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06 守護騎士様はブチ切れだそうです(後編)
メリッサの顔色は真っ青を通り越して、真っ白になり、身体は小刻みに震え、歯をガチガチと鳴らして硬直してしまった。
さらには、呼吸が荒くなり、過呼吸を起こしてしまったのだ。
ガルドは、慌てた。
あの時の悲劇を思い出して。
ファニスからの殺意を思い出して。
「どうか、メリッサ、落ち着いてくれ!!」
慌てるあまり、さらにメリッサを怯えさせる結果に気が付かず、落ち着くように声を掛ける。
しかし、メリッサは幼少のころにみた、悪鬼のような男が居ると思うだけで、呼吸が乱れ身体が震えた。
まだ、食堂の中にいたミリアがその騒動に気が付き顔を覗かせて、悲惨な状況に悲鳴を上げた。
「ちょっ!! どうして、騎士団長がここにいるの!! 誰か早く団長をここから追い出して!!」
ミリアは慌てて、ガルドを追い出すようにいい、メリッサに駆け寄った。
事情を知らない団員達は困惑し、ミリアに言った。
「ミリアさん? この人は、ちょっと、山賊っぽいですが、これでも騎士団長なので、大丈夫ですよ?」
「違うの!! 早く追い出して!!」
「そうは言っても?」
理由を知らない団員達は困惑した。いくら、準聖女のお世話をしているミリアの命令でも、直接の上司にあたるガルドを訳も分からず追い出すわけにはいかないと。
団員達が迷っている間、ミリアはメリッサにガルドの姿が見えないようにしながら、布を口に当て過呼吸が治まるように処置をしていた。
処置の間、慌てるガルドと困惑する団員達はその場でただおろおろするばかりだった。
メリッサの呼吸が落ち着いたところで、ミリアは視線も向けずに今度は落ち着いた声で言った。
「はぁ。もう手遅れかも知れないけど、早くここを退室してくださいね」
その言葉を聞いたガルドと団員達は何が手遅れなのか分からなかったが、背後から漂ってくる死の気配に、ただただ自分の行く末が地獄だということだけは理解した。
「ただいま戻りました。それで、そこにいる害獣は今度は一体何をしたんですか?」
「お帰りなさい。この子なら、今は呼吸も落ち着いて意識を失っているけど、もう少ししたら意識も戻ると思うわ」
「ありがとう、メリッサについていてくれて。メリッサを部屋に運ぶから、目が覚めるまで付いていてもらえるか?」
「はあ、分かったわ。それで、あなたは?」
「ちょっと、害獣の駆除をしないといけないからね」
「ほどほどに……、と言っても無理か」
「無理だな」
そう言った後、ファニスはメリッサを慎重に抱きかかえ部屋に連れて行った。
ガルド達は、その場を一歩も動けずにただ固まっていた。
しばらく経つと、ガルド達はこのままでは命にかかわると気が付き、その場を離れようとしたが、もう遅かった。
メリッサを部屋に運んだファニスが足音もなく戻ってきたのだ。
そして、ガルドと、騎士達に言った。
「それでは、害獣の駆除を始めようか? そうそう、最後に言い残すことはあるかな? いや、ないな。俺の大事なメリッサをあんな目にあわすなど、死んで、生まれ変わってもまだ足りない。言葉を交わす価値もないな」
その言葉を聞いた瞬間、ガルドと騎士達はこれまでの人生で一番の速さでその場を駆けだした。
未熟な騎士達は、駆けだしたつもりがもうすでに意識を刈り取られていた。逃げ出したのは夢、いや悪夢の中だ。
ガルドや、そこそこに腕の立つ騎士達は、最初に撃墜された哀れな犠牲者に詫びつつ、散開しながら、屋敷の外に逃げ出していた。
ただし、その後ろから魔王のようなファニスが近づき、一人つず意識を刈り取り、最終的には意識のない騎士団員全員を吊し上げてから、ガルドに最上級恐怖を与えて制裁を加えたのは言うまでもない。
そして、屋敷の外から獣のような雄たけびが辺り周辺に鳴り響き、その声を聞いた者は恐怖に脅えながらこう思った。
―――絶対に、騎士団長を準聖女様に近づけてはいけない。そうでなければ、死よりも恐ろしい目にあう―――と。
さらには、呼吸が荒くなり、過呼吸を起こしてしまったのだ。
ガルドは、慌てた。
あの時の悲劇を思い出して。
ファニスからの殺意を思い出して。
「どうか、メリッサ、落ち着いてくれ!!」
慌てるあまり、さらにメリッサを怯えさせる結果に気が付かず、落ち着くように声を掛ける。
しかし、メリッサは幼少のころにみた、悪鬼のような男が居ると思うだけで、呼吸が乱れ身体が震えた。
まだ、食堂の中にいたミリアがその騒動に気が付き顔を覗かせて、悲惨な状況に悲鳴を上げた。
「ちょっ!! どうして、騎士団長がここにいるの!! 誰か早く団長をここから追い出して!!」
ミリアは慌てて、ガルドを追い出すようにいい、メリッサに駆け寄った。
事情を知らない団員達は困惑し、ミリアに言った。
「ミリアさん? この人は、ちょっと、山賊っぽいですが、これでも騎士団長なので、大丈夫ですよ?」
「違うの!! 早く追い出して!!」
「そうは言っても?」
理由を知らない団員達は困惑した。いくら、準聖女のお世話をしているミリアの命令でも、直接の上司にあたるガルドを訳も分からず追い出すわけにはいかないと。
団員達が迷っている間、ミリアはメリッサにガルドの姿が見えないようにしながら、布を口に当て過呼吸が治まるように処置をしていた。
処置の間、慌てるガルドと困惑する団員達はその場でただおろおろするばかりだった。
メリッサの呼吸が落ち着いたところで、ミリアは視線も向けずに今度は落ち着いた声で言った。
「はぁ。もう手遅れかも知れないけど、早くここを退室してくださいね」
その言葉を聞いたガルドと団員達は何が手遅れなのか分からなかったが、背後から漂ってくる死の気配に、ただただ自分の行く末が地獄だということだけは理解した。
「ただいま戻りました。それで、そこにいる害獣は今度は一体何をしたんですか?」
「お帰りなさい。この子なら、今は呼吸も落ち着いて意識を失っているけど、もう少ししたら意識も戻ると思うわ」
「ありがとう、メリッサについていてくれて。メリッサを部屋に運ぶから、目が覚めるまで付いていてもらえるか?」
「はあ、分かったわ。それで、あなたは?」
「ちょっと、害獣の駆除をしないといけないからね」
「ほどほどに……、と言っても無理か」
「無理だな」
そう言った後、ファニスはメリッサを慎重に抱きかかえ部屋に連れて行った。
ガルド達は、その場を一歩も動けずにただ固まっていた。
しばらく経つと、ガルド達はこのままでは命にかかわると気が付き、その場を離れようとしたが、もう遅かった。
メリッサを部屋に運んだファニスが足音もなく戻ってきたのだ。
そして、ガルドと、騎士達に言った。
「それでは、害獣の駆除を始めようか? そうそう、最後に言い残すことはあるかな? いや、ないな。俺の大事なメリッサをあんな目にあわすなど、死んで、生まれ変わってもまだ足りない。言葉を交わす価値もないな」
その言葉を聞いた瞬間、ガルドと騎士達はこれまでの人生で一番の速さでその場を駆けだした。
未熟な騎士達は、駆けだしたつもりがもうすでに意識を刈り取られていた。逃げ出したのは夢、いや悪夢の中だ。
ガルドや、そこそこに腕の立つ騎士達は、最初に撃墜された哀れな犠牲者に詫びつつ、散開しながら、屋敷の外に逃げ出していた。
ただし、その後ろから魔王のようなファニスが近づき、一人つず意識を刈り取り、最終的には意識のない騎士団員全員を吊し上げてから、ガルドに最上級恐怖を与えて制裁を加えたのは言うまでもない。
そして、屋敷の外から獣のような雄たけびが辺り周辺に鳴り響き、その声を聞いた者は恐怖に脅えながらこう思った。
―――絶対に、騎士団長を準聖女様に近づけてはいけない。そうでなければ、死よりも恐ろしい目にあう―――と。
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