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1 痣だらけの大嫌いな姉
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私の姉はとても綺麗で頭がいい。上品だしなんでもできるから正直羨ましすぎて嫌いだ。あんなになんでも、どうしてやすやすとこなしてしまうの?
「私はなぜ、お姉様のようにできないのかな? お母様、私だってお姉様のように綺麗で、なんでもできるようになりたいよ! なぜ、私はお姉様と似ていないの?」
幼い頃になにがなく問いかけた私の言葉を聞いたお母様の顔色が変わった。
それからだったかな。お母様が、私をほんの少しだけ優先するようになったのは。それまでは平等だったお菓子の数も仕立ててもらうドレスの数も、なにもかもが私のほうが少しだけ多かった。
「お姉さんなんだから、我慢しなさい」
お母様からそう言われるお姉様を見ていて、ちょっぴりいい気味だって思ったこともあるわ。お姉様がどんなに優秀でもお母様の愛は私にあるんだ、と思うと安心できたんだ。
そのうち優秀な姉は隣国に3年ほど留学し、戻ってすぐになんと10歳も年上のアーノルド・スラエ侯爵に嫁いだ。
「お母様、お姉様はなぜそんな年上の男性に嫁いだの?」
「あぁ、アーノルド・スラエ侯爵様がサマーにひと目ぼれしたそうよ。愛に年齢は関係ないしあそこは大富豪ですもの。玉の輿よ!」
私は玉の輿という言葉だけで、また姉が羨ましくなった。結婚式は盛大に行われて、アーノルド・スラエ侯爵様は甘い顔立ちの見栄えのいい男性だったから、お姉様は幸せになるんだと思っていた。アーノルド様は得意満面で、お姉様は沈んだ表情だったのが不思議だったなぁ。
「ねぇ、お父様。なぜ、あんなにお姉様は元気がないの?」
「あぁ、緊張しているだけだろう? なにしろ、玉の輿だからなぁ~~」
ーー玉の輿ってそんなにすごいことなの? だったら私も乗りたいよ。
それから夜会のたびに見かけるお姉様は、きらびやかな宝石をたくさんつけてはいるが、悲しい表情を浮かべるようになっていた。
ドレスは最高級のものだし宝石も素晴らしい、髪型も誰もが真似したくなるような最新の流行。けれど、見かけるたびに痩せていくように見える。
「お母様、お姉様はかなり痩せたわね? なにかあるのかしら? お母様はなにか聞いているの?」
「いいえ、なんにも。気にすることはないわ。どうせ、あの子は私達とは他人です」
私が聞かされた事実は、お姉様は先妻の子だったというものだった。
私が避けていた姉の屋敷を訪ねた、ある夏の熱い日のこと。
「お姉様、お久しぶりでございます。夜会でお目にかからない日がもう2年も続き心配になり、こうして訪ねてまいりましたわ。またさらにお痩せになりましたね。それに、こんなに熱い日ですのにそのような長袖のドレスなど着てどうなさったの? この時期は皆、袖なしのサマードレスを着るのが常識ですわ」
「えぇ、そうね。実は少し風邪気味だから・・・・・・身体も少しふらつくし・・・・・・」
「え! それは大変! 医者には診せましたか? 医者を、誰か医者を!」
私がそう言っても、ここの侍女達は無視をして聞こえぬふりをしていた。私はお姉様の長袖のドレスを少し引きあげ脈をみようとし驚愕した。腕には青痣がところどころ浮き出て、できたばかりの切り傷さえある!
「こ、これは、どういうことですかっ? この痣はどうしたのよ?」
お姉様のことは嫌いだ。そうよ、大嫌い! でも、それとこれとは別よ!
私はなぜか涙が止まらなかった。お姉様は私が意地悪しても怒ったことは一度もなく、偉そうに私にいろいろ説教するムカつく姉だけれど、私のお姉様なのよ! お姉様に意地悪していいのは私だけなんだから!
私はこの時にちょっぴり気がついた。私はお姉様が嫌いなんじゃない。ただ憧れていて羨ましかっただけで、本当は大好きだったんだ。
そうとわかれば、こんなところにお姉様は置いておけないわ! 私はお姉様を連れて外に出ようとした。
「どちらに行かれますか? 奥様は体調が悪いので外にお連れしてはダメです!」
さっきまで無視していた侍女達が、一斉に立ち上がって私を阻止しようとしたのだった。
「私はなぜ、お姉様のようにできないのかな? お母様、私だってお姉様のように綺麗で、なんでもできるようになりたいよ! なぜ、私はお姉様と似ていないの?」
幼い頃になにがなく問いかけた私の言葉を聞いたお母様の顔色が変わった。
それからだったかな。お母様が、私をほんの少しだけ優先するようになったのは。それまでは平等だったお菓子の数も仕立ててもらうドレスの数も、なにもかもが私のほうが少しだけ多かった。
「お姉さんなんだから、我慢しなさい」
お母様からそう言われるお姉様を見ていて、ちょっぴりいい気味だって思ったこともあるわ。お姉様がどんなに優秀でもお母様の愛は私にあるんだ、と思うと安心できたんだ。
そのうち優秀な姉は隣国に3年ほど留学し、戻ってすぐになんと10歳も年上のアーノルド・スラエ侯爵に嫁いだ。
「お母様、お姉様はなぜそんな年上の男性に嫁いだの?」
「あぁ、アーノルド・スラエ侯爵様がサマーにひと目ぼれしたそうよ。愛に年齢は関係ないしあそこは大富豪ですもの。玉の輿よ!」
私は玉の輿という言葉だけで、また姉が羨ましくなった。結婚式は盛大に行われて、アーノルド・スラエ侯爵様は甘い顔立ちの見栄えのいい男性だったから、お姉様は幸せになるんだと思っていた。アーノルド様は得意満面で、お姉様は沈んだ表情だったのが不思議だったなぁ。
「ねぇ、お父様。なぜ、あんなにお姉様は元気がないの?」
「あぁ、緊張しているだけだろう? なにしろ、玉の輿だからなぁ~~」
ーー玉の輿ってそんなにすごいことなの? だったら私も乗りたいよ。
それから夜会のたびに見かけるお姉様は、きらびやかな宝石をたくさんつけてはいるが、悲しい表情を浮かべるようになっていた。
ドレスは最高級のものだし宝石も素晴らしい、髪型も誰もが真似したくなるような最新の流行。けれど、見かけるたびに痩せていくように見える。
「お母様、お姉様はかなり痩せたわね? なにかあるのかしら? お母様はなにか聞いているの?」
「いいえ、なんにも。気にすることはないわ。どうせ、あの子は私達とは他人です」
私が聞かされた事実は、お姉様は先妻の子だったというものだった。
私が避けていた姉の屋敷を訪ねた、ある夏の熱い日のこと。
「お姉様、お久しぶりでございます。夜会でお目にかからない日がもう2年も続き心配になり、こうして訪ねてまいりましたわ。またさらにお痩せになりましたね。それに、こんなに熱い日ですのにそのような長袖のドレスなど着てどうなさったの? この時期は皆、袖なしのサマードレスを着るのが常識ですわ」
「えぇ、そうね。実は少し風邪気味だから・・・・・・身体も少しふらつくし・・・・・・」
「え! それは大変! 医者には診せましたか? 医者を、誰か医者を!」
私がそう言っても、ここの侍女達は無視をして聞こえぬふりをしていた。私はお姉様の長袖のドレスを少し引きあげ脈をみようとし驚愕した。腕には青痣がところどころ浮き出て、できたばかりの切り傷さえある!
「こ、これは、どういうことですかっ? この痣はどうしたのよ?」
お姉様のことは嫌いだ。そうよ、大嫌い! でも、それとこれとは別よ!
私はなぜか涙が止まらなかった。お姉様は私が意地悪しても怒ったことは一度もなく、偉そうに私にいろいろ説教するムカつく姉だけれど、私のお姉様なのよ! お姉様に意地悪していいのは私だけなんだから!
私はこの時にちょっぴり気がついた。私はお姉様が嫌いなんじゃない。ただ憧れていて羨ましかっただけで、本当は大好きだったんだ。
そうとわかれば、こんなところにお姉様は置いておけないわ! 私はお姉様を連れて外に出ようとした。
「どちらに行かれますか? 奥様は体調が悪いので外にお連れしてはダメです!」
さっきまで無視していた侍女達が、一斉に立ち上がって私を阻止しようとしたのだった。
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