俺の最悪な異世界転移の顛末

胡桃 ぱんこ

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本編

ユツキ聖人改造計画

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 天気のいい昼下がり、ステンドガラスから鮮やかな色彩の光が差し込む白いホールに、光の粒子が舞う。

 美しい青年が膝をつき、真っ白の衣装に身を包み祈りを捧げている。

 その大きな黒い瞳は光を吸い込んでキラキラと瞬いており、同色の髪は短く整えられ頭を動かすたびにサラサラと揺れる。

 つんとたった小さな鼻と静かな笑みを湛えた赤い唇、まろい輪郭を描く薄く色づいた頬はまさに天使のような姿だった。

 その真っ白の衣装にはところどころエメラルドの装飾がなされており、後ろに控える護衛騎士は同じ色彩の軍服を身に纏っている。


「神のご加護がありますように」
「素晴らしい!娘の火傷が跡形もなく……!ありがとうございます聖人様!」
「パパ~!お顔痛くないよ~!聖人様ありがとう!」


 幼い少女が飛び上がり喜んでいる様を見つめる。ゆっくり一礼し、騎士と共に後ろに下がる。


 室内に入り視線がなくなった途端、煩わしいベールを剥ぎ取りベッドに豪快に寝転がる。


「はぁ~~~~~~!疲れたッ!!」
「お疲れ様ユウ、いい聖人様だったよ」
「ハハっ!ガワだけの偽物だけどな」
 

 隣に腰掛けたジェードが俺の頬を撫でる

 冷たい温度が気持ちよくて手のひらに頬を擦り付けてみる。ジェードがこちらを見ながら幸せそうに微笑んでいる。

 ここは王城の近くにある神殿、俺が初め異世界から召喚された場所。


 あれから一年、ここで俺たちは穏やかな日々を過ごしている。



 
 あの日のシアンのぶっ飛んだ発言は冗談ではなかった。


「ユウを戦場に出したくないのなら、他の価値を示さなければならない」
「他の価値?」

「王や上層部に病や怪我に必ず効くエリクサーが生き続けることの有用性を説く」

「え、えりくさー?」

「どんな怪我をも治すと言われている秘薬だ、まぁ実際には貴重な割には性能に限界があり、病にはあまり効かないがな」


 シアンが説明してくれるが、何を言いたいのか俺にはさっぱり分からない。

 一方のジェードは、何かに気づいたように勢いよく話し出す。
 

「なるほど……!戦場で使い捨てるより有用な使い方を、提案して認めさせると言うことですね!」

「それだけじゃ弱ぇな。上層部のクズどもは命よりも金が好きだ、貴族相手にアコギな商売して金稼ぎする方が効くぜ~。」

 リラが悪い顔で笑う、この人いつもこの顔してるな。
 

「あぁ、それもいいだろう。何よりもその活動を通して聖人としての象徴的な価値を高めることが一番効果があるだろう。使い捨ての駒と見られているうちはいつ掌を返されるかわからないからな」
「……はぁ、なるほど?」

大人たちの間でどんどん話が進められていく。
 

「ってか聖人って転移した時に何回か言われたんだけど、どういう意味なんですか?」

「異世界人たちが言っていた言葉で、女が聖女、男が聖人というらしい。聖なる力を持った神の代行者で、願いに応え救いを与えるらしい。神官や魔法使いの中では異世界人を神格化してそう呼ぶものがいる。」

「な、なるほど????」
 
 応えながらもハテナが頭の上に浮かぶ。


 (俺がその聖人になるってこと?一体どうやって??)


「そうなると、まず見た目をなんとかしないとな。」

「俺はユウの容姿の隠された美貌って感じ好きだけど、そうは言ってられないよな」

「俺がその陰気なクソ髪切ってやるよ、刃物の扱いは得意だぜ~」



 大人たちがじわじわ近づいてくる。
 


「は、おい、やめろ……近寄るな~!!!!」





 
 俺の抵抗は全無視され「ユツキ聖人改造計画」は開始されたのであった。


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