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(おまけ)イーサンの末路
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(イーサン視点)
ダーシィと結婚しドミニク侯爵家の別邸で新婚生活をスタートした。3年後には父上から爵位を継いで、ドミニク侯爵家本邸に移り両親と同居予定だ。
「新婚時代は二人っきりで過ごした方がいいわよね? その方が孫も生まれやすいわ」
母上は子供が大好きだから、早くも孫の誕生を期待している。
まもなくダーシィが妊娠したので、ドミニク侯爵家別邸で盛大なパーティを開いた。私の両親も満面の笑みで駆けつける。
「あい、あーんして?」
「え! ・・・・・・あ、ありがとう。でも・・・・・・恥ずかしいですぅ」
ダーシィは頬を染めて、私が差し出すフォークのイチゴを口にした。彼女は子供ができたことで最高の幸せを噛みしめているのがわかる。
そのピンクに染まった頬が青ざめるところが見たい。
「まぁ。とても仲良しなのね」
「うんうん。夫婦仲は良好が一番だ。子供には仲のよい夫婦が一番だからなぁ」
お祝いのケーキをダーシィに食べさせる私に、両親も目を細める。私の両親はとても仲が良いから、私の性癖を知られてはならない。その為にパーティでは思いっきりダーシィを大切に扱う。パーティが終わって招待客が帰る頃にはぐったりだった。
「ちょっと、新しい愛人と旅行に行ってくる。父上達には言うなよ! 父上も母上も家庭を蔑ろにする人間を軽蔑する人達だから。最も、ダーシィの言うことなど信じないと思うけどな。あっはははは」
翌日、早速ダーシィを精神的に追い詰める。昨日は大事にし過ぎたから、勘違いさせてはならない。
「なぜですか? あんまりです・・・・・・ 私はイーサン様のお子を妊娠しているのですよ! 今までとは違います。普通は側にいてくださるものでしょう?」
「妊娠ぐらいで偉そうにするな! 妻が夫の子を産むのは当然だろう? 少しも特別なことではない! それに妊娠したらできないだろう? 子供の為に安静にしなければならない。ダーシィの為に他の女で我慢する私に感謝しろ!」
絶望的な暗い眼差しにゾクッとするほどの快感を覚える。
ふっ、帰って来たらまた甘やかしてあげるよ。
温泉が湧き出るという隠れ宿で、愛人ルーリーと乳くり合う。至福のひとときだ! この愛人はかなり年下のまだ成人になる手前の初物だ。付き合い始めたばかりで、この瞬間をとても楽しみにしていた。
部屋に入り押し倒そうとした瞬間にノックの音がする。
「あたし、ルームサービスでワインを持ってくるようにフロントに言っておいたんだよ」
可愛い声で言うルーリーに、「気が利くね」と褒めてやる。
ところがドアを開けると、そこにはルーリーと同じ年頃の男が一人立っており、ワインは持っていない。
「オトマール! ちょうど良かったよ。危うくこのおじさんにやられちゃうとこだったから。早いところお金を盗って逃げよう」
「うん、そうだな。おい、おじさん。持ってる金を全部出せよ。その指輪や装身具も全部な!」
「どういうことだ? これは? ルーリー! 私を愛しているって言っただろう? 嘘だったのか?」
「ううん、嘘じゃないよ。あんたのお金は愛してるもん。でも、あんたはおじさんじゃん。気持ち悪いよ」
「気持ち悪い? この私を気持ち悪いだと?」
逆上し小娘に殴りかかると、オトマールと言われた男が私を突き飛ばす。
「女に手をあげるようとするなんてお前最低だよ。あとさぁ、年甲斐もなく若い女を引っかけるなよ。自分がイケてるなんて妄想だから! みっともねーーな!」
最後に太もものあたりを思いっきり蹴り上げられてその痛さに悶絶した。
気がつくと、屋敷の寝室のベッドの上で、目の前にはダーシィと白衣姿の男がいる。どうやら宿の者が屋敷に連絡してくれたようだ。医師もいるから安心だな。
「聞いてくれ。とても酷い目にあった。私は蹴られて・・・・・・ん? 足が動かない? どういうことだ? 右足が・・・・・・」
「そうですね。あなたの右足は神経が損傷しているそうです。お気の毒にね」
「なんだって? じゃぁ、私はどうすればいいんだよ?」
「杖をついて歩くしかないんじゃないですか? 車椅子だってあるし、それほど悪い状況でもありませんわ」
にっこり微笑んだダーシィに幾分元気づけられた。
(持つべきものは妻だな。結婚しておいて良かった)
「そうです。リハビリ次第で歩ける人もいますから。痛みがひいたら、奥様もリハビリに協力してあげてください」
ダーシィの横にいる医師の慰めの言葉に希望を見いだす。
「ほら、ダーシィ聞いたろう? 君も協力して私が歩けるように手伝うんだ」
ダーシィの笑みがますます深くなり、朗らかな笑い声をあげた。
「協力? 私があなたになぜ協力しなければならないのですか? 散々私を苦しめたのに?」
それ以来、彼女は私を見舞いにも来ない。やがて屋敷の賑わいで子供が生まれたことを知る。
「愛らしい男の子です。イーサン様にそっくりですよ」
メイドしか来なくなった部屋で、私の世話をする女から子供の話を聞いた。
「ダーシィを呼べ! なんで子供を見せに来ない? なぜ、誰も私に会いに来ないんだ? 来るのはメイドと医者だけだ」
数日後、ダーシィが子供を抱いて姿を現す。
「皆、あなたが未成年者といかがわしいことをしようとしたことを知っているのですよ。あなたがご執心だった少女と男が、窃盗犯で捕まって全部白状したんです。イーサン様はこの部屋から出てはいけませんよ。ずっと一生ここで謹慎していなさい。もっとも、足が動かないから移動もできませんね。必然的にここにいるしかないわ! あっはははは!」
「私の父上や母上を呼んでくれ! 私はドミニク侯爵家の跡継ぎだぞ!」
「ふふふ。イーサン様のご両親もご存じですわ。少女の供述でイーサン様の信用は地に落ちました。私も今までのことをお話ししましたし・・・・・・爵位は、私が産んだこの子に譲るそうです。あなたは私を散々振り回してきました。・・・・・・だから・・・・・・これからは私の番ですね?」
完
ダーシィと結婚しドミニク侯爵家の別邸で新婚生活をスタートした。3年後には父上から爵位を継いで、ドミニク侯爵家本邸に移り両親と同居予定だ。
「新婚時代は二人っきりで過ごした方がいいわよね? その方が孫も生まれやすいわ」
母上は子供が大好きだから、早くも孫の誕生を期待している。
まもなくダーシィが妊娠したので、ドミニク侯爵家別邸で盛大なパーティを開いた。私の両親も満面の笑みで駆けつける。
「あい、あーんして?」
「え! ・・・・・・あ、ありがとう。でも・・・・・・恥ずかしいですぅ」
ダーシィは頬を染めて、私が差し出すフォークのイチゴを口にした。彼女は子供ができたことで最高の幸せを噛みしめているのがわかる。
そのピンクに染まった頬が青ざめるところが見たい。
「まぁ。とても仲良しなのね」
「うんうん。夫婦仲は良好が一番だ。子供には仲のよい夫婦が一番だからなぁ」
お祝いのケーキをダーシィに食べさせる私に、両親も目を細める。私の両親はとても仲が良いから、私の性癖を知られてはならない。その為にパーティでは思いっきりダーシィを大切に扱う。パーティが終わって招待客が帰る頃にはぐったりだった。
「ちょっと、新しい愛人と旅行に行ってくる。父上達には言うなよ! 父上も母上も家庭を蔑ろにする人間を軽蔑する人達だから。最も、ダーシィの言うことなど信じないと思うけどな。あっはははは」
翌日、早速ダーシィを精神的に追い詰める。昨日は大事にし過ぎたから、勘違いさせてはならない。
「なぜですか? あんまりです・・・・・・ 私はイーサン様のお子を妊娠しているのですよ! 今までとは違います。普通は側にいてくださるものでしょう?」
「妊娠ぐらいで偉そうにするな! 妻が夫の子を産むのは当然だろう? 少しも特別なことではない! それに妊娠したらできないだろう? 子供の為に安静にしなければならない。ダーシィの為に他の女で我慢する私に感謝しろ!」
絶望的な暗い眼差しにゾクッとするほどの快感を覚える。
ふっ、帰って来たらまた甘やかしてあげるよ。
温泉が湧き出るという隠れ宿で、愛人ルーリーと乳くり合う。至福のひとときだ! この愛人はかなり年下のまだ成人になる手前の初物だ。付き合い始めたばかりで、この瞬間をとても楽しみにしていた。
部屋に入り押し倒そうとした瞬間にノックの音がする。
「あたし、ルームサービスでワインを持ってくるようにフロントに言っておいたんだよ」
可愛い声で言うルーリーに、「気が利くね」と褒めてやる。
ところがドアを開けると、そこにはルーリーと同じ年頃の男が一人立っており、ワインは持っていない。
「オトマール! ちょうど良かったよ。危うくこのおじさんにやられちゃうとこだったから。早いところお金を盗って逃げよう」
「うん、そうだな。おい、おじさん。持ってる金を全部出せよ。その指輪や装身具も全部な!」
「どういうことだ? これは? ルーリー! 私を愛しているって言っただろう? 嘘だったのか?」
「ううん、嘘じゃないよ。あんたのお金は愛してるもん。でも、あんたはおじさんじゃん。気持ち悪いよ」
「気持ち悪い? この私を気持ち悪いだと?」
逆上し小娘に殴りかかると、オトマールと言われた男が私を突き飛ばす。
「女に手をあげるようとするなんてお前最低だよ。あとさぁ、年甲斐もなく若い女を引っかけるなよ。自分がイケてるなんて妄想だから! みっともねーーな!」
最後に太もものあたりを思いっきり蹴り上げられてその痛さに悶絶した。
気がつくと、屋敷の寝室のベッドの上で、目の前にはダーシィと白衣姿の男がいる。どうやら宿の者が屋敷に連絡してくれたようだ。医師もいるから安心だな。
「聞いてくれ。とても酷い目にあった。私は蹴られて・・・・・・ん? 足が動かない? どういうことだ? 右足が・・・・・・」
「そうですね。あなたの右足は神経が損傷しているそうです。お気の毒にね」
「なんだって? じゃぁ、私はどうすればいいんだよ?」
「杖をついて歩くしかないんじゃないですか? 車椅子だってあるし、それほど悪い状況でもありませんわ」
にっこり微笑んだダーシィに幾分元気づけられた。
(持つべきものは妻だな。結婚しておいて良かった)
「そうです。リハビリ次第で歩ける人もいますから。痛みがひいたら、奥様もリハビリに協力してあげてください」
ダーシィの横にいる医師の慰めの言葉に希望を見いだす。
「ほら、ダーシィ聞いたろう? 君も協力して私が歩けるように手伝うんだ」
ダーシィの笑みがますます深くなり、朗らかな笑い声をあげた。
「協力? 私があなたになぜ協力しなければならないのですか? 散々私を苦しめたのに?」
それ以来、彼女は私を見舞いにも来ない。やがて屋敷の賑わいで子供が生まれたことを知る。
「愛らしい男の子です。イーサン様にそっくりですよ」
メイドしか来なくなった部屋で、私の世話をする女から子供の話を聞いた。
「ダーシィを呼べ! なんで子供を見せに来ない? なぜ、誰も私に会いに来ないんだ? 来るのはメイドと医者だけだ」
数日後、ダーシィが子供を抱いて姿を現す。
「皆、あなたが未成年者といかがわしいことをしようとしたことを知っているのですよ。あなたがご執心だった少女と男が、窃盗犯で捕まって全部白状したんです。イーサン様はこの部屋から出てはいけませんよ。ずっと一生ここで謹慎していなさい。もっとも、足が動かないから移動もできませんね。必然的にここにいるしかないわ! あっはははは!」
「私の父上や母上を呼んでくれ! 私はドミニク侯爵家の跡継ぎだぞ!」
「ふふふ。イーサン様のご両親もご存じですわ。少女の供述でイーサン様の信用は地に落ちました。私も今までのことをお話ししましたし・・・・・・爵位は、私が産んだこの子に譲るそうです。あなたは私を散々振り回してきました。・・・・・・だから・・・・・・これからは私の番ですね?」
完
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