軟派チャラ皇子はバケモノ王女を溺愛中!?

バナナマヨネーズ

文字の大きさ
11 / 40

第十一話

しおりを挟む
 眠ってしまっていたのは、ほんの僅かな時間だったみたいだけど、わたしの頭は今までにない位、スッキリとしていた。
 全身をローザ様の手で揉み解されたわたしはがぼんやりとしている間に服を着せられて、気が付いた時には身支度が整えられてしまっていた。
 わたしが元々着ていた服ではない、質のよさそうな手触りの服と、ベール。
 流石に顔に巻く布の用意はされていないので、どうにかして布を用意しなければならない。
 ローザ様は、約束を守ってくれたようで、わたしのベールを被せた後に目隠しを外している様子が伝わってきた。
 
「ありがとうございます……。でも……」

 お礼を口にしつつも、ついつい疑問の声が口を衝いて出てしまった。
 そんなわたしの疑問にローザ様は、何でもないことのように説明してくれたんだけど、その返答はちょっと……? ううん。全然普通じゃなかったわ。
 
「大丈夫です。私はどんな状況下でも動けるように訓練を積んでいますので、視界を奪われていても問題なく動けます。なので、何時如何なる時でもお任せください」

 訓練でどうにかなる問題なのか無知な私には分からないけれど、ローザ様がそう言うのならそうなのだろう。
 そうだ、訓練でどうにか出来る問題なのであれば、わたしもその技術を身に着けられるのだろうか?
 両目を奪われ、なにも見ることのできないわたしにその技術があればと考えてしまう。
 今のわたしは、体に残っている魔力を周囲に広げて、その魔力の広がり具合で周囲の状況を確認しているけど、それも万能ではないのだ。
 そんなことを考えているうちに、ローザ様が皇子殿下を室内にお連れてしていたようだった。
 
 
「ああ、なんて可憐なんだ! ローザ、よくやったぞ!」

「お褒めに預かり光栄に存じます」

「うんうん。薄桃色のドレスがよく似合っている。ローザがサイズを少し直してくれたみたいだが……。ローザ、明日、ドレスサロンのオーナーを呼んでおいてくれ」

「かしこまりました」

「ツインテールも最高だ! ベールから見える銀色の髪がいい感じだ!」

 ラヴィリオ皇子殿下は、そう言いながらわたしの周りをぐるぐる歩いていた。
 気が済んだようで、わたしの周囲を歩くのを止めたラヴィリオ皇子殿下は、わたしの手を引いてソファーに座るように促してきた。
 
「さあ、ティアリア。座って。渡したいものがあるんだ。ローザは、部屋を出ていてくれ」

「かしこまりました」

 ローザ様が部屋を出て行く音をぼんやりと聞いていたわたしは、ラヴィリオ皇子殿下の声にびくりと反応してしまった。
 
「ティアリア」

「ひゃい……」

 はずかしい……。ひゃいって何よ……。
 この場所は、温かくて、優しくて、調子が狂う。普段のわたしだったら、こんな醜態を晒すような真似はしない。
 えい、そもそもディスポーラ王国にいた時は、わたしに話しかける人なんていなかったから、比較する対象がなかったわね……。
 はぁ……。なんて間抜けなの。
 
「可愛い……。恥ずかしそうなティアリアもいいな……。っん。ゴホン。それで、ティアリア。改めてなんだけど、君に受け取ってもらいたいものがあるんだ。急遽用意したものだから、ちょっとあれなんだけど。明日、改めて、サロンのオーナーを呼んだ時にちゃんとしたものを贈るから、今はこれを」

 そう言ってラヴィリオ皇子殿下は、わたしに何かを出しだしたの。
 どうしたらいいのか分からないわたしが、固まっていると、ラヴィリオ皇子殿下は、わたしに触れると告げた後にわたしの手に何かを握らせたのだ。
 それは、柔らかくて、すべすべで、空気のように軽かった。
 首を傾げるわたしに向かって、ラヴィリオ皇子殿下は言ったの。
 
「これを使って欲しい」

 そう言われたわたしは、手にある物の用途がようやくわかったのだ。
 これは、眼帯だ。
 ラヴィリオ皇子殿下の気遣い。
 やっぱり、あの時見られてたんだ。
 ベールの下の左右の眼球がない目元を隠すためのボロボロの布切れが巻かれたわたしの醜い素顔……。
 それなのに、こんな気遣いをしてくれる優しい人。
 普通なら、好奇心だったり、興味本位で目のことを聞きたいでしょうに、このお方は何も聞かずにこうやって、わたしを気遣ってくれる。
 なんて優しい人なんだろう……。
 悩んだのはほんの数秒だった。
 
「……。ありがとうございます。大切に使わせていただきますね」

「うん。さあ、俺は目を瞑って、下だけを見ているから」

「はい……。ありがとうございます」

 ラヴィリオ皇子殿下が下を向く気配を感じたわたしは、急いでもらった眼帯で目元を覆った。
 柔らかで、そして甘い香りに、なんとなくラヴィリオ皇子殿下を思い浮かべる。
 そんなことを考えている自分が恥ずかしくなって、わたしはそれを誤魔化すように急いでベールで顔を覆っていた。
 
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】消された第二王女は隣国の王妃に熱望される

風子
恋愛
ブルボマーナ国の第二王女アリアンは絶世の美女だった。 しかし側妃の娘だと嫌われて、正妃とその娘の第一王女から虐げられていた。 そんな時、隣国から王太子がやって来た。 王太子ヴィルドルフは、アリアンの美しさに一目惚れをしてしまう。 すぐに婚約を結び、結婚の準備を進める為に帰国したヴィルドルフに、突然の婚約解消の連絡が入る。 アリアンが王宮を追放され、修道院に送られたと知らされた。 そして、新しい婚約者に第一王女のローズが決まったと聞かされるのである。 アリアンを諦めきれないヴィルドルフは、お忍びでアリアンを探しにブルボマーナに乗り込んだ。 そしてある夜、2人は運命の再会を果たすのである。

【完結】地味な私と公爵様

ベル
恋愛
ラエル公爵。この学園でこの名を知らない人はいないでしょう。 端正な顔立ちに甘く低い声、時折見せる少年のような笑顔。誰もがその美しさに魅了され、女性なら誰もがラエル様との結婚を夢見てしまう。 そんな方が、平凡...いや、かなり地味で目立たない伯爵令嬢である私の婚約者だなんて一体誰が信じるでしょうか。 ...正直私も信じていません。 ラエル様が、私を溺愛しているなんて。 きっと、きっと、夢に違いありません。 お読みいただきありがとうございます。短編のつもりで書き始めましたが、意外と話が増えて長編に変更し、無事完結しました(*´-`)

【完結】僻地の修道院に入りたいので、断罪の場にしれーっと混ざってみました。

櫻野くるみ
恋愛
王太子による独裁で、貴族が息を潜めながら生きているある日。 夜会で王太子が勝手な言いがかりだけで3人の令嬢達に断罪を始めた。 ひっそりと空気になっていたテレサだったが、ふと気付く。 あれ?これって修道院に入れるチャンスなんじゃ? 子爵令嬢のテレサは、神父をしている初恋の相手の元へ行ける絶好の機会だととっさに考え、しれーっと断罪の列に加わり叫んだ。 「わたくしが代表して修道院へ参ります!」 野次馬から急に現れたテレサに、その場の全員が思った。 この娘、誰!? 王太子による恐怖政治の中、地味に生きてきた子爵令嬢のテレサが、初恋の元伯爵令息に会いたい一心で断罪劇に飛び込むお話。 主人公は猫を被っているだけでお転婆です。 完結しました。 小説家になろう様にも投稿しています。

異世界に落ちて、溺愛されました。

恋愛
満月の月明かりの中、自宅への帰り道に、穴に落ちた私。 落ちた先は異世界。そこで、私を番と話す人に溺愛されました。

〖完結〗終着駅のパッセージ 

苺 迷音
恋愛
過去、使用人に悪戯をされそうになった事がきっかけとなり、分厚い眼鏡とひっつめた髪を編み帽で覆い、自身の容姿を隠すようになった女性・カレン。 その事情を知りながらも夫ローランは、奇妙で地味な姿の妻を厭い目を逸らし続けた。 婚姻してからわずか三日後の朝。彼は赴任先の北の地へと旅立ちその後、カレンの元へと帰省してきたのは、片手で数えるほどだった。 孤独な結婚生活を送る中。 ある冬の日に、ローランの上官であり北の地を治める領主ハルシオン公爵が、カレン夫妻の邸にやってきた。 始まりは、部下の家族を想う上司としての気遣いだった。 他愛もない会話と、節度を守ったやり取り。ほんの僅かな時間を重ねていく。 そのうちに、お互いに灯り始めた小さな心の想い。 だが二人は、それを決して明かさず語ることはなかった。 それから一年ほどたった冬の夜。 カレンから届いた手紙に、たった一度だけハルシオンは返事を書く。 そこには彼の想いが書かれてあった。 月日は流れ、カレンとローランが婚姻して三年目の冬の日。 カレンはひとつの決意と想いを胸に、北へ向かう汽車に乗った。 ※微さまぁか、もしくはざまぁになっていないかもしれないです。 ※舞台は近世・産業革命初頭を基にした架空世界だと思っていただけましたら有難いです。 稚拙な作品ではありますがご覧くださいましたら凄く嬉しいです。よろしくお願い致します。

契約結婚の相手が優しすぎて困ります

みみぢあん
恋愛
ペルサル伯爵の婚外子リアンナは、学園に通い淑女の教育を受けているが、帰宅すれば使用人のような生活をおくっていた。 学園の卒業が近くなったある日、リアンナは父親と変わらない年齢の男爵との婚約が決まる。 そんなリアンナにフラッドリー公爵家の後継者アルベールと契約結婚をしないかと持ちかけられた。

【完結】余命半年の元聖女ですが、最期くらい騎士団長に恋をしてもいいですか?

金森しのぶ
恋愛
神の声を聞く奇跡を失い、命の灯が消えかけた元・聖女エルフィア。 余命半年の宣告を受け、静かに神殿を去った彼女が望んだのは、誰にも知られず、人のために最後の時間を使うこと――。 しかし運命は、彼女を再び戦場へと導く。 かつて命を賭して彼女を守った騎士団長、レオン・アルヴァースとの再会。 偽名で身を隠しながら、彼のそばで治療師見習いとして働く日々。 笑顔と優しさ、そして少しずつ重なる想い。 だけど彼女には、もう未来がない。 「これは、人生で最初で最後の恋でした。――でもそれは、永遠になりました。」 静かな余生を願った元聖女と、彼女を愛した騎士団長が紡ぐ、切なくて、温かくて、泣ける恋物語。 余命×再会×片恋から始まる、ほっこりじんわり異世界ラブストーリー。

竜王の「運命の花嫁」に選ばれましたが、殺されたくないので必死に隠そうと思います! 〜平凡な私に待っていたのは、可愛い竜の子と甘い溺愛でした〜

四葉美名
恋愛
「危険です! 突然現れたそんな女など処刑して下さい!」 ある日突然、そんな怒号が飛び交う異世界に迷い込んでしまった橘莉子(たちばなりこ)。 竜王が統べるその世界では「迷い人」という、国に恩恵を与える異世界人がいたというが、莉子には全くそんな能力はなく平凡そのもの。 そのうえ莉子が現れたのは、竜王が初めて開いた「婚約者候補」を集めた夜会。しかも口に怪我をした治療として竜王にキスをされてしまい、一気に莉子は竜人女性の目の敵にされてしまう。 それでもひっそりと真面目に生きていこうと気を取り直すが、今度は竜王の子供を産む「運命の花嫁」に選ばれていた。 その「運命の花嫁」とはお腹に「竜王の子供の魂が宿る」というもので、なんと朝起きたらお腹から勝手に子供が話しかけてきた! 『ママ! 早く僕を産んでよ!』 「私に竜王様のお妃様は無理だよ!」 お腹に入ってしまった子供の魂は私をせっつくけど、「運命の花嫁」だとバレないように必死に隠さなきゃ命がない! それでも少しずつ「お腹にいる未来の息子」にほだされ、竜王とも心を通わせていくのだが、次々と嫌がらせや命の危険が襲ってきて――! これはちょっと不遇な育ちの平凡ヒロインが、知らなかった能力を開花させ竜王様に溺愛されるお話。 設定はゆるゆるです。他サイトでも重複投稿しています。

処理中です...