準聖女の幼馴染が好きすぎて仕事が手に付かないので、騎士団副団長をやめることにしました

バナナマヨネーズ

文字の大きさ
9 / 16

04 守護騎士様は準聖女様の口から聞きたいようです(後編)

 別に全裸、しかも後ろ姿を見られてもどうということはない。ただし、それがメリッサであれば大問題だった。
 ファニスが大切に守ってきたメリッサだ、きっと男の裸は初めて見たことだろう。
 それなら、たとえ後ろ姿だとしてもショックを受けてしまうことは明白だった。

 ファニスは、持てる力を総動員してメリッサの居場所を見つけた。
 そして、怖がらせないように優しく声をかけたのだ。

「メリッサ。どうしたんだ?」

 ファニスに背中を向けているメリッサからの返答はない。ただ、後ろから見えるメリッサの耳が真っ赤になっていることが見てとれた。

 吃驚させないように、そっと後ろから包み込むように抱きしめながら、さらに優しく声をかけた。

「メリッサ」

 少し様子をうかがっていると、メリッサから微かな返答があった。

「あの、ね。私、お兄ちゃんが、お風呂使ってるって、分からなくって、わざとじゃないのよ。でも、勝手に覗いてしまってごめんなさい。怒ってる?」

「あれは、目印を出し忘れた俺が悪い。変な物を見せて悪かったな」

 そう言うと、メリッサは無言で首を横に振った。

「私は、悪い子なの。だって、わざとじゃなかったけど、偶然見ちゃったお兄ちゃんの裸を~~~」

「ん? 俺の裸がどうした?」

「お兄ちゃんの意地悪。何でもない。もう、忘れて!」

「そこまで言われると気になってしまってな。それに、メリッサは、いい子だぞ。悪い子なもんか」

「悪い子なの!! だって、だって、お兄ちゃんの裸をみて!」

「うん。俺の裸を見て?」

「あの、あのね。恰好いいって、思っちゃったの!!」

 メリッサはそう言って、顔を手で覆ってさらに俯いた。

 ―――まさか、メリッサが、俺の裸で? さらにいくべきが、ここは一旦引くべきか……。ここは一気にいくべきだな。今までこんな雰囲気になったことはなかった。これは、俺を男として意識させるチャンスなのでは? そうだ、ここは押して押して押すところだ!!


 そう判断したファニスは、さらに追撃にかかった。

「俺は、メリッサが、俺を意識してくれたことが嬉しいよ?」

「嬉しい? なんで?」

「俺は、メリッサを一人の女性として愛しているから。メリッサが俺の裸を見て恥ずかしがってくれているってことは、俺を男としてみてくれていると思えて、俺は凄くうれしいよ」

「お兄ちゃんは、私を好きなの?」

「大好きだ。愛してる。好きで好きで堪らない」

「どうして、私なんてお兄ちゃんから見たら子供でしょう?」

「子供じゃない。メリッサはとても魅力的な女性だよ」

「うそよ」

「どうして?」

「だって、普通好きな人と一緒に寝て何もないって、何とも思っていないってことでしょう? 今まで、一緒に寝ていて、何もなかったのが私を子供だと思っている証拠だよ」

 メリッサのその言葉を聞いて、ファニスは衝撃を受けた。

 ―――メリッサ!! 俺のこと男として意識してくれている!! それなら、ここは一気にいくしかない!!

「そんなことない」

「嘘だよ!!」

「男はね、大事な人のためなら我慢が出来る生き物なんだよ?」

「ガマン?」

「そう、日々魅力的に成長するメリッサに手を出して嫌われないように必死に我慢をしていたんだよ」

「それって、私なんて我慢が出来る程度ってことでしょ」

「ごめん。ちょっと格好つけた。全然我慢できてなかったよ。だから、魔物討伐で、いろいろ発散させてたし、隙あらば、メリッサに触ろうとしたしね」

「本当?」

「ああ。誓って」

「そっか、お兄ちゃんは私が、その、女の人として好きなんだよね?」

「そうだよ。メリッサは?」

「む~~う。もう分かるでしょう?」

「言葉にして欲しいな」

「すっ、す――」

「準聖女様~~どこですか~~。お食事の時間ですよ~~~」

「「……」」

 ―――折角の告白を台無しにしたあの、団員は後でお仕置きが必要だな。はぁ、仕方ない。告白は仕切り直しで、また今度か。


「メリッサ、ご飯が冷める前に戻ろうか?」

「うん」

「次は容赦しないからね」

「うん……」


 その日の夜、一人の騎士団員が人知れずこの世のものとは思えない、恐怖体験をしたのはいうまでもない。

感想 2

あなたにおすすめの小説

【完結】離婚を切り出したら私に不干渉だったはずの夫が激甘に豹変しました

雨宮羽那
恋愛
 結婚して5年。リディアは悩んでいた。  夫のレナードが仕事で忙しく、夫婦らしいことが何一つないことに。  ある日「私、離婚しようと思うの」と義妹に相談すると、とある薬を渡される。  どうやらそれは、『ちょーっとだけ本音がでちゃう薬』のよう。  そうしてやってきた離婚の話を告げる場で、リディアはつい好奇心に負けて、夫へ薬を飲ませてしまう。  すると、あら不思議。  いつもは浮ついた言葉なんて口にしない夫が、とんでもなく甘い言葉を口にしはじめたのだ。 「どうか離婚だなんて言わないでください。私のスイートハニーは君だけなんです」 (誰ですかあなた) ◇◇◇◇ ※全3話。 ※コメディ重視のお話です。深く考えちゃダメです!少しでも笑っていただけますと幸いです(*_ _))*゜ ※AI不使用です。

【本編完結】伯爵令嬢に転生して命拾いしたけどお嬢様に興味ありません!

ななのん
恋愛
早川梅乃、享年25才。お祭りの日に通り魔に刺されて死亡…したはずだった。死後の世界と思いしや目が覚めたらシルキア伯爵の一人娘、クリスティナに転生!きらきら~もふわふわ~もまったく興味がなく本ばかり読んでいるクリスティナだが幼い頃のお茶会での暴走で王子に気に入られ婚約者候補にされてしまう。つまらない生活ということ以外は伯爵令嬢として不自由ない毎日を送っていたが、シルキア家に養女が来た時からクリスティナの知らぬところで運命が動き出す。気がついた時には退学処分、伯爵家追放、婚約者候補からの除外…―― それでもクリスティナはやっと人生が楽しくなってきた!と前を向いて生きていく。 ※本編完結してます。たまに番外編などを更新してます。

好きな人が嬢を身請けするのが辛くて逃げたら捕まりました~黒服の私は執着騎士に囲われる~

こじまき
恋愛
騎士が集う高級酒場「夜香楼」で女性黒服として働くソフィアは、客である寡黙な騎士ゼインに恋していた。けれど彼が指名するのはいつも人気花嬢イサナで、身請けも近いと予想されていた。 ソフィアは、叶わない想いにと嫉妬に耐えきれず、衝動的に店を去る。 もう二度と会うことはないはずだったのに、身請けした嬢と幸せに暮らしているはずの彼が追ってきて―― 「お前への愛は焼き印のように刻まれていて、もう消えない」 ――失恋したと思い込んで逃げた黒服が、執着系騎士様に捕まって囲われる話。 ※小説家になろうにも投稿しています

偉物騎士様の裏の顔~告白を断ったらムカつく程に執着されたので、徹底的に拒絶した結果~

甘寧
恋愛
「結婚を前提にお付き合いを─」 「全力でお断りします」 主人公であるティナは、園遊会と言う公の場で色気と魅了が服を着ていると言われるユリウスに告白される。 だが、それは罰ゲームで言わされていると言うことを知っているティナは即答で断りを入れた。 …それがよくなかった。プライドを傷けられたユリウスはティナに執着するようになる。そうティナは解釈していたが、ユリウスの本心は違う様で… 一方、ユリウスに関心を持たれたティナの事を面白くないと思う令嬢がいるのも必然。 令嬢達からの嫌がらせと、ユリウスの病的までの執着から逃げる日々だったが……

【完結】僻地の修道院に入りたいので、断罪の場にしれーっと混ざってみました。

櫻野くるみ
恋愛
王太子による独裁で、貴族が息を潜めながら生きているある日。 夜会で王太子が勝手な言いがかりだけで3人の令嬢達に断罪を始めた。 ひっそりと空気になっていたテレサだったが、ふと気付く。 あれ?これって修道院に入れるチャンスなんじゃ? 子爵令嬢のテレサは、神父をしている初恋の相手の元へ行ける絶好の機会だととっさに考え、しれーっと断罪の列に加わり叫んだ。 「わたくしが代表して修道院へ参ります!」 野次馬から急に現れたテレサに、その場の全員が思った。 この娘、誰!? 王太子による恐怖政治の中、地味に生きてきた子爵令嬢のテレサが、初恋の元伯爵令息に会いたい一心で断罪劇に飛び込むお話。 主人公は猫を被っているだけでお転婆です。 完結しました。 小説家になろう様にも投稿しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

冷たかった夫が別人のように豹変した

京佳
恋愛
常に無表情で表情を崩さない事で有名な公爵子息ジョゼフと政略結婚で結ばれた妻ケイティ。義務的に初夜を終わらせたジョゼフはその後ケイティに触れる事は無くなった。自分に無関心なジョゼフとの結婚生活に寂しさと不満を感じながらも簡単に離縁出来ないしがらみにケイティは全てを諦めていた。そんなある時、公爵家の裏庭に弱った雄猫が迷い込みケイティはその猫を保護して飼うことにした。 ざまぁ。ゆるゆる設定