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第二十四話
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ラヴィリオ皇子殿下の胸の音を聞いているうちに、わたしは彼の吐いてくれる優しい嘘に騙されてみたいと思ってしまう。
彼がわたしのこと醜くないのだと、そう言ってくれるのならその優しい噓に騙されてみようと思う。
だからわたしは、勇気をもって前に進むことにした。
「分かりました……。ラヴィリオ皇子殿下の言葉を信じます」
「ああ」
「ふふ。それでは、本題に入りますね。わたしが食事を必要としない理由です」
そう、もともとわたしは、この事を話そうとしていたのに、すごく話がそれてしまったけど、それでよかったのかもしれない。
そのお陰で、ラヴィリオ皇子殿下の気持ちが分かったし、あの時の少年がラヴィリオ皇子殿下だって知れたんだもの。
「それは、周辺にある魔力? だと思うんですが、それを体に取り込むことでわたしは自分の体を維持してきました」
「えっ?」
「元々は、わたしも普通の食事をしていたと思います……。ラヴィリオ皇子殿下に出会う前の話です。わたしは、ディスポーラ王国である仕事をしていました。その仕事をする際に、食事を摂れないことが続いた結果、いつしかわたしは、周囲から体を維持するためのエネルギーのような物を吸収するようになったんです。それで―――」
「ちょっと待て。何だそれは?! 食事すら与え得られない状況での仕事? しかも俺と出会う前なら……。五つの時にそんなことをさせられたというのか?」
「えっと……。それよりも前です……。よく覚えていませんが、二歳か三歳の時だと思います」
「なんてことだ……」
「でも、幼すぎて当時のことはよく覚えていないんです。でも、その時の経験でわたしは食事をしなくても大丈夫になりました。だって、生きるためだとは言え、あんなもの口にしなくていいですから」
「あんなもの……。ちょっと待て、今までお前は何を食べて来たんだ……」
「えっ? 普通のパンと草と……スープ?」
「…………。ちなみに聞くが、その普通のパンや草? はどんな味だった」
「えっ? 普通のどこにでもあるパンだと思いますけど?」
「いいから、どんな味だった?」
「えっと……。味ですか……。うーん。パンは、苦くて土みたいな味だったと思います。草は、苦くて辛かったと思います……」
「…………」
急に無言になってしまったラヴィリオ皇子殿下の様子がどうもおかしい気がした。
微かに震えている気がするし、低く小さな声で何かを呟いていた。
「ティアリアにそんな残飯以下のものを食べさせていたディスポーラ王国……。絶対に殺す……。滅ぼす……」
「ラヴィリオ皇子殿下? わたしは何か間違ったことを言ったのでしょうか……。わたしは、学もなく、ただ王家の血筋だというだけの愚かな女です……。何か間違いがあればご指摘ください」
「違う……。そうじゃない。俺は、お前が今まで不当な扱いを受けていたことに怒りを覚えているだけだ」
「不当な? そんなことないです。わたしは、王家に生まれましたが、出来損ないです。なので、出来損ないは出来損ないなりに王家としての責務を果たしただけの話なのです」
「責務を果たした結果が、ゴミのようなパンしか与えられず、食事を忌避するようになった……。そう言うことなのか?」
わたしには、ラヴィリオ皇子殿下の言うことが分からなかった。
ゴミのようなパン? 食事を忌避する?
だって、ディスポーラ王国では普通に食べられているものだと……、そう聞いていたわ。
それに、別に美味しくないから食べないという訳ではないし……。ただ、そう、わたしの口に合わなかったから、それなら貴重な食料をわたしが食べてしまうよりも、他に欲しい人に上げて欲しかっただけ……。それに、わたしは食事以外の方法で体の維持ができたし、何の問題もなかったんだもの……。
でも、ラヴィリオ皇子殿下の様子から、わたしが今まで普通だと思っていたことは、もしかして普通ではないのかもしれない……。
「学がないわたしでも知っています。ディスポーラ王国は、そこまで財政が豊かではないことを。ですから、国力のあるマルクトォス帝国と比べられても困ります……」
「分かった……。それなら、俺にも考えがある」
えっ?
どうしてラヴィリオ皇子殿下は、そんなに怒っているの?
とても低くそう言ったラヴィリオ皇子殿下の感じている怒りが何なのか、わたしには分からなかった。
彼がわたしのこと醜くないのだと、そう言ってくれるのならその優しい噓に騙されてみようと思う。
だからわたしは、勇気をもって前に進むことにした。
「分かりました……。ラヴィリオ皇子殿下の言葉を信じます」
「ああ」
「ふふ。それでは、本題に入りますね。わたしが食事を必要としない理由です」
そう、もともとわたしは、この事を話そうとしていたのに、すごく話がそれてしまったけど、それでよかったのかもしれない。
そのお陰で、ラヴィリオ皇子殿下の気持ちが分かったし、あの時の少年がラヴィリオ皇子殿下だって知れたんだもの。
「それは、周辺にある魔力? だと思うんですが、それを体に取り込むことでわたしは自分の体を維持してきました」
「えっ?」
「元々は、わたしも普通の食事をしていたと思います……。ラヴィリオ皇子殿下に出会う前の話です。わたしは、ディスポーラ王国である仕事をしていました。その仕事をする際に、食事を摂れないことが続いた結果、いつしかわたしは、周囲から体を維持するためのエネルギーのような物を吸収するようになったんです。それで―――」
「ちょっと待て。何だそれは?! 食事すら与え得られない状況での仕事? しかも俺と出会う前なら……。五つの時にそんなことをさせられたというのか?」
「えっと……。それよりも前です……。よく覚えていませんが、二歳か三歳の時だと思います」
「なんてことだ……」
「でも、幼すぎて当時のことはよく覚えていないんです。でも、その時の経験でわたしは食事をしなくても大丈夫になりました。だって、生きるためだとは言え、あんなもの口にしなくていいですから」
「あんなもの……。ちょっと待て、今までお前は何を食べて来たんだ……」
「えっ? 普通のパンと草と……スープ?」
「…………。ちなみに聞くが、その普通のパンや草? はどんな味だった」
「えっ? 普通のどこにでもあるパンだと思いますけど?」
「いいから、どんな味だった?」
「えっと……。味ですか……。うーん。パンは、苦くて土みたいな味だったと思います。草は、苦くて辛かったと思います……」
「…………」
急に無言になってしまったラヴィリオ皇子殿下の様子がどうもおかしい気がした。
微かに震えている気がするし、低く小さな声で何かを呟いていた。
「ティアリアにそんな残飯以下のものを食べさせていたディスポーラ王国……。絶対に殺す……。滅ぼす……」
「ラヴィリオ皇子殿下? わたしは何か間違ったことを言ったのでしょうか……。わたしは、学もなく、ただ王家の血筋だというだけの愚かな女です……。何か間違いがあればご指摘ください」
「違う……。そうじゃない。俺は、お前が今まで不当な扱いを受けていたことに怒りを覚えているだけだ」
「不当な? そんなことないです。わたしは、王家に生まれましたが、出来損ないです。なので、出来損ないは出来損ないなりに王家としての責務を果たしただけの話なのです」
「責務を果たした結果が、ゴミのようなパンしか与えられず、食事を忌避するようになった……。そう言うことなのか?」
わたしには、ラヴィリオ皇子殿下の言うことが分からなかった。
ゴミのようなパン? 食事を忌避する?
だって、ディスポーラ王国では普通に食べられているものだと……、そう聞いていたわ。
それに、別に美味しくないから食べないという訳ではないし……。ただ、そう、わたしの口に合わなかったから、それなら貴重な食料をわたしが食べてしまうよりも、他に欲しい人に上げて欲しかっただけ……。それに、わたしは食事以外の方法で体の維持ができたし、何の問題もなかったんだもの……。
でも、ラヴィリオ皇子殿下の様子から、わたしが今まで普通だと思っていたことは、もしかして普通ではないのかもしれない……。
「学がないわたしでも知っています。ディスポーラ王国は、そこまで財政が豊かではないことを。ですから、国力のあるマルクトォス帝国と比べられても困ります……」
「分かった……。それなら、俺にも考えがある」
えっ?
どうしてラヴィリオ皇子殿下は、そんなに怒っているの?
とても低くそう言ったラヴィリオ皇子殿下の感じている怒りが何なのか、わたしには分からなかった。
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