんを荷物のように抱えて……。
「ちょっ!駆君!!」
サリーさんはちょっと涙目になっていた。私は、慌てて駆け寄った。すると駆君は、無言でサリーさんを降ろした後で問いかけていた。
「さっき、城で流行っていると言っていたが、それはどこ情報だ?」
なんだか、いつもの駆君じゃないみたい。サリーさんは硬い表情をしながらも質問に答えた。
「昨日、城の方で仕事があったのでそこで、侍女の人から聞きました」
「この話を他に知っている人間は?」
「最近城に出向したのは私だけなので他は知らないと思います。私もこの話をしたのはさっきの小春さんが初めてでした」
「そうか、それならまだ十分間に合うな。サリーさんありがとう」
「ドウイタシマシテ」
サリーさん、完全に表情が強張っている。私からは駆君の顔は見えなかったけど、ものすごく怖い顔をしていたんだろうか?
「タイガ、小春のことは任せたぞ。ちょっとやってくるから」
「止めても無駄ですね。分かりました。小春さんと家で待っていますがくれぐれも無茶はしないで下さいよ」
「分かってるさ。ちょっと、クラスメイトとお話してくるだけだから」
良く分からないけど、話はまとまったみたい。駆君が話し合いに言ってくれることで、この流行が終わるなら吉報を待つだけだわ。そう思ったら、安心出来た。
一安心したところで、怯えさせてしまったサリーさんを慰めなくちゃね。鞄に、とっておきのお菓子を入れていたのを思い出したのよね。本当は帰り道に、公園にでも散歩がてら、三人で食べようと思ったんだけど、サリーさんが喜んでくれるなら良いよね?
「サリーさん、驚かせてしまってごめんなさい。良かったらこれでも食べて元気をだして」
そう言って、作っていたチーズタルトと、謎の白い花で作った花茶を鞄から取り出してテーブルにセッティングした。そうして、テーブルに着くように促した。
「小春さん、これは?」
「【幸福のワイン(改)】で作ったジャムが入った特製のチーズタルトだよ。花茶と一緒に召し上がれ。駆君とタイガ君はうちに帰ってからね」
サリーさんは、チーズタルトを見て顔を輝かせた。そしてフォークで一口分取って口に入れた。
「~~~~~~~!!」
蕩ける様な表情を見せた後、無言で食べ続けた。そして、チーズタルトと花茶を完食した後に、夢見る様な表情で言ったのだ。
「おいひかったれす。きょう、なにかこわいおもひをしたようにおもいまひたが、ゆめだったみたいれす。こはるちゃん、ありがとうれす。だいすきれす」
あれ?ジャムにするときにアルコールは飛んだはずなのに酔ったような、トロンとした表情のサリーさん。でも、私のこと小春ちゃんって!大好きだって!嬉しい!もしかしてお友達認定してくれたってことかな?やった!女の子のお友達が増えたわ。因みに、メリッサさんと、フェルトさんはもう、勝手にお友達認定済みだよ!
驚かせたことを許してもらえたみたいで良かったと思い、駆君の方を見ると、会議室にいた全員が微妙な顔、羨ましそうな顔で同じことを呟いた。
「「「「「「「餌付け……された(い)」」」」」」」
羨ましそうな顔をしていたのは勿論ダメな大人で残念なイケメンのギルドマスターだけよ。他の皆は、微妙な、何とも言えない表情をしていたけど、何故かしら?
「小春、宰相は俺達の素性は知っていると思うぞ」
「えっ?」
「異世界からの召喚が国で決定したことなら、宰相が知らないはずがない。それに、城から出て市井で暮らしている者がいる事くらい把握していてもおかしくないしな」
駆君はそう言ってくれた後に、宰相の方を見た。
「ですよね?」
「もちろんです。小春さんのことも駆君のことも把握していますよ。最近街で評判の錬金術師がいると城にまで噂が届いていたので様子を見に行こうと思っていた所ですよ。それにその格好も、城にいる他の方たちと似ているので見た瞬間、あちらの人と見る者には分かるでしょう」
「「…………」」
あ~い~つ~ら~!そんなに中学二年生がお城に蔓延っているの?私、仲間と思われているの?恥ずかしすぎてしぬる!!
「――えります」
「?」
「私、帰ります!もう恥ずかしくて外に出られない!一生引き籠る!!」
そう言って、立ち上がり会議室を出ようとしたら、駆君が止めてきた。
「大丈夫だから、君は違うから!」
「でも、周りの人にアレと思われると思うと恥ずかしいよ」
そう考えると羞恥で顔が火照り、涙も出てきてしまった。涙ぐんだ目て駆君を見上げながら、彼の服の袖を握った。理解してくれる人が居ると分かっていても、周りの目が気にならない訳ではない。すると、裾を握った私の手を駆君は優しく握りながら言ってくれた。
「小春が恥ずかしくならないように、流行を止めればいいんだ。今なら、市井の人間には広まっていないから大丈夫。ちょっとやってくるよ」
「かっ、駆!落ち着いて、小春さんのためとは言え、殺人はダメだからね!」
「タイガ、何言っているのかな?ちょっとお話してくるだけだから」
「駆君、ありがとう。流行が街に伝わる前に止めることが出来れば、引き籠らなくても済みそうだわ。でも、サリーさんは知っていたわ。手遅れかも……」
そう言って私は、再び暗い気持ちになった。すると、駆君はちょっと待ってと言って会議室を出て行った。駆君はものの数秒で戻ってきた。小脇にサリーさんを荷物のように抱えて……。
「ちょっ!駆君!!」
サリーさんはちょっと涙目になっていた。私は、慌てて駆け寄った。すると駆君は、無言でサリーさんを降ろした後で問いかけていた。
「さっき、城で流行っていると言っていたが、それはどこ情報だ?」
なんだか、いつもの駆君じゃないみたい。サリーさんは硬い表情をしながらも質問に答えた。
「昨日、城の方で仕事があったのでそこで、侍女の人から聞きました」
「この話を他に知っている人間は?」
「最近城に出向したのは私だけなので他は知らないと思います。私もこの話をしたのはさっきの小春さんが初めてでした」
「そうか、それならまだ十分間に合うな。サリーさんありがとう」
「ドウイタシマシテ」
サリーさん、完全に表情が強張っている。私からは駆君の顔は見えなかったけど、ものすごく怖い顔をしていたんだろうか?
「タイガ、小春のことは任せたぞ。ちょっとやってくるから」
「止めても無駄ですね。分かりました。小春さんと家で待っていますがくれぐれも無茶はしないで下さいよ」
「分かってるさ。ちょっと、クラスメイトとお話してくるだけだから」
良く分からないけど、話はまとまったみたい。駆君が話し合いに言ってくれることで、この流行が終わるなら吉報を待つだけだわ。そう思ったら、安心出来た。
一安心したところで、怯えさせてしまったサリーさんを慰めなくちゃね。鞄に、とっておきのお菓子を入れていたのを思い出したのよね。本当は帰り道に、公園にでも散歩がてら、三人で食べようと思ったんだけど、サリーさんが喜んでくれるなら良いよね?
「サリーさん、驚かせてしまってごめんなさい。良かったらこれでも食べて元気をだして」
そう言って、作っていたチーズタルトと、謎の白い花で作った花茶を鞄から取り出してテーブルにセッティングした。そうして、テーブルに着くように促した。
「小春さん、これは?」
「【幸福のワイン(改)】で作ったジャムが入った特製のチーズタルトだよ。花茶と一緒に召し上がれ。駆君とタイガ君はうちに帰ってからね」
サリーさんは、チーズタルトを見て顔を輝かせた。そしてフォークで一口分取って口に入れた。
「~~~~~~~!!」
蕩ける様な表情を見せた後、無言で食べ続けた。そして、チーズタルトと花茶を完食した後に、夢見る様な表情で言ったのだ。
「おいひかったれす。きょう、なにかこわいおもひをしたようにおもいまひたが、ゆめだったみたいれす。こはるちゃん、ありがとうれす。だいすきれす」
あれ?ジャムにするときにアルコールは飛んだはずなのに酔ったような、トロンとした表情のサリーさん。でも、私のこと小春ちゃんって!大好きだって!嬉しい!もしかしてお友達認定してくれたってことかな?やった!女の子のお友達が増えたわ。因みに、メリッサさんと、フェルトさんはもう、勝手にお友達認定済みだよ!
驚かせたことを許してもらえたみたいで良かったと思い、駆君の方を見ると、会議室にいた全員が微妙な顔、羨ましそうな顔で同じことを呟いた。
「「「「「「「餌付け……された(い)」」」」」」」
羨ましそうな顔をしていたのは勿論ダメな大人で残念なイケメンのギルドマスターだけよ。他の皆は、微妙な、何とも言えない表情をしていたけど、何故かしら?
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