準聖女の幼馴染が好きすぎて仕事が手に付かないので、騎士団副団長をやめることにしました

バナナマヨネーズ

文字の大きさ
3 / 16

01 副団長様は騎士団を脱退することにしたようです(後編)

 そんな、順風満帆なファニスに突然の悲劇が訪れたのだ。
 愛するメリッサが、準聖女のお役目と保護を目的として、教会に移り住むことになったのだ。
 それまでは、幼いことを理由に親元を離れて暮らすのはかわいそうだと生家で暮らすことを許されていたのだが、11歳になった時に、そろそろお役目を果たしてもらいたいと正教会から要請があり、メリッサは、幼いながらも準聖女がいかに重要か考えて、反対する両親を自ら説得し教会に移り住むことにしたのだった。

 ただ、両親以外に猛烈に反対した人物がいた。
 そう、ファニスだ。
 教会に行けば、そう易々と会いに行くことが出来なくなるからだ。

 しかし、幼いながらも自分の役割を理解しているメリッサは、教会に行くことを決意してしまったのだ。
 止めることは出来た可能性はあるが、メリッサの気持ちをないがしろにすることも出来ないと思いとどまったが、実際にメリッサが教会に住むようになってから、一度も会うことが出来なくなっていたのだ(まだ、3日です)。
 何かにつけて、教会の側を巡回したりしてみたが、外からでは中にいるメリッサに会うことは叶わなかった。

 会いたい。声を聞きたい。会いたい。手を握って欲しい。会いたい。笑いかけて欲しい。会いたい。会いたい。会いたい。会いたい。

 ファニスに禁断症状が出始めたのは、メリッサが教会に移り住んでから4日目のことだった。
 街の外に魔物が現れたため、被害が出ないうちに討伐に行くことになったのだ。
 メリッサ渇望症の禁断症状が出ているファニスは、まさに魔物にあたりちらすように、団員が脅える位魔物を血祭りに上げていた。
 それでも足りないと、既に事切れている魔物をめった刺しのコマ切れのみじん切りにして、ほぼ原形をとどめないほどにぐちゃぐちゃにした。
 あまりのむごさに、魔物相手だとしても、団員達は青ざめ、完全に引いていた。
 団員達は思った。

 ―――このまま、ファニスが荒んだままだったらいつかやられるのは俺たちかもしれない。

 しかし、団員達の命が脅かされる前に運命は、ファニスに味方した。
 そう、ファニスが、一日中メリッサの側にいられる方法が分かったのだ。

 それは、魔物ぐちゃぐちゃ事件の翌日。
 騎士団長である、ガルド・アームズが正教会からの相談ごとで頭を悩ませていた時だった。

「はぁ、準聖女のお守役を騎士団に依頼するなど……。準聖女は大事な存在ではあるが、うちに余分に割ける人員はいない。従来通り、城の近衛から人選してもらうよう進言しよう」

 そう、通常なら城の近衛兵から準聖女の守護騎士となる、守役を選んでいるのだが何故か騎士団にその依頼が来たのだ。
 ここ数年、巫女の出生が低下し結界の強度が下がってきたため、魔物が森の外に出てくる頻度が増しているのだ。
 そのため、街の守りの他に、魔物の討伐回数も増えてきたいるのだ。
 そんな中で、大事な戦力を準聖女のためとはいえ、割くことはできない。
 何より、準聖女は基本街の外には出ないので、必要な時だけ騎士団が付き、普段は城の近衛兵で十分なのだ。

 ガルドはそう判断をして、正教会に不可の返事を出した。

 それを聞いたファニスは、今まで見たこともないいい笑顔でガルドにこう言ったのだ。

「一身上の都合により、本日をもって騎士団を脱退します。今までありがとうございました」

 それを聞いたガルドは、一瞬意味が分からずそのままファニスを行かせるところだったが、なんとか踏みとどまり、ファニスに突っ込みを入れていた。

「何故そうなる!! それに騎士団をやめてどうするんだ!!」

「え? 勿論近衛兵になりますよ?」

 ガルドは思った。

 ―――えっ?俺がおかしいのか? あいつ、それが何か? って感じで、さも当然と近衛になると言いやがった!!

「待て待て、だから何故そうなる!!」

「??」

 ―――えっ? 何その、何でこんなことも分からないの? って表情は!

「すみません。早くしないと間に合わなくなる可能性があるので、行きます」

 ガルドは、「何に!」と聞こうとしたが、ファニスは今までで一番素早い動きで既に退室済みだったため、騎士団は訳も分からず気が付いた時には、主戦力である副団長を失っていたのだった。

感想 2

あなたにおすすめの小説

【完結】離婚を切り出したら私に不干渉だったはずの夫が激甘に豹変しました

雨宮羽那
恋愛
 結婚して5年。リディアは悩んでいた。  夫のレナードが仕事で忙しく、夫婦らしいことが何一つないことに。  ある日「私、離婚しようと思うの」と義妹に相談すると、とある薬を渡される。  どうやらそれは、『ちょーっとだけ本音がでちゃう薬』のよう。  そうしてやってきた離婚の話を告げる場で、リディアはつい好奇心に負けて、夫へ薬を飲ませてしまう。  すると、あら不思議。  いつもは浮ついた言葉なんて口にしない夫が、とんでもなく甘い言葉を口にしはじめたのだ。 「どうか離婚だなんて言わないでください。私のスイートハニーは君だけなんです」 (誰ですかあなた) ◇◇◇◇ ※全3話。 ※コメディ重視のお話です。深く考えちゃダメです!少しでも笑っていただけますと幸いです(*_ _))*゜ ※AI不使用です。

【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!

ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。 ※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。

好きな人が嬢を身請けするのが辛くて逃げたら捕まりました~黒服の私は執着騎士に囲われる~

こじまき
恋愛
騎士が集う高級酒場「夜香楼」で女性黒服として働くソフィアは、客である寡黙な騎士ゼインに恋していた。けれど彼が指名するのはいつも人気花嬢イサナで、身請けも近いと予想されていた。 ソフィアは、叶わない想いにと嫉妬に耐えきれず、衝動的に店を去る。 もう二度と会うことはないはずだったのに、身請けした嬢と幸せに暮らしているはずの彼が追ってきて―― 「お前への愛は焼き印のように刻まれていて、もう消えない」 ――失恋したと思い込んで逃げた黒服が、執着系騎士様に捕まって囲われる話。 ※小説家になろうにも投稿しています

偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~

甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」 「全力でお断りします」 主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。 だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。 …それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で… 一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。 令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……

【完結】僻地の修道院に入りたいので、断罪の場にしれーっと混ざってみました。

櫻野くるみ
恋愛
王太子による独裁で、貴族が息を潜めながら生きているある日。 夜会で王太子が勝手な言いがかりだけで3人の令嬢達に断罪を始めた。 ひっそりと空気になっていたテレサだったが、ふと気付く。 あれ?これって修道院に入れるチャンスなんじゃ? 子爵令嬢のテレサは、神父をしている初恋の相手の元へ行ける絶好の機会だととっさに考え、しれーっと断罪の列に加わり叫んだ。 「わたくしが代表して修道院へ参ります!」 野次馬から急に現れたテレサに、その場の全員が思った。 この娘、誰!? 王太子による恐怖政治の中、地味に生きてきた子爵令嬢のテレサが、初恋の元伯爵令息に会いたい一心で断罪劇に飛び込むお話。 主人公は猫を被っているだけでお転婆です。 完結しました。 小説家になろう様にも投稿しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

冷たかった夫が別人のように豹変した

京佳
恋愛
常に無表情で表情を崩さない事で有名な公爵子息ジョゼフと政略結婚で結ばれた妻ケイティ。義務的に初夜を終わらせたジョゼフはその後ケイティに触れる事は無くなった。自分に無関心なジョゼフとの結婚生活に寂しさと不満を感じながらも簡単に離縁出来ないしがらみにケイティは全てを諦めていた。そんなある時、公爵家の裏庭に弱った雄猫が迷い込みケイティはその猫を保護して飼うことにした。 ざまぁ。ゆるゆる設定