緋色の小刀-ナイフ-

八雲 銀次郎

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燃えた人形

#6

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 「……。」それすら、語ってくれなかった…。そして、扉を通して、彼女の気配だけが、曖昧な輪郭だけを残して、去っていった様な気がした。
 「………。」普段、静かな自室に、私の溜息が、小さく、響いた。
 自分の部屋とは言え、ここまで、静かな自室は、珍しい。空気も冷たく、とても、私の部屋とは思えない。
 だから、と言う訳ではないが、改めて、私の部屋を、見回した。ベッドや、勉強用のデスク、ラックや、テーブルなどの、配置は、特に変わってはいない…。だが、一つだけ、違和感を覚えた。
 それは、本棚の、本やノート、参考書の位置が、若干変わっている。
 自分で言うのも、何だが、私は、母親に似て、大雑把な性格だ。こんなに、綺麗に、本を整頓するのは、我が家では、父親くらいだ。
 そして、その本と本の間に、紙切れが、一枚挟まっているのが、見えた。
 私は、それを手に取った。そこには、達筆な殴り書きで、メモの様な物が、書かれてあった。漢字二文字だというのが、辛うじて解るのだが、読めない。
 何とかして、解読できなかと思った、その時、隣の部屋から、大きな、物音が響き渡った。何か、大きな物が、床に落ちた様な、鈍い音だ。
 先程の事もあるから、文字通り、心臓が、止まるほど、恐れ慄いた。
 恐怖と、興奮の入り混じった、どうも不快な、感情が、一気に、私を、非現実世界へと、引き戻した。
 更に、恐怖とは裏腹に、好奇心と言う、物も、同時に、湧いてきた…。これが所謂、“怖いもの見たさ”と言うものなのだろう。
 扉の前の棚や机をもとに戻し、私は部屋を出た。
 やはり、先程の女の子は、廊下には、居なかった。
 私は、息を殺し、できるだけ物音を立てずに、隣の部屋へと向かった。そこは例の『遊び部屋』。先程の物音は、確実にこの部屋の中から聞こえた。
 私は、息を整え、ドアノブに手を掛けた。そして、意を決し、扉を開けた。
 部屋の真ん中に、段ボールが落ちており、その中身が、辺り一面に散乱している。
 その段ボールには、見覚えがある。と言うより、私のものだ。
 私がまだ、幼い頃、よく玩具や遊び道具を入れていた、箱だ。周りに散らばっているものは、当然玩具類だ。
 どれもこれも、色あせており、懐かしいものばかりだ…。その内の一つを、手に取ったその時、先程の女の子が、私の前に立っている事に気が付いた。
 だが、不思議と驚きはしない…。むしろ、 何だか、それすら懐かしく感じた。
 「やっと…思い出した…?」
 彼女が、優しい口調で、訊ねてきた。私は、思わず頷いた。
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