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02 副団長様は準聖女様の守護騎士になりたいようです(後編)
早速宰相の後について、ファニスは教会に向かっていた。その時のファニスは、これからの薔薇色の生活に想いを馳せていた。宰相に「ここで待つように」と言われて部屋で、大人しく、待っていると、宰相が一人の女性を連れてやってきたのだ。
「準聖女殿、彼が守護騎士希望のファニス・リムだ」
「まぁまぁ、素敵な騎士様。わたくしの騎士を自ら希望してくださるなんて」
ファニスは、入ってきた女性を見て固まっていた。顔には出さないが、絶望で心が埋め尽くされていた。
しかし、それに気が付かない女性は、更にファニスに話しかけてきたのだ。
「ファニス様とお呼びしても? それと、わたくしのことは――」
「―――れだ……」
「はい? 今何と?」
「だから! 貴方は誰なんだ!!!」
ファニスの声にその場にいた、宰相と女性は凍りついた。
しかし、ファニスはそれに気づくことなく宰相に説明を求めた。
「宰相!!こちらの女性はどなたですか? メリッサは? メリッサはどうしたんですか!!」
その言葉を聞いた宰相は思った。
―――そっちか!!
しかし、宰相はなんにも気づいてませんよ? と言った風体でファニスに答えた。
「何を言っているのです。あなたが守護騎士になることを望んだ準聖女の、ミリア殿だ」
「知りません。俺は、メリッサの守護騎士になることを望んだのであって、見知らぬ女性の騎士になる気は毛頭ありません」
そう言って、宰相に詰め寄った。
「いえ、今回守護騎士を望んでいる準聖女は、ミリア殿で間違いないです」
「くっ!!騙された!!」
「誰も、騙してなんていませんから!! 変なこと言わないで下さい!!」
ファニスと、宰相がそんな不毛な会話を繰り返していると、部屋に近づく小さな足音がファニスの耳に届いた。
―――はっ!!この足音は、メリッサ!! くぅ、足音さえも可愛い!
そう思ったファニスは、ものすごい速さで身なりを整え、何もなかったようなそぶりで椅子に座り直していた。
そのタイミングで、部屋に可愛らしい声が届いたのだ。
「ミリアお姉さま? 騎士様は決まりましたか……あ、あれ? お兄ちゃん? えっ、お兄ちゃんがミリアお姉さまの騎士様になるの?」
「そう―――」
「メリッサ!! 俺はたまたまここに来ただけだよ。そしたら、たまたま、ミリア殿が偶然居合わせただけで、何の、一切の関わりもない、先ほど初めて会った他人だよ」
「そうなんだ。たまたまでも、お兄ちゃんに会えたの凄くうれしい!!」
―――五日ぶりのメリッサが尊過ぎて、召されそうだ。ああ、メリッサ成分が補給されていくぅ……。
「ああ、俺も久しぶりにメリッサに会えて嬉しいよ」
―――ねぁ、宰相さん、彼ってロリ……。
―――ミリア殿それ以上の発言は危険です。命にかかわります。
―――そうね。でも、この状況一体どうするつもりですか?
―――任せてください。穏便に、尚且つファニス殿に貸しを作りつつやり過ごす方法があります。ただ、ミリア殿の守護騎士は……。
―――ああ、それは見送りで良いわ。見た目はいいし、腕は立つみたいだけどこんな危険極まりない男、こっちから願い下げだわ。
ファニスが幸せに包まれている間に、素早く作戦会議を終えた宰相は、その場を丸く収めるためにこう言った。
「そうそう、突然ですが、メリッサ殿に守護騎士を決めていただきたいと思っていたところでして、腕の立つファニス殿に打診をしていたところなのですよ」
その言葉を聞いたファニスは、一瞬のうちに宰相と目で会話を成立させた。
―――感謝する。
―――これは貸しですからね。
―――分かった。借りは返す。
―――交渉成立ですね。
そんなやり取りに一切気が付かないメリッサは、宰相の言葉に喜びの声を上げた。
「えっ!! お兄ちゃんが私の守護騎士様に!! 嬉しい!!! あっ、でも騎士団副団長のお仕事が……」
「騎士団は、俺がいなくても大丈夫だから。メリッサには、俺しかいないだろう?」
急に甘々モードになったファニスは、蕩けるような表情でメリッサに語りかけていた。
中身を知ってしまった、宰相とミリアも危うく騙されそうになるほどの、極上の顔面攻撃を受けて、先ほどのロリ、じゃなくて紳士っぷりを一瞬忘れるほどだった。
そう、この男はメリッサの前では決して本性を見せず常に蕩ける様な、極上のイケメンオーラを振りまいていたのだ。
「準聖女殿、彼が守護騎士希望のファニス・リムだ」
「まぁまぁ、素敵な騎士様。わたくしの騎士を自ら希望してくださるなんて」
ファニスは、入ってきた女性を見て固まっていた。顔には出さないが、絶望で心が埋め尽くされていた。
しかし、それに気が付かない女性は、更にファニスに話しかけてきたのだ。
「ファニス様とお呼びしても? それと、わたくしのことは――」
「―――れだ……」
「はい? 今何と?」
「だから! 貴方は誰なんだ!!!」
ファニスの声にその場にいた、宰相と女性は凍りついた。
しかし、ファニスはそれに気づくことなく宰相に説明を求めた。
「宰相!!こちらの女性はどなたですか? メリッサは? メリッサはどうしたんですか!!」
その言葉を聞いた宰相は思った。
―――そっちか!!
しかし、宰相はなんにも気づいてませんよ? と言った風体でファニスに答えた。
「何を言っているのです。あなたが守護騎士になることを望んだ準聖女の、ミリア殿だ」
「知りません。俺は、メリッサの守護騎士になることを望んだのであって、見知らぬ女性の騎士になる気は毛頭ありません」
そう言って、宰相に詰め寄った。
「いえ、今回守護騎士を望んでいる準聖女は、ミリア殿で間違いないです」
「くっ!!騙された!!」
「誰も、騙してなんていませんから!! 変なこと言わないで下さい!!」
ファニスと、宰相がそんな不毛な会話を繰り返していると、部屋に近づく小さな足音がファニスの耳に届いた。
―――はっ!!この足音は、メリッサ!! くぅ、足音さえも可愛い!
そう思ったファニスは、ものすごい速さで身なりを整え、何もなかったようなそぶりで椅子に座り直していた。
そのタイミングで、部屋に可愛らしい声が届いたのだ。
「ミリアお姉さま? 騎士様は決まりましたか……あ、あれ? お兄ちゃん? えっ、お兄ちゃんがミリアお姉さまの騎士様になるの?」
「そう―――」
「メリッサ!! 俺はたまたまここに来ただけだよ。そしたら、たまたま、ミリア殿が偶然居合わせただけで、何の、一切の関わりもない、先ほど初めて会った他人だよ」
「そうなんだ。たまたまでも、お兄ちゃんに会えたの凄くうれしい!!」
―――五日ぶりのメリッサが尊過ぎて、召されそうだ。ああ、メリッサ成分が補給されていくぅ……。
「ああ、俺も久しぶりにメリッサに会えて嬉しいよ」
―――ねぁ、宰相さん、彼ってロリ……。
―――ミリア殿それ以上の発言は危険です。命にかかわります。
―――そうね。でも、この状況一体どうするつもりですか?
―――任せてください。穏便に、尚且つファニス殿に貸しを作りつつやり過ごす方法があります。ただ、ミリア殿の守護騎士は……。
―――ああ、それは見送りで良いわ。見た目はいいし、腕は立つみたいだけどこんな危険極まりない男、こっちから願い下げだわ。
ファニスが幸せに包まれている間に、素早く作戦会議を終えた宰相は、その場を丸く収めるためにこう言った。
「そうそう、突然ですが、メリッサ殿に守護騎士を決めていただきたいと思っていたところでして、腕の立つファニス殿に打診をしていたところなのですよ」
その言葉を聞いたファニスは、一瞬のうちに宰相と目で会話を成立させた。
―――感謝する。
―――これは貸しですからね。
―――分かった。借りは返す。
―――交渉成立ですね。
そんなやり取りに一切気が付かないメリッサは、宰相の言葉に喜びの声を上げた。
「えっ!! お兄ちゃんが私の守護騎士様に!! 嬉しい!!! あっ、でも騎士団副団長のお仕事が……」
「騎士団は、俺がいなくても大丈夫だから。メリッサには、俺しかいないだろう?」
急に甘々モードになったファニスは、蕩けるような表情でメリッサに語りかけていた。
中身を知ってしまった、宰相とミリアも危うく騙されそうになるほどの、極上の顔面攻撃を受けて、先ほどのロリ、じゃなくて紳士っぷりを一瞬忘れるほどだった。
そう、この男はメリッサの前では決して本性を見せず常に蕩ける様な、極上のイケメンオーラを振りまいていたのだ。
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